[第一種電気通信事業関係]

II. 第一種電気通信事業の許可

電気通信事業法
第九条 第一種電気通信事業を営もうとする者は、郵政大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、郵政省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
郵政省令で定める区分による、電気通信役務の種類及びその態様
業務区域
電気通信設備の概要
3 前項の申請書には、事業計画書その他郵政省令で定める書類を添付しなければならない。
(郵政省令:電気通信事業法施行規則第三条)
  1. 事業許可の手続
    第一種電気通信事業を営むに当たっては、まず、第一種電気通信事業の許可を受けなければならない。第一種電気通信事業の許可申請に当たっては、次の書類を提出する必要がある。
    1. ) 申請書 (様式第一)
      (記載事項は次のとおり)
      1. ) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
      2. ) 次の区分による電気通信役務の種類及びその態様
        電気通信役務の種類 内容
        音声伝送 概ね四キロヘルツ帯域の音声その他の音響を伝送交換する機能を有する電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務であってデータ伝送役務以外のもの
        データ伝送 専ら符号又は影像を伝送交換するための電気通信設備を他人の通信の用に供する電気通信役務
        専用 特定の者に電気通信設備を専用させる電気通信役務
        (注)
        1.
        役務の態様として国内・国際の別等を記載することとされている(下記注2参照)が、これにより業務区分の規制が行われているものではない。業務区分の規制はNTT以外にはなく、例えば長距離事業者による地域や国際といった他の業務への進出を妨げるものではない。
        2.
        電気通信役務の態様については、電気通信役務の種類ごとにその区分(例:国内、国際)のうち該当する全ての事項、通信の流れに関する事項(例:通信の発着の区間又は区域)等を記載する。
      3. ) 業務区域
      4. ) 電気通信設備の概要
    2. ) 添付書類
      1. ) 事業計画書(様式第二)
      2. ) 事業開始予定の日以降五年内の日を含む毎事業年度における事業収支見積書(様式第三)
      3. ) 業務区域の境界を明示した縮尺二十万分の一以上の精密度を有する地図(業務区域が都道府県又は市町村の全部の区域を含む場合は、その部分についての適宜の地図)
      4. ) 他の電気通信事業者と電気通信設備の接続又は共用を行う場合は、その者との協定書の写し又はその計画を記載した書類
      5. ) 電気通信業務の一部を委託する場合は、受託者との契約書の写し又はその計画を記載した書類
      6. ) 電気通信設備を設置するための土地、建物その他の工作物の調達方法及びその見込みを記載した書類
      7. ) 主たる技術者に関する書類(電気通信主任技術者である場合は、氏名並びに資格者証の種類及び番号を記載したもの。そうでない場合は履歴書)
      8. ) 伝送路設備(中継系設備に限る。)及び交換設備その他主要設備配置図
      9. ) 電気通信回線設定一覧表
      10. ) 申請者が行う電気通信事業以外の事業の概要
      11. ) 申請者が既存の法人であるときは、
        1. ) 定款又は寄附行為及び登記簿の謄本
        2. ) 最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
        3. ) 役員又は社員の名簿及び履歴書
      12. ) 申請者が法人を設立しようとする者であるときは、
        1. ) 定款又は寄附行為の謄本
        2. ) 発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
        3. ) 設立しようとする法人が株式会社又は有限会社であるときは、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書類
      13. ) 申請者が法人格なき組合であるときは、
        1. ) 組合契約書の写し
        2. ) 組合員の資産目録
        3. ) 組合員の履歴書
      14. ) 申請者が個人であるときは、
        1. ) 資産目録
        2. ) 氏名、住所及び生年月日を証する書類
        3. ) 履歴書
      15. ) 申請者が地方公共団体であるときは、
        1. ) 第一種電気通信事業を営むことについての議会の会議録の写し
      16. ) 許可の欠格事由に該当しないことを示す書類
      17. ) 電気通信設備の設置について行政庁の許可その他の処分を要するときは、その許可証等の写し(許可等の申請をしている場合は、その申請書の写し)又はその手続の状況を記載した書類
  2. 審査

    郵政大臣は、第一種電気通信事業の許可申請に対して、電気通信事業法第十条の各号により審査を行い、適合していると認められるときは、第一種電気通信事業の許可を与える。各号の審査基準は以下に記してある。 なお、第一種電気通信事業の許可については、電気通信審議会への諮問が必要となる。

    1. ) 審査基準
      1. ) 事業に要する資金の調達方法が合理的に作成されていること。
      2. ) 事業に要する資金に充てる借入金の返済計画が合理的に作成されていること。
      3. ) 電気通信主任技術者の選任等が事業の開始までに見込まれること。
      4. ) 事業収支見積りの算出が適正かつ明確であり、事業収支見積りが合理的に作成されていること。
      5. ) 電気通信設備を設置するための土地、建物その他の工作物の調達が見込まれること。
      6. ) 電気通信設備の設置の計画及び業務区域の設定の計画が妥当なものであること。
      7. ) その他その事業の開始が、電気通信の公正な競争を阻害せず、また、利用者の利益、国民の利便の確保に反しないなど法の目的に照らし、電気通信の健全な発達のために適切であること。

      なお、電気通信事業法第十一条に規定されている許可の欠格事由に該当する場合は、この基準に係わらず、郵政大臣は許可を与えることはできない。

    2. ) 標準処理期間
      標準処理期間とは、申請が行政庁の事務所に到着してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間のことをいう。第一種電気通信事業の許可の申請の標準処理期間は一〜二か月である。
    3. ) 欠格事由
      次のいずれかに該当する者に対しては、許可を与えることはできない。
      1. ) 電気通信事業法又は有線電気通信法若しくは電波法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
      2. ) 第一種電気通信事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
      3. ) 法人又は団体であって、その役員のうちに i)又は ii)に該当する者があるもの
    4. ) その他
      CATV事業者が第一種電気通信事業に参入することについては、第一種電気通信事業の許可を受けることにより可能である。ただし、内部相互補助を禁止しているため、電気通信事業とCATV事業の会計分離を行う必要があり、単独の事業計画の作成が必要である。
      なお、CATVを利用した電話サービスについては、平成六年十一月、「CATVを利用した電話サービスの事業化ガイドライン」を作成・公表している。
  3. 事業開始の義務
    2.により、第一種電気通信事業の許可を受けた者は、指定する期間内に事業を開始しなければならない。ただし、正当な理由があると認められるときは、その期間の延長を行う。
    なお、事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出ることとなっている。