電子図書館システム

電子図書館システム

電子図書館システムとは、ディジタル化された公開可能な情報を、世界中のどこに あるかにかかわらず、オンラインで入手できるシステムです。
電子図書館システムは以下の5つのコンセプトをもとに開発されました。

コンセプト
ディジタルネットワークインタラクティブマルチメディアスケーラブル

電子図書館システムは利用者が読みたい図書を見つけ出し、その見つけた図書を読むという一連の行動を支援するために、以下のさまざまな機能をもっています。

検索支援機能
書誌情報検索ハイパーテキスト検索キーワード検索階層構造検索

読書支援機能
複数図書の同時参照辞書メモ・付箋翻訳朗読その他

電子図書館システムはB-ISDNの利用により高速データ転送を実現しています。

電子図書館システムのネットワーク構成


電子図書館システムの5つのコンセプト

  1. ディジタル
    電子図書館は情報だけでなく、音、静止画、動画など、すべての情報をディジタル化してもっています。すべてがディジタル化されているために、各種の情報の融合が簡単になり、さまざまの高度な検索や処理をすることが可能になります。

  2. ネットワーク
    こうした電子図書館があちこちに出現し、お互いにネットワークを介して結ばれるようになると、ネットワーク上に仮想的な巨大図書館が成立します。これは、お互いの距離にかかわりなく、国境も越えて実現する世界図書館であります。

  3. インタラクティブ
    電子図書館では、図書を画面上で印刷された図書と同じように読むこともできますが、これまでにない機能を多く持っています。まず、図書や論文を検索するための方法が大幅に改善されます。また、読書自体も読みたい図書を複数表示したり、同じ概念が出現する他の箇所に跳んだり、辞書や事典を同時に参照してわからないことばを調べたり、メモや付箋をつけたり、原文を翻訳したり、音声で出力したりすることもできます。

  4. マルチメディア
    文字だけでなく、音、静止画、動画など、あらゆる形態の情報が利用できます。これによって、文字と図表に限られた現在の図書よりも、はるかに理解しやすい形で情報を提供することができます。

  5. スケーラブル
    国立図書館のような大規模な図書館から、個人図書館のような小さな図書館まで、利用できるハードウェア、ソフトウェア、情報資源に応じて、さまざまな規模の図書館を構築することができます。

電子図書館システムの検索支援機能

  1. 書誌情報検索
    現在の図書館目録システムやオンライン情報検索システムでよく知られている機能で、タイトル、著者名、出版社名、出版年、ページ数、価格などが正確でなくても検索できる機能を持っています。

    また、検索結果は、書誌情報一覧だけでなく、表紙の一覧として表示することもできます。


  2. ハイパーテキスト検索
    電子図書館システムがもつ情報や概念のうちで重要なものは、リンクによって他の情報のあつまりと結合されています。このとき、他の情報は世界のどこにあってもかまいません。

    これによって、次のようなことが可能になります。

    1. ある概念や用語を見つけたとき、同じ図書や論文の中で、その概念や用語が出現する他の箇所へ跳ぶことができます。
    2. 同一の図書や論文に限らず、他の図書や他の図書館の蔵書に跳ぶこともできます。
    3. 書誌情報一覧から、著者紹介、図書や論文の目次・全文に跳ぶことができます。
    4. 図書や論文に引用されている文献を読みたいと思ったら、直接その文献に跳ぶことができます。
    5. 知らないことばが出てきたら、そのことばの意味を調べることができます。

    ここでは、ごくわずかの例しかあげることができません。この他にも、多くの種類のリンクを考えることができます。


  3. キーワード検索
    利用者が思いついたことばを入力して、図書や論文を検索します。フルテキスト検索を行って、利用者の要求に対する適合度の高い順に文献一覧を出力します。その用語がどのような文脈の中で出現するかも表示することができます。

  4. 階層構造検索
    タイトル、著者名、出版者名などのほかに、図書や雑誌の階層構造を表現した検索式により、図書や論文を検索します。

    たとえば、タイトルに「人工知能」ということばをもつ図書を検索するには、

      BT(人工知能)
    
    とします。また、たとえば人工知能を哲学の観点から論じた図書を検索するためには、次のような検索式をつくります。
     BT(人工知能)* T(哲学>人工知能)
    
    これは、上の検索式に、目次の階層構造の中で「哲学」ということばを含む章・節の中に「人工知能」を含む節・項があるものという条件を加えたものです。その結果、この条件に合うただ1冊の図書として、長尾 眞著『人工知能と人間』が検索されます。ここでも、訳語や同義語による検索が行えます。


電子図書館システムの読書支援機能

  1. 複数図書の同時参照
    新しいウィンドウを開くことによって、別の図書を同時に読むことも簡単にできます。

  2. 辞書
    用語翻訳のための辞書と並んで、各種の辞書を用意しました。これらは、検索のときだけでなく、読書の途中でわからないことばを調べたり、あることばの上位語、下位語、関連語を調べて、それらのことばの出ている図書や論文を同時に参照する、などのために利用できます。

  3. メモ、付箋
    本を読んでいる途中で、一部をノートに書き写して自分のコメントを加えたり、付箋をつけたりすることは、よく行われることです。電子図書館システムはこれを自動的に行えるようにしました。付箋には1行メモを書くこともできます。もちろん、後で、メモや付箋をつけた箇所を検索して、そこに跳ぶこともできます。

  4. 翻訳
    検索した原文を日英・英日のどちらにも翻訳することができます。

  5. 朗読
    図書や論文を読むのに疲れたら、日本語や英語の音声で出力されることもできます。応用として、日本語文献の検索→翻訳→英語の音声出力(あるいはその逆)といった使い方ができます。

  6. その他の読書支援機能
    電子図書館システムは、これら以外にも、やさしい読書を支援するために、多くの機能を持っています。ここでそのすべてを取り上げることはできませんが、興味のある機能をいくつかご紹介します。
    1. ジャンプ機能
      メニューに従って進んだり、履歴をたどって戻ったりしなくてもすむように、初期画面や目次・索引などへのジャンプができます。また、ショートカットキーを使うことにより、望む画面に自由にジャンプできます。
    2. 画面の自由度
      読者は画面の大きさを自由に設定して、読みやすい幅の画面で読書ができます。ワードラッピングは自動的に行われます。
    3. フォントの切り換え
      日本語フォントを切り換えて、別の字体で読書をすることができます。
    4. メール機能
      読書の途中でおもしろい文書に出会ったら、その箇所を友人に送ることもできます。
    5. 利用者環境の保存
      各種の属性を、利用者ごとに、セッションを越えて継承します。これにより、利用のたびに設定をしなおす必要がなくなります。

電子図書館システムのネットワーク構成