第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け
   〜変わりゆくライフスタイル〜


第2節 生活と通信

  1. 趣味・娯楽
  2. (1) 一般的動向

    ア 生活時間の変化
     NHK放送文化研究所の「生活時間の時系列変化」によると、人間の行動を、睡眠や食事の「生活必需行動」、仕事や学校、家事等の「社会生活行動」、レジャーやテレビ視聴等の「自由時間行動」の三つのタイプに分けた場合、自由時間行動に費やす時間は一貫して増加傾向にある。
     総理府の「国民生活に関する世論調査」によると、生活の様々な分野の中で、「今後、生活の、どのような面に力を入れたいか」と聞いたところ、「レジャー・余暇生活」に力を入れたいとする者が、高い割合を占めている(第1−2−26図参照)。
     また、「レジャー白書'97」によると、7年調査と比較して、8年調査で参加人口が大きく伸びたレジャーは、外食、国内旅行、ドライブ、園芸・庭いじり、テレビゲームであり、逆に大きく減ったのは映画、海水浴であった。現在の傾向として、キャンプなどの野外活動に対する関心の高まりと、テレビゲームやパソコンなど電子メディアを用いた娯楽の増加が特徴的である。


    イ 放送番組の中での趣味・娯楽番組の多様化
     NHK放送文化研究所の「生活時間の時系列変化」によると、自由時間のうちテレビ視聴時間が、平日で約8割、土日で約7割と大きな割合を占めている。また、傾向としては、昭和55年以降若干の減少傾向にあったが、2から7年では平日で7.7%増加しており、テレビ視聴は余暇時間の過ごし方として非常に大きな存在となっている。
     一方、放送番組の中での娯楽番組の位置づけを見てみると、日本民間放送連盟の「番組統計」によると、娯楽分野の放送番組は、一貫して40%前後と放送番組中で高い割合を占めている(第1−2−27図参照)。


    ウ 放送のチャンネルの多様化
     テレビ放送は、従来は地上波放送だけであったが、ケーブルテレビ、BS放送、さらにはCS放送の普及により、視聴可能なテレビ放送チャンネルは、数百チャンネルに増加し、視聴の選択の幅が増大している。また、チャンネルの多様化により、従来はなかったスポーツ、映画、音楽等の趣味・娯楽等の専門チャンネルが出現し、より選択の幅が広がった(第1−2−28図参照)。

    (2) 趣味・娯楽分野における情報通信メディアの利用実態

    ア CS放送、ケーブルテレビ
    (ア) 利用実態
     趣味・娯楽分野におけるCS放送とケーブルテレビの利用者属性を見ると、CS放送では30代、40代の年齢層や男性の割合が高く、ケーブルテレビでは50代、60代の年齢層や女性、特に主婦の割合が高くなっている(第1−2−29図、第1−2−30図参照)。
     実際の視聴状況については、CS放送視聴者の64.4%、ケーブルテレビ視聴者の83.8%が、視聴可能なチャンネル数は11チャンネル以上あるとしている(第1−2−31図参照)。
     一方、視聴頻度については、CS放送とケーブルテレビともよく利用している人は6割弱、ときどき利用している人は約3割と、約9割の人が視聴している(第1−2−32図参照)。
     また、NHK放送、衛星放送及びケーブルテレビの1か月の料金の支払額の平均は7年が1,551円、8年が1,669円、9年が2,233円と初めて2,000円を超えた(「動向調査(世帯)」)。
     これらの結果から判断すると、従来総合編成されていた放送と異なり、専門チャンネルを各自の趣向に合わせて選択するスタイルが出現している。また、テレビの視聴スタイルとしては、従来の受動的な視聴に加えて、比較的能動的な視聴が増加してくると考えられる。
    (イ) 生活の変化
     CS放送とケーブルテレビについて、「自分の趣味に合う番組の視聴」に関しての期待と効果について見ると、「期待し、その効果があった」又は「期待しなかったが、効果があった」はそれぞれ高い割合を占めており、番組の内容については、趣味・娯楽の充実を図るという目的に合致し、満足している人の多いことが分かる(第1−2−33図参照)。





     また、視聴している分野では、CS放送、ケーブルテレビとも趣味・娯楽分野が多いが、ケーブルテレビでは、ニュースや天気予報といった地域と密接に関係のある番組がよく視聴されている(第1−2−34図、第1−2−35図参照)。
    (ウ) 今後求めるサービス
     ケーブルテレビは光ファイバの導入による大容量・高品質化や、通信サービスの提供等により地域の総合的な情報通信インフラとしての発展が期待されており、利用者サービスの向上が期待される。新サービスの利用意向については、「ビデオ・オン・デマンド」が62.9%、「インターネット接続サービス」が36.4%、「電話サービス」が13.6%となっている(「生活調査」)。




    (エ) 問題点
     CS放送、ケーブルテレビについては、「加入料や視聴料金が高い」、「番組表がわかりにくい」などについて不満を感じている(第1−2−36図、第1−2−37図参照)。



    (オ) 他メディアとの代替
     CS放送加入後におけるその他メディアとの接触時間の変化について見る。「減った」ものは「レンタルビデオの利用回数」、「CS放送以外のテレビ放送を見る時間」の順となっている。接触時間が変わらないものとしては、「新聞を読む時間」、「本・雑誌を読む時間」となっており、CS放送は専門性が強いので、映像メディアとCS放送は代替関係にある一方、活字メディアとCS放送では、関連がないことが分かる(第1−2−38図参照)。
     また、ケーブルテレビ加入後におけるその他メディアとの接触時間の変化について見ると、全メディアにおいて「変わらない」という回答が多く、ケーブルテレビはCS放送より他メディアの代替が小さいといえる(第1−2−39図参照)。



    イ インターネット、パソコン通信
    (ア) 利用実態
     趣味・娯楽分野におけるインターネットとパソコン通信の利用者属性は他のメディアと比較して、女性が少なく、60歳以上の利用者では極端に少なくなっている(第1−2−40図、第1−2−41図参照)。




     プライベートな目的でインターネットを利用している場所は「自宅」が77.3%と、大半を占めている(第1−2−42図参照)。また、インターネットのプライベート目的の利用頻度は「毎日」が35.6%、「1週間に数回」が46.3%となっており、よく利用されていることが分かる(第1−2−43図参照)。プライベートの利用時間帯では「23時〜8時」の深夜の利用が4割占めている(第1−2−44図参照)。
    (イ) 生活の変化
     インターネットで提供されている各種情報のうち、ユーザーの接触率が高い分野は、「趣味・娯楽」、「ニュース」、「企業」であり(第1−2−45図参照)、インターネットは趣味・娯楽分野にとって重要なものとなってきている。




     「趣味・娯楽」に関して効果があったかどうかについては、インターネットで63.0%が、パソコン通信で63.2%が効果があったとして、概ね満足している(第1−2−46図参照)。



    (ウ) 問題点
     問題点としては「映像が送られてくるのが遅い」、「利用料金が高い」、「代金支払の時にクレジットカード番号を送信するのが不安」、「プライバシーの侵害やいやがらせが不安」と、利用環境やセキュリティ・プライバシー保護に問題があるとしている(第1−2−47図、第1−2−48図参照)。


     一般個人ユーザーの中にもホームページを作成している人が増えているが、「生活調査」によると、現在公開中又は過去にホームページを作成したことのあるユーザーは40.6%、今後作成したいと考えているユーザーは36.3%にのぼっている。
     しかし、ホームページを公開する上で気がかりなことは、「自分の名前や住所などを勝手に使われる」、「電子メールなどで嫌がらせを受ける」、「ページの更新に手間がかかる」となっており、プライバシー保護の問題が上位を占めている(第1−2−49図参照)。
     今後の利用意向については、65.0%が「非常におもしろくこれからも続けたい」としており、今後も様々な分野で普及・活用されることが予想される。

    (3) 先進的な活用事例

    ア インターネットによる個人情報の発信
     あるバスケットボールチームの代表の東京都大田区在住のAさん(32歳)は、チームの紹介をホームページに掲載している。現在、チームには100人以上の会員が登録されているが、その2割はホームページを見てチームに加入してきた人である。ホームページを掲載する前は他のチームと練習試合をしたことがなかったが、それも実現し、アクセス数は1年半で7,000件にもなった。また、外国に住んでいる人から、近々日本に行くので練習に参加させてほしいといったメールが届いたこともある。Aさんは幸いにして嫌がらせのメールは受けたことはないということであるが、電話番号や住所等の個人情報はネット上には掲載しないなど注意を払っているという。

    イ インターネット放送
     インターネットが普及し、また、映像や音声をパソコンで再生できるソフトが充実してきたのに従って、多数のユーザーに向けて、インターネットを通して映像・音声を配信するサービスがあり、このようなサービスは「インターネット放送」と呼ばれることがある。ユーザーはホームページ上で映像、音声ファイルをダウンロードしながら再生することにより、ほぼリアルタイムで映像、音声を受信することができる。従来はイベント中継等の単発的な内容の番組が多かったが、現在では定期的に放送番組を提供する「インターネット放送局」も数多く登場している。
     コミュニティ放送局の逗子・葉山コミュニティ放送(株)では、8年11月から、インターネットで自局のFMラジオ番組を流していたが、9年11月からは動画像も流し始めた。インターネット放送を開始したきっかけは、インターネットそのものに対する興味に加え、コミュニティ放送では出力が小さく、放送エリアが限られてしまうため、インターネットを使い広い放送エリアをカバーしたいという考えがあったからだという。放送開始当初は一日のアクセス数は1,000件位であったが、現在は3,000件に伸びている。外国からのアクセスを想定し、米国のサーチエンジンに掲載している結果、アクセスの約3分の1は米国からのものが占めるようになった。英語の放送はそれほど多くはなく、世界を意識しないで、地域特性を出す放送を心がけている。

    (4) 効用と課題

    ア 効用
     様々なメディアの出現と、メディアの新しい活用により、趣味・娯楽の世界は多種・多様化してきた。放送のチャンネルの多様化により番組選択の幅が広がり、専門的な視聴ニーズにもこたえることができるようになった。また、インターネットで、多様な情報を取得することが可能となり趣味・娯楽分野における選択の幅が広がるとともに、個人の情報発信の機会が生まれ、人的交流の輪も広がっている。

    イ 課題
     CS放送、ケーブルテレビでは、コンテント不足及び料金等の課題、インターネットはセキュリティ・プライバシー保護、通信料金及び伝送速度等の課題がある。




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