第3章 情報通信政策の動向
第4節 放送政策の推進
- 放送ソフトの振興
(1) 放送ソフトの振興に関する調査研究会
放送の多チャンネル化や国際化が進展する中で、放送ソフトの一層の充実を図ることは重要な課題であり、これまでにも積極的な振興策が実施されている。
郵政省では、放送の多チャンネル化、グローバル化の進展を踏まえ、8年9月から「放送ソフトの振興に関する調査研究会」を開催し、制作会社等における制作資金調達の円滑化、放送ソフト制作の活性化方策、海外への流通や他メディアへの活用を含む放送ソフトの多元的利用の促進方策等について検討を行ってきたが、9年5月に最終報告が取りまとめられた。その概要は、次のとおりである。
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- 放送ソフトの流通活性化を図るため、放送ソフトの多元的利用を可能とするための権利処理の円滑化、各事業者が持つ放送ソフト流通情報のデータベースの整備等、国内流通環境の整備を図ることが必要である。
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- 放送ソフトの制作を活性化させるため、放送ソフト制作会社の資金調達手段の多様化等、人材育成の充実及び放送ソフト制作機器のデジタル化等技術・機器の高度化に対する支援等環境整備を図る必要がある。
郵政省では、本報告を受け、放送ソフトの流通情報データベースに関する調査研究、放送番組の保存の在り方に関する調査研究、放送ソフト制作機器のデジタル化を促進するための支援制度の創設等、放送ソフトの制作・流通の活性化のための施策を推進していくこととしている。
(2) 放送番組素材利用促進事業の推進
放送番組の制作に使用される映像・音響素材(放送番組素材)を収集、制作、保管し、放送番組の制作の用に供する業務等を行う事業(放送番組素材利用促進事業)を支援し、放送番組の制作基盤の充実を図るために、「放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法」が6年9月施行された。
(3) 有線テレビジョン放送番組充実事業の推進
有線テレビジョン放送番組充実事業は、「有線テレビジョン放送の発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に関する臨時措置法」に基づき、
番組共同制作技術、
番組配信施設、
番組情報検索施設、
番組収蔵施設の整備を実施する者に対し、産業投資特別会計の出資を原資とする通信・放送機構からの出資や、日本開発銀行等からの無利子・低利融資による支援措置を行うものである。
(4) 受信設備制御型放送番組の制作の促進
放送分野の技術革新を活用した放送番組の制作を促進することによって、国民が情報を選択する機会を拡大し、もって高度情報通信社会の構築に寄与することを目的として、「受信設備制御型放送番組の制作の促進に関する臨時措置法」が7年9月施行された。同法に基づき、
当該放送番組の制作に必要な資金の調達に係る債務の保証、
共同で利用できる当該放送番組制作施設を整備する事業(受信設備制御型放送番組制作施設整備事業)に対する出資、
当該放送番組に必要な情報の提供を行うこととしている。
(5) 放送ライブラリー

放送ライブラリー
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放送ライブラリーは、社会的・文化的に貴重な財産である放送番組を収集、保管するとともに、国民に公開することを通じて、放送の健全な発達等に資することを目的として、放送法上の指定法人である放送番組センターにより、3年10月から運営されている。その主な概要は、
放送番組の収集・保管及び公衆への視聴、公開、
放送番組に関する情報の収集、分類、整理、保管、
放送番組に関する情報提供等であり、9年6月現在、テレビジョン放送については4,465番組、ラジオ放送については1,064番組が保存され、またテレビジョン放送については3,600番組、ラジオ放送については900番組が公開されている(写真参照)。
