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第1章 第3節

(3)女性

働く意欲を有する在宅女性の就労を可能に

 テレワーク・SOHOは、育児等を行いながら、働く意欲を有する女性の就労を可能にする。
1)在宅勤務
 産業用ソフトウェア等の開発を手がける日本ノーベルは、3年からSELA(セラ:System Engineering Ladys Advancement)と呼ばれる在宅勤務の制度を設けている。12年3月末現在で230名が登録しており、その大部分が在宅の主婦である。情報処理技術者資格など、高い能力を有しながら結婚・出産・育児等で離職した主婦の能力に着目し、首都圏近郊のニュータウンで折り込み広告により募集してみたところ、理科系大卒者を中心に予想以上の反響で、同社では在宅主婦の潜在能力をあらためて実感したという。SELAメンバーは正社員ではなく、同社と各個人が請負契約を結んでおり、自宅のパソコンで電子メールにより本社からの指示を受け、ソフトウェアやシステムのプログラミング作業を行う。給与は時給制で、在宅主婦の主体性を重視する観点から、勤務時間は自己申告制となっており、中堅クラスのSELAメンバーの場合、月50〜60時間の在宅勤務をこなしている。
 あるSELAメンバーによれば、家族を会社や学校に送り出してからパソコンに向かい、仕事の切りのよいところで家事を済ませるなど、専業主婦時代に比べて効率よく時間を使うようになったというが、基本はあくまで「家庭優先」であるという(図表)。同社によれば、実際に、家庭の事情等で在宅勤務が困難になったSELAメンバーが、友人を紹介する例も珍しくないという。
 一方、日本IBMは12年4月から、専門性及び会社への貢献度が高い社員に育児・介護をする必要が生じた場合、在宅勤務が可能な職種であるなど一定の条件を満たせば、在宅勤務を認める「e-ワーク制度」を導入した。同社が11年6月から実施していた「育児・介護ホーム・オフィス制度」においては、1日の勤務の一部についてのみ在宅勤務を認めていたが、「e-ワーク制度」においては完全在宅勤務とし、育児による適用期間も、小学校入学までを卒業までに拡大した。
 同社によれば、女性社員の強い要望により導入したもので、ソフトウェア等の開発担当者の場合、自宅のパソコンを使ってシステムの開発を行い、成果物はネットワークを介して会社に提出し、必要な業務連絡についても、電子メールが最大限に活用されるという。
2)休暇職員の情報収集
 ベネッセ・コーポレーションは、少人数の事業所や直行・直帰の多い営業担当社員向けに、リモートアクセスが可能な社内イントラネットを構築している。同社は、社内情報を共有し、休職後スムーズに復職できるように、10年度から、産前産後や育児休暇中の社員にもリモートアクセスを許可しており、アクセスポイントから社内イントラネットまでの通信料金も会社負担となっている。同社によれば、12年1月現在、出産・育児・介護等のため休職中の60名のうち、約8割がリモートアクセスを利用しているという。

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関連サイト: 日本ノーベル(http://www.jnovel.co.jp/