凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第1章 第4節

1 概況

生活時間や生活空間を拡大させ、コミュニケーションが変化

 インターネットとモバイル通信は今や生活の中に完全に定着し、暮らしを変えつつある。これをインターネットについては「インターネットユーザー調査」、携帯電話・PHSについては「生活の情報化調査」の結果からみると、インターネットとモバイル通信は、生活時間を拡大させ、コミュニケーションの方法を変化させていることがわかる。
1)生活時間
 インターネット利用の増加は、テレビや雑誌等、既存のメディアに接する時間に影響を与えている。特に、「テレビを観る時間」が減ったとするユーザーが半数近くに達している。また、睡眠時間が減ったユーザーも約半数で、インターネットが生活時間の夜型へのシフトを促進していると推測できる(図表1))。
 一方、携帯電話・PHSは、従来、情報通信が難しかった移動中や待ち時間を利用するため、生活時間の変化というよりは生活時間に対する考え方を変化させている。例えば、「移動時間や待ち時間を有効に使えるようになった」というユーザーは、「まああてはまる」を含めると80%近くに達している。また、時間の効率的活用に役立つ反面、時間管理がややルーズになる傾向がみられ、「待ち合わせの場所や時間を、事前に細かく決めなくなった」と「待ち合わせに多少遅れてもあせらなくなった」とするユーザーが、「まああてはまる」を含めると半数近くとなった。また、「深夜でも知人と連絡がとれるようになった」というユーザーが、同じく半数近くいた(図表2))。これは、生活時間の夜型へのシフトに伴い、一般に固定電話の利用が避けられる深夜時間帯において、パーソナル性の高い携帯電話・PHSの利用価値が高いことを示していると思われる。
2)コミュニケーションの方法
 インターネットによるコミュニケーションの手段としては、電子メール、チャット、電子掲示板等があり、これらの利用により、従来とは異なるコミュニケーションが展開されている。インターネット利用により「それまで疎遠になっていた人と連絡をとる回数」、「遠くの友人と連絡を取る回数」が増えたとするユーザーが半数近くに達しており、電子メール等の時間帯を選ばず手軽に連絡がとれるコミュニケーション手段が登場したことで、距離や時間の壁を感じることが少なくなっているものと推測できる。また、4割近くのユーザーが「直接会ったことのない友人の数」が増えたとしており、仮想(バーチャル)空間にまで生活空間を拡大させ、趣味や考え方を共有するためのコミュニケーションが行われていることが推測できる(図表3))。
 一方、携帯電話・PHSは、いつでもどこでも個人と連絡をとることができる手段として、従来のコミュニケーションを密にすることに役立っている。ほとんどの携帯電話・PHS端末に標準装備される電話番号登録機能は、出先で使用することの多い携帯電話・PHSの利便性を高めるもので、端末さえあれば、ボタン操作で相手の電話番号を検索し、即座に電話をかけることができる。10代、20代のユーザーでは特に登録人数が多く、平均では54.1人分の電話番号が登録されている(図表4))。


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「インターネットユーザー調査」により作成

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「生活の情報化調査」により作成

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「インターネットユーザー調査」により作成

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「生活の情報化調査」により作成