凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第1章 第6節

(2) 国際電子商取引の推進

国境を越える電子商取引特有の課題の解決に向けて

 電子商取引は、21世紀へ向けて社会経済活動を活性化させるとともに、グローバル化を加速する強力な牽引車として期待されている。しかしながら、国境を越える国際電子商取引においては、使用言語、国際物流、国際決済、制度、商慣行等、「国際」特有の課題が多数存在しており、このようなグローバルな電子商取引の課題に対しては、具体的なプロジェクトを通じて推進していくことも重要である。
 郵政省では、(社)テレコムサービス協会が推進している次世代電子商取引実験プロジェクト(INGECEP:Integrated Next Generation Electronic Commerce Environment Project)への支援を通じて、国際電子商取引の発展に取り組んでいる。本プロジェクトにおいては、10年7月に開始されたシンガポールとの接続実験に続き、11年11月に韓国、12月にマレーシア、12年1月には米国との接続実験を開始している。
 本プロジェクトは、「国際電子商取引における消費者の信用と信頼の醸成」を目標とし、国際電子商取引における課題に対して消費者保護に主眼を置いた総合的な対応を図っている。具体的には、国際電子商取引のモデルシステムを構築するに際して、電子認証の導入、プライバシー保護指針及び売買条件の表示、物流トラッキングシステムの導入等、消費者が安心して商品を購入できるような対策を講じている。また、自動翻訳機能による海外商店の商品情報等の日本語化や、商品の検索機能等、利用者の利便性向上も図られている。
 本プロジェクトはAPECの正式プロジェクトとして登録されており、上記以外の国・地域からも大きな関心が寄せられている。
 また、サイバービジネス協議会では、インターネット上での即時決済や利用者間の譲渡等、現金同様の機能を有する電子マネーである「インターネットキャッシュ」のサービスを10年9月に開始し、11年10月からは、インターネットキャッシュを円建てから米ドル建てへ両替する機能を設け、ドル建てでの決済を可能とする国際電子商取引サービス提供の実験を12年3月末まで実施した。

C1612001.gif