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第1章 第6節

(3)次世代携帯電話(IMT-2000)の推進

13年中の実用化に向けて、事業者からの申請受付開始

 次世代携帯電話(IMT-2000:International Mobile Telecommunications-2000)は、世界共通に分配された2GHz帯の電波を用いて世界中のどこでも使用ができるグローバルサービスと最大2Mbpsの高速データ通信が可能な高速・高品質のマルチメディア移動通信システムであり(図表1))、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)における国際標準化作業や、我が国への導入に向けた関係規定の整備等が進められてきたところである。
 無線伝送方式の国際標準化については、技術的パラメータに関して、日本や欧州が提案したW-CDMA方式や米国が提案したcdma2000方式等、多数の無線伝送方式がITUに提出された。一時、特許の非開示問題等により調整が難航する局面もみられたが、11年11月に開催されたITU-R TG8/1の最終会合においてIMT-2000の無線伝送方式の詳細規格勧告案(地上系5方式、衛星系6方式を規定)が完成し、続くITU-R SG8会合で承認された。本勧告案は12年5月に予定されている無線通信総会(RA)で正式に勧告化される予定である。
 SG8会合では、引き続きIMT-2000の高度化並びにIMT-2000の次の世代の移動通信の検討を行うため、新しい分科会の設立が決定され、12年3月に第1回会合が開催された。
 また、周波数の追加分配等についても検討が進められており、12年5月に開催予定のWRC-2000での決定に向け、候補周波数帯の絞り込みのための調整が行われている。
 一方、我が国にIMT-2000を導入する際の無線設備の技術的条件については、11年9月に電気通信技術審議会から、「次世代移動通信方式の技術的条件」のうちの「符号分割多元接続方式で周波数分割複信方式を使用する無線設備の技術的条件」としてITUの勧告案に含まれるIMT-2000の無線伝送方式のうち、DS-CDMAとMC-CDMAについて答申を受けた(図表2))。本答申を踏まえつつ、郵政省は、無線設備規則等関連規則の改正を行い、改正省令が12年3月に公布、4月に施行された。また、IMT-2000の円滑導入に資するため、事業化及び無線局免許に関する方針を12年3月に公表した。これを受け、12年4月から申請受付を開始し、13(2001)年中の導入に向け、事業者の早期決定を目指すこととしている。
 なお、本答申では、IMT-2000の12(2000)年度から22(2010)年度末までの市場規模が、42兆200億円に達すると予測している。

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※1 DS-CDMA(ダイレクトスプレッドCDMA):広帯域に電波を拡散して情報を伝送する方式
※2 MC-CDMA(マルチキャリアCDMA):狭い帯域の電波を多数組み合わせ、見かけ上広帯域とする方式