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第1章 第6節

(3)個人情報保護に関する取組

電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会を開催
 
情報通信技術の発展により、電子化された情報をネットワークを介して大量かつ迅速に処理することが可能となり、その蓄積、検索、利用等も容易となってきたことから、個人情報を保護する必要性が以前にも増して急速に高まっている。また、ネットワーク社会における電子商取引の発展等を促進するためには、情報の自由な流通が不可欠であることから、利用面の有用性にも配意した個人情報保護の在り方が強く求められるようになっている。
 電気通信分野における個人情報の取扱いについては、郵政省が3年に策定し、10年に改訂した「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」や、(財)日本データ通信協会が実施している「個人情報保護マーク」(図表1))付与制度に基づく、各電気通信事業者の自主的な取組を通じて、その保護を徹底することが期待されてきたところである。
 しかしながら、近時、電気通信事業者の保有する顧客情報等の漏えいに関する報道が相次ぎ、NTT法の収賄罪又は刑法の窃盗罪(個人情報をプリントアウトした用紙の窃取等)による刑事立件数も複数に上っており、これまでのガイドラインの実効性に疑問を呈する声も高まりつつある。
 また、諸外国等においても個人情報保護に関する法整備が進められる中(図表2))、我が国では、高度情報通信社会推進本部(本部長:内閣総理大臣)の下に11年7月設置された個人情報保護検討部会において、民間部門も対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えるという観点から、政府全体として、個人情報の保護・利用の在り方に関する総合的な検討が行われ、同年11月に中間報告が取りまとめられた。ここでは、我が国の個人情報保護システムの在り方として、まず、「基本法」を制定することにより、「官民を通じた基本原則の確立を図ることとし、あわせて保護の必要性が高い分野については個別法の整備を図るとともに、民間における業界や事業者等の自主規制等の自主的な取組を促進し、これらを全体として組み合わせて最適なシステムとして構築することを基本とすることが適当である」との方向性が示されており、電気通信分野については、特に「個別法」の整備が望まれる分野として明記されているところである。また、同年12月には、高度情報通信社会推進本部において、この個人情報保護検討部会の中間報告を最大限尊重するとともに、基本的な法制の確立に向けた具体的な検討を進める旨の本部決定が行われた。
 郵政省においても、11年9月から「電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会」を開催し、同年11月にその中間報告書が取りまとめられた。本報告書においては、電気通信分野における個人情報保護に関する法制化について、その必要性及び違反行為に対する罰則等の在り方を中心に、基本的な検討の方向性が示されている。本研究会では「基本法」の検討状況等にも配慮しつつ、引き続き電気通信分野における個人情報保護の「個別法」の法制化に向けた検討を行うこととしている。

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関連サイト: 我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)
  http://www.kantei.go.jp/jp/it/privacy/991119tyukan.html