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電波監理審議会意見の聴取(平成12年1月21日公表)






 無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)の一部を改正する省令案に
ついて、電波法第99条の12第1項の規定により、意見の聴取を行った(平成11年12
月21日)結果、下記のとおり意見を決定する。

  平成12年1月21日


                      主任審理官  安 成 知 文


                   記


第1 意 見

   無線設備規則の一部改正案は、適当である。

第2 事実及び争点

 1 郵政省の陳述の大要
   
    この無線設備規則の一部を改正する省令案は、次の3点を内容としている。

  (1) 高速データ通信を行うインマルサットB型船舶地球局の無線設備に関わる
   技術的条件の整備
     インマルサットB型の高速データ通信サービスは、現在、携帯移動地球局
   で利用可能であるが、船舶地球局においては需要がなく、電気通信事業者に
   よるサービスも行われてこなかった。しかし、近年の高速データ通信サービ
   スの需要の高まりに伴い、電気通信事業者からも船舶地球局による同サービ
   スの提供の要望があり、今般、同サービスの提供に必要な規定を整備しよう
   とするものである。
    なお、今回整備する規定は、携帯移動地球局の技術的条件と基本的に同一
   であり、インマルサットのSDM(システム定義文書)に則ったものである。

  (2) 携帯電話の通信需要増加に対応するための周波数追加
    携帯電話の加入者数は、平成11年11月末現在で約4,750万加入で
   あるが、この加入者数は平成13年には、6,200万〜6,700万加入
   と予測(電気通信技術審議会答申(平成11年9月))され、今後も引き続
   き増加が見込まれている。また、携帯電話におけるデータ通信サービスの需
   要の増加により平均通話時間が増加していくことも見込まれている。
    現在、無線によるデータ通信サービスを提供するシステムとしては、テレ
   ターミナルシステム(800MHz帯)があるが、最近では、移動中のデータ
   通信を携帯電話で行うことが一般的になってきている。
    本案は、このような状況を踏まえ、テレターミナル用周波数を携帯電話用
   としても使用できるようにするため、関係の規定を整備しようとするもので
   ある。

  (3) デジタルマイクロ固定局の用途の拡大と大容量化・ナロー化の導入
    デジタルマイクロ固定局の自営利用については、従来、公共業務用として
   利用されてきたが、大学の研究機関相互間や民間を含む医療機関相互間のネ
   ットワーク等の公共業務以外の分野でのニーズが顕在化してきており、また、
   情報化の進展に伴い大容量化も求められている。
    本案は、このような状況の下、公共業務用の周波数帯を利用する自営用デ
   ジタルマイクロ固定局の技術的条件に係る電気通信技術審議会答申(平成1
   1年7月)を踏まえ、デジタルマイクロ固定局の用途の拡大及び大容量化・
   ナロー化に関し、関係の規定を整備しようとするものである。

 2 改正案の内容等

  (1) 改正案の内容
    ア インマルサット船舶地球局のインマルサットB型の無線設備について、
    無線高速データによる通信を行う場合の技術的条件を定めること。(第7
    条第19項及び第40条の4第3項関係)
    イ 符号分割多元接続方式携帯・自動車無線電話通信を行う無線局等の無線
    設備の送信する電波の周波数を追加し、受信装置の副次的に発する電波の
    限度の値を改めること。(第24条及び第49条の6の3関係)
   ウ 時分割多元接続方式携帯・自動車無線電話通信を行う無線局等の無線設
    備の送信する電波の周波数を追加すること。(第49条の6の2関係)
   エ 6.5GHz帯又は7.5GHz帯の周波数の電波を使用する公共業務用固定
    局の用途を拡大し、技術的条件を改めること。(第58条の2の8関係)
   オ 12GHz帯の周波数の電波を使用する公共業務用固定局の用途を拡大し、
    技術的条件を改めること。(第58条の2の9関係)
   カ 40GHz帯の周波数の電波を使用する公共業務用固定局の用途を拡大す
    ること。(第58条の2の10関係)
   キ その他所要の規定の整備をすること。

  (2) 施行期日等
   ア 公布の日から施行すること。
   イ 時分割多元接続方式携帯・自動車無線電話通信を行う無線局等の無線設
    備の送信する電波の周波数を追加することに伴い、特定無線設備の技術基
    準適合証明に関する規則(昭和56年郵政省令第37号)について規定の整理
    をすること。

 3 利害関係者の陳述等
   本件省令改正案に関し、利害関係を有する5者が準備書面を提出し、このう
  ち4者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠
  席した水洋会については、電波監理審議会が行う審理及び意見の聴取に関する
  規則第42条において準用する同規則第17条の規定により、当該準備書面の
  とおり陳述したものとみなした。
   5者の省令改正案に対する賛否は、次のとおりである。
    利害関係者    
     賛    否     
 備 考 
ケイディディ(株)   
            
     賛    成     
(インマルサット船舶地球局関係)
    
    
水洋会         
     賛    成     
 欠 席 
(財)テレコム       
エンジニアリングセンター
     賛    成     
                
    
    
(社)電気通信事業者協会 
     賛    成     
要望あり
(社)電波産業会     
     賛    成     
    
   なお、(社)電気通信事業者協会の要望及びこれに対する郵政省の回答の概要
  は、別紙のとおりである。

第3 理 由

  本件は、高速データ通信を行うインマルサットB型船舶地球局の無線設備に関
 わる技術的条件の整備、携帯電話の通信需要増加に対応するための周波数追加、
 及びデジタルマイクロ固定局の用途の拡大と大容量化・ナロー化の導入を内容と
 して、無線設備規則の一部改正を行うものである。

 1 高速データ通信を行うインマルサットB型船舶地球局の無線設備に関わる技
  術的条件の整備について
  (1) インマルサットB型の高速データ通信サービスは、デジタル方式により最
   大64kbpsのデータ通信を可能とするもので、現在は携帯移動地球局により
   陸上で利用されている。
    本事案は、最近の海上における高速データ通信の需要の高まりに対応して、
   船舶地球局による海上での同サービスの利用を可能にするため、当該船舶地
   球局の技術
   的条件に関し、所要の規定の整備を行うものである。

  (2) 技術的条件として具体的には、スプリアス発射の強度の許容値、送信機の
   変調方式・送信速度等を規定しようとしており、これらはインマルサットが
   定める技術仕様(SDM)に準拠し、また、既存の携帯移動地球局に関する
   規定と同一となっている。

  (3) 本事案については、利害関係者はいずれも賛意を表明しており、また、本
   件措置により、海上における高速データ通信に対する需要に応えることで衛
   星通信サービスの一層の発展が期待できることから、本案は適当と認められ
   る。

 2 携帯電話の通信需要増加に対応するための周波数追加について
  (1) 携帯電話の加入者数は、平成11年11月末時点で約4,750万加入と
   なっているが、今後さらに増加していくとともに携帯電話を利用したデータ
   通信サービスの需要も一層増大していくものと予想されており、これら需要
   増に対応するために新たな周波数の割当てが必要となっている。
    本事案は、このような状況のもと、無線によるデータ通信システムである
   テレターミナル(平成元年サービス開始。平成11年9月末現在約2,60
   0加入)用に割り当てられている800MHz帯の周波数(6MHz)を、携
   帯電話用としても使用できるようにするため、所要の規定の整備を行うもの
   である。

  (2) 本事案については、利害関係者はいずれも賛意を表明しており、また、本
   件措置により、携帯電話に対する当面の通信需要に応えることが可能になる
   とともに、周波数の有効利用にも資することから、本案は適当と認められる。

 3 デジタルマイクロ固定局の用途の拡大と大容量化・ナロー化について
  (1) 6.5GHz帯、7.5GHz帯、12GHz帯及び40GHz帯の周波数を
   使用するデジタルマイクロ固定局は、従来、その用途が公共業務用(人命及
   び財産の保護、治安の維持、気象通報等の公共の業務用)に限られていたが、
   最近、大学、病院、民間企業など公共業務以外の分野での需要が顕在化する
   とともに、通信システムの一層の大容量化が求められている。

  (2) 本事案は、このような状況に対応するため、
   1 上記デジタルマイクロ固定局の用途を、従来の公共業務用から電気通信
    業務及び放送の業務を除く業務用に拡大すること
   2 通信システムの大容量化と周波数の有効利用を図るため、平成11年7
    月の電気通信技術審議会の答申「自営用デジタルマイクロ固定局の技術的
    条件」を受け、当該固定局の無線設備の技術的条件に高能率変調方式を追
    加し、最大伝送容量を従来の52Mbpsから208Mbpsに増大させること
    (従来の4相位相変調方式及び16値直交振幅変調方式に、新たに32値、
    64値、128値直交振幅変調方式を追加)
   について、所要の規定の整備を行うものである。

  (3) 本事案のうち12GHz帯デジタルマイクロ固定局については、衛星通信
   やCS放送と同一の周波数帯を使用しているため、これら相互の干渉を防止
   する観点から電気通信事業者協会は、「変調方式の変更による他の通信イン
   フラとの与干渉・被干渉条件については従来と同様にしてほしい。また、事
   前に影響の度合いを把握するため、当該固定局の置局データの情報公開を拡
   充してほしい」旨の要望を行った。
    これに対し郵政省は、「他の通信インフラとの与干渉・被干渉条件につい
   ては、従来から審査基準等で規定しており、今後も従前どおりの規定を適用
   していきたい。また、固定局の置局情報については、既に一部、公開・情報
   提供を行っているが、今後ともできる限り情報公開に努めたい」旨、回答し、
   同協会もこの回答を了承しているところである。

  (4) 本事案については、利害関係者はいずれも賛意を表明しており、また、本
   件措置により、デジタルマイクロ固定局の利用が拡大され、大学や企業等に
   おける大容量の通信需要に応えることができるとともに、無線通信技術の発
   展を受けてネットワークの大容量化と周波数の有効利用が一層促進されるこ
   とから、本案は適当と認められる。


                                  別 紙
 (社)電気通信事業者協会の要望の概要 
     郵政省の回答の概要    
 
(デジタルマイクロ固定局関係)   
                  
 変調方式の変更による他の通信インフ
ラとの与干渉・被干渉条件については従
来と同様としていただきたい。    
                  
                  
                  
 事前に影響の度合いを正確に把握する
ためにも、固定局の置局データの情報公
開の拡充についてお願いしたい。   
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
 
 
                  
                  
 衛星通信地球局等他の通信インフラと
の与干渉・被干渉条件については、従 
来から審査基準等の中で規定されてお 
り、省令改正後も従前どおりの規定を 
適用していきたい。         
                  
 既に、本周波数帯のデジタルマイク 
ロ固定局の置局情報の一部については 
、日本無線局周波数表等により公開さ 
れているほか、電波産業会においても 
衛星通信受信専用設備に対する情報提 
供業務が行われている。       
 本周波数帯のデジタルマイクロ固定 
局には、公共の安全等に関する業務を 
行っている無線局があることなど考慮 
すべき点があるが、今後ともできる限 
り情報公開に努めてまいりたい。   
 



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