審議会のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ・ 電波管理審議会

電波監理審議会(第831回)議事要旨(平成12年2月9日公表)






1 日 時
  平成12年1月21日(金)15:30〜17:32

2 場 所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)
 (1) 電波監理審議会委員
    塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
 (2) 電波監理審議会審理官
    安成 知文 
 (3) 幹事
    仲矢 徹(審議会室長)
 (4) 郵政省
    天野電気通信局長、鈴木官房審議官ほか
                
4 議 事 模 様

 (1) 無線設備規則の一部を改正する省令について
                    (11.10.22諮問第27号)

   高速データ通信を行うインマルサットB型船舶地球局の無線設備に関わる技
  術的条件の整備、携帯電話の通信需要増加に対応するための周波数の追加及び
  デジタルマイクロ固定局の用途の拡大と大容量・ナロー化の導入に係る標記省
  令案について、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意
  見書に基づき審議した結果、適当である旨、答申した。

 (2) 無線設備規則の一部を改正する省令案について     (諮問第1号)

   小電力無線設備の高度化のための技術基準の整備等に関する標記省令案につ
  いて、次のとおり郵政省の説明があった。
  ○ 郵政省の説明
    小電力無線設備については、プラントにおける遠隔計測(テレメーター)、
   工場における機械の遠隔操作(テレコントロール)、レストランにおけるオ
   ーダエントリ(データ伝送)、舞台におけるワイヤレスマイク(ラジオマイ
   ク)など様々な用途に使われているが、これらの技術基準については制定後
   10年を経過し、周波数ひっ迫への対応、ニーズに応じた周波数利用の推進、
   デジタル化技術等の新しい技術への対応や新しい利用形態への対応が求めら
   れている。
    本件は、このような状況を踏まえ、平成11年11月の電気通信技術審議
   会答申を受け、小電力無線設備の高度化のために無線設備規則を改正しよう
   とするものである。
    主な改正点は、1400MHz帯の周波数を使用する構内無線局に係る規定
   をこれと技術的条件が同等な特定小電力無線局の無線設備の規定に統合し免
   許を要しないものとすること、2特定ラジオマイクの陸上移動局についてス
   テレオ伝送方式を可能とすること、3構内無線局及び特定小電力無線局の一
   部のシステムについて、指向性空中線の使用を可能とすること等である。

   本件は、電波法により意見の聴取を義務付けられているため、別途、意見の
  聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に安成知文を指名した。

 (3) 放送用周波数使用計画の一部変更について       (諮問第2号)

   日本放送協会所属浜松中波放送局の周波数の変更に係る放送用周波数使用計
  画の一部変更について、次のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、適当で
  ある旨、答申した。
  ○ 郵政省の説明
    本件は、静岡県北遠地区(天竜市等)におけるNHK中波ラジオ(総合放
   送)の夜間外国波混信の改善を図るため、NHK浜松中波放送局の周波数を
   変更しようとするものであり、国際調整が整ったものである。

 (4) 日本放送協会の補完衛星BS−3Nの中継器等を賃貸する業務の認可につい
  て                          (諮問第3号)

   本件については、諮問第4号と一括して説明を受け、審議した。

 (5) 日本放送協会の放送設備の賃貸の認可について     (諮問第4号)

   日本放送協会の放送設備の賃貸の認可について、諮問第3号と一括して、次
  のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、諮問第3号及び諮問第4号ともに、
  適当である旨、答申した。
  ○ 郵政省の説明
    本件は、本年12月から予定されているBSデジタルテレビジョン放送の
   開始に向けて、受信機の動作確認の実験や普及・促進のための試験放送を行
   うため、NHKの補完衛星BS−3Nの中継器等を通信放送機構等へ賃貸す
   る業務及び放送設備の賃貸について、それぞれ放送法第9条第8項及び第4
   7条第1項の規定に基づき、NHKから認可の申請があったものである。
    賃貸後の実験等は、具体的には、本年8月まではBSデジタルテレビジョ
   ン放送の受信機の動作確認実験等を行う予定であり、7月の沖縄サミットで
   実験することも予定している。9月から11月までは普及・促進のための試
   験放送を行う予定であり、9月のシドニーオリンピックの試験放送をするこ
   とも予定している。
    本件は、NHKの業務に支障を与えるものではなく、かつ、その内容も適
   当と認められた。


 (6) 日本放送協会の株式会社エイ・ティ・アール音声言語通信研究所(仮称)に
  対する出資の認可について               (諮問第5号)

   日本放送協会の標記会社への出資の認可について、次のとおり郵政省の説明
  があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
  ○ 郵政省の説明
    本件の出資先であるエイ・ティ・アール音声言語通信研究所は、間もなく
   設立予定であるが、NHKは全体の約0.6%を多年度にわたり出資する予
   定であり、今回は約2%、 360万円の出資について、認可申請があったもの
   である。同研究所は、本年1月末から平成17年3月までに、講演や会話に
   おいて自然な同時通訳を実現する新しい音声言語処理の要素技術を提供する
   ことを目的としてその技術を確立するとともに、実験システムを構築して技
   術的可能性を実証することとしている。NHKにおいては、これらに係る研
   究開発業務を同社と共同して行う予定であり、研究者3名の派遣も予定して
   いる。
    審査の結果、NHKの研究開発業務の効率的な実施に資するものと認めら
   れること等から、適当であると判断した。
    なお、次年度以降の出資の認可については、本計画による限りは、諮問を
   要しないものとされているものである。

 (7) 放送法施行規則の一部を改正する省令案について    (諮問第6号)

   委託放送事項の記載方法の変更及び成人向け番組を行う場合における青少年
  保護措置に関する規定の整備等に係る標記省令案について、次のとおり郵政省
  の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
   なお、郵政省において実施したパブリック・コメントにおいて、本件審議に
  際し、当審議会において意見の聴取の手続を行うべき、との意見があったが、
  これについては、本件省令案は事前にパブリックコメント手続が行われ、そこ
  に寄せられた意見を踏まえて修正されたものであること、事案は表現の自由に
  も関係するものであるが、省において法制度や放送と青少年問題等の関係各分
  野の専門家から意見を聴取していること等から、当審議会において重ねて意見
  の聴取を行う必要は認められなかった。
  ア 郵政省の説明
    現在、多チャンネル化、専門放送化している衛星放送、特にCS放送につ
   いて、総合放送を前提とした現行の委託放送事項の記載方法ではその番組内
   容を的確に表現し、また把握することが困難であるため、その実態に合わせ
   た記載方法が必要となっている。また、CS放送において成人向け番組を行
   っている番組の中には、当省の改善要請後も、加入時の年齢確認やペアレン
   タルロック等の青少年保護措置を講じないまま放送している番組が存在して
   いる実態にある。
    このため、専門放送を前提とした委託放送事項の記載方法の変更及び成人
   向け番組を行う場合における青少年保護措置に関する規定を整備する必要を
   認め、放送法施行規則及び放送法関係審査基準の一部を改正することとし、
   その検討に資するため、法制(憲法)、放送と青少年問題等の関係各分野の
   専門家の意見を聴くとともに、昨年11月16日から同12月15日までパ
   ブリックコメント手続により、広く意見を募った。
    今回諮問する放送法施行規則の一部を改正する省令案は、このパブリック
   コメントによる意見等も踏まえ、当初の改正案について、超短波放送の委託
   放送事項として従来の記載方法も認めること、分野別の記載例を一部修正す
   ること及び青少年保護措置としてのコピーガードを削除すること、について
   修正したものである。
    なお、成人向け番組に関する青少年保護措置に関しては、委託放送事業者
   の番組編集の自由と表現の自由の制限との関係が問題となるが、1表現の自
   由については、最高裁判決でも、公共の福祉による一定の制限は可能とされ
   ており、また、放送法においても放送番組の編集に当たっては、公安及び善
   良な風俗を害しないこととされている(同法第3条の2)こと、2規制の程
   度が必要最小限であるかについては、番組内容について行政が事前に審査す
   るものでないこと、成人向け番組そのものを禁止するものではないこと、青
   少年保護措置を講じることにより成人のアクセス権を不当に制限するもので
   ないことから、それぞれ妥当なものであると考えている。
    成人向け番組の定義については、今回の青少年保護措置に関する規定は、
   風俗営業の規制及び業務の適正化等に関する法律と規制の目的、内容及び手
   段の点で似通っていることから、同法の定義を参考として定めた。
  イ 主な質疑応答
   ・ 成人向け番組の定義だけでは、成人向け番組に当たるか否かの判断が難
    しいのではないか、との意見があり、郵政省から、この定義については、
    風適法の「映像送信型性風俗特殊営業」の定義を参考としたものであるが、
    同法改正の国会審議の中でも参考人からは、定義はかなり注意深く、慎重
    に書かれていると評価されており、また、所管の警察庁でもより明確にす
    るために解釈基準を策定・公表するなどしている。当方としても、警察庁
    で策定した解釈基準も参考としながら、より明確な基準となるよう努めて
    参りたい、との回答があった。
   ・ 法令用語の問題として、ペアレンタルロックは本来パレンタルロックと
    表記すべきであり、また、日本語で詳細な説明を置かなければならないよ
    うな語を用いるのはいかがなものか、との意見があり、郵政省から、正し
    くはパレンタルロックということは認識していたが、既にペアレンタルロ
    ックという表現が一般に普及していること、また、これに代わる適切な表
    現が見当たらないことから、ペアレンタルロックという表現をそのまま用
    いたものであるが、今後の検討事項としたい、旨の回答があった。
   ・ これに関し、ペアレンタルロックという表現が法律レベルで通用するか
    どうかは疑問であるが、この語が業界では一般に使われており、これに代
    わるものがないということであるので、当面はやむを得ないと考えるが、
    引き続き検討されたい。また、成人向け番組の定義は不確定概念で、もう
    少し具体化したものを示す必要があるが、これには事例の積み重ねが必要
    となろう、との意見があった。
   ・ パブリックコメントの意見の中で、成人向け番組の定義に「過度に」も
    しくは「著しく」といった表現を加えるべきではないかとの意見があった
    ことについて質問があり、郵政省から、「過度に」等を加えると、風適法
    でインターネットに関して規制している内容よりも更に過激な表現まで放
    送で許容されるのではないかとの誤解を生じさせるので採用しなかった、
    旨の回答があった。
   ・ 今回の制度整備は、成人向け番組を正式に認めたという意味になるのか、
    との質問があり、郵政省から、CS放送では技術的に視聴者の範囲を制限
    することが可能となったため、その範囲内において地上放送では放送でき
    なかった番組を放送することができるようになったものである。視聴を制
    限する措置を講ずれば猥褻なものでも放送できるということを認めたもの
    ではない、との回答があった。
   ・ パブリックコメントの意見を踏まえ当初案にあったコピーガードを青少
    年保護措置から削除したことについて、必要性があるのであれば当初案ど
    おりでもよかったのではないか、との意見があり、郵政省から、コピーガ
    ードの方式が事実上1社独占であるということを考慮したというよりも、
    むしろ青少年保護措置については必要最小限の措置だけを規定し、あとは
    事業者の自主的判断に委ねることが適当であると判断したものである。た
    だし、認定時の比較審査の中でその有無を考慮することは可能である、と
    の回答があった。
   ・ 米国では、成人向け番組のようなものが家庭に入ることについては厳し
    い制限が行われている。日本でも、もう少し厳しく制限することも考えて
    よいのではないか、との意見があり、郵政省から、表現の自由や番組編集
    の自由との関係もあり、現在の状況においては今回の青少年保護措置程度
    が適当ではないかと考えている、旨の回答があった。
   ・ 成人向け番組の対象としてアニメーションも含まれるのか、との質問が
    あり、郵政省から、アニメであるから該当しないとは考えていない。自主
    規制団体であるビデ倫やCS成倫ではアニメについても成人向け指定をし
    ている、との回答があった。

 (8) 通信衛星によるデジタル放送に係る有料放送役務標準契約約款の一部変更に
  ついて                        (諮問第7号)

   諮問第6号に関連して成人向け番組に係る標記標準契約約款の一部変更につ
  いて、次のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
  ○ 郵政省の説明 
    本件は、諮問第6号(放送法施行規則の一部改正)による成人向け番組の
   放送を委託して行わせる場合の青少年保護措置を担保するため、標準契約約
   款において、成人向け番組の視聴契約を申し込む際には加入申込者が最低視
   聴年齢以上であることを証明する書類を提出することとし、提出がない場合
   又は加入申込者が視聴可能年齢に満たない場合は、申込みを承諾しない場合
   があること、及び成人向け番組の視聴契約上の地位が承継される場合には承
   継人が最低視聴年齢以上であることを証明する書類を提出することとし、提
   出がない場合又は承継人が最低視聴年齢に満たない場合は、サービスを停止
   し有料放送契約を解除することがある旨、等を明記することとしたものであ
   る。


                      (文責:電波監理審議会事務局)



トップへ