電波監理審議会(第833回)議事要旨(平成12年4月11日公表)
1 日 時
平成12年3月24日(金)15:30〜17:04
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、辻井 重男
(2) 電波監理審議会審理官
安成 知文
(3) 幹事
仲矢 徹(審議会室長)
(4) 郵政省
天野電気通信局長、金澤放送行政局長ほか
4 議 事 模 様
(1) 無線設備規則の一部を改正する省令案について (諮問第11号)
GMDSS無線設備の陸上保守の点検間隔の延長に関する標記省令案につい
て、次のとおり郵政省の説明があった。
○ 郵政省の説明
GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)は、昨年
2月1日に全面移行したところであるが、GMDSS無線設備については、
その設備の重要性にかんがみ、
予備設備を備えること(設備の二重化)、
船舶の入港中に定期に点検を行い、停泊港にそのための計器・予備品を備
えること(陸上保守)、
航行中に行う整備のために必要な計器・予備品を
備えること(船上保守)のうち、船舶の種類に応じて一又は二の措置をとら
なければないこととされている。このうち陸上保守については、この措置を
とることとなった日から6か月ごとの日の前後1月を超えない時期に点検を
行うこととされている。
本件は、これまでの本制度の運用実績にかんがみ、関係団体からの要望も
踏まえ、この点検の間隔を「1年ごとの日の前後3月を超えない時期」に延
長しようとするものである。
本件は、電波法により意見の聴取を義務付けられているため、別途、意見
の聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に安成知文を指名した。
(2) 日本放送協会の平成12年度の国際放送実施命令について
(諮問第12号)
日本放送協会の平成12年度の国際放送実施命令について、次のとおり郵政
省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
ア 郵政省の説明
本件は、放送法の規定によりNHKに対して、放送事項、放送地区等を指
定(指定内容は例年どおり)して、短波国際放送の実施を命令するものであ
る。平成12年度は、このための国際放送交付金として19億7千万円余(
昨年と同額)が認められている。
聴取者からの受信確認は毎年6万件程度で推移しているが、ニュース、情
報番組は、公平性・客観性の点で、海外の聴取者から高く評価されており、そ
の意味は大きいと考えられる。
イ 主な質疑応答
命令放送は、NHKが本来業務として行う短波国際放送と一体として行う
こととあるが、1日の放送のうちどれくらいが命令放送として放送している
のか、との質問があり、郵政省から、個々のニュースについてどの部分が命
令放送であるという区分けは難しいが、割合としては1日延べ65時間の放
送のうち23.5時間が命令放送によるものであるとの説明があった。
(3) 日本放送協会の中継国際放送に関する協定の変更の認可について
(諮問第13号)
本件については、諮問第14号と一括して説明を受け、審議した。
(4) 日本放送協会所属短波放送局(中継国際放送)の再免許について
(諮問第14号)
日本放送協会所属短波放送局の再免許について、諮問第13号と一括して、
次のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、諮問第13号及び諮問第14号
ともに、適当である旨、答申した。
○ 郵政省の説明
本件は、国際放送のより効率的な実施のため、NHKがBBC(イギリス
放送協会)、RFI(ラジオ・フランス・アンテルナシオナル)及び
CBC(カナダ放送協会)と相互にそれぞれの中継送信所から国際放送を実
施するために締結している協定の2年間の延長並びにこの協定に基づきNH
Kが中継国際放送を実施するために開設している短波放送局の再免許につい
て申請のあったものである。
審査した結果、国際放送のより効率的な実施に必要なものと認められた。
(5) 新潟地区における一般放送事業者の超短波放送局の予備免許について
(諮問第15号)
新潟地区の2局目の民放FMラジオ放送局となる新潟県民エフエム放送株式
会社の超短波放送局の免許申請について、次のとおり郵政省の説明があり、審
議の結果、適当である旨、答申した。
○ 郵政省の説明
本件超短波放送局用の周波数については、昨年10月に放送用周波数使用
計画の改正により割り当てたところであるが、これに基づき同年11月から
12月に免許の申請を受け付けたところ、申請のあったのは本件新潟県民エ
フエム放送株式会社のみであった。
申請では、放送対象地域(新潟県)約75万世帯のうちカバー率は、親局
で約69%、親局と同時に開局する予定の中継局2局を合わせると80%近
くであり、また、放送時間は開局当初から24時間放送を予定している。番
組の特色は、既存局に比べると主婦層や中高年をターゲットにした地域密着
型の番組編成を計画している。
審査の結果、電波法第7条第2項各号の規定に適合していると認められた。
(6) CSデジタル放送に係る委託放送業務の認定についてについて
(諮問第16号)
JCSAT−4A号機を利用したCSデジタル放送に係る委託放送業務の認
定について、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当
である旨、答申した。
ア 郵政省の説明
現在の番組数が放送普及基本計画に定める数の目標を下回っているため、
本年2月に申請を受け付けたところ、標準テレビジョン放送について18社
23番組の申請があった。
JCSAT−4A号機における標準テレビジョン放送に割り当て可能な周
波数(伝送容量)はパケット換算で57,160パケットであることから、
認定はこの範囲内で行うこととした。
申請のあった18社23番組のうち、1社1番組は財政的基礎の基準を満
たしていなかったが、残りの17社22番組については法令に定める基準を
満たしていた。しかし、これらをすべて認定するために必要な伝送容量は割
当て可能な57,160パケットを超えることから、比較審査により認定す
ることとした。
審査基準に照らし各申請を比較審査した結果、
マスメディア集中排除原
則への適合性(新規事業者を既存事業者よりも優先)、
認定をすることが
放送の普及及び健全な発達のために適切であること(周波数の公平かつ能率
的利用への適合性及び新しいサービス(新たな視聴者層の開拓)の可能性)
について、差違が認められたため、以下の15社18番組を認定した。
日本アミューズメント放送株式会社(1)、株式会社ピーエイチアイアー
ル二十一(1)、株式会社アビバジャパン(2)、株式会社ウィンズ・イン
ターナショナル(1)、株式会社ペイ・パー・ビュー・ジャパン(2)、パ
ーフェクト・フィッシング株式会社(1)、株式会社ジェイ・アイ・ビー(
1)、株式会社ジャパネットたかた(1)、株式会社アルファーネットワー
ク(1)、エムティービーブロードキャスティングジャパン株式会社(1)、
株式会社エム・ネットジャパン(設立中)(1)、日本映画衛星放送株式会
社(2)、ジュピターサテライト放送株式会社(1)、株式会社デジタル・
オヒィス・バンク(1)、株式会社レザミヅテーベーサンク(1)
*括弧内の数字は認定番組数
イ 主な質疑応答
・ 優劣比較において、番組の内容によって(主観的に)優劣判断したとい
うことはないのかとの質問があり、郵政省から、新たな視聴者層の開拓と
いう点についてみれば、内容に主観的判断を加えて審査したのではなく、
既存のものと比べて新規性があるかないかという点について審査したとの
回答があった。
・ 主たる言語が仏語という申請があるがどのような分野の放送を計画して
いるのか、また、それだけの需要は見込めるのかとの質問があり、郵政省
から、仏国で放送されているものをほぼそのまま放送することを計画して
おり、また、日本在住者で仏語を理解する人は2百数十万人いることから
申請者の説明では一定の需要は見込めるとのことであったとの回答があっ
た。さらに、仏国の番組をそのまま放送するとのことであるが、番組準則
の異なる国の番組をそのまま放送することに問題はないのかとの質問があ
り、郵政省から、我が国の番組準則に適合するようにしているとの回答が
あった。
(7) CSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について
(諮問第17号)
株式会社エスコム等4社の委託放送事項の変更について、次のとおり郵政省
の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
○ 郵政省の説明
本件は、スカイパーフェクTVで放送を行っている株式会社エスコム、キ
ューインタラクティブ株式会社、シーヴィジョン株式会社(放送未開始)及
び株式会社サテライトニュースから、いずれも視聴者ニーズに応えるため、
委託放送事項を変更したいとして申請のあったものであり、審査した結果、
いずれも審査基準の規定に適合するとともに、委託放送業務の同一性は失わ
れないものと認められた。
(8) 報告事項
レインボータウンエフエム放送株式会社の提起に係る異議申立て(12.2.23
付議第1号)の今後の審理の進め方等について、審理を主宰する審理官から報
告があった。
その際に、委員間において、本件免許拒否処分の理由付記が不十分だったの
ではないかとの指摘があり、これを踏まえ、郵政省に対して善処について検討
してはどうかとの問題提起があった。郵政省からは、善処方検討するとの回答
があった。
(文責:電波監理審議会事務局)