電波監理審議会意見の聴取(平成12年4月21日公表)
小電力無線設備の高度化のための技術基準の整備等に関する無線設備規則(昭和
25年電波監理委員会規則第18号)の一部を改正する省令案について、電波法第99条
の12第1項の規定により、意見の聴取を行った(平成12年3月28日)結果、下記の
とおり意見を決定する。
平成12年4月21日
主任審理官 安 成 知 文
記
第1 意 見
無線設備規則の一部改正案は、適当である。
第2 事実及び争点
1 郵政省の陳述の大要
小電力無線設備は、比較的狭い範囲の通信を行うことを目的に、テレメータ
ー、データ伝送、ラジオマイク等のシステムがあり、様々な分野で利用されて
いるが、このうち、1.2GHz帯以下の周波数を使用する小電力無線設備の技術基
準は、制度創設から10年を経過し、利用周波数の逼迫への対応、新しい技術
及び新しい利用形態への対応等が求められている。
本案は、これらの状況を踏まえ、周波数の有効利用を図るとともに小電力無
線設備の高度化やより柔軟な利用を可能とするため、電気通信技術審議会の答
申「1.2GHz帯以下の周波数を使用する小電力無線設備の高度化のための技術的
条件」(平成11年11月)をもとに、無線設備規則の一部を改正しようとするも
のであり、具体的には、400MHz帯の周波数を使用する構内無線局を特定小電力
無線局へ統合することによる免許の不要化、特定ラジオマイクへのステレオ伝
送方式の導入、一部のものを除く特定小電力無線局及び構内無線局の無線設備
に指向性送信空中線の使用を可能とすること等について措置しようとするもの
である。
2 改正案の内容等
(1) 改正内容
ア 構内無線局の無線設備の技術的条件を改めること。(第7条、第49条の
9、別表第一号及び別表第二号関係)
イ 特定小電力無線局の無線設備の技術的条件を改めること(第49条の14関
係)
ウ 特定ラジオマイクの陸上移動局の無線設備の技術的条件を改めること。
(第49条の16及び別表第二号関係)
エ その他規定の整備をすること。
(2) 施行期日等
ア 公布の日から施行すること。
イ 所要の経過措置を規定すること。
3 利害関係者の陳述等
本件省令改正案に関し、利害関係を有する4者が準備書面を提出し、このう
ち3者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠
席した社団法人電気通信事業者協会については、電波監理審議会が行う審理及
び意見の聴取に関する規則第42条において準用する同規則第17条の規定により、
当該準備書面のとおり陳述したものとみなした。
4者の省令改正案に対する賛否は、次のとおりである。
利害関係者
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賛 否
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備 考
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(財)テレコムエンジニアリング
センター
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賛 成
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(社)電気通信事業者協会
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賛 成
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欠 席
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(社)電波産業会
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賛 成
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(社)日本民間放送連盟
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賛 成
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特定ラジオマイク関係
のみ
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第3 理 由
1 本件は、工場等における遠隔計測(テレメーター)や遠隔操作(テレコント
ロール)、レストラン等におけるオーダーエントリー(データ伝送)、舞台等
におけるワイヤレスマイク(ラジオマイク)など比較的狭い範囲の通信用とし
て様々な分野で利用されている小電力無線設備について、これらに対するユー
ザニーズの一層の高度化・多様化への対応、無線技術の進展への対応、周波数
の有効利用の促進等の観点から、技術的条件について所要の見直しを行うもの
である。
なお、これら小電力無線設備は、免許を要する構内無線局及び特定ラジオマ
イクの陸上移動局並びに免許を要しない特定小電力無線局に分類されている。
2 技術的条件の見直しは、平成11年の電気通信技術審議会の答申「1.2GHz帯以
下の周波数を使用する小電力無線設備の高度化のための技術的条件」を踏まえ、
以下の規定の整備を行うものである。
(1) 免許不要化による規制の緩和
現在、免許を要する400MHz帯の構内無線局について、その無線設備の技術
的条件を特定小電力無線局(免許を要しない無線局)の無線設備の技術的条
件に統合化し、特定小電力無線局として免許を不要とすること。
(2) 特定ラジオマイクの高度化
特定ラジオマイクの陸上移動局(免許を要する無線局)について、ユーザ
ニーズの高度化等を受け、ステレオ伝送方式及び同報通信方式を追加するこ
と。
(3) 周波数の有効利用の促進
1200MHz帯の構内無線局(免許を要する無線局)及び特定小電力無線局(
免許を要しない無線局)の一部のシステムについて、無線局相互間の混信を
低減して周波数の繰り返し利用を促進するため、指向性空中線の使用を可能
とすること。
3 本事案については、利害関係者はいずれも賛意を表明しており、また、本件
措置により、小電力無線設備に対するユーザニーズの高度化・多様化に対応す
ることで、国民生活に密着した様々な分野において、電波の利用が一層促進さ
れるとともに、周波数の有効利用が図られることから、本案は適当と認められ
る。