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電波監理審議会(第834回)議事要旨(平成12年5月12日公表)
1 日 時 平成12年4月21日(金)15:30〜17:11 2 場 所 郵政省審議会会議室(郵政省12階) 3 出席者(敬称略) (1) 電波監理審議会委員 塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、常盤 文克 (2) 電波監理審議会審理官 安成 知文 (3) 幹事 仲矢 徹(審議会室長) (4) 郵政省 天野電気通信局長、竹田官房参事官ほか 4 議 事 模 様(審議順) (1) 無線設備規則の一部を改正する省令案について (12.1.21諮問第1号) 小電力無線設備の高度化のための技術基準の整備等に係る標記省令案につい て、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に基づ き審議した結果、適当である旨、答申した。 (2) 無線従事者の免許の取消しについて (諮問第19号) 無線従事者の免許の取消しについて、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答 があった。 ア 郵政省の説明 本件は、平成7年4月期の第2級アマチュア無線技士の無線従事者国家試 験おいて、他人に身代わり受験を依頼し、同試験に合格した結果、不正に同 資格の免許を取得した者について、電波法第79条第1項の規定に基づき、 同人の当該免許を取り消そうとするものである。 イ 主な質疑応答 ・ 本件は本年2月に答申した事例に続き2件目であるが、実態としてこの ようなことはしばしば起きているのかとの質問があり、郵政省から、本件 も本年2月に答申された事例も平成7年に生じたものであるが、その後こ のような不正は生じておらず、実態としてしばしば生じているということ はないとの回答があった。 また、先に審議会から指摘のあった再発防止について、郵政省から、受 験票に不正受験は処罰されることがある旨を明記することとしたこと及び 試験場において更に徹底して注意喚起を図ることとした旨の説明があった。 ・ 本件は刑事事件としての判決確定後の諮問であるが、本来、刑事罰と行 政処分は別であるので、刑事裁判と並行して行政処分の手続をとることを 検討すべきではないかとの意見があり、郵政省から、刑事事件の場合は処 分に必要な証拠資料等が検察又は裁判所に保管されていることから処分に 必要な事実認定が難しいという問題があるものの、迅速な対応については 検討したい、との回答があった。 本件は、電波法により意見の聴取を義務付けられているため、別途、意見の 聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に安成知文を指名した。 (3) ケイディディ株式会社所属特定無線局の包括免許について (諮問第20号) ケイディディ株式会社所属特定無線局の包括免許について、次のとおり郵政 省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 本件は、ケイディディ株式会社が、VSAT地球局を用いて人工衛星を介 したインターネットプロトコルによる高速伝送サービスを提供するため、特 定無線局の開設を希望しているものであり、電波法関係審査基準に基づき審 査したところ、電波法第27条の4各号の規定に適合していると認められた。 イ 主な質疑応答 割当て可能な周波数はあるとのことであるが、今後、需要が増大してきて も大丈夫な状況なのかとの質問があり、郵政省から、衛星については、国際 調整において軌道位置の確保に努めているところであるが、軌道位置が確保 されておれば、新しい衛星の打上げにより使用可能な周波数も増加するので、 現状においては問題ない、との回答があった。 (4) 電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について (諮問第21号) 財団法人テレコムエンジニアリングセンターから申請のあった電波法第38 条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について、次のとおり郵政省 の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 本件は、財団法人テレコムエンジニアリングセンターから、第三世代移動 通信システム(IMT-2000)の無線局に使用するための無線設備等5区分に係 る指定証明機関の指定申請があったものである。指定証明機関の指定の基準 (電波法第38条の3)に基づき審査した結果、いずれも適合していると認 められた。 イ 主な質疑応答 指定申請があったのは本件法人のみであるが、競争原理が働くような仕組 みについての制度的な検討はしているのか、との質問があり、郵政省から、 いわゆる公益法人要件があることから、実態として競争原理が働きにくい面 があるとの認識から、この要件を撤廃する方向で抜本的に検討している旨の 回答があった。 (5) 株式会社メディアリンクの提起に係る異議申立てについて (付議第2号) 標記の異議申立てについて、次のとおり郵政省の説明があった。 ○ 郵政省の説明 本件は、株式会社メディアリンクの有線テレビジョン放送施設設置許可申 請に対して、有線テレビジョン放送法第4条第1項の許可基準を満たしてい なかったことを理由に、郵政大臣が、平成11年11月17日付けで行った不許可 処分について、その取消しを求めて異議申立てが行われたものである。 有線テレビジョン放送法において準用する電波法及び行政不服審査法の規 定により本件異議申立てを審査した結果、要件を満たしていると認められた ことから受理し、本日、電波監理審議会に付議するものである。 本件は、電波法の規定により、当審議会において審理を行う必要があるため、 本件審理を主宰する審理官として安成知文を指名した。 (6) 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す る規則の各一部を改正する省令案について (諮問第18号) マイクロ波帯の周波数の電波を使用するデジタル方式の番組素材中継を行う 無線局の導入及び60GHz帯の周波数の電波を使用する無線システムの導入 に係る標記省令案について、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答があった。 ア 郵政省の説明 (ア) マイクロ波帯の周波数の電波を使用するデジタル方式の番組素材中継を 行う無線局の導入について 現在、取材現場からスタジオまでニュース映像等を伝送する番組素材中 継回線(FPU/TSL)にはマイクロ波帯を中心とするアナログ方式の 無線伝送路が使用されており、HDTV画像の伝送には録画テープの搬送 等により対応しているところであるが、今後の放送のデジタル化に伴うH DTV画像の伝送や回線需要の増加に対応するためには、高い伝送効率の デジタル回線の導入が必要である。 本件は、本年3月の電気通信技術審議会の答申を踏まえ、マイクロ波帯 のデジタル方式のFPU/TSLの無線設備について、通信方式、変調方 式等の技術的条件を定めるものである。 (イ) 60GHz帯の周波数の電波を使用する無線システムの導入について ミリ波帯の電波は広帯域伝送や機器の小型化が可能という特徴を持ってお り、中でも、60GHz帯は酸素による吸収減衰が大きく、遠くまで到達せず干 渉が起こりにくいという物理的特性を持っているため、大容量で低コストの 多様な無線システムによる利用が可能である。 本件は、本年2月の電気通信技術審議会の答申を踏まえ、その技術的条 件を定めるものである。 具体的には、免許を要しない特定小電力無線局として、距離的には数十 メートルの範囲であるが、従来のものと比べて極めて大容量・高速のシス テムが想定され、免許を要する無線局としては、数百メートル程度の範囲 で使用する電気通信業務用の高速無線回線システムや小型の放送番組素材 中継システムが想定される。 イ 主な質疑応答 ・ 本件改正の動因は技術開発によるものか、との質問があり、郵政省から、 新しい方式の開発や高い周波数帯の利用技術の開発によるものである旨の 回答があった。 本件は、電波法により意見の聴取を義務付けられているため、別途、意見の 聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に安成知文を指名した。 (7) 放送用周波数使用計画の一部変更について (諮問第22号) 日本放送協会所属室戸中継局(高知県)及び竹富中継局(沖縄県)に係る放 送用周波数使用計画の一部変更について、次のとおり郵政省の説明があり、審 議の結果、適当である旨、答申した。 ○ 郵政省の説明 本件は、日本放送協会所属室戸中継局の放送区域における夜間外国波混信 の改善を図るため、同中継局総合放送のチャンネル番号(周波数)を2から 5に変更すること、及び日本放送協会所属竹富中継局について与那国中継局 への放送波中継が不要となったことから、同局の空中線電力を0.1kWか ら0.03kへ減力するものである。 (8) 日本放送協会放送受信規約の変更の認可について (諮問第23号) 本件については、諮問第24号と一括して説明を受け、審議した。 (9) 日本放送協会の株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズに 対する出資の認可について (諮問第24号) 日本放送協会の標記株式会社に対する出資の認可について、諮問第23号と 一括して、郵政省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、諮問第23号及び 諮問第24号ともに、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 両諮問は、日本放送協会におけるCAS(Conditional Access System: 限定受信方式)機能を活用した自動表示メッセージ・システム(ある一定の 受信機に対して特定のメッセージを画面に表示させるもの。日本放送協会で はBS受信機設置の連絡があった場合にメッセージを消去するシステムとし ている。)の導入に係るものである。 現在、日本放送協会の放送を受信できる受信機を設置した者は遅滞なく日 本放送協会と受信契約をしなければならないこととされているが、BS受信 契約の契約者数は契約対象者数の76%(推定)程度であり、これは外観か らアンテナを確認できないことなど主に受信機の設置確認が困難であること に約半数が起因していると考えられる。 本件は、受信料の公平負担の一層の徹底を図るため、BSデジタル・テレ ビジョンの受信機の設置を日本放送協会に連絡するように促すメッセージを テレビ画面に表示すること(受信機購入者から所定の連絡があった場合には、 速やかに表示されないように措置する。)により、視聴者からの連絡をもと に迅速かつ的確な受信機の設置確認を行い、これにより速やかに契約の勧奨 を行い、受信契約率の向上及び受信契約の早期締結化を図ろうとするもので ある。 自動表示メッセージ・システムの導入については、先に、これを「適当」 とする当省の考えに対する意見募集を行ったところであるが、その結果は概 ね導入を適当とするものであり、これを踏まえ、平成12年度のNHK予算 においては「その効率的かつ適切な運用に努めること」との郵政大臣意見を 付したところである。 諮問の第1点目である放送受信規約の変更(諮問第23号)については、 本措置が規約に明示されていないと受信者との間において無用のトラブルを 生じさせかねないことから、日本放送協会が、同協会の放送受信規約にこれ を明記したいとして申請があったものである。 諮問の第2点目である出資の認可(諮問第24号)については、自動表示 メッセージ・システムを導入するためには、BSデジタル放送を行う各社が 共通基盤業務を共有するために設立した株式会社ビーエス・コンディショナ ルアクセスシステムズ(略称B−CAS)に、ICカード鍵管理業務等を委 託することが必要不可欠であり、特にメッセージ消去信号の暗号化業務に関 して、日本放送協会が、同社の事業開始に当たり、その利用割合(暗号化回 数)に応じた分を負担金として出資したいとして申請があったものである。 審査した結果、いずれもその必要性が認められるとともに、内容において も適正であると認められた。 イ 主な質疑応答 ・ 本システム導入の初年度は支出費用が増収見込みを上回るが、このシス テムの導入は採算性の観点から行うのか公平性の観点から行うのか。ある いはその両方によるのかとの質問があり、郵政省から、導入2年目以降は 支出が上回ることはなく、その意味で、両方の観点から行うものである旨 の回答があった。 ・ メッセージ画面の大きさ(縦3分の1、横3分の1)はどのようにして 決めたのか、との質問があり、郵政省から、あまり大きいとスクランブル と同じように受け取られかねないので、NHKにおいて種々検討した結果、 この大きさが妥当と判断したものであるが、今後の運用の中で様々な意見 を踏まえ、適切に運用されるものと考えている旨の回答があった。 ・ NHKへ連絡を促すメッセージは定義上「放送」となるのか、メッセー ジが「あなたは未払いですので、お支払いください」となれば通信となる のか、との質問があり、郵政省から、現在の案は受信機を設置した全ての 者に差別なく表示されることから特定性はなく、放送であるが、特定性を 持つメッセージの場合は放送の範囲としても問題があると考えられる旨の 回答があった。 ・ メッセージ表示という方法の導入は(特にNHKをほとんど見ない人に とっては)強い措置と受け取られるおそれもあり、他の方法の検討も含め、 受信料制度を含むNHKの根幹に関わる問題に議論が波及する可能性のあ ることを認識しておくべき、とのコメントがあり、郵政省から、省におい て実施した意見募集においても有料・スクランブル化すべきという意見も あったが、「あまねく全国において」というNHKの性格を踏まえると有 料放送の導入には、十分な議論が必要である旨の回答があった。 (10) 日本衛星放送株式会社及び株式会社ウィンズ・インターナショナルの有料放 送契約約款の認可等について (諮問第10号) 日本衛星放送株式会社及び株式会社ウィンズ・インターナショナルの有料放 送契約約款の認可等について、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答があり、 審議の結果、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 日本衛星放送関係の申請は、本年12月1日からサービス予定のBSデジタ ル放送サービスの役務の提供条件について、現行約款を基本に、CASを利 用した新たな課金方法を取り入れて新約款を定め、及びこれに併せ、現行約 款を一部変更してBSアナログ放送サービスの約款としようとするものであ り、株式会社ウィンズ・インターナショナル関係の申請は、短期間の在留外 国人による視聴が多いと見込まれる番組につき、これらの者のニーズに合わ せて料金の支払いの利便を図るなどのために、視聴料につき前払い方式をと るなど標準契約約款とは異なる約款を定めようとするものである。 審査した結果、いずれも放送法第52条の4第5項の規定に適合している と認められた。 イ 主な質疑応答 短期間の在留者が主な視聴層であることを前提に視聴料等を前払い方式と する約款を認めることは、特定の者に対する不当な差別的取扱いを容認する ことにならないか、との質問があり、郵政省から、本約款は全視聴者に平等 に適用され、特定の者を別に取り扱うものではない。また、前払い方式は、 支払い義務者にも大きな負担となる帰国後の支払いの回避等を目的とするも ので、視聴者の予告解除権を考え併せれば、不当なものとは言えない。顧客 層の特性を踏まえた営業上の選択として許容されると考える、旨の回答があ った。 (11) 報告事項 前回(3月)の審議会において理由付記が不十分だったのではないかとの指 摘をしたレインボータウンエフエム放送株式会社に対する平成11年10月28日付 け免許拒否処分について、郵政省から、審議会での指摘を踏まえ、4月6日付 けで原処分を取り消し、同日付けで詳細な理由を付して再処分をした旨の報告 があった。 (文責:電波監理審議会事務局)