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電波監理審議会(第841回)議事要旨(平成12年12月4日公表)
1 日 時 平成12年11月17日(金)15:30〜16:40 2 場 所 郵政省審議会会議室(郵政省12階) 3 出席者(敬称略) (1) 電波監理審議会委員 秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男 (2) 電波監理審議会審理官 石田 義博 (3) 幹事 濃添 隆(官房秘書課総括専門官) (4) 郵政省 金澤放送行政局長、石原電波部長ほか 4 議 事 模 様(審議順) (1) 電波法施行規則及び無線設備規則の一部を改正する省令案並びに無線局免許 手続規則の一部を改正する省令案について (諮問第53号) 免許を要しない無線局の拡大及び再免許申請時における工事設計の記載の省 略に係る標記省令案について、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答があった。 ア 郵政省の説明 本件は、2件の規制緩和に係る事項を内容としている。一点目は、免許を要する無線局のうち作業連絡用無線局(建設現場等の 直接音声による連絡が困難な場所等において連携作業を行う者相互間で使 用する連絡用の無線局の陸上移動局)について、特定小電力無線局(免許 を要しない無線局)に位置づけることにより、今後は免許を要しないこと としようとするものである。 免許を要しない無線局は、電波法において、空中線電力が小さいこと( 0.01W以下)、他の無線局に混信を与えないように運用することができる こと、技術基準適合証明設備であること、という条件が定められているが、 作業連絡用無線局は、その設備の条件等及びこれまでの運用実績にかんが み免許を要しないこととしても電波監理上の支障はないものと認められる ことから、当該無線局を特定小電力無線局に含めるよう規定を整備するも のである。 なお、現に免許を受けている作業連絡用無線局の陸上移動局については、 経過措置として、この省令の施行の日から免許を要しないものとして取り 扱うこととするものである。
二点目は、陸上移動局、携帯局及び特定船舶局の再免許申請時における 工事設計に係る部分の記載について、当該無線局の免許の有効期間中に当 該工事設計に変更がないときには、現免許の申請時に提出された工事設計 書を活用することが可能であることから、その記載を省略できるようにし ようとするものである。 イ 主な質疑応答 ・ 免許を要しない無線局の条件のうち他の無線局に混信を与えないで運用 することができるという条件はどのように判断しているのか、との質問が あり、郵政省から、本制度が法律上整備された初期においては相当厳格に 規律していたが、その後の小規模無線局の需要増という時代背景の変遷や これらの無線局の運用実績等を加味しつつ徐々に条件を緩和してきており、 本件もその延長線上の措置である旨の回答があった。 本件は、電波法により意見の聴取を行うことが義務付けられているため、別 途、意見の聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に石田義博を指名 した。 (2) 放送普及基本計画の一部変更案及び地上デジタル音声放送を行う実用化試験 局の免許方針案について (諮問第54号) 地上デジタル音声放送を行う実用化試験局の免許方針案等について、次のと おり郵政省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 地上デジタル音声放送は、CDなみの高音質ステレオ音声放送を主とし、 データ・静止画等も提供できる多彩な放送が移動体においても受信可能にな るというもので、その実用化が期待されている。 この地上デジタル音声放送については、これまで、アナログ音声放送を存 続させた上で新規のサービスとして実現を図ること、放送対象地域は周波数 事情にかんがみ現行テレビジョン放送に影響を及ぼさずにカバーできる範囲 内とする等の方針を策定しているが、このような周波数事情から、テレビジ ョン放送のデジタル化移行の見通しが得られるまでは、本件放送のための周 波数の割当ては困難であるものの、将来の実用化に向けた試験放送を行うこ とは有益であると認識している。 本案は、このような状況において、放送需要の把握、放送サービスの開発 等を目的として、現時点で割当可能な188MHzから192MHzまでの周波数 を用いて、東京及び大阪の2地域を対象に、広告放送も可能な試験放送を実 施できるようにしようとするものである。 免許は、限られた周波数の中で試験放送が効果的に行われるように、それ ぞれの地域に割当て可能な8セグメントを一括して一の者に付与することと し、比較審査においては、試験放送を行おうとする者が幅広く参画できる団 体からの申請及び多様な試験放送を行うとする申請を優先することとしてい る。 本案は、既にパブリック・コメント手続により、案を公表し、意見を募集 したが、案自体に反対という意見はなく、試験放送の実施を評価する意見が 大半であった。また、修正意見・要望のうち今後検討すべきと認められるも のについては、実施の段階で考慮することとした。 イ 主な質疑応答 ・ 現在のラジオ放送との棲分けについてどのように考えているのかとの質 問があり、郵政省から、音声中心という点において両者は同じであるが、 地上デジタル音声放送の情報量は飛躍的に増大しており、音質面の著しい 向上だけでなくデータも表示できるという特質から、新しいメディアとし てこれまでのアナログ音声放送の概念を大きく変えるものになると見込ま れる。また、現在のラジオ放送は音質等の面でなく放送内容そのもので独 自のメディアとしての役割を果たしてきていることから、このような関係 が直ちに変わることはないと考えている、旨の回答があった。 ・ 今後の地上デジタル音声放送の具体的スケジュールについて質問があり、 郵政省から、現在電波監理審議会に諮問中の技術基準の整備を含め年内に は制度整備を終えるように取り運ぶこととしたいが、本案では、試験放送 を希望する者が幅広く参画できる団体からの申請を優先することとしてい るため、直ちに申請を受け付けるのではなく、(団体設立に要する期間を 考慮して)相当の周知期間をおくことが適当であると判断している。現時 点においては、来年4月頃に申請受付を開始するという方向で考えている、 との回答があった。 ・ 試験放送を希望する者が幅広く参画できる団体を優先するとのことであ るが、そのような団体からの申請の見込みはあるのかとの質問があり、郵 政省から、パブリック・コメントで意見を提出された方々を中心にそのよ うな動きがあると聞いている、との回答があった。 ・ 割り当てる周波数(188MHz〜192MHz)はどのようにして決めたのか、と の質問があり、郵政省から、VHF帯のうち現在の地上波TVで使用して いない部分においてもCATVでは相当使用されているため、これらに影 響のないことが確認できたこの周波数帯を割り当てることととしたもので ある、との回答があった。 (3) 日本放送協会所属放送衛星局の予備免許について (諮問第55号) 日本放送協会所属放送衛星局の予備免許について、次のとおり郵政省の説明 及び質疑応答があり、審議の結果、適当である旨、答申した。 ア 郵政省の説明 放送普及基本計画においては、現在NHK及び民放6社がBS−4先発機 を使用して試験放送を行っているアナログ・ハイビジョン放送は、本年11 月末で一旦終了し、BSデジタル放送の開始(本年12月1日)後は、「デ ジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送」としてNHK及び希望する 事業者に免許することとしている。また、この放送は、遅くともBS−4先 発機の運用終了時期(2007年)までには終了することとしている。 本件は、この「デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送」を行う 放送衛星局について、NHKから免許申請があったものである(民放からは 申請はなかった。)。 なお、この放送は、NHKのBSデジタル放送のハイビジョン放送と同じ 番組を放送(サイマル放送)することとしている。 審査の結果、電波法第7条第2項各号の規定に適合していると認められた ため、予備免許を付与しようというものである。 イ 主な質疑応答 この「デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送」の終了時期につ いて具体的にはどのように考えているのかとの質問があり、郵政省から、現 時点で明言するのは難しいが、デジタル放送の普及・移行状況や事業者の意 見等を踏まえ、いずれかの時期に慎重に判断したいとの回答があった。 (4) BSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について (諮問第56号) BSデジタル放送に係る委託放送事業者12社の委託放送事項の変更につい て、次のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。 ○ 郵政省の説明 昨年の放送法の改正においては、テレビジョン放送等の補完放送として、 番組に伴わないデータを併せ送ることができることとされたところであるが、 本件は、同法の改正前に認定を受けたBSデジタル放送に係る委託放送事業 者(データ放送事業者を除く。)から、改正放送法を踏まえ、データ放送に よる補完放送を行うため、委託放送事項に当該補完放送部分に係る事項を追 加したいとして申請のあったものである。 審査の結果、放送法関係審査基準に適合していると認められたため、許可 しようとするものである。 (文責:電波監理審議会事務局)