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電波監理審議会意見の聴取(第353回)意見書(平成12年12月8日公表)
地上デジタル音声放送の技術基準等の整備に関する電波法施行規則(昭和25年電 波監理委員会規則第14号)、無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)、 放送局の開設の根本的基準(昭和25年電波監理委員会規則第21号)及び標準テレビ ジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(平成11年郵政省令第10 2号)の各一部を改正する省令案について、電波法第99条の12第1項の規定により、 意見の聴取を行った(平成12年11月21日)結果、下記のとおり意見を決定す る。 平成12年12月8日 主任審理官 石 田 義 博 記 第1 意 見 各省令改正案は、それぞれ適当である。 第2 事実及び争点 1 改正案の内容等 (1) 電波法施行規則の一部を改正する省令 ア 改正の内容 地上デジタル音声放送を行う放送局の空中線電力について、平均電力に より表示することとすること。(第4条の4関係) イ 施行期日 公布の日から施行すること。 (2) 無線設備規則の一部を改正する省令 ア 改正の内容 地上デジタル音声放送を行う放送局の無線設備について、占有周波数帯 幅の許容値を1セグメントのとき467kHz、3セグメントのとき132 5kHzなど、セグメントの数に応じて定めることとするとともに、周波数 の許容偏差、占有周波数帯幅の許容値及び搬送波の変調波スペクトルの許 容偏差を定めること。(第5条、第6条、第37条の27の11、別表第1号、 別表第2号関係) イ 施行期日 公布の日から施行すること。 (3) 放送局の開設の根本的基準の一部を改正する省令 ア 改正の内容 地上デジタル音声放送が受信可能となる電界強度の下限値(1セグメン ト当たり0.71mV/m)を規定し、当該電界強度を満たす区域を地上デジ タル音声放送を行う放送局の放送区域とすること。(第2条関係) イ 施行期日 公布の日から施行すること。 (4) 標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式の 一部を改正する省令 ア 改正の内容 地上デジタル音声放送の送信の標準方式として、使用する周波数帯幅、 変調方式、誤り訂正方式等の伝送路符号化方式、多重化方式、限定受信方 式、情報源符号化方式等を定めること。(第4条の3、第4条の4、第4 条の5、第5条、第6条、第7条、第8条関係) イ 施行期日 公布の日から施行すること。 2 郵政省の陳述の大要 本件は、地上デジタル音声放送の技術基準等を定めるため、関係の規定を整 備しようとするものであり、昨年11月の電気通信技術審議会答申(地上デジ タル音声放送方式の技術的条件及び地上デジタル音声放送の置局に関する技術 的条件)を踏まえたものである。 本案による関係規定の整備により、地上デジタルテレビジョン放送と同一の 変調方式、伝送路符号化方式等を採用することで、地上デジタルテレビジョン 放送受信機と地上デジタル音声放送受信機の部品の共通化を図ることが容易に なるなど、デジタル放送の一層の発展が期待される。 (以下、上記1の改正案の内容等を陳述) 3 利害関係者の陳述等 本件省令改正案に関し、利害関係を有する3者が準備書面を提出し、このう ち2者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠 席した日本放送協会については、電波監理審議会が行う審理及び意見の聴取に 関する規則第42条において準用する同規則第17条の規定により、当該準備 書面のとおり陳述したものとみなした。 3者の省令改正案に対する賛否は、次のとおりであり、いずれも賛成として いる。
利害関係者 賛 否 備 考 (社)電波産業会 賛 成 日本放送協会 賛 成 欠 席 (社)日本民間放送連盟 賛 成 第3 理由 本件は、放送メディア全体のデジタル化が進展していく中で、高音質の音声・ 音響を中心にデータ・静止画等も提供できる地上デジタル音声放送を、地上デ ジタルテレビジョン放送と同様な技術によって実現するため、技術基準の制定 等規定の整備をしようとするものである。 各省令案は、先に電波監理審議会が答申した地上デジタル音声放送の試験放 送の実施のための放送普及基本計画の一部変更及び免許方針を実施していく上 でその制定が必要と認められ、かつ、以下のとおりその内容が妥当であるとと もに、利害関係者も賛成しているので、適当と認められる。 1 空中線電力の表示方法(電波法施行規則) 地上デジタル音声放送を行う放送局の空中線電力について、平均電力で表示 しようとするものである。 地上デジタル音声放送を行う放送局の送信設備の変調方式がOFDM(直交 周波数分割多重)方式であるので、空中線電力を平均電力で表示することは適 当と認められる。 2 送信の標準方式等の技術基準(無線設備規則及び標準テレビジョン放送等の うちデジタル放送に関する送信の標準方式) 地上デジタル音声放送を行う放送局の送信設備の占有周波数帯幅の許容値等 及び音声信号等の送信の標準方式を規定しようとするものである。 各省令案は、地上デジタルテレビジョン放送に係る技術基準を基にしつつ、 1セグメント形式、3セグメント形式及びこれらを連結したものについて規定 することにより、地上デジタル音声放送として必要十分な伝送容量及び送信設 備の共用、受信機の部品の共通化といった合理的な設備構成を考慮した内容に なっており、適当と認められる。 3 放送区域の定義(放送局の開設の根本的基準) 地上放送については放送局の開設の根本的基準第2条第11号において放送 局の電界強度が一定値以上の区域を放送区域として定義しているところである が、地上デジタル音声放送についてはその値が従来の値とは異なることから、 新たに規定するものである。 その値は、地上高4メートルにおいて1セグメント当たり毎メートル0.7 1ミリボルトというものであるが、この値は電気通信技術審議会の審議による ところであり、適当と認められる。 なお、従来は電波雑音のレベルに応じて、高雑音区域、中雑音区域及び低雑 音区域に分けて電界強度の値を定めていたが、地上デジタル音声放送について は、もっぱら移動体での受信を考慮して高雑音区域で必要となる値に一元化さ れているが、これは妥当と認められる。