電波監理審議会(第791回)議事要旨(平成9年1月17日公表)
1 日時
平成8年12月20日(金)15:30〜16:42
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)電波監理審議会委員
河野 俊二(会長)、塩野 宏(会長代理)、辻井 重男、奥田 正司
(2)電波監理審議会審理官
井上 陽二郎
(3)幹事
渡辺 信一(審議会室長)
(4)郵政省
谷電気通信局長及び楠田放送行政局長ほか
4 議題
(1)諮問事項
ア 無線設備規則の一部を改正する省令の制定について
イ 無線局定期検査規則の一部を改正する省令の制定について
ウ 放送用周波数使用計画の一部変更について
(2)報告事項
ア 衛星デジタル放送技術検討会報告について
イ 「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」最終報告
について
5 議事模様
(1)郵政大臣あいさつ
諮問事項の審議に先立ち、11月7日に新たに郵政大臣に就任した堀之
内久男大臣からあいさつがあった。
(2)無線設備規則の一部を改正する省令の制定について
衛星測位誤差補正情報を提供する無線航行陸上局の無線設備の技術的条
件等に関する無線設備規則の一部改正(概要以下のとおり。)について、
郵政省から説明があった。
・ 人工衛星を利用した測位システムとして、GPS(全世界的測位シス
テム)が世界的に普及している。海上分野においては、港湾、狭水道等
の船舶交通が輻輳する海域において、船舶のより一層の安全航行を確保
するため、GPSで測定した位置情報の誤差を補正するための情報(衛
星測位誤差補正情報)を船舶に提供し、高精度の位置測定を可能とする
ディファレンシャルGPS(DGPS)が米国をはじめとして、各国で
導入されつつある。
・ 衛星測位誤差補正情報を船舶あてに提供するDGPSについては、国
際電気通信連合(ITU)において世界的な統一規格が勧告されており、
我が国においても本年10月に電気通信技術審議会からITU勧告に準
拠したDGPSの技術的条件について答申されたところである。
・ 本件は、この答申を踏まえ、船舶交通の安全に寄与するDGPSの無
線局の無線設備について必要な技術的条件を整備するものであり、改正
の内容として衛星測位誤差補正情報を提供する無線航行陸上局の無線設
備の技術的条件について、周波数の許容偏差等を定めるとともに、所要
の規定の整備を行うものである。
なお、改正省令は、公布の日から施行することを予定している。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 今般の省令改正は、技術基準を定めるということであるが、サービス
の提供を行うことについては、現行の規定で対応できるのかという質問
があり、郵政省からサービスを提供する無線局は既に法令において設け
られている無線航行陸上局であること及び当該無線局が中波ビーコンと
してサービス提供しているものに、衛星測位誤差補正情報を新たに重畳
するために必要な技術基準を定めるものである旨、説明があった。
・ 諸外国における衛星測位誤差補正情報を提供する設備の普及状況につ
いての質問があり、郵政省から欧州においては1992、3年頃から普
及し始め、また、米国では1996年1月から運用開始していること及
び現在では12か国で90局が運用している旨、説明があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、
その手続きを主宰する審理官を指名した。
(3)無線局定期検査規則の一部を改正する省令の制定について
定期検査を行わない無線局の範囲の拡大に関する無線局定期検査規則の
一部改正(概要以下のとおり。)について、郵政省から説明があった。
・ 無線局の定期検査については、電波法第73条第1項において、郵政
省令で定める時期毎に無線局に職員を派遣して実施することとされてい
るが、同項において郵政省令で定める一定の無線局については、定期検
査は行わないこととし、現在、放送試験局等10の局種の無線局がその
対象となっている。
・ 今般の無線局定期検査規則の一部改正は、近年のエレクトロニクス技
術の発達、通信技術の進歩により、無線設備の安定性、信頼性が向上し
ていることを踏まえ、運用形態が比較的簡易であり、他の無線局に混信
妨害を与えるおそれの少ない小規模の放送局、無線呼出局、陸上移動局
及び携帯局の4つの局種を定期検査を行わない局として同規則第2条に
追加するものである。
なお、改正省令は、平成9年4月1日から施行することを予定してい
る。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 今般の省令改正と規制緩和との関係について質問があり、郵政省から
本年3月に閣議決定された規制緩和推進計画に盛り込まれているもので
ある旨、説明があった。
・ 検査を行わないこととしたことによる無線局や免許人のメリットにつ
いての質問があり、郵政省から放送局については約3,700局、無線
呼出局については約2,000局、陸上移動局については千数百万局及
び携帯局については約15,000局が検査不要の対象となること、ま
た、検査手数料が軽減される旨、説明があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、
その手続きを主宰する審理官を指名した。
(4)放送用周波数使用計画の一部変更について
平成8年5月の電波監理審議会の答申を受けて行った放送普及基本計画
の一部変更に基づき、放送衛星3号の段階における標準テレビジョン放送
等を引き継ぐ4系統の放送を行う次期放送衛星(いわゆる「BS−4先発
機」)に関して、免許申請ができるようにするため放送用周波数使用計画
の一部変更(概要以下のとおり。)をすることについて、郵政省から説明
があった。
放送用周波数使用計画の標準テレビジョン放送(衛星系)による国内放
送を行う放送局に使用させることができる周波数等の項の送信場所(人工
衛星)の欄中「放送衛星3号」を「放送衛星3号又は放送衛星3号を引き
継ぐ放送衛星」に改めるものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 今後におけるBS放送とCS放送の位置付けに関する質問があり、郵
政省から現在「BS−4後発機検討会」を開催し、BS放送の在り方等
についての検討が行われており、その検討結果を踏まえて対処していき
たい旨、説明があった。
審議した結果、適当である旨の答申を行った。
(5)報告事項
ア 衛星デジタル放送技術検討会報告について
BS−4後発機の取扱いについての検討に資することを目的に、平成8
年7月から開催してきた「衛星デジタル放送技術検討会」から、BS−4
後発機段階における衛星デジタル放送技術の2000年頃における技術的
展望について報告があった旨、郵政省から説明があった。
イ 「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」最終報告に
ついて
21世紀に向けた放送の健全な発達を図る観点から、主として視聴者に
視点を置いた放送の在り方についての検討を行うことを目的として平成7
年9月から開催してきた「多チャンネル時代における視聴者と放送に関す
る懇談会」から最終報告があった旨、郵政省から説明があった。
(文責:電波監理審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)