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電波監理審議会(第793回)議事要旨(平成9年3月7日公表)





1 日時
  平成9年2月21日(金)15:27〜17:33

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)

 (1)電波監理審議会委員
    河野 俊二(会長)、塩野 宏(会長代理)、岩男 寿美子、
    辻井 重男、奥田 正司

 (2)電波監理審議会審理官
    井上 陽二郎

 (3)幹事
    渡辺 信一(審議会室長)

 (4)郵政省
    谷電気通信局長及び楠田放送行政局長ほか


4 議題

 (1)諮問事項
  ア 電波法施行規則及び無線設備規則の一部を改正する省令の制定について
  イ 電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について
  ウ 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更について
  エ 日本放送協会の平成9年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について
  オ 日本放送協会の財団法人放送番組センターに対する出捐の認可について
  カ 株式会社ミュージックバードの有料放送の契約約款の変更の認可につい
   て
  キ 高精細度テレビジョン放送を行う実用化試験局の免許方針の一部変更に
   ついて
  ク 株式会社アトス・インターナショナル等38社の委託放送業務の認定に
   ついて
  ケ 株式会社スペースシャワーネットワークの委託放送業務の認定について

 (2)報告事項
    電波資源の有効活用方策に関する懇談会報告

5 議事模様

 (1)電波法施行規則及び無線設備規則の一部を改正する省令の制定について

   航空機用救命無線機(ELT)の技術的条件、電波を利用した補聴援助シ
  ステムの導入及び小電力データ通信システムの空中線利得に関する規定の変
  更に伴う電波法施行規則及び無線設備規則の一部改正について、以下のとお
  り郵政省から説明があった。

  ア 航空機用救命無線機(ELT)の技術的条件等の整備
   ・ 航空機には、航空機が遭難した場合等において電波を自動的に発射し、
    遭難場所を陸上の捜索機関や付近を飛行中の他の航空機に通報するため
    の無線設備として、航空機用救命無線機の搭載が義務付けられている。
   ・ 今般の省令改正は、従来の航空機用救命無線機の航空緊急用周波数1
    21.5MHz及び捜索救難用周波数243MHzに加えて、通信衛星
    を利用した世界的な捜索救助用通信システムであるCOSPAS/SA
    RSATシステムに直接アクセスする406.025MHzの周波数の
    電波を使用するための必要な技術的条件等を定めようというものである。
     なお、本改正省令は、公布の日から施行することを予定している。

  イ 電波を利用した補聴援助システムの導入
   ・ 現在、聴覚障害を有する方は、ろう学校や難聴学級で教育を受けてい
    る学童が約9,300人いることをはじめ、老人性の難聴の方を含めて
    約500万から600万人いるといわれているが、このような障害を有
    する方達からは、家庭内や屋外において、離れた場所からでも周囲の騒
    音の影響を受けずに会話等を聞くことができる補聴援助システム(ワイ
    ヤレス補聴器)についての需要が高まっている。
   ・ 今般の省令改正は、免許不要の10mW以下の小電力無線局の一つと
    して制度化し、補聴援助シスムに使用する周波数を追加するものである。
     なお、本改正省令は、公布の日から施行することを予定している。

  ウ 小電力データ通信システムの空中線利得に関する規定の変更
   ・ 近年の情報通信の高度化やニーズの多様化等に伴い、小電力データ通
    信システムを使用して近接した複数の建物相互間でデータ伝送を行う例
    が増えてきているが、無線機本体と空中線が離れて設置される場合、給
    電線部分が長くなり、損失が大きくなることにより、高利得の空中線を
    使用せざるを得なくなってきている。
   ・ 今般の省令改正は、このような状況にかんがみ、小電力データ通信シ
    ステムの空中線について、発射する電波の強さが一定以下であれば、高
    利得の空中線が使用できるように規定を改正しようというものである。
     なお、本改正省令は、公布の日から施行することを予定している。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 補聴援助システムについて、今まで電波を利用したものはなかったの
    かという質問があり、郵政省から微弱な電波を利用したものはあるが、
    専用の周波数を使用していないため混信や雑音があるため、今般、高品
    質な通信を確保できるよう専用の周波数を利用したシステムを導入する
    ものである旨、説明があった。

   本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、
  その手続を主宰する審理官を指名した。

 (2)電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について
    公共デジタル移動通信を行う無線局の無線設備の技術基準適合証明を行
   う指定証明機関の指定申請及び審査結果について、以下のとおり郵政省か
   ら説明があった。
  ・ 電波法第38条の2において、郵政大臣は小規模な無線局に使用するた
   めの無線設備であって、郵政省令で定めるもの(特定無線設備)について、
   電波法第3章に定める技術基準に適合していることの証明(技術基準適合
   証明)を行い、またはその指定する者(指定証明機関)にこれを行わせる
   ことができることとされている。
  ・ 本件は、財団法人無線設備検査検定協会から公共デジタル移動通信を行
   う無線局の無線設備の技術基準適合証明の指定証明機関に係る申請があり、
   電波法第38条の3に規定する指定証明機関の指定の基準に基いて審査し
   た結果、適合するものと認められることから、指定証明機関として指定し
   ようというものである。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 指定証明機関の指定について、公益法人が要件となっているがこれは
    外国性排除とならないのかという質問があり、郵政省から今後の検討課
    題である旨、説明があった。
   ・ 無線局検査制度に関する電波法改正について郵政省から現在所要の改
    正手続きを進めており、準備が整い次第国会へ提出していきたい旨、説
    明があった。

   審議した結果、適当である旨答申を行った。

 (3)放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更について
    放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更(概要以下の
   とおり。)について、郵政省から説明があった。
  ・ 現在、徳島県においては、四国放送(株)が放送を行っているが、2局
   目として昭和43年に周波数の割当てをした結果、180件の放送局開設
   の申請はあったものの、本年1月末までにこれら全ての申請が取り下げら
   れた。
  ・ これに伴い、放送普及基本計画の標準テレビジョン放送の放送系の数の
   目標について徳島県を2から1に変更するとともに、放送用周波数使用計
   画の掲げる周波数についても1波減ずるものである。

   本件については、意見の聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官
  を指名した。

 (4)日本放送協会の平成9年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について
    日本放送協会の平成9年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について、
   以下のとおり郵政省から説明があった。
  ・ 日本放送協会の収支予算、事業計画及び資金計画はおおむね適当なもの
   と認められる。
  ・ 事業計画等の実施に当たっては、受信料の収納の促進と業務の効率化に
   よる経費の節減、衛星放送に係る収支の一層の明確化と財務内容等の開示、
   豊かな放送番組の提供と公正な報道や災害等に備えた報道・取材体制の充
   実等6項目を配意すべき事項として指摘するものである。

   主な質疑応答は以下のとおり。

   ・ 受信契約件数の伸びについて質問があり、郵政省から7年度25万件
    増、8年度42万件増、及び9年度46万件増である旨、説明があった。
   ・ 受信料を支払っていない人はどの程度いるのかという質問があり、郵
    政省から、一般世帯でいうと約9割が契約をしており、また、衛星契約
    については約7割が契約をしている旨、説明があった。
   ・ 国際放送に係る経費が約1億9千万円増加したことの理由について質
    問があり、郵政省から新たな放送機材の導入や海外中継局からの放送時
    間の充実等に伴うものである旨、説明があった。
   ・ 衛星放送に係る収支の明確化に関する質問があり、地上放送と衛星放
    送の収支の分計について、業務の実態に合わせた形で視聴者に対する一
    層の情報開示が必要となっている旨、説明があった。

  審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (5)日本放送協会の財団法人放送番組センターに対する出捐の認可について
    日本放送協会の財団法人放送番組センターに対する出捐の認可申請及び
   審査結果について、以下のとおり郵政省から説明があった。
  ・ (財)放送番組センターは、一般事業として、教育、教養番組の企画、
   購入、管理等を通じて一般放送事業者の番組の充実、向上を図ることを目
   的として事業を行っている。
  ・ 本件出捐は、この財団の財政的基礎の強化を図り、事業の円滑な推進を
   促して放送の健全な発展に資するため、本年度協会が1億円の出捐を行う
   ものであり、放送及び受信の進歩発達に必要なものであると認められる。

   審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (6)株式会社ミュージックバードの有料放送の契約約款の変更の認可につい
   て
    株式会社ミュージックバードの有料放送の契約約款の変更の認可申請及
   び審査結果について、以下のとおり郵政省から説明があった。
  ・ (株)ミュージックバードは、本年1月に放送番組を14番組から3番
   組追加して17番組とすることで認定を受け、本年4月から業務を開始す
   る予定である。
  ・ 本件は、それに伴う有料放送の契約約款について、新たに追加した番組
   に係る料金の設定及び17番組のセット料金の設定について定めるもので
   ある。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 放送番組数に関し、Bモードを減らしてAモードを増加させていくこ
    とについての質問があり、郵政省から番組編成は放送事業者が聴取者の
    要望やデジタルの多チャンネル化の動向等を勘案の上、編成している旨、
    説明があった。

   審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (6)高精細度テレビジョン放送を行う実用化試験局の免許方針の一部変更に
   ついて
    高精細度テレビジョン放送を行う実用化試験局の免許方針の一部変更
   (概要以下のとおり。)について、郵政省から説明があった。
  ・ 現在、高精細度テレビジョン放送の実用化試験については、放送衛星3
   号(BS−3)を利用して行っているが、本年4月に打ち上げられる次期
   放送衛星に、本年8月からBS−3の業務が引き継がれることとなってい
   る。
  ・ このため、現在BS−3で行っている実用化試験で使用している周波数
   をそのまま次期放送衛星においても利用できるよう、免許方針を一部変更
   するものである。

   審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (7)株式会社アトス・インターナショナル等38社の委託放送業務の認定に
   ついて
    株式会社アトス・インターナショナル等38社の委託放送業務の認定申
   請及び審査結果について、以下のとおり郵政省から説明があった。
  ・ 本件は、昨年10月にJSAT−3の中継器6本相当分の周波数を追加
   したことに伴う委託放送業務の認定に関する申請であり、同年12月まで
   に標準テレビジョン放送34社51番組、超短波放送1社1番組及びデー
   タ3社8番組の申請があったが、追加した中継器6本相当分の周波数の伝
   送容量を大幅に上回ることから、各申請について放送法関係審査基準に基
   づいて比較審査を行ったものである。
  ・ その結果、(株)アトス・インターナショナルをはじめとして、標準テ
   レビジョン放送25社36番組、超短波放送1社1番組及びデータ放送1
   社1番組の申請について委託放送業務の認定を行い、他の申請については
   拒否するものである。
    なお、認定する委託放送事業者名は以下のとおり。
   =事業者名=
    (標準テレビジョン放送関係)
    (株)アトス・インターナショナル、(株)イーステーション、(株)
    イマジカ、(株)衛星チャンネル、(株)コジマ、(株)シーファク
    トリー、(株)ジャパン・アニメ・プログラミング、(株)車両スポー
    ツ映像、(株)ジンボウアンドカンパニー、(株)スーパーチャンネル、
    スカイエンターテイメント(株)、(株)スター・チャンネル、(株)
    つくばテレビ、(株)デジタルプラネット衛星放送、(株)伝統文化放
    送、(株)ナガセ、日活(株)、日本映像ネットワーク(株)、(株)
    日本ケーブルテレビジョン、日本テレビ放送網(株)、(株)ファミリ
    ー劇場、(株)プレイボーイ・チャンネル・ジャパン、(株)ペイ・パ
    ー・ビュージャパン、ミサワ衛星放送(株)、ミュージックチャンネル
    (株)
    (超短波放送関係)
    (株)ラジオ 沖縄
    (データ放送関係)
    日本デジタル放送サービス(株)

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 今般の審査で認定を拒否されたものに対する拒否理由の開示について
    の質問があり、郵政省から審査に当たって審査基準に適合しない箇所に
    ついてその理由を逐一示した上で拒否している旨、説明があった。

   審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (9)株式会社スペースシャワーネットワークの委託放送業務の認定について
    株式会社スペースシャワーネットワークの委託放送業務の認定申請及び
   審査結果について、以下のとおり郵政省から説明があった。
  ・ 本件は、(株)スペースシャワーが行っているCSアナログ放送1番組
   及びCSデジタル放送3番組を放送を同社が多額の債務により今後の事業
   の継続が難しくなったことから、別の会社((株)スペースシャワーネッ
   トワーク)を設立し、当該会社に営業譲渡することに伴う委託放送業務の
   認定をしようというものである。
   ア 申請者   株式会社スペースシャワーネットワーク
   イ 資本金   2.5億円
   ウ 使用周波数 J1、JD4
   エ 主な放送番組
     (アナログ放送)
      娯楽、音楽、その他(お知らせ等)
     (デジタル放送)
      第1番組:娯楽、広告、その他(お知らせ等)
      第2番組:報道、その他(お知らせ等)

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ (株)スペースシャワーの債務の扱いに関する質問があり、郵政省か
    ら債務については同社の主要株主が処理する旨、説明があった。

   審議した結果、適当である旨の答申を行った。

 (10)報告事項
    電波資源の有効活用方策に関する懇談会報告について

   近年における電波利用の急増を踏まえ、将来の電波利用の在り方について
  展望するとともに、電波資源の有効活用方策、適切な配分方法等について検
  討を行ってきた電波資源の有効活用方策に関する懇談会の報告について、郵
  政省から説明があった。


  (文責:電波監理審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)
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