審議会のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ・ 電波管理審議会

電波監理審議会(第805回)議事要旨(平成10年1月12日公表)





1 日時
  平成9年12月12日(金)15:29〜16:55


2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)


3 出席者(敬称略)

 (1)電波監理審議会委員
    塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、
   辻井 重男、常盤 文克

 (2)電波監理審議会審理官
    金谷 利二

 (3)幹事
    渡辺 信一(審議会室長)

 (4)郵政省
    谷電気通信局長及び品川放送行政局長ほか


4 議題

 (1)議決事項
    会長等の選出について

 (2)諮問事項

  ア 放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令
   案並びに放送普及基本計画の一部変更案について

  イ 日本イリジウム株式会社所属携帯基地地球局の予備免許について

  ウ 無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一
   部を改正する省令案について

 (3)報告事項

  ア 電子化に対応した申請・届出等手続の導入について

  イ 国際電気通信連合(ITU)世界無線通信会議(WRC−97)の結果
   概要について

  ウ その他


5 議事模様

 (1)会長等の選出について

    会長及び会長代理の選出を行い、会長には塩野委員が、会長代理には秋
   山委員がそれぞれ選出された。

 (2)放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令
   案並びに放送普及基本計画の一部変更案について

    CSデジタル放送におけるマスメディア集中排除原則の運用方針の緩和
   及び放送番組審議機関の設置義務等の適用除外範囲拡大のための放送法施
   行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案並びに放
   送普及基本計画の一部変更案について、郵政省から説明があった。

   ア マスメディア集中排除原則の運用方針の緩和関係
     CSデジタル放送において、委託放送事業者の経営基盤を強化する必
    要があること及び他のメディアと比べ出資者が実態上少ないこと等のこ
    とから、事業者のの経営基盤の強化を図るため一の者が支配しているこ
    ととみなす議決権の割合を「十分の一超」から「三分の一以上」に緩和
    するとともに、デジタル技術の向上に柔軟に対応できるよう保有番組数
    の制限を廃止し、また、利用可能な周波数が増加していることを踏まえ
    一事業者当たりの伝送容量の制限枠について「2中継器相当分以内」か
    ら「4中継器相当分以内」へ緩和するものである。
     また、本件変更に併せ、直接の出資制限だけではなく、地上波放送局
    と同様に間接出資について、審査基準の中で「三分の一」の考え方を明
    確化するものである。

   イ 放送番組審議機関の設置義務等の適用除外範囲の拡大関係
     多チャンネル化の進展とともに、番組編集準則に抵触するおそれの少
    ないものについて放送番組審議機関の設置義務等の適用除外としても支
    障のない次の放送番組を適用除外として追加するものである。
    a 学校教育法に規定する学校、専修学校又は各種学校が同法の定める
     ところによる教科に関してその教員に行わせる授業
    b 囲碁若しくは将棋の時事、実況、解説又は講座
    c 放送番組の検索又は選択に関する情報
     また、訂正放送に資することを趣旨とした放送番組の保存については、
    放送による権利侵害のおそれが少ない放送番組については適用除外とし
    ていたが、さらに次の放送番組を適用除外として追加するものである。
    a 囲碁又は将棋に関する時事
    b 放送番組の検索又は選択に関する情報

    マスメディア集中排除原則の運用方針の緩和に関する主な質疑応答は以
   下のとおり。

   ・ 放送局に係る間接所有に関する質問があり、郵政省から地上波放送局
    におけるルールであり、それと同じ考え方を採用する旨、説明があった。

   ・ 支配の定義における「三分の一」という数値は市場全体の支配排除を
    考慮したものかとの質問があり、郵政省から当該放送市場全体の支配力
    の排除という意味ではなく、一事業者内における支配力の排除という意
    味である旨、説明があった。

   ・ 伝送容量の制限緩和に関する質問があり、郵政省から4中継器相当分
    に緩和することにより約40番組の放送が可能となる旨、説明があった。

    放送番組審議機関の設置義務等の適用除外範囲の拡大に関する主な質疑
   応答は以下のとおり。

   ・ 料理番組等生活関係番組に対する適用の有無に関する質問があり、郵
    政省から料理番組等生活情報に関するものは深く文化に関係するもので
    あり、今回の対象から外した旨、説明があった。

   ・ 囲碁及び将棋以外のものの適用に関する質問があり、郵政省からこれ
    ら以外のチェス等の番組があればそれらに対する適用も今後考慮してい
    きたい旨、説明があった。

    本件は意見の聴取の必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
   手続を主宰する審理官を指名した。
    また、審理官の指名に当たって、マスメディア集中排除原則に関して、
   有識者を含めた広く意見の聴取が行われるよう要望があった。

 (3)日本イリジウム株式会社所属携帯基地地球局の予備免許について

    日本イリジウム株式会社所属携帯基地地球局の免許申請及びその審査結
   果について郵政省から説明があった。

  ・ 現在、低軌道周回衛星を使用して衛星携帯電話サービスを提供する衛星
   移動通信システムの導入が複数計画されており、本件は、米国のイリジウ
   ム社が推進する衛星移動通信サービスである「イリジウム計画」に出資、
   参画している申請者が、日本における当該サービス提供のために必要な携
   帯基地地球局(3局)を開設したいとして免許申請があったものである。

  ・ 本件申請について電波法関係審査基準に基づいて審査した結果、適当で
   あると認められるので、予備免許を付与しようというものである。

    主な質疑応答は以下のとおり。

   ・ 低軌道周回衛星による移動通信サービスのシステムが増加する場合、
    周波数は不足しないのかとの質問があり、郵政省からシステムの数の増
    加に伴い周波数も逼迫する旨、説明があった。

   ・ 本件のようなシステムの使用周波数は国際的には先に申し出たものが
    使用することになるのかという質問があり、郵政省から周波数の逼迫時
    には国際ルールに即して協議を行い割当てを決定していくことになる旨、
    説明があった。
     なお、本システムは周回衛星の管理を米国が行っており、米国が国際
    ルールに即してその周波数使用の申し出を行い、これを日本も含めた各
    国が受入れることとなった旨、説明があった。

   ・ 今後の周波数資源の開発に関する質問があり、郵政省から現在使われ
    ていないミリ波等の新たな周波数帯を開発していく必要がある旨、説明
    があった。

   ・ 本システムの周回衛星の規制に関する質問があり、郵政省から周回衛
    星の管理に関する規制は米国が行う旨、説明があった。

    審議した結果、適当である旨答申を行った。

 (4)無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一
   部を改正する省令案について

    マイクロ波帯等の固定局に係る技術基準の制定及びVSAT地球局の技
   術基準適合証明対象範囲の拡大に伴う無線設備規則及び特定無線設備の技
   術基準適合証明に関する規則の各一部を改正する省令案について、郵政省
   から説明があった。

   ア マイクロ波帯等の固定局に係る技術基準の制定関係
     マイクロ波帯(3〜30GHz)及びミリ波帯(30〜300GHz)
    の周波数の電波を使用する固定局の技術基準は、電波監理上必要な電波
    の質(周波数の許容偏差、スプリアス発射の強度等)、空中線電力の許
    容偏差等については無線設備規則に規定されているが、使用周波数帯及
    びシステム固有の技術基準の規定はない。
     本件は、本年3月の規制緩和推進計画において、当該システムの技術
    基準と使用周波数の一層の明確化を図ることが閣議において決定された
    ことを受け、マイクロ波帯等の周波数を使用する警察、建設等の国の機
    関や電気、ガス等の公共機関の固定局に係る使用周波数及び技術基準を
    規定することにより、当該無線局を開設しようとする者の申請に際して
    の行政の透明性の確保に資することとするものである。

   イ VSAT地球局の技術基準適合証明対象範囲の拡大関係
     近年、衛星を利用した通信システムの普及が著しい状況にあり、特に
    VSATシステムは小型で可搬可能な地球局を用いて通信ができ、また、
    免許手続上も簡易な手続で免許できるということから、固定の衛星利用
    の主流を占めている現状にある。
     本件は、本年3月の規制緩和推進計画において、当該システムの技術
    基準適合証明の対象となる範囲を拡大することにより一層の普及を図る
    ことが閣議において決定されたことに基づき、現行の技術基準適合証明
    の対象である無線設備における空中線電力が10ワット以下であって、
    かつ、信号伝送速度が3300kbps以下であるという条件を、空中
    線電力については50ワット以下、信号伝送速度については特に制限を
    設けないこととするよう条件を緩和するものである。

    マイクロ波帯等の固定局技術基準の制定に関し、郵政省に対して、技術
   基準を明確化することは困難な作業であろうが、行政事務の公正及び透明
   性の確保の観点から、国内外において容易に理解できるような具体的な審
   査基準となるよう努力されたい旨、要望が出された。

    本件は意見の聴取の必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
   手続を主宰する審理官を指名した。

 (5)報告事項

   ア 電子化に対応した申請・届出等手続の導入について
     郵政省から申請・届出等の電子化への動きとして、政府及び郵政省に
    おける取組みについて説明があった。また、郵政省の取組み内容として、
    申請等の形態の多様化を図かる申請・届出等手続の電子化、書類管理に
    おける利便性の向上を図る各種書類の電子保存、それに伴う郵政省令の
    改正を行うことについて説明があった。

   イ 国際電気通信連合(ITU) 世界無線通信会議(WRC−97)の
    結果概要について
     郵政省から世界無線通信会議(WRC−97)の概要等について説明
    があった。
     当該会議は、本年10月27日から11月21日までの間、ジュネー
    ブ(スイス)において開催され、その主な審議結果として、放送衛星プ
    ラン、非静止衛星を利用した衛星通信システムへの無線周波数分配の決
    定等について説明があった。

   ウ その他
     郵政省から、10月31日開催の電波監理審議会(第803回)に諮
    問し、答申のあったCSデジタル放送に係る有料放送役務標準契約約款
    について、誤記及び内容の明確化のために一部を修正の上、官報に掲載
    した旨の報告があった。


   (文責:電波監理審議会事務局 速報につき、事後修正の可能性あり。)
トップへ