審議会のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ・ 電波管理審議会

電波監理審議会(第811回)議事要旨(平成10年6月5日公表)






1 日時
  平成10年5月15日(金)15:30〜16:43


2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)


3 出席者(敬称略)
 (1) 電波監理審議会委員
   塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
 (2) 電波監理審議会審理官
   金谷 利二
 (3) 幹事
   渡辺 信一(審議会室長)
 (4) 郵政省
   電気通信局長及び放送行政局長ほか


4 議題
 (1) 諮問事項
  ア 無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案に
   ついて
  イ 無線従事者規則の一部を改正する省令案について
  ウ オーブコムジャパン株式会社所属携帯基地地球局の予備免許及び特定無線
   局の包括免許について

 (2) 報告事項
   「青少年と放送に関する調査研究会」について

 (3) その他
   無線局の免許について


5 議事模様
 (1) 無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案につ
   いて
   国内通信衛星を使用して本邦外の場所相互間の通信の媒介を可能とするため
   の無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準(以下「根本基準」とい 
   う。)の一部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。

  ・ 対地静止衛星に開設する人工衛星局については国内通信及び国際通信に加
   えて本邦外の場所相互間の通信を媒介することができるようにし、衛星通信
   システムの一層の進展と電波の有効利用を図るものである。
  ・ 対地静止衛星に開設される電気通信業務用の無線局であって、本邦外相互
   間の通信を媒介する業務を行うことを目的の一部とするものが含まれるよう
   根本基準における当該無線局の用語の意義を改めるとともに、当該無線局が
   本邦外の場所相互間の通信を媒介する業務を併せ行うものにあっては、本邦
   内に居住する利用者の需要に支障を与えないものであることの条件を定める
   ものである。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 海外の利用者を対象とする本邦外相互間通信について、電波法上の位置
    付けに関して質問があり、郵政省から電波法第5条において外国性の排除
    という形で電波の自国民優先使用に関する規定があり、徐々に緩和等して
    きた経緯があること及び国内に居住する者のニーズに支障がない範囲内で
    本邦外相互間通信を限定的に認めていくことは電波法の目的に合致してい
    ると考えている旨、説明があった。
   ・ 他国の衛星についても本件のような利用が許されているのかという質問
    があり、郵政省から例えば米国においては電気通信事業者に対する外国か
    らの出資規制は厳しいが、当該事業者の業務については比較的緩やかであ
    り、極端なものとして完全に他国民のニーズのために衛星を提供している
    例もある旨、説明があった。
   ・ 改正案にある「本邦内に居住する利用者の需要に支障を与えないもので
    あること」との条件の担保の有無について質問があり、郵政省から当該条
    件については、支障の有無の判断を数量的な形で示すこととし、審査基準
    において、例えば、全通信容量の20%以下までを本邦外相互間通信に使
    用できるよう定めるとともに本邦内に居住する利用者の需要に支障を与え
    ないこと」を免許条件としたい旨、説明があった。

   本件は意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
  手続を主宰する審理官を指名した。
   また、委員から意見の聴取の場においては、「本邦内に居住する利用者の需
  要に支障を与えないこと」との免許条件に関して、本邦外相互間通信を媒介す
  るものであり、国際的な問題が絡む等のことを考慮の上、当該条件の意味して
  いるところを十分に利害関係者に説明されたい旨、発言があった。

 (2) 無線従事者規則の一部を改正する省令案について

   無線従事者養成課程の授業時間数の短縮及び工事担任者資格の新設に伴う無
  線従事者国家試験の科目免除に関する規定の整備のための無線従事者規則の一
  部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。

  ア 無線従事者養成課程の従業時間数の短縮関係
   ・ 最近の技術革新の結果、無線設備は、回路・素子の高集積化等による構
    造の一体化、高度な制御技術等による信頼性や操作性の向上が進んできて
    いる。
     本件は、これらの状況等に対応して、10資格に係る無線従事者養成課
    程の授業時間数の短縮を以下のとおり行うものである。

    (資  格)     (現行の授業時間数) (改正後の授業時間数)
    第四級海上無線通信士    102時間以上     91時間以上
    第一級海上特殊無線技士    45時間以上     41時間以上
    第二級海上特殊無線技士    17時間以上     15時間以上
    レーダー級海上特殊無線技士   6時間以上      5時間以上
    航空無線通信士       109時間以上    100時間以上
    航空特殊無線技士       21時間以上     18時間以上
    第一級陸上特殊無線技士    57時間以上     54時間以上
    第二級陸上特殊無線技士    10時間以上      9時間以上
    第三級アマチュア無線技士   43時間以上     39時間以上
    第四級アマチュア無線技士   14時間以上     10時間以上
   ・ なお、本件は、本年3月に閣議決定された規制緩和推進3か年計画の中
    に盛り込まれたものである。

  イ 工事担任者資格の新設に伴う無線従事者国家試験の科目免除関係
   ・ 本年5月に工事担任者規則の一部が改正され、新たに簡易な工事担任者
    資格として「デジタル第三種」が新設されたことに伴い、当該資格保有者
    が無線従事者国家試験を受ける場合の国家試験の一部免除に関する規定を
    整備するものであり、具体的には、「デジタル第三種」の資格保有者が無
    線従事者国家試験を受験する場合、試験の一部免除は適用されないことと
    するものである。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 授業時間数の設定の仕方について質問があり、郵政省から授業における
    具体的な科目の内容について告示レベルで細かく設定し、それを積み上げ
    て時間数を設定している旨、説明があった。
   ・ 養成課程では所定の時間数の講習を受講するだけで資格取得できるのは
    疑問という質問があり、郵政省から講習を修了した後に修了試験を受け、
    それに合格しなければ資格は取得できない仕組みとなっている旨、説明が
    あった。
   ・ 規制緩和という観点から単に時間数を手直しして資格取得を容易にする
    方法より、国家試験による方法のみに限る方が本筋ではないかとの質問が
    あり、郵政省から無線従事者資格の取得方法は国家試験に合格することを
    基本とし、比較的簡易な資格について養成課程による取得方法も設けてい
    る旨、説明があった。

   本件は意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
  手続を主宰する審理官を指名した。

 (3) オーブコムジャパン株式会社所属携帯基地地球局の予備免許及び特定無線局
   の包括免許について

   オーブコムジャパン(株)所属携帯基地地球局の予備免許及び特定無線局の
  包括免許について、郵政省から説明があった。

  ・ オーブコムシステムは、低軌道周回衛星を使用して双方向の衛星データ通
   信サービスを提供するものであるが、本件はオーブコムジャパン(株)が日
   本において当該サービスの提供のために必要な携帯基地地球局及び特定無線
   局(携帯移動地球局)を開設したいとして免許申請があったものである。
  ・ 本件申請を審査した結果、電波法第7条第1項及び同法第27条の規定に
   適合していると認められることから、携帯基地地球局に対する予備免許及び
   特定無線局に対する包括免許を付与するものである。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 我が国の低軌道周回衛星を使用した衛星通信システムの開発状況や技術
    開発の進捗状況について質問があり、郵政省から衛星通信については当初
    軍用での開発から始まったため米国や英国での開発は進んでいるが、我が
    国においても次世代に向けて研究開発が進められている旨、説明があった。
                                     
      審議した結果、適当である旨答申を行った。

 (4) 報告事項

   「青少年と放送に関する調査研究会」について
                                     
      郵政省から、本年5月14日に第一回の会議を開催した「青少年と放
     送にに関する調査研究会」に関して、青少年の健全育成と放送分野の関
     わりという観点から調査研究を行うことを目的としており、前東京大学
     総長の吉川座長を含めて16名の有識者で構成され、本年10月から1
     1月を目途に報告を取りまとめる予定である旨、報告があった。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 本調査研究会では青少年からの意見を聴く機会を設けるのかという質問
    があり、郵政省から青少年からの意見を聴く機会を設ける方向で取り運び
    中である旨、説明があった。
   ・ どの程度の年齢層の青少年を対象とするかとの質問があり、郵政省から
    定義としては14歳から19歳までという法令があるが、本調査研究会で
    は現在、特別の限定をおいているわけではない旨、説明があった。

 (5) その他

   無線局の免許について

   郵政省から、電波監理審議会から説明するよう養成のあった「無線局の免 
  許」に係る基本的な考え方等について、歴史的経緯を紹介し、周波数の有効利
  用と混信排除等を図る必要から免許制度がとられていること、したがって免許
  の承継は原則認められないこと、また、国の命令によって周波数を変更する場
  合には損失補償を行う制度となっていること等の説明があった。

   主な質疑応答は以下のとおり。
   ・ 免許申請手数料等免許を得るための経費について質問があり、郵政省か
    ら免許申請手数料は申請に係る審査等の事務の実費という性格のものであ
    り、無線局の種別、規模等により手数料が異なるが、概ね数千円から数万
    円ぐらいである旨、説明があった。
   ・ 電波利用料について質問があり、郵政省から電波利用料は免許申請手数
    料とは異なり、電波監視、無線局管理のためのデータベース整備、周波数
    開発等の目的に充てられるものである旨、説明があった。


   (文責:電波監理審議会事務局  速報につき事後修正の可能性あり)



トップへ