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電波監理審議会(第813回)議事要旨(平成10年8月6日公表)





1 日 時
  平成10年7月17日(金)15:30〜17:52

2 場 所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)
 (1) 電波監理審議会委員
    塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
    常磐 文克 
 (2) 電波監理審議会審理官
    小山 隆生 
 (3) 幹事
    小野寺 敦子(審議会室長) 
 (4) 郵政省
    電気通信局長及び放送行政局長ほか

4 議 題
 (1) 議決事項
  ア 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関
   する規則の各一部を改正する省令案(10.7.17諮問第28号)に関する意見の聴
   取の手続を主宰する審理官の指名について
  イ 放送法施行規則、放送局の開設の根本的基準、無線設備規則、標準テレビ
   ジョン放送(デジタル放送を除く。)に関する送信の標準方式、標準テレビ
   ジョン音声多重放送に関する送信の標準方式及び標準テレビジョン・データ
   多重放送及び高精細度テレビジョン・データ多重放送に関する送信の標準方
   式の各一部を改正する省令案並びに放送普及基本計画及び放送用周波数使用
   計画の各一部変更案(10.7.17諮問第31号)に関する意見の聴取の手続を主宰
   する審理官の指名について
 (2) 意見書の説明
  ア 無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案に
   関する意見の聴取の手続を主宰した審理官の意見書について(10.5.15諮問第
   20号関係)
  イ 無線従事者規則の一部を改正する省令案に関する意見の聴取の手続を主宰
   した審理官の意見書について(10.5.15諮問第21号)
 (3) 諮問事項
  ア 無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案に
   ついて(10.5.15諮問第20号関係)  
  イ 無線従事者規則の一部を改正する省令案について(10.5.15諮問第21号関 
   係)
  ウ 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関
   する規則の各一部を改正する省令案について(諮問第28号)
  エ 北陸セルラー電話株式会社及び中国セルラー電話株式会社所属特定無線局
   の包括免許について(諮問第29号)
  オ 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更について(諮問第
   30号)
  カ 放送法施行規則、放送局の開設の根本的基準、無線設備規則、標準テレビ
   ジョン放送(デジタル放送を除く。)に関する送信の標準方式、標準テレビ
   ジョン音声多重放送に関する送信の標準方式及び標準テレビジョン・データ
   多重放送及び高精細度テレビジョン・データ多重放送に関する送信の標準方
   式の各一部を改正する省令案並びに放送普及基本計画及び放送用周波数使用
   計画の各一部変更案について(諮問第31号) 
  キ BSデジタル放送に係る受託放送事業者の放送衛星局の予備免許について
   (諮問第32号)
  ク CSデジタル放送に係る委託放送事業者の認定について(諮問第33号)
 (4) 報告事項
  ア BS−4後発機を用いたデジタル放送の委託放送業務の認定に係る認定方
   針について
  イ 平成9年度の一般放送事業者の収支状況について

5 議 事 模 様
 (1) 無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案につ
  いて

   対地静止衛星に開設する人工衛星局を使用して本邦外の場所相互間の通信を
  媒介することができるようにするため、電気通信業務用無線局の意義を改め、
  同無線局が適合しなければならない基準を加えることに係る無線局(放送局を
  除く。)の開設の根本的基準の一部を改正する省令案について、意見の聴取の
  手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に基づき審議した結果、
  適当である旨、答申した。

 (2) 無線従事者規則の一部を改正する省令案について 

   最近の技術革新に伴う無線設備の信頼性、操作性の向上等にかんがみ、第四
  級海上無線通信士等10の無線従事者資格に係る養成課程の授業時間数を短縮
  すること等に係る無線従事者規則の一部を改正する省令案について、意見の聴
  取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に基づき審議した結
  果、適当である旨、答申した。

 (3) 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す
  る規則の各一部を改正する省令案について

   PHS技術を利用した1900MHz帯加入者系無線アクセス通信の実用化、携帯・
  自動車電話用周波数の追加、23GHz帯の周波数の電波を使用して通信系を構成す
  る固定局の技術基準の策定等に係る3省令の各一部を改正する省令案について、
  郵政省から説明があった。

  ・ 1900MHz帯加入者系無線アクセス通信(PHS−WLL)関係
    ・ PHS技術を利用してルーラル地域における地域網を高度化するため、
     1900MHz帯加入者系無線アクセス通信を実用化するために必要な3省令の
     関係規定を整備する。
    ・ 使用周波数については、PHSの周波数を共用する。
  ・ 4/5/6GHz帯電気通信業務用固定局関係
    現在、QPSK、16QAM及び256QAMが規定されている4/5/
    6GHz帯の周波数を使用する電気通信業務用固定局の変調方式に、新たに6
    4QAMを追加するために無線設備規則の一部を改正する。
  ・ 携帯・自動車電話の周波数の追加関係
    携帯・自動車電話用周波数として、現在800MHz帯で陸上移動無線データ
    通信に割り当てられている周波数の一部(2MHz×2)を使用可能とするた
    めに無線設備規則の一部を改正する。

   主な質疑応答は次のとおり。
  ・ PHS−WLLについて、「ルーラル地域」の定義及び設置の方法につい
   て質問があり、郵政省から、ルーラル地域については特段の定義はないが、
   既存の無線局に混信を与えないように免許の際に配慮しながら設置していく
   方針である旨の説明があった。
  ・ 海外での導入状況について質問があり、郵政省から、南米、アジア地域等
   には導入されており、通信網が発達していない地域には有効であると考えて
   いるとの説明があった。
  ・ 変調方式の追加について、なぜこれまで含まれていなかったのかとの質問
   があり、他の委員から、現行の規定はNTT通研においてアナログ程度に細
   かいデジタルの256QAMが開発されたため変調方式に含めることとなっ
   た経緯があり、現在の規定となっている。64QAMについては、今までと
   ばしていた形となっていたとの説明があった。
  ・ 携帯・自動車電話の周波数の追加については、いわばやりくり算段である
   が、今日の措置によりどれくらいの期間は大丈夫なのかとの質問があり、郵
   政省から、来年半ばまでは大丈夫と考えているが、今後一層の周波数有効利
   用のための技術開発等が必要となるとの説明があった。
  ・ 携帯電話1人1台を所有する程度にまで加入者が増加した場合にはどのよう
   に対応するのかとの質問に対して、郵政省から、本年5月で約3300万台、7
   月には約3500万台になると見込んでいるが、究極の姿として、1人1台を所
   有するようになった場合については、現在の周波数割当てでは対応できず、
   IMT−2000の実用化等で対応することとなる旨の説明があった。
  ・ 有線テレビジョン放送は、有線電気通信の送信ということになっているが、
   今回は最後の部分を無線で飛ばしており、果たして有線テレビジョン放送と
   言えるかとの質問があり、郵政省から、事業者が設置する送受信設備の間で
   無線を利用する場合でも施設全体の一部の使用という整理で有線テレビジョ
   ン放送としている旨の説明があった。
    また、郵政省から、無線に係る受信設備を受信者が設置するような場合、
   有線テレビジョン放送として規制がかかるかどうかについては、検討したい
   旨説明があった。

  本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
 手続を主宰する審理官を指名した。

 (4) 北陸セルラー電話株式会社及び中国セルラー電話株式会社所属特定無線局 
  の包括免許について
   
   北陸セルラー電話株式会社及び中国セルラー電話株式会社所属特定無線局 
  の包括免許について、郵政省から説明があり、適当である旨、答申した。
  ・ 本件は、北陸セルラー電話株式会社及び中国セルラー電話株式会社が携 
   帯・自動車電話の急速な伸びに対応し、及び通信品質の向上を図るため、
   CDMA方式によるサービスを開始するためのものである。
  ・ 平成10年12月1日に運用開始の予定である。
  ・ 他の地域での包括免許の付与状況について質問があり、郵政省から、既 
   に関西、九州及び沖縄が終了しており、北海道、東北、関東、東海、四国 
   が残っている旨の説明があった。

 (5) 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更について

   郵政省から、本件は、6月3日に公布された放送法の一部を改正する法律 
  により、日本放送協会が委託して行わせる放送が制度化されたことに伴い、 
  規定上の整理を行うものである旨の説明があり、適当である旨、答申した。
  ・ 本改正は文言の整理ではあるが制度上は重要なものであるので、行政と 
   して今後ともこのようなものについては速やかに改正されたいとの発言が 
   あった。

 (6) 放送法施行規則、放送局の開設の根本的基準、無線設備規則、標準テレビ 
  ジョン放送(デジタル放送を除く。)に関する送信の標準方式、標準テレビ 
  ジョン音声多重放送に関する送信の標準方式及び標準テレビジョン・データ 
  多重放送及び高精細度テレビジョン・データ多重放送に関する送信の標準方 
  式の各一部を改正する省令案並びに放送普及基本計画及び放送用周波数使用 
  計画の各一部変更案について

   郵政省から、本件は、CSデジタル放送の周波数指定方式を追加して、統 
  計多重方式を活用した放送番組の伝送を可能とする、CSデジタル放送のう 
  ちデータ放送に関し放送することのできる放送番組の数を30程度とする、 
  BSデジタル放送でBSアナログ放送と同一の放送番組を同時に放送する場 
  合はマスメディア集中排除原則の適用を除外する、CSアナログ放送のうち 
  テレビジョン放送に係る規定を削除する、ことを内容とする改正である旨の 
  説明があった。

   主な質疑応答は、次のとおり。
  ・ 統計多重方式の活用により空いた周波数の使用主体について質問があり、 
   郵政省から、当該周波数については新たな申請者を認定をしていく旨の説  
   明があった。
  ・ 委託放送事業者が統計多重方式を選択するインセンティブについて質問が 
   あり、郵政省から、統計多重方式の活用により使用する伝送容量が減ること
   となり、中継器使用料が割安になる旨の説明があった。

  本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、そ 
 の手続を主宰する審理官を指名した。

 (7) BSデジタル放送に係る受託放送事業者の放送衛星局の予備免許について

    2000年に放送開始を予定しているBS−4後発機に係る放送衛星局(受託
  放送事業者)の免許申請について、郵政省から説明があった。
    申請期間内に3者から申請があり、これを審査した結果、いずれも関係法 
   令に適合するが、割り当てる周波数が1波であるため、放送局の開設の根本 
   的基準第11条の規定により、優先順位により決定することとした。 
    優先順位の決定に当たっては、事業計画実施の確実性以外に差異はほとん 
   どなく、事業計画実施の確実性について詳細に審査したところ、放送衛星の 
   運用(管制)の点で、BSATの計画は同一軌道上の4機の衛星を単一主体 
   により管制する方式であり、現在の技術水準や複数の者による管制が世界的 
   にもないことから見ても、同一軌道上の4機を二の主体により管制する方式 
   である他の2者の計画に係るものより、予想外の事態への対応を含めた全体 
   としての安全性、信頼性の確実性が認められた。
    よって、BSATの申請に予備免許を与え、他の2申請に対しては免許を 
   拒否するとの説明があった。 

    主な質疑応答は、次のとおり。
  ・ 申請3者の差は、管制体制のところだけかとの質問があり、郵政省から、
   審査基準に照らした項目の範囲内では顕著な差は認められないという判断 
   をしている旨の説明があった。
  ・ 受託放送事業者がBSATとなった場合、NHKはここに委託すること 
   は可能かとの質問があり、郵政省から、NHKとBSATとの関係では、 
   NHKがBSATに出資するかどうかが問題となるが、今回、NHKはB 
   SATに出資をしないためその出資規定に該当せず、特に問題はない旨の 
   説明があった。
  ・ 管制は一元的管理が望ましいとのことであるが、そうするといろいろな 
   ところが手を挙げても当分はBSAT以外は受託放送事業者となりえない 
   のではないかとの質問があり、郵政省から、管制能力は外国では6機を管 
   制しているの例があり、日本の場合、実際には予備機を含め4機以上にな 
   ることはないが、将来的には複数者による管制も技術的には可能となると 
   の説明があった。
  ・ 資金調達額について、BSATと宇宙通信はほぼ同じで、日本サテライ 
   トシステムズは50億円の差があるがなぜかとの質問があり、郵政省から、 
   地球局施設の設置場所が未定のため積算されていないが、それを入れると 
   ほぼ同額になる旨の説明があった。
  ・ 手続論的に言えば、技術的に1者で管制する方がよいということになれ 
   ば先発機を決めた時に、後発機の管制者が決まっているということとなり、
   申請募集する必要はないのではいかという質問があり、郵政省から、申請 
   前の段階でいろいろな差が出てくると予想していたが、結果として管制以 
   外の大きな差がでてこなかった旨の説明があった。
  ・ NHKの受託放送事業者となるBSATへの出資比率35%というのは 
   問題ないのかとの質問があり、郵政省から、マスメディア集中排除原則で 
   は1/3未満となっているが、今回の受託放送事業はその対象外であり問 
   題はない旨の説明があった。
  ・ BSAT社の衛星管制委託先は、通信・放送機構ということであるが、 
   他の2者が同機構に委託するという場合はどういうことになるかという質 
   問があり、郵政省から、BSATは基本的な管制方法を決め、日常のオペ 
   レートは機構に委託という形をとっているが、他2者が同様のことを行う 
   こととなると、その役割は何かという問題が残るという旨の説明があった。
  ・ NHKは委託放送事業者になれないのかという質問があり、郵政省から、
   NHKはBS−4後発機に(BS−4先発機の)サイマル事業者として委 
   託放送事業者になることは可能である旨の説明があった。
  ・ 委員から、技術的な比較から見れば、同一主体が管制することが信頼性 
   は高いと思う。BSATはNHKの12年間のノウハウを引き継いでいるこ 
   とや1000万世帯以上の視聴者保護の観点からすれば信頼性の確保が一 
   番重要と思うとの発言があった。

    審議した結果、諮問のとおり予備免許を与えることは適当である旨、答申
  した。

 (8) CSデジタル放送に係る委託放送事業者の認定について

    JCSAT−3号機、同4号機及びSUPERBIRD−C号機を利用す 
  る委託放送業務の申請及び審査結果について、郵政省から説明があった。
   ・ 標準テレビジョン放送16社18番組及び超短波放送1社1番組を認定 
    し、4社4番組については、当該業務を維持するに足りる財政的基礎が不 
    十分との理由から認定を拒否する。

    主な質疑応答は、次のとおり。
   ・ 今回の審査は、法の定める審査基準に基づき行われているのは理解でき 
    るが、今後、参入も撤退もある程度自由に行えるようにはできないかと  
    の質問があり、郵政省から、仮に安易な事業計画のものを認定し、そこが 
    放送不能となると、その電波は利用不能の状態となる。CS放送では多チ 
    ャンネル化が進み相対的には電波の有限希少性が緩和されたとしても、公 
    共性の高い電波が利用できない状態を放置することになり、他の利用者の 
    使用権を制限することになる。そのような観点から、少なくとも放送を継 
    続できるだけの最低限の財政的基礎を審査している旨の説明があった。
   ・ 事業者の中には開業までに必要な資金を必要としていない会社があるが 
    なぜかとの質問があり、郵政省から、既に放送を開始している事業者の追 
    加申請であり、放送設備等を持っているため、資金がいらないとの説明が 
    あった。
   ・ 委員から、現在の日本はベンチャー企業を助ける仕組みになっていない 
    が、日本の競争力を高めるためには、自己責任でリスクを負うあるいは失 
    敗するものがあっても、それらを抱え込んでいくという仕組みを作ってい 
    く必要があるのではないかとの発言があった。

    審議した結果、適当である旨、答申した。

 (9) 報告事項
   ア BS−4後発機を用いたデジタル放送の委託放送業務の認定に係る認定 
   方針について
 
     郵政省から、BS−4後発機を用いたデジタル放送の委託放送業務の認 
    定に係る認定方針の策定について、BS−4後発機を用いたデジタル放送 
    の委託放送業務の認定に当たり、マスメディア集中排除原則の適用及び多 
    様な番組の提供に特に留意するとの報告があった。

   イ 平成9年度の一般放送事業者の収支状況について

     郵政省から、平成9年度の一般放送事業者の収支状況について、売上げ 
   (収益)は過去最高であったが、地域やメディアにより差が出てきており、
    特に利益では、在京キー局5社で全放送事業者の約5割を占めている等の 
    報告があった。

     主な質疑応答は、次のとおり。
   ・ 不景気にもかかわらずテレビ収入が順調に推移したこと及び平成5年の 
    バブル崩壊時に収益がさほど下がっていないのに利益が大幅に減となって 
    いることについて質問があり、郵政省から、平成5年は収益に対して費用 
    が通年と変わらなかったため利益が大幅に落ち込んだものと思わる。なお、
    このこととは直接関係ないが、民放連のデジタル化に向けた経営分析にお 
    いても人件費等費用面の見直しについて指摘されているところであるとの 
    説明があった。
     また、平成9年度は順調に推移したが、放送事業は景気低迷における影 
    響について、広告の出稿等遅れて出てくる傾向にあり、各放送事業者とも 
    平成10年度においては厳しい見方をしているとの説明があった。 


   (文責:電波監理審議会事務局   速報につき事後修正の可能性あり)



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