電波監理審議会(第815回)議事要旨(平成10年11月17日公表)
1 日 時
平成10年10月23日(金)15:27〜17:40
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
(2) 電波監理審議会審理官
小山 隆生
(3) 幹事
小野寺 敦子(審議会室長)
(4) 郵政省
天野電気通信局長、品川放送行政局長ほか
4 議 題
(1) 議決事項
ア 電波法施行規則、無線局運用規則、無線設備規則及び無線局(放送局を除
く。)の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案(10.10.23諮問第36
号)に関する意見の聴取の手続を主宰する審理官の指名について
(2) 諮問事項
ア 電波法施行規則、無線局運用規則、無線設備規則及び無線局(放送局を除
く。)の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案について
(諮問第36号)
イ 北海道セルラー電話株式会社、東北セルラー電話株式会社、四国セルラ
ー電話株式会社及び日本移動通信株式会社所属特定無線局の包括免許につ
いて (諮問第37号)
ウ BS−4後発機を用いたデジタル放送に係る委託放送事業者の認定につ
いて (諮問第38号)
エ 日本放送協会所属放送衛星局の再免許について (諮問第39号)
オ 日本衛星放送株式会社所属放送衛星局の再免許について (諮問第40号)
カ 衛星デジタル音楽放送株式会社所属放送衛星局の再免許について
(諮問第41号)
キ 受託放送事業者所属放送衛星局の再免許について (諮問第42号)
ク 日本放送協会所属中波放送局の再免許について (諮問第43号)
ケ 日本放送協会所属超短波放送局の再免許について (諮問第44号)
コ 日本放送協会所属標準テレビジョン放送局の再免許について
(諮問第45号)
サ 日本放送協会所属短波放送局(国際放送)の再免許について
(諮問第46号)
シ 放送大学学園所属超短波放送局の再免許について (諮問第47号)
ス 放送大学学園所属標準テレビジョン放送局の再免許について
(諮問第48号)
セ 北海道放送株式会社等47社所属中波放送局の再免許について
(諮問第49号)
ソ 株式会社日本短波放送所属短波放送局の再免許について (諮問第50号)
タ 株式会社エフエム北海道等49社所属超短波放送局の再免許について
(諮問第51号)
チ 北海道放送株式会社等126社所属標準テレビジョン放送局の再免許に
ついて (諮問第52号)
ツ 放送用周波数使用計画の一部変更について (諮問第53号)
5 議 事 模 様
(1) 電波法施行規則、無線局運用規則、無線設備規則及び無線局(放送局を除
く。)の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案について(諮問第36号)
GMDSSの完全移行等に伴う3省令の各一部を改正する省令案について、
郵政省から説明があった。
・ GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的制度)は、昭和
62年に国際的に導入が決定された新たな海難救助システムで、その移行に
ついては平成4年から平成11年1月31日までかけて行うこととされてい
る。我が国においては平成3年に電波法を改正して、この新しい制度を導
入済みであるが、一部従来のシステムも併存している。本省令案は、昨年
のITU等においてこの新しいシステムへの完全移行(従来のシステムの
廃止)が決定されたことにより、従来のシステムに係る規定を廃止・整理
するもの。
・ 条約上、航空固定業務が固定業務に統合されたことに伴い、関係規定を
整理する。
・ IMO(国際海事機関)海上安全委員会決議に伴い、船舶用レーダーの
基準を高性能化する。
主な質疑応答等は、次のとおり。
・ 委員より、GMDSSへの完全移行に伴う部分について、本件は、従来
のシステムの利便を享受するために必要であった義務の解除等を内容とす
るが、新しいシステムへの移行により従来のシステムが使えなくなるとい
う影響もあり、実質的にも幅広い意見聴取の必要があるとのコメントがあ
った。
本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、
その手続を主宰する審理官を指名した。
(2) 北海道セルラー電話株式会社、東北セルラー電話株式会社、四国セルラ
ー電話株式会社及び日本移動通信株式会社所属特定無線局の包括免許につ
いて(諮問第37号)
北海道セルラー電話株式会社、東北セルラー電話株式会社、四国セルラ
ー電話株式会社及び日本移動通信株式会社所属特定無線局の包括免許につ
いて、郵政省から説明があり、適当である旨、答申した。
・ 本件は、各社とも、携帯・自動車電話の急速な伸びに対応し、及び通話
品質の向上を図るため、CDMA方式によるサービスを開始するためのも
のである。
・ セルラー電話会社関係では、本年2月及び7月に本件申請以外の地域に
係る会社の申請に関する諮問をしたところであり、今回の諮問により一巡
する。
(3) BS−4後発機を用いたデジタル放送に係る委託放送事業者の認定につ
いて(諮問第38号)
2000年に放送開始を予定しているBSデジタル放送における委託放
送業務の認定申請について、郵政省から説明があった。
・ 申請期間内に高精細度テレビジョン放送(以下「HDTV放送」という。
)については7社から7番組、標準テレビジョン放送(以下「SDTV放送
」という。)については8社から22番組、超短波放送については13社か
ら50番組の申請があった。
・ 各申請について、関係法令に定める審査基準により審査したところ、こ
れに適合する申請すべてを認定するには、割り当て可能な周波数が不足す
るため、放送普及基本計画で定める数の目標及びBSデジタル方式に係る
技術基準から放送の区分ごとに認定可能な番組数を算出した上、放送法関
係審査基準第8条(優先順位)の規定により、優劣判定を行った。
・ その結果、HDTV放送6社6番組、SDTV放送7社19番組及び超
短波放送9社22番組を認定し、他の申請については認定を拒否する。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 今回の認定審査では、デパート方式よりも専門店があった方がよいとい
う視聴者の立場から言えば、その視点がないという気がするという意見が
あり、郵政省から、もっと標準テレビジョン中心とすれば多様な多チャン
ネル化ができるが、今回はBSを高画質のハイビジョン放送を中心にする
との性格付けを行っている旨の回答があった。
また、財政的基礎という点にウェイトを置いているが、ベンチャー企業
を育てるという土壌がないのもこのような背景があるのではないか、との
質問があり、郵政省から、BS−4後発機はHDTV放送中心となるため、
かなりの設備投資が必要となる。ベンチャー育成となるとむしろCS放送
が適当ではないか。また、申請自体、ベンチャー性があって、かつ内容も
優れた申請が結果的になかった旨の回答があった。
・ 放送業界全体としてどのくらいの市場規模があり、その中でBS放送が
どの程度の割合を占めるのか。また、今回の認定に当たり、その市場規模
から見てどの程度の参入が可能かという観点からは見たのか、との質問が
あり、郵政省から、この点については次回別途資料を用意し説明したいと
の回答があった。
・ 民放系5社の番組内容が仮に地上民放と同じようなものであれば、放送
の多様性という観点からはあまり評価できないのではないか。BS放送の
多様性を確保するため、指導とかガイドラインというのも難しいと思うが、
何らかの対応はできないだろうか、との意見があり、郵政省から、各社と
も最初はすべてのジャンル(総合放送)を行う番組編成を計画している。
認定後、放送開始までに番組内容も具体化していくことになるが、まだ内
容も確定していない段階で(行政側から)指導とか要望というのは難しい
との回答があった。
・ 受託の審査では信頼性がポイントになったが、委託の審査では放送の信
頼性という点ではあまり差はなかったのか、との質問があり、郵政省から、
受託放送事業者の決定では、ハード面からその安定性・信頼性を重視した
が、委託放送事業者の審査では、ハード整備については基本的には事業者
サイドが決めるべきと考えており、今回は特に審査の対象にはしていない、
との回答があった。
・ 今回の認定に関しては、BS放送とCS放送とで政策的な棲み分けがで
きているのではないか、との質問があり、郵政省から、この点については
次回別途資料を用意し説明したいとの回答があった。
・ BS放送にベンチャー企業が参入しにくい理由というのはあるのか、ま
た、映画中心の番組には多様性がないというように受け止められると反論
される余地があるのではないかとの質問があり、郵政省から、この点につ
いては次回別途資料を用意し説明したいとの回答があった。
本件については、慎重に審議するため、もう一度審議の日を設けることと
した。
なお、次回の会議は、10月27日(火)に開催することとした。
(4) 放送局の再免許について(諮問第39号から諮問第52号まで)
・ 衛星系再免許(諮問第39号〜第42号)について
NHK及び民間放送の放送衛星局に係る再免許について、郵政省から、
申請概要及び審査内容について説明があった。
・ 衛星デジタル音楽放送(株)については、5年間にわたっての経営を維
持するに足りる財政的基礎があるとは認められないが、聴取者保護の観
点及び現在の経営再建に向けた努力を考慮して免許の有効期間を1年と
し、その他の衛星放送局の免許の有効期間を5年とした。
・ NHK衛星第1については「申請書記載のとおり教育番組10%以上、
教養番組20%以上を確保する」旨、衛星第2については「難視聴解消を
目的とする放送としての役割を確保」「申請書記載のとおり教育番組30
%以上、教養番組20%以上を確保する」旨の条件を付しているが、この
条件は従来どおりである。
・ NHK及び放送大学学園再免許(諮問第43号〜第48号)について
NHK及び放送大学学園の中波放送、超短波放送、標準テレビジョン放
送及び短波放送(国際放送)の親局の再免許について、郵政省から申請概
要及び審査内容について説明があった。
・ 放送局の開設の根本的基準の適合性に関する審査のうち、過去の実績
をもっても証明されるべき事項のうち「放送番組の編集及び放送につい
ての適合性」、「視聴覚障害者のための放送」、「放送番組審議会の開
催状況等」、「災害に関する放送の実施体制」及び「ローカル放送の充
実」を重点に精査した。
・ なお、標準テレビジョン放送を行う放送局の再免許については、教育
番組及び教養番組の放送の確実な実施を図るため、総合放送においては、
「申請書記載のとおり教育番組10%以上、教養番組20%以上を確保
する」旨の条件を、教育放送においては、「申請書記載のとおり教育番
組75%以上、教養番組15%以上を確保する」旨の条件を付すること
とした。
・ その他、すべての申請について、電波法及び放送局の開設の根本的基
準に定められる審査項目に適合していると認められた。
・ 地上系再免許(諮問第49号〜第52号)について
地上系一般放送事業者の中波放送局、短波放送局、超短波放送局及び標
準テレビジョン放送局の親局の再免許について、郵政省から申請概要及び
審査内容について説明があった。
・ 放送局の開設の根本的基準の適合性に関する審査のうち、同基準第9
条(マスメディア集中排除原則)の適用関係に関する審査については、
放送会社の株式保有(議決権)による経営支配関係を審査するに当たり、
いわゆる他人名義の株式及び子会社保有の株式の取扱いを、平成7年6
月に「電波法関係審査基準(6.9.22達第3号)」を改正して定めたことに
伴い、同審査基準により精査した。
・ なお、標準テレビジョン放送を行う放送局の免許については、教育番
組及び教養番組の放送の確実な実施を図るため、「申請書記載のとおり
教育番組10%以上、教養番組20%以上を確保する」旨の条件を付す
ことし、また、(株)京都放送所属の中波放送局及び標準テレビジョン放送
局の免許には、同社が会社更生法の適用を受けている状況に鑑み、「更
生手続廃止の決定が確定した場合は、免許は失効する」旨の条件を付す
こととした。
・ その他、全ての申請について、電波法及び放送局の開設の根本的基準
に定められる審査項目に適合していると認められた。
主な質疑応答は、次のとおり(諮問第39号から第52号まで一括)。
・ 委員から、マスコミ集中排除に係る審査に当たっては、持ち株制限に係
る規制を緩和する一方で審査基準をより厳格としたものだが、十分精査頂
いたものと思うとのコメントがあった。
・ 教育・教養番組については、放送事業者各社が分類基準を異にしている
のではないか。放送事業者は、各局がそれぞれどういう番組を教育・教養
番組としたのか情報提供する必要があるのではないか等の意見があり、こ
れに対して郵政省から、番組の分類基準については、一義的には放送事業
者側に委ねられている等の回答があった。
・ また、以上の放送番組の取扱いに関連し、各放送事業者が設置している
番組審議機関の活動状況等の視聴者への公開度について質問があり、郵政
省から別途資料を用意し、説明したいとの回答があった。
本件については、もう一度審議の日を設けることとした。
(5) 放送用周波数使用計画の一部変更について(諮問第53号)
郵政省から、株式会社とちぎテレビの中継局の設置のための放送用周波数
使用計画の一部変更について説明があり、適当である旨、答申した。
・ 株式会社とちぎテレビが平成11年4月に開局を予定していることに伴い、
親局の放送開始と同時に必要となる中継局(日光及び大田原局)の周波数及
び空中線電力等を定めるため放送用周波数使用計画の一部を変更する必要が
ある。
(文責:電波監理審議会事務局 速報につき事後修正の可能性あり)