電波監理審議会(第821回)議事要旨(平成11年4月15日公表)
1 日 時
平成11年3月30日(火)15:32〜17:20
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男、
常盤 文克
(2) 電波監理審議会審理官
小山 隆生
(3) 幹事
小野寺 敦子(審議会室長)
(4) 郵政省
天野電気通信局長、品川放送行政局長ほか
4 議 題
(1) 議決事項
放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案(11.3.30諮問
第16号)に関する意見の聴取の手続を主宰する審理官の指名について
(2) 意見書の説明
ア 放送用周波数使用計画の一部変更案に関する意見の聴取の手続を主宰し
た審理官の意見書について (11.1.18諮問第1号)
イ 無線設備規則及び標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する
送信の標準方式の各一部を改正する省令案に関する意見の聴取の手続を主
宰した審理官の意見書について (11. 1.18諮問第2号)
(3) 諮問事項
ア 放送用周波数使用計画の一部変更案について (11. 1.18諮問第1号)
イ 無線設備規則及び標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する
送信の標準方式の各一部を改正する省令案について(11. 1.18諮問第2号)
ウ 電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について
(11. 3.30諮問第10号)
エ 日本放送協会放送受信料免除基準の変更の認可について
(11. 3.30諮問第11号)
オ 日本放送協会に対する平成11年度国際放送実施命令について
(11. 3.30諮問第12号)
カ 日本放送協会の中継国際放送に関する協定の変更の認可について
(11. 3.30諮問第13号)
キ 愛知国際放送株式会社所属超短波放送局の予備免許について
(11. 3.30諮問第14号)
ク CSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について
(11. 1.18諮問第15号)
キ 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
(11. 1.18諮問第16号)
(4) 報告事項
ア 電波法の一部を改正する法律案について
イ 規制緩和推進3か年計画の改定について
5 議 事 模 様
(1) 放送用周波数使用計画の一部変更案について (11. 1.18諮問第1号)
超短波放送(地上系)の送信条件及びコミュニティ放送の空中線電力の制
限の見直しに係る放送用周波数使用計画の一部変更案について、意見の聴取
の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に基づき審議した結
果、適当である旨、答申した。
(2) 無線設備規則及び標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送
信の標準方式の各一部を改正する省令案について (11. 1.18諮問第2号)
CSデジタル放送における高精細度テレビジョン放送(HDTV放送)等
の導入に向けた規定の整備に関する無線設備規則及び標準テレビジョン放送
等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式の各一部を改正する省令案に
ついて、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書
に基づき審議した結果、適当である旨、答申した。
(3) 電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について
(11. 1.18諮問第1号)
電波法第38条の2第1項の規定に基づく指定証明機関の指定について、
郵政省から説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
・ 本件は、400MHz帯等業務用無線のデジタル・ナロー通信方式を用いる無
線設備等に係る技術基準適合証明を行う機関として、財団法人テレコムエ
ンジニアリングセンターから指定申請があり、審査の結果、同法人を指定
しようとするものである。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 申請が競合することはないのかとの質問があり、郵政省から、申請が出
ていないというのが実態であるが、設備導入やノウハウなど事業化の点で
そのようになっているのではないかとの回答があり、併せて、従前は技術
基準適合証明の前段階としてのデータの取得業務もこの指定証明機関で行
っていたが、現在はこの部分は、民間で行うようにしており、競合がある
との説明があった。
(4) 日本放送協会放送受信料免除基準の変更の認可について
(11. 3.30諮問第11号)
日本放送協会放送受信料免除基準の変更の認可について、郵政省から説明
があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
・ 今回の変更は、小中学校の校長室、職員室の免除措置を廃止しようとす
るもの並びに学校教育法の一部を改正する法律及び精神薄弱の用語の整理
のための関係法律の一部を改正する法律の施行に伴うものである。
・ 学校における受信料免除は、放送の普及という観点から教育の専用に供
する受信機について実施してきたものであるが、その利用実態にかんがみ
校長室、職員室の適用を除外し、適用範囲を明確にするため「児童、生徒
及び幼児の専用に供する」ものに限定しようとするものである。
なお本件は、平成11年度NHK予算の国会審議の際にも議論されたが、
予算は全会一致で承認されている。また、教育関係団体(12団体)にも
説明し、うち4団体から継続要望があったが、これらについても再説明に
より理解された。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 関係団体から要望書が出されているが、現時点においては措置内容は理
解されているのかとの質問があり、郵政省から理解をいただいている旨の
回答があった。
・ 免除対象には具体的にどのようなものがあるのかとの質問があり、郵政
省から、児童福祉施設、生活保護施設等がある旨の回答があった。
・ 他の免除対象はどうなるのかとの質問があり、郵政省から今後検討して
いく旨の回答があった。
(5) 日本放送協会に対する平成11年度国際放送実施命令について
(11. 3.30諮問第12号)
日本放送協会に対する平成11年度国際放送実施命令について、郵政省か
ら説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
・ NHKが行っている短波国際放送は、全世界に向け22言語で放送され
ているが、これにはNHKが自主的に行っている自主放送と国の命令によ
る命令放送がある。本件はこの命令放送について、放送事項や放送放送区
域等を指定して命令しようとするものである。
・ 聴取者は全世界で約1300万人近くと推定され、ニュースは公平性・客観
性の点で高く評価され、また、日本語学習番組や日本の文化の紹介番組な
どは好評であり、全体として概ね好評である。
(6) 日本放送協会の中継国際放送に関する協定の変更の認可について
(11. 3.30諮問第13号)
日本放送協会の中継国際放送に関する協定の変更の認可について、郵政省
から説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
・ 短波国際放送は、世界各地の中継所を使用して放送されているが、中継
所を借用する方法と外国放送局との間で協定を締結しバーターで相手の放
送を中継するという方法がある。
本件は、BBCとの間で締結しているシンガポール中継所(インドシナ
半島向け放送)に関する協定を1年間延長しようとするものである。
(7) 愛知国際放送株式会社所属超短波放送局の予備免許について
(11. 3.30諮問第14号)
愛知国際放送株式会社所属超短波放送局の予備免許について、郵政省から
周波数割当てから免許申請に至る経緯、愛知国際放送株式会社の申請概要及
びその審査結果について説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 外国語放送の収入はどのようにして得ているのかとの質問があり、郵政
省から、基本的にはCM収入によるが、放送局によっては純粋なCM収入
と企業の国際的な協力による側面の収入によって事業が運営されていると
ころもある旨の回答があった。
(8) CSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について
(11. 3.30諮問第15号)
ショッピングチャンネル株式会社及び株式会社スーパーネットワークから
申請のあった委託放送事項の変更許可申請の概要及びその審査結果について、
郵政省から説明があり、審議の結果、適当である旨答申した。
なお、答申に当たって、このところこの種の変更許可申請が続いているが、
変更許可に係る電波監理審議会への諮問の在り方について検討してもいいの
ではないかとのコメントがあった。
・ ショッピングチャンネルについては、視聴者のニーズの多様化に対応す
べく現在のショッピング情報に加え「娯楽」の一部としてファミリー向け
アニメ番組を追加しようとするものであり、スーパーネットワークについ
ては、「教養」「報道」を削り、「教養」(カルチャー番組)と「娯楽」
(ホビー番組)を中心とした番組に特化しようとするものである。
(9) 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
(11. 3.30諮問第16号)
BSアナログ放送で行われている高精細度テレビジョン(HDTV)放送
(いわゆるハイビジョン放送)の今後の取扱い及びNHKのデジタルHDT
V放送等についての方針案に係る放送普及基本計画及び放送用周波数使用
計画の各一部変更案について、郵政省から説明があった。
・ デジタル方式によるHDTV放送への視聴者の円滑な移行を図る、デジ
タルへの移行までの間アナログ方式によるHDTV放送の視聴者の視聴機
会に配慮する、放送番組の多様性を確保するためNHKの保有メディアが
過剰とならないという三点を確保する観点から、現在未定となっているア
ナログ放送及びデジタル放送におけるHDTV放送の位置付けや実施主体
などについて方針を策定するものである。
・ 具体的な内容は次のとおりである。
・ 現在、BS−4先発機において行われているアナログHDTV(ハイ
ビジョン)実用化試験放送の免許は平成12年(2000年)7月22日が期限と
なっているが、それ以降、BS−4後発機におけるデジタル放送の開始
(平成12年末予定)までの間については、NHK及び希望する放送事業
者に再免許し、実用化試験放送として実施する。また、BSデジタル放
送開始後については、NHK及び希望する事業者による「デジタル方式
の放送へ円滑に移行するための放送」として実施する。
・ このアナログHDTV放送は、遅くともBS−4先発機の運用終了時
期までに終了する。具体的な終了時期は当該放送の視聴者のデジタル放
送への移行状況等にかんがみ、適当な時期を別途定める。
・ BS−4後発機においては、既に認定した委託放送事業者の番組に加
えて、NHKがデジタルHDTV放送1番組を実施する。
・ BSデジタル放送への移行が完了した後におけるNHKのBS放送に
ついては、BSアナログ放送の終了までに、2番組を超えないことを前
提に、その全体の在り方を見直す。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 2000年末のBSデジタル放送開始後、BSアナログ放送終了までの期間
において、NHKがSDTVとHDTVで当面同じ番組を放送することが
できない理由として、外国等からのSDTV対応番組の調達を数年先にわ
たって既に計画していることを挙げているが、1)HDTV化の見通しのな
い国からも番組調達は続くこと、2)NHKはODAなどにより海外に番組
提供しているが、提供先のほとんどはアナログSDTV放送しか行ってい
ないため、NHKのHDTVをダウンコンバートして提供しなければなら
ないことから、むしろ安いコンバーターによる技術的な解決が必要ではな
いかとの質問があり、郵政省から、HDTV化の困難な番組もあるが、米
国からのものについては、いずれHDTV化される見通しである旨の回答
があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があると認められたため、意見の聴取を
行うこととし、その手続を主宰する審理官を指名した。
なお、意見聴取の際には学識経験者等からの意見を含め、幅広い意見の
聴取に努められたい旨のコメントがあった。
(8) 報告事項
ア 電波法の一部を改正する法律案について
郵政省から、現在、国会提出中である電波法の一部を改正する法律案の
概要について、報告があった。
イ 規制緩和推進3か年計画の改定について
郵政省から、本日(11.3.30)、閣議決定された「規制緩和推進3か年計画
の改定について」のうち電波関係の事項について、報告があった。
(文責:電波監理審議会事務局 速報につき事後修正の可能性あり)