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電波監理審議会意見の聴取(第330回)意見書(平成11年6月11日公表)





                意 見 書


 BS放送におけるHDTV放送のデジタル方式への円滑な移行に関する制度整備
に係る放送普及基本計画(昭和63年郵政省告示第660号)及び放送用周波数使用計画
(昭和63年郵政省告示第661号)の一部変更案について、電波法第99条の12第
2項の規定により、意見の聴取を行った(平成11年5月26日)結果、下記のと
おり意見を決定する。



                      主任審理官  小 山 隆 生

                  記

第1 意 見

   放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案は、それぞれ適
    当である。

第2 事実及び争点

 1 郵政省の陳述の大要

   本件は、BSアナログ放送で行われている高精細度テレビジョン(HDTV)
  放送及び2000年末に予定されているBSデジタル放送のHDTV放送について、
  デジタル方式によるHDTV放送への視聴者の円滑な移行を図ること、デジタ
  ル方式への移行までの間、アナログ方式によるHDTV放送の視聴者の視聴機
  会に配慮すること、放送番組の多様性を確保するため日本放送協会(以下「N
  HK」という。)の保有メディアが過剰とならないこと、という3点を確保す
  ることを基本に、今後の取扱いに係る考え方を策定しようとするものである。

 2 改正案(放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案)の内容
  (1) BS−4先発機において行われているアナログHDTV放送は、平成12年
   7月22日以降、デジタル放送開始(平成12年末予定)までの間は、NHKと
   希望する者による実用化試験放送として実施する。また、BSデジタル放送
   開始後は、NHKと希望する者による「デジタル方式の放送へ円滑に移行す
   るための放送」として実施する。
  (2) このアナログHDTV放送は、遅くともBS−4先発機の運用終了時期ま
   でに終了する。具体的な終了時期については、当該放送の視聴者のデジタル
   放送への移行状況等をかんがみ、適当な時期を別途定める。
  (3) BS−4後発機において、NHKがデジタルHDTV放送1番組を実施する。
  (4) BSデジタル放送への移行が完了した後におけるNHKのBS放送につい
   て、BSアナログ放送の終了までに、2番組を超えないことを前提に、そ
   の全体の在り方を見直す。

 3 参考人の陳述

   本件については、電波法第99条の12第6項において準用する第92条の
  2の規定に基づき、職権により、参考人として文部省学術情報センター教授の
  羽鳥 光俊 氏及び上智大学助教授の音 好宏 氏に意見の陳述を求めた。
   両参考人の陳述の概要は、次のとおりである。

  (1) 羽鳥 光俊 氏
   ア アナログHDTV放送について
    (ア) BSデジタル放送開始まで
      現在のアナログHDTV放送の視聴者を保護する必要があること、及
     びNHKは本放送化を希望しているが、BSデジタル放送開始予定の平
     成12年末までの期間は長くはないので、実用化試験放送でも本放送で
     も大きな差異はないと考えられることから、案に賛成である。
    (イ) BSデジタル放送開始後
      アナログHDTV端末を有する視聴者がBSデジタル放送の視聴が可
     能となるまで、当分の間、配慮する必要があること、及び引き続き実用
     化試験放送とすべきとの意見もあるが、BSデジタル放送開始後は、ア
     ナログHDTVを「デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送」
     として実施することが適当であり、案に賛成である。
   イ アナログHDTV放送の終了時期について
     視聴者のデジタル放送への移行状況等にかんがみ適当な終了時期を別途
     定めることは適切であること、及びBS−4先発機の運用が終了する20
     07年までにはデジタル放送への移行が進んでいると思われることから、
     案に賛成である。
   ウ NHKのデジタルHDTV放送について
     デジタルHDTV放送技術、番組制作技術等について豊富なノウハウを
    蓄積しているNHKが、民間放送事業者とともにデジタルHDTV放送を
    行い、引き続き先導的役割を発揮することが適当であると考えられること
    から、案に賛成である。
   エ NHKのBS放送における保有メディアの在り方について
     3番組では電波の逼迫状況にかんがみ多すぎると考えられ、また、1番
    組では少なすぎると考えられることから、案に賛成である。
     なお、この2番組は、1番組のデジタルHDTVと1番組のSDTVで
    はなく、2番組のデジタルHDTV放送を行うことが適当であると考える。

  (2) 音 好宏 氏
   ア アナログ方式による高精細度テレビジョン放送の取扱い等について
     現在のアナログHDTV放送の扱いについては、現在のアナログHDT
    V放送の視聴者の保護に十分留意しつつ、BS放送のデジタル放送への円
    滑な移行を図ることが重要と考える。
     現在のアナログHDTV実用化試験放送は、社会的に十分に認知されて
    いるともに既に70万件以上の受信機が普及していることを踏まえ、今後
    のデジタル放送への円滑な移行の観点から、現在のアナログHDTV放送
    の免許期限後も、実用化試験放送とそれに続く「デジタル方式の放送へ円
    滑に移行するための放送」として、NHK並びに希望する事業者により、
    1系統のアナログHDTV放送を行うことが適切である。
     アナログHDTV放送の終了時期については、BS−4先発機の運用終
    了時期を一応の目途とするものの、今後のアナログHDTV放送の視聴者
    のデジタル放送への移行状況、並びにデジタルHDTV放送全体の普及状
    況を踏まえて、十分な検討を行っていくことが肝要である。
     そこでは、アナログHDTV放送の視聴者が、デジタルHDTV放送へ
    の移行を希望しうるような環境整備を行っていくことが必要である。その
    意味から、NHKが行うアナログHDTV放送は、デジタルHDTV放送
    と同時、同一内容の放送(サイマル放送)であるべきであるとともに、デ
    ジタル放送が、デジタル方式ゆえの技術的可能性を十分に発揮できるよう
    な事業環境を整備すべきである。
   イ NHKのデジタルHDTV放送の取扱い等について
     NHKは、国内の放送事業者のなかで最もHDTV放送に関する経験や
    蓄積を持っていると考えられる。デジタルHDTV放送の開始にあたって、
    NHKがこれまで培ってきたHDTVに関する技術・ノウハウを十分に活
    用し、新たな放送サービスの確立・発展のために、積極的にHDTV放送
    を行うことができる環境を整えるべきである。このことから、BS−4後
    発機では、NHKが総合放送を行う委託放送事業者としてデジタルHDT
    V放送を行うのが妥当である。
     今後、デジタルHDTV放送においても、その事業性の確立に当たって
    は、NHKと民間放送事業者が協調して普及・発展に努めていくことが肝
    要である。
     NHKが行うデジタルHDTV放送に関しては、公共放送という性格か
    ら、災害や重大事件・事故などへの対応にあたって、標準テレビジョン(
    SDTV)放送を含めた放送サービスの柔軟な運用がなされるべきである。
     また、NHKが公共放送として日本における放送技術開発の先導的役割
    を担ってきたという経緯から、放送におけるデジタル技術の新たな利用方
    法の開発・普及に当たっても先導的な展開ができるようSDTV放送の運
    用の可能性が確保されるべきである。
   ウ BS放送におけるNHKの保有メディアの在り方について
     NHKの保有メディアの在り方に関しては、言論の多様性を確保する、
    国内の放送事業の健全な発展を図るという観点から、BSデジタル放送開
    始後にHDTV1、及びSDTV2の計3系統となることは、あくまでデ
    ジタル放送への移行期間という過渡的な状況とし、基本は2系統を超えな
    いことを原則として、デジタルHDTV放送の普及状況をかんがみながら
    見直していくべきである。


 4 利害関係者の陳述等

   本件変更案に関し、利害関係を有する10者が準備書面を提出し、こうのち
  6者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠席
  した柿木郁夫氏、全国朝日放送株式会社、筒井多圭志氏及び株式会社東京放送
  の準備書面については、電波監理審議会が行う審理及び意見の聴取に関する規
  則第42条において準用する同規則第17条第1項の規定により、当該準備書
  面のとおり陳述したものとみなした。
   10者の変更案に対する賛否は、次のとおりである。
   利害関係者           賛   否   等    備 考
柿木 郁夫(個人)        基本的に賛成(要望あり)   欠 席
全国朝日放送(株)        基本的に賛成(要望あり)   欠 席
筒井 多圭志(個人)          反    対      欠 席
(株)東京放送         賛    成(要望あり)   欠 席
日本衛星放送(株)        原 則 賛 成 (要望あり)       
(社)日本電子機械工業会     大筋異論なし(要望あり)       
NHK              概 ね 適 切 (要望あり)       
(社)日本民間放送連盟      賛    成(要望あり)       
(社)ハイビジョン推進協会    大 筋 賛 成 (要望あり)       
森本 英之(個人)          反    対          
   これらの意見及び要望並びにこれらに対する郵政省の回答の概要は、別紙の
  とおりである。

第3 理 由

 1 アナログ方式によるHDTV放送については、現在、BS−4先発機におい
  て、NHK及び民間放送事業者7社による実用化試験放送として実施されてい
  るが、この免許の有効期限である平成12年7月22日以降の取扱いが未定である
  ため、これをあらかじめ明確にしておく必要があるとともに、BS−4後発機
  によるデジタル放送の開始(平成12年12月末頃)を控え、NHKのデジタル方
  式によるHDTV放送の取扱い及びBS放送におけるNHKの保有メディアの
  在り方に係る考え方についても、あらかじめ明らかにしておく必要がある。

 2 このため、本事案は、
  (1) 現在、BS−4先発機により行われているアナログHDTV放送について
   は、現在の免許の有効期限である平成12年7月22日以降、BS−4後発機に
   よるデジタル放送の開始までの間は、NHK及び希望する民間放送事業者に
   再免許を与え、引き続き実用化試験放送として実施するとともに、BSデジ
   タル放送の開始後は、NHK及び希望する民間放送事業者による「デジタル
   方式の放送へ円滑に移行するための放送」として実施すること、
  (2) 上記のアナログHDTV放送は、遅くともBS−4先発機の運用終了時期
   までに終了することとし、その具体的な終了時期は当該放送の視聴者のデジ
   タル放送への移行状況等にかんがみ、適当な時期を別途定めること、
  (3) BS−4後発機においては、既に認定した委託放送事業者の番組に加え、
   NHKは、デジタル技術の特性及び高画質性を活かしデジタルHDTV放送
   の普及に資するHDTV総合放送として放送することとするが、この放送に
   ついては、災害や重大事件・事故の発生に対応するため又はデジタル技術の
   新しい利用方法の開発・普及に資するために一時的に限って行われる標準テ
   レビジョン(SDTV)放送を妨げないこと、
  (4) BSデジタル放送への移行が完了した後におけるNHKのBS放送につい
   ては、BSアナログ放送の終了までに、2番組を超えないことを前提に、そ
   の全体の在り方を見直すこと、
  等の方針を明らかにするため、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の
  各一部を変更しようとするものである。

 3 本件については、事案全体について反対する意見が、二者から提出された。
  (1) 「放送のデジタル化は、従来の放送行政(受信料、NHKの在り方等)の
   抜本的な見直しの好機であり、BSに限らず、地上放送も含めてアナログか
   らデジタルへの変更時点で原則としてスクランブル化し、デジタル/アナロ
   グ変換アダプター及びデスクランブラーはNHKが受信料収入により無料配
   布すべき」(森本 英之氏)との反対意見については、郵政省は、「2回に
   及ぶ意見募集の際の意見を参考に検討した結果、BSデジタル放送が開始さ
   れる2000年時点でのNHKのBS放送のスクランブル化の実施は、BS放送
   の普及、公正競争、受信者保護等の観点から適当ではないと判断した」こと、
   「受信料制度の在り方については、今後、有料放送が広く行われるような場
   合において、国民・受信者の意向等も含め、改めて検討する」旨反論した。
    本意見は、受信料納付のあかしとしてデスクランブラー(スクランブルを
   解除する装置と考えられる。)を活用しようとするもので、受信料の不払い
   に対する一つの方法論ではあるが、まさに形を変えたNHKの有料放送化と
   もなり、受信料の在り方、即ちNHKの在り方、ひいては我が国の放送制度
   そのものの在り方に直結する問題であり、広い国民的議論を経た世論の形成
   のないまま、これを直ちに実施することは現実的とは考えられず、一つの意
   見として受け止めた上、郵政省の言うように、今後必要に応じ、慎重に検討
   すべきものと思われる。
  (2) 「稀少資源を用いて、複数の伝送方式で、特定の事業者の特定の電気通信
   役務のために、何回も単一の放送内容を伝送するために帯域をいたずらに大
   量に消費し、しかも、衛星放送の一般視聴者を混乱に陥れるために、特定の
   電波利用形式を政府が推進することは、政府の役務の範疇になく、公共の福
   祉に反する」(筒井 多圭志 氏)との反対意見については、郵政省は、「広
   く募集した国民の意見を踏まえた諮問案であり、公共の福祉に対する配慮を
   欠いた非現実的で実現性のないプランとは考えていない」、「現在の法制度
   では、周波数の割当ては郵政大臣の権限であり、政府の役務の範疇ではない
   とは言えない」旨主張した。
    本反対意見に関しては、本人が欠席のため、何故に公共の福祉に反するの
   か、その論拠・真意をただすことができなかったものであるが、現在の電波
   法制を前提とする以上、電波法に基づく郵政大臣の権限、更には、BSアナ
   ログHDTVの視聴者の保護のためのサイマル放送の必要性等を勘案すると、
   本反対意見に与することはできず、郵政省の見解を支持すべきものと考える。

 4 各項目に対する参考人及び利害関係者の意見・要望について
  (1) 上記2(1)のアナログHDTV放送の扱いについて
    現在のアナログHDTV放送の視聴者の保護及びBS放送のデジタル放送
   への円滑な移行を図る観点から、参考人及びほとんどの利害関係者は諮問案
   を支持している。
    なお、「デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送の免許の有効期
   間は5年とすべき」(NHK)との要望があったが、「当該放送の終了時期
   は視聴者のデジタル放送への移行状況等にかんがみ適当と考える時期を定め
   るとしている趣旨を踏まえて決定したい」との郵政省の回答を了解した。
  (2) 上記2(2)のアナログHDTV放送終了時期の扱いについて
    「BS−4先発機の運用終了予定の2007年までには、デジタル放送への移
   行が進んでいると思われるので、移行状況等にかんがみ終了時期を別途定め
   ることは適当」(羽鳥参考人)など、参考人及び利害関係者のほとんどが諮
   問案を支持しているが、音参考人の意見にあるように、今後、アナログHD
   TV放送の視聴者がデジタルHDTV放送への移行を希望するような環境整
   備を検討していく必要があるものと考える。
    なお、具体的な終了時期の検討に当たっては、「BS−4先発機の運用終
   了時期を一応の目途とするものの、デジタルHDTV放送への移行状況、デ
   ジタルHDTV放送全体の普及状況を踏まえて、十分な検討を行うことが肝
   要」(音参考人)、「放送事業者、メーカー等関係者の意見・要望を十分に
   徴した上慎重に検討すべき」(日本衛星放送、NHK、日本電子機械工業会、
   ハイビジョン推進協会)、「できるだけ早く視聴者に明示することが望まし
   い」(全国朝日放送)との意見・要望があったが、「アナログHDTV放送
   の視聴者のデジタル放送への移行状況等にかんがみ、適当と考える時期を、
   必要な経過期間を考慮して定めることとしているが、要望として承る」との
   郵政省の回答を了解した。
  (3) 上記2(3)のNHKのデジタルHDTV放送の扱いについて
    NHKがこれまで培ってきたHDTVに関する放送技術・番組制作技術等
   を活用し、引き続き先導的役割を果たすべきとして、参考人及び利害関係者
   のほとんどが諮問案を支持している。
    なお、「BSデジタル放送への移行期間中は、NHKの保有メディア数が
   極めて過剰になるため、SDTVが常態化しないようにするなど、その運用
   に当たっては、民間放送事業者とのバランスに十分配慮すべき」(東京放送、
   日本衛星放送、日本民間放送連盟)との意見の一方、「公共放送としての性
   格から、SDTVを含む自由度を持たせることが適当」(音参考人、ハイビ
   ジョン推進協会)との意見があったが、「災害や重大事件・事故の発生に対
   応するため又はデジタル技術の新しい利用方法の開発・普及に資するための
   SDTVは一時的に限って認めている」との郵政省の回答を了解した。
  (4) 上記2(4)のNHKの保有メディアの在り方について
    「言論の多様性の確保、放送事業の健全な発展を図る観点から、基本は2
   系統を超えないことを原則とし、デジタルHDTV放送の普及状況をみなが
   ら見直していくべき」(音参考人)など、諮問案自体については、参考人及
   び利害関係者のほとんどが支持している。
     なお、その具体的な検討に当たっては、「NHKの肥大化につながらない
   よう慎重に検討すべき」(全国朝日放送)、「事案の主旨が厳正に実施され
   るよう要望」(東京放送)、「公共放送としてのNHKにふさわしいものと
   し、民放と競合しないよう配慮すべき」(日本衛星放送)との意見・要望の
   一方、「NHKは2番組のデジタルHDTV放送を行うことが適当」(羽鳥
   参考人)、「NHKにデジタルHDTV放送2チャンネルが実施可能な伝送
   容量が確保されるよう要望」(NHK)との意見・要望があったが、「我が
   国の放送全体の健全な発達、NHKのBS放送の位置付け、国民・視聴者の
   意向などの諸観点から見直すのが適当であり、関係者等の意見も参考にして
   いく」との郵政省の回答を了承した。
 5 その他の主な意見・要望
  (1) 「NHKのデジタルHDTV放送の受信料の在り方については、関係者の
   要望を十分に聞き、問題が生じないよう配慮されたい」(日本衛星放送)、
   「アナログHDTV以外のBSアナログ放送(WOWOW、BS1及びBS2)の終了
   時期についても、関係者の意見を聞き、慎重に検討すべき」(日本衛星放送、
   NHK)との意見・要望については、それぞれ、関係者の意見を十分に聞い
   ていく旨の郵政省の回答を了解した。
  (2) 「ソフト不足から番組の質的低下を来さないよう、NHKや関係機関は、
   民放に対してあらゆる面で協力をお願いしたい」(柿木 郁夫 氏)、「BS
   デジタルHDTVの普及の促進のために、呼称をデジタル・ハイビジョンに
   統一すべき」(ハイビジョン推進協会)との要望については、郵政省はとも
   に行政としては意見を差し控える旨回答があった。
   
 6 以上を総合的に判断すると、本事案は、BSアナログHDTV放送の視聴者
  を保護  するとともに、NHKの公共性・先導的役割、メディアの多様性に
  も配慮しつつ、BSデジタルHDTV放送への円滑な移行を図るために必要な
  措置であり、また、利害関係者もそのほとんどが賛意を表明しており、適切な
  ものと認められる。

                          別 紙  1 反対意見
     反対意見の概要          郵政省の回答の概要    
1 放送のデジタル化は、従来の放送
 政策の抜本的見直しの好機であり、
 BSに限らず、地上放送も含めてア
 ナログからデジタルへの変更時点で
 スクランブル化し、デスクランブラ
 ーは無料で配布するとともに経費は
 NHKの受信料で賄うべき。   
 (森本 英之 氏)         
                 
                 
2 特定の電波利用形式を政府が推進
 することは政府の役務の範疇になく
 諮問案は、公共の福祉に対する配慮
 を欠いており、非現実的で実現性の
 ないプランである。       
 (筒井 多圭志 氏)        
                 
                 
 NHKのBS放送のスクランブル化
については、意見募集の結果を参考に
検討した結果、デジタル放送が開始さ
れる2000年末時点での実施はBS放送
の普及、公正競争、受信者保護等の観
点から適当ではないと判断した。  
 また、受信料制度の在り方について
は、広く有料放送が行われるような段
階において検討すべきものと考える。
                 
 諮問案は、学識経験者、関係事業者
及び一般を対象とした意見募集の結果
を踏まえたものであり、公共の福祉に
対する配慮を欠いた非現実的なプラン
とは考えていない。        
 なお、現行法制度において周波数の
割当ては、郵政大臣の権限と責任にお
いて行われるものである。     

2 その他の意見・要望
    意見・要望の概要         郵政省の回答の概要    
1 NHKのHDTV放送の受信料の
 在り方についての検討に当たって 
 は、関係者の要望を十分に聞き問題
 が生じないように配慮すること。 
 (日本衛星放送)        
                 
                 
2 アナログHDTV放送の運用終了
 時期については、関係者の意見を十
 分に聴き、慎重に決定すること。 
 (全国朝日放送、日本衛星放送、日
 本電子機械工業会、NHK、ハイビ
 ジョン推進協会)        
                 
3 デジタルへの移行期間中にNHK
 の保有メディアが過剰になることか
 ら、その運用に当たっては民放事業
 者等に配慮すること。また、デジタ
 ルへの移行後のNHKのメディア保
 有数についても、関係者の意見を踏
 まえ慎重に決定すること。    
 (全国朝日放送、東京放送、日本衛
 星放送、日本民間放送連盟)   
                 
                 
4 NHKがHDTVを一時的にSD
 TVに切り替えることは、必要不可
 欠な場合に限定し、常態化しないよ
 うにすること。         
 (日本衛星放送)         
                 
5 「デジタル方式へ円滑に移行する
 ための放送」を行う放送局の免許の
 有効期間は、通常の放送局の免許の
 有効期間である5年を原則とし、こ
 れを変更する場合は、デジタル放送
 への移行状況に応じて適切に検討さ
 れたい。            
 (NHK)            
                 
6 BSデジタル放送への移行完了後
 におけるNHKのBS放送の見直し
 に当たっては、デジタルハイビジョ
 ン放送2チャンネルが実施可能な伝
 送容量を確保されたい。     
 (NHK)            
                 
                 
                 
                 
7 BSデジタル放送でのHDTV放
 送という用語について、デジタル・
 ハイビジョンという名称で統一する
 ことが普及への早道である。   
 (ハイビジョン推進協会)     
                 
8 ソフト不足から番組の質的低下を
 来さないようNHKや関係機関は民
 放に対してあらゆる協力をすべき。
 (柿木 郁夫 氏)         
                 
 NHKの11年度予算に対して「受信
料体系の在り方について検討を行うこ
と」との大臣意見を付しており、ま 
た、郵政省において検討する際も関係
者の意見を参考にして検討することと
したい。             
                 
 要望のとおり、関係者の意見を十分
に聴いて対応したい。       
                 
                 
                 
                 
                 
 移行期間中の3番組というのは過渡
的なものであり、NHKのBS放送の
保有メディアの在り方については、ア
ナログ放送の終了までに、主たる放送
が2番組を超えないことを前提に見直
すこととしている。その際には我が国
の放送全体の健全な発達、NHKのB
S放送の位置づけ、国民・視聴者の意
向等の諸観点から見直すこととしてお
り、関係者の意見を参考としたい。 
                 
 今回の案も、SDTVは、災害や重
大事件等の発生に対応するため又はデ
ジタル技術の新しい利用方法の開発・
普及に資するために、一時的に認めて
いる。              
                 
 視聴者のデジタル放送への移行状況
等にかんがみ適当な時期を別途定める
こととしている趣旨を踏まえ、具体的
な免許の有効期間を決定することとし
たい。              
                 
                 
                 
                 
 NHKのBS放送の保有メディアの
在り方については、アナログ放送の終
了までに、主たる放送が2番組を超え
ないことを前提にその在り方を見直す
こととしている。その際には、公共放
送としてのNHKの位置づけ、難視聴
番組の位置づけ等整理すべき項目が多
々あるが、要望の点も踏まえ検討する
こととしたい。          
                 
 一般向けの呼称については、民間レ
ベルの努力によって浸透が図られてい
くべきものと考えている。     
                 
                 
                 
個々の事業者の放送番組編集の自由
に関わるものであり、直接のコメント
は差し控えたいが、BSデジタル放送
が円滑に開始されるよう各事業者に期
待したい。            



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