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電波監理審議会意見の聴取(第331回)意見書(平成11年7月16日公表)






 VSAT地球局を包括免許の対象とすること及び無電極放電ランプを型式指定の
対象とすることに係る電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)の一
部を改正する省令案について、電波法第99条の12第1項の規定により、意見の
聴取を行った(平成11年6月16日)結果、下記のとおり意見を決定する。

  平成11年7月16日

                      主任審理官  安 成 知 文

                   記

第1 意 見

   電波法施行規則の一部を改正する省令案は、適当である。


第2 事実及び争点

 1 郵政省の陳述の大要

   本件は、1VSAT地球局の需要増に伴い電気通信事業者の免許取得に係る
  手続的・経済的負担が大きくなってきたと認められるため、その負担軽減及び
  行政事務の効率化の観点から、VSAT地球局を包括免許の対象としようとす
  ること、及び2放送の受信や一般通信等の無線設備に妨害を与えるおそれの少
  ないことが確認されている無電極放電ランプについて、利用者等の利便性の向
  上及び行政事務の効率化の観点から、その設置に際し許可を要しない型式指定
  の対象としようとするものである。

 2 改正案等の内容

  (1) 改正の内容
   ア 設備規則第54条の3に無線設備の条件が定められている地球局につい
    て、特定無線局の対象無線局とすること。(第15条の2関係)
   イ 設備規則第54条の3に無線設備の条件が定められている地球局につい
    て、その技術基準を特定無線局の無線設備の規格とすること。(第15条
    の3関係)
   ウ 無電極放電ランプを郵政大臣の行う型式指定の対象とするとともに、型
    式指定の申請、指定の条件、指定の変更の承認の条件、表示義務及び指定
    の取消し等の規定を定めること。(第45条及び第46条から第46条の
    5まで関係)
   エ その他所要の規定の整備をすること。
  (2) 施行期日等
   ア 公布の日から施行すること。
   イ 無線局免許手続規則について所要の改正を行うこと。

 3 利害関係者の陳述等

   本件省令改正案に関し、利害関係を有する11者が準備書面を提出し、このう
  ち10者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠
  席したオスラム・メルコ株式会社の準備書面については、電波監理審議会が行
  う審理及び意見の聴取に関する規則第42条において準用する同規則第17条
  第1項の規定により、当該準備書面のとおり陳述したものとみなした。
   11者の省令改正案に対する賛否は、次のとおりである。
    利害関係者 
       賛   否       
 備 考
VSAT地球局関係
無電極放電ランプ関係
    
宇宙通信(株)    
       賛   成      
    
オスラム・メルコ(株)
     −  
  賛   成  
 欠 席
ケイディディ(株)  
       賛   成     
    
(財)テレコムエンジニア
リングセンター
       賛   成      
  
(社)電気通信事業者協会
       賛   成      
    
(社)電波産業会    
       賛   成      
    
(株)日本サテライトシス
テムズ
  賛   成  
     −  
    
(社)日本電球工業会  
     −  
  賛   成  
    
日本電信電話(株)  
  賛   成  
     −  
    
日本フィリップス(株)
     −  
  賛   成  
    
(社)日本民間放送連盟 
     −  
   異議なし  
要望あり
 なお、社団法人日本民間放送連盟から、無電極放電ランプについて放送の受信障
害が問題化するような場合は適切な対応を講じられたいとの要望があり、郵政省か
ら、適切に対応する旨の回答があった。


    第3 理 由
 1 VSAT地球局の包括免許関係
  (1) VSAT地球局は、通信の制御を行う制御地球局と通信衛星を介して通信
    系を構成する小規模地球局で、平成元年に技術基準が定められ、実用化され
    て以来、衛星通信に対する需要の拡大を背景として、地方公共団体における
   防災行政用通信システムや電力会社、メーカー、金融機関、スーパー等の企
   業における本社−支社間のデータ伝送等に広く活用され、その局数も平成1
    1年3月には8,000局を超えるまでに普及している。
  (2) 一方、VSAT地球局は、利用者の需要動向によりその無線設備の変更が
    行われることが一般的なことから、これまで技術基準適合証明を要件とする
    包括免許の対象にはなじまないとされていたものであるが、平成10年6月
    に成立した「電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等
   に関する法律」により、電波法の一部が改正され、認定点検事業者の点検結
   果を技術基準適合証明にも活用する制度が設けられたことに伴い、変更後の
    無線設備についても、比較的容易に再度、技術基準適合証明を得ることが可
    能となったこと、及びVSAT地球局が今後とも年率20%程度の増加傾向
    にあり、電気通信事業者の免許取得に係る手続的・経済的負担の軽減を図る
   必要もでてきたこと等から、今回、VSAT地球局を包括免許の対象としよ
   うとするものである。
  (3) 本事案については、利害関係者も全て賛意を表明しており、また、本件措
    置により、今後とも増加が予想されるVSAT地球局の免許に係る申請者の
    時間的・経済的負担等の軽減が図られる結果、VSAT地球局を利用した衛
   星通信システムの一層の進展が期待できるとともに、併せて行政事務の効率
   化にも資することから、本件措置は適当と認められる。

 2 無電極放電ランプの型式指定関係
  (1) 無電極放電ランプは、電磁誘導の原理を応用して電極を有しない放電管を
   発光させるもので、白熱電球や蛍光灯に比べ、電極を持たないため寿命が長
   くメンテナンスの必要性が少なく、省資源化にも資するものである。平成3
   年に一般照明用として利用され始めたが、最近になり、初期コストの低下に
   加え、省エネルギー、作業の安全性の点で見直され始め、屋外照明用の高出
   力のものも含めて、関心が高まりつつある。
  (2) 無電極放電ランプは、現在、電波法上、高周波利用設備の各種設備として、
   50Wを超えるものについては、郵政大臣の個別の設置許可が必要であるが、
   こうした高出力のものは、今後、需要が一層増加するものと予想されること
   から、利用者等の負担の軽減及び行政事務の効率化のため、当該ランプの高
   周波エネルギーによる漏えい電波の強度が弱く、無線設備等に妨害を与える
   おそれが少ないことが確認されたものについて、その技術的な条件を定め、
   郵政大臣の型式指定の対象とすることで、個別の設置許可を不要にしようと
   するものである。
  (3) 本事案については、利害関係者も全て賛意を表明しており、また、「放送
   の受信障害が問題化するような場合は、適切な措置を講じられたい」との要
   望を行った(社)日本民間放送連盟も、「問題となった場合は、適切な対応
   をしていく」旨の郵政省の回答を了解しているところでもあり、本件措置に
   より、高出力の無電極放電ランプの利用者等の負担の軽減が図られ、その一
   層の普及が期待できるとともに、併せて行政事務の効率化にも資することか
   ら、本件措置は適当と認められる。




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