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電波監理審議会意見の聴取(第334回)意見書(平成11年8月6日公表)






 BSデジタル・データ放送の実現に向けた制度整備に係る放送法施行規則(昭25
年電波監理委員会規則第10号)の一部を改正する省令案、放送普及基本計画(昭和6
3年郵政省告示第660号)及び放送用周波数使用計画(昭和63年郵政省告示第661号)
の一部変更案、放送法施行規則附則第6項の規定に基づく告示案並びにBS−4後
発機を用いたデジタル放送におけるデータ放送に係る委託放送業務の認定に係る認
定方針案について、電波法第99条の12第2項及び放送法第53条の11第1項
の規定により、意見の聴取を行った(平成11年8月6日)結果、下記のとおり意
見を決定する。

   平成11年9月17日

                      主任審理官  安 成 知 文

                   記

第1 意 見

   省令の一部改正案、計画の一部変更案、告示案及び認定方針案は、それぞれ
  適当である。

第2 事実及び争点

 1 郵政省の陳述の大要
   平成12年末からBS−4後発機によりデジタル放送が開始される予定であ
  るが、このBSデジタル放送においては、昨年秋にテレビジョン放送及び超短
  波放送に係る委託放送事業者を認定したが、データ放送については委託放送事
  業者の認定のための制度が未定であり実施主体が決定されていない。
   本件は、こうしたことから、BSデジタル放送におけるデータ放送に係る制
  度を整備するものであり、その概要は次のとおりである。
  1 日本衛星放送(株)のサイマル放送用に確保してあった6スロットは「デー
   タ放送」に用いることとし、合計12スロットによるBSデジタル放送のデ
   ータ放送に係る放送番組の数の目標を、一般放送事業者の放送として5番組
   以上とする。
  2 BSデジタル放送のデータ放送について、一の者が保有可能な周波数資源
   の上限値を3スロット相当とする。
  3 日本放送協会(以下「協会」という。)と関連性があると判断される団体
   が、BSデジタル・データ放送に参入することは認めない。このため、協会
   と当該団体の関連性について、出資、役員派遣等の観点から判断するための
   基準を策定し、認定申請の際の記載事項として協会との関連性を判断するた
   めに必要な事項を追加する。
  4 比較審査となった場合は、次によるものとする。
   ア より幅広い視聴者層を対象に放送するものを優先
   イ BS−4後発機によるデータ放送全体として多様な番組が提供されるよ
    う配慮
   ウ 既存放送事業者等の保有する議決権又は役員兼務の程度の少ない者を優
    先
   エ BSデジタル放送開始当初から相当程度遅れた時点を放送開始時期とし
    ているものは劣後

 2 改正の内容
  (1) 放送法施行規則の一部を改正する省令案
    ア BSデジタル放送のデータ放送について、一の者が保有可能な周波数資
     源の上限値を、1秒当たりのシンボル数1,803,750個(3スロット相当)
     とすること。
    イ 認定の申請に当たり提出する事業計画書に記載する事項として、協会と
     の関連性を判断するために必要となる事項を追加すること。
    ウ 公布の日から施行すること。
  (2) 放送普及基本計画の一部変更案
     BSデジタル放送におけるデータ放送に係る放送番組の数の目標を、一般
    放送事業者の放送として、5番組以上とする。
  (3) 放送用周波数使用計画の一部変更案
     BSデジタル放送に係る周波数で使用させることができる放送番組の数と
    して、一般放送事業者のデータ放送5番組以上を追加する。
  (4) 放送法施行規則附則第6項の規定に基づき郵政大臣が別に告示する期間を
    定める告示案
     放送法附則第20項に基づくデータ放送に係るサイマル放送についての届
    出の期間を、告示の日から起算して14日間とする。
  (5) BS−4後発機を用いたデジタル放送におけるデータ放送に係る委託放送
    業務の認定に係る認定方針案
    ア 今回BS−4後発機について認定する委託放送業務は、放送法の一部を
     改正する法律(平成11年法律第58号)による改正前の放送法上の「データ
     放送」とする。
    イ BS−4後発機を用いたデータ放送に係る委託放送業務の認定に当たっ
     ては、1秒当たりのシンボル数300,625個(0.5スロット)の整数倍の
     シンボル数を指定して認定するものとする。
    ウ 申請者が、協会との関連性があるとして、次のいずれかに該当する場合
     には、認定しないこととする。
     (ア) 協会からの出資がある者
     (イ) 協会の子会社(その発行済株式の総数の過半数に当たる株式を協会
      が有する株式会社又はその資本の過半に当たる出資口数を協会が有す
      る有限会社をいう。その発行済株式の総数の過半数に当たる株式を協
      会及び子会社又は子会社が有する株式会社並びにその資本の過半に当
      たる出資口数を協会及び子会社又は子会社が有する有限会社で子会社
      とみなされるものを含む。以下同じ。)又は関連会社(協会又は子会
      社がその議決権の100分の20以上100分の50以下を実質的に
      所有し、かつ、協会が人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、財
      務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる会社をい
      う。以下同じ。)が、その議決権の100分の3以上を有する者
     (ウ) 子会社又は関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を
      除く。以下このウにおいて同じ。)を兼ねる者の総数(申請者が営利
      を目的とする団体以外の場合にあっては、協会の会長、副会長若しく
      は理事又は子会社若しくは関連会社の役員を兼ねる者の総数とする。
      )が、その役員の総数の5分の1を超えている者
     (エ) 子会社又は関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を
      除く。)が、その代表権を有する役員又は常勤の役員(監事、監査役
      又はこれらに準ずる者を除く。)を兼ねる者(申請者が、営利を目的
      とする団体以外の場合にあっては、協会の会長、副会長若しくは理事
      又は子会社若しくは関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ず
      る者を除く。)が、その代表権を有する役員又は常勤の役員(監事、
      監査役又はこれらに準ずる者を除く。)を兼ねる者)
     (オ) その他協会が放送番組制作に必要な資料等の供給や職員の派遣にお
      いて、社会通念上相当とされる範囲を超えて支援を行っている者
    エ 委託放送事業者に指定することのできる周波数が不足する場合の比較審
     査基準は、既に審査基準に規定されている事項のほか、以下のとおりとす
     る。
     (ア) その放送の対象となる視聴者層がより大きい申請者の方が、対象視
      聴者層が相対的に小さい申請者よりも適合的であると判断する。
     (イ) BS−4後発機によるデータ放送全体として視聴者に対して、特定
      の分野に偏らず多様な番組が提供されることとなるよう配慮する。
     (ウ) 既存の放送事業者(既にBS−4後発機を用いたデジタル放送の委
      託放送業務の認定を受けている者を含む。)、及びこれら既存の放送
      事業者を「支配」する者又は既存の放送事業者に「支配」される者が
      保有する議決権の合計又は既存放送事業者等との役員兼務の程度がよ
      り少ない申請者の方が、より多い申請者よりも適合的であると判断す
      る。この際、既存放送事業者等が保有する放送系の数、放送番組の数、
      伝送容量(1秒当たりのシンボル数等)も勘案することとする。
     (エ) BSデジタル放送開始当初から相当程度遅い時点を委託放送業務開
      始の予定期日としている申請者は劣後すると判断する。

 3 参考人の陳述
   本件については、電波法第99条の12第6項において準用する第92条の
  2の規定に基づき、職権により、参考人として東京大学社会情報研究所教授の
  小林 宏一 氏及び東京大学生産技術研究所長の坂内 正夫 氏に意見の陳述を求
  めた。
   両参考人の陳述の概要は、次のとおりである。
  (1) 小林 宏一 氏
    ア 諮問案に関する見解
      予め配布された利害関係者の準備書面から判断すると、特定の経営形態
     をとる既存事業者の参入規制に関わる事項が最も大きな論点であると判断
     するが、当方の関知しない諸般の事情があると思われるので、この点につ
     いては判断を保留する。その他の諸点については概ね妥当と判断する。

    イ BSデジタル・データ放送に係る制度整備を進めるに当たっての一般
     的見解
      過去14年にわたり提供されてきたアナログ・データ放送(文字多重放送)
     の導入・普及過程、その後、試みられている他の複数のデータ放送の実績
     からみても、データ放送ビジネスが容易なものではなく、また、周辺的な
     サービスにとどまっていることは否めない。
      こうした中で、本件に係るBSデジタル・データ放送についても、早急
     にかつ衆知を集めた事業化がはかられないと、既存データ放送と同様、あ
     るいはそれ以上に周辺的サービス、すき間型サービスにとどまる可能性が
     強い。
      その理由は、日々その利用者を拡大するとともに、メディア機能を強化
     しつつあるインターネットの存在に他ならない。ストリーミング技術の加
     速度的革新を背景とするプラグインソフトの開発、ケーブルテレビ網ある
     いは通信衛星を介した高速インターネット網の拡大とその常時接続化が現
     実的なものとなりつつある現在、当初、データ放送固有のサービス領域と
     みなされていたものが、ほぼすべてインターネットによって提供可能とな
     りつつある。しかも、インターネットは双方向機能を当初から有すること
     や2000万に及ぼうとする利用端末が既に存在するのに対し、データ放
     送端末は実質上ゼロからのスタートとならざるを得ないこと、また、イン
     ターネットは参入規制が原則ないということやインターネット機能を持つ
     テレビ受像機も既に市場化されているというような、ハンデも存在してい
     る。
      こうした日々厳しくなりつつあるデータ放送をめぐる環境を認識しつつ、
     相互に切磋琢磨し、データ放送の固有性・可能性をさぐろうとするのでは
     なく、従来と変わらない自己中心的発想に貫かれた準備書面が多かったの
     は大変残念である。
  (2) 坂内 正夫 氏
    ア BSデジタル放送における制度整備(後述イを除く)について
      諮問案を妥当と考える。
      BSデジタル・データ放送は、放送サービスの柔軟な展開やインターネ
     ットと の融合等により、国民に、今までにない多様で新たなサービスを
     展開する大きな可能性を持つメディアであり、また国際競争や国際貢献、
     マルチメディア新産業育成の視点からも重要なものである。また、技術面、
     からはデータ放送とインタ ーネットの結合・融合により新たな展開も期
     待できると考える。
      今回、スタートする新たな放送サービスは、限られた資源を利用するこ
     ともあり、当面のビジネスを展開するだけでなく、このような多様で創造
     性のあるデータ放送開拓のパイオニアとしての将来に向けた大きな使命を
     も担うものと考える。
      したがって、このような新たなサービスにチャレンジする放送を育成す
     る環境の形成が肝要であり、急務であると考える。
      技術的検討においてXML(eXtensible Markup Language)を最も好
     ましい方式としたのも、データ放送のこのような視点での新たな発展・拡
     張を重視したもので、多様で創造性のある新サービス育成の重要さの認識
     と思いを反映したものである。
      今回議論されているデータ放送は、限られた周波数資源の下で、このよ
     うな環境形成やデータ放送の使命をどのように果たし、どのように両立さ
     せていくのかというのが最大のポイントと考える。
      このような視点から、多様なサービス展開が好ましいこと、独立番組と
     しての品質を考えて、「日本衛星放送(株)のサイマル放送用に確保して
     あった6スロットはデータ放送に用いることとし、合計12スロットによる
     BSデジタル放送におけるデータ放送に係る放送番組の数の目標を、一般
     放送事業者の放送として5番組以上とすること」及び「一の者が保有可能
     な周波数資源の上限値を3スロット相当とすること」は妥当と考える。
      比較審査基準についても妥当と考えるが、「BS−4後発機によるデー
     タ放送全体として多様な番組が提供されるよう配慮」「既存放送事業者の
     保有する議決権又は役員兼務の程度の少ない者を優先」という基準につい、
     ては前者にある「多様な番組」は単に番組ジャンルだけでなく、双方向性
     のとり方、インターネット等との融合方式などのサービス形態を含めた内
     容の多様性も重視すべきである。後者の基準に関しては、既存放送事業者
     にはその経験を生かした魅力あるデ ータ放送を期待しているが、今回の
     限られた周波数資源の下では、放送法の改正による22スロット等の認定
     割当て内での展開を企てるべきであり、それは可能と考える。なぜなら、
     HDTVは、現行でも映像の種類、番組編成の工夫により、また、今後パ
     ラメタ調整等符号化最適化技術の進歩により、22スロットより小さい周
     波数で伝送が可能であると考えるからである。
    イ NHKと関連性のある団体のBSデジタル・データ放送への参入申請の
     取扱いについて
      大旨妥当と考える。
      NHKには、その技術、経験を生かした魅力あるデータ放送を期待して
     いる。しかし、限られた周波数資源の下においては、先に一般放送事業者
     に述べたのと同じ理由により、既定のスロット割当て内でそれらの番組展
     開を企てるべきであり、それは可能であると考える。

 4 利害関係者の陳述等
   本件変更案に関し、利害関係を有する22者が準備書面を提出し、このうち
  10者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠
  席した株式会社産業経済新聞社、株式会社ジャパン・デジタル・コミュニケー
  ションズ、全国朝日放送株式会社、竹谷俊雄氏(日経新聞社電波本部長)、株
  式会社東京データビジョン、株式会社東京放送、日本テレビ放送網株式会社、
  株式会社ビー・エス・ジェイ・ラジオ、株式会社ビー・エス・ジャパン、株式
  会社ビーエス日本、株式会社ビックカメラ及び読売新聞社の準備書面について
  は、電波監理審議会が行う審理及び意見の聴取に関する規則第42条において
  準用する同規則第17条第1項の規定により、当該準備書面のとおり陳述した
  ものとみなした。
   利害関係者22者の賛否は、次のとおりである。
   (注) 下表中、論点l、論点ll、論点lll及び論点lVの内容は、次のとおりで
     ある。
   論点 l:一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロット相当とするこ
        と及び放送番組の数の目標として一般放送事業者の放送として5番
        組以上とすること(NHKに対して新たなスロットの割当てを行わ
        ないことを含む。)
   論点 ll:認定方針案(NHKと関連性がある団体の取扱いに関することを除
        く。)(主に比較審査基準に関すること。)
   論点lll:認定方針案(NHKと関連性のある団体の取扱いに関することに限
        る。)及び放送法施行規則の一部改正案(事業計画書の記載事項と
        して、NHKとの関連性を判断するために必要な事項を追加するこ
        と。)
   論点 lV:論点l〜lllを除く事項(データ放送の位置付け、その他の事項につ
        いて)
  利 害 関 係 者
     賛   否   等
備  考
  論点l
 論点ll
 論点lll
 論点lV
株式会社朝日新聞社


 賛 成
(NHK部分
のみ)
 反 対


 賛 成
意見あり

意見あり


 


衛星デジタル音楽放送株式会
社
  −

 反 対
要望あり
  −

  −

 

株式会社産業経済新聞社

 賛 成

要望あり

 賛 成
意見あり
  −

 欠 席

株式会社ジャパン・デジタル
・コミュニケーションズ
概ね適切

 反 対
要望あり
概ね適切

  −

 欠 席

株式会社スター・チャンネル
 賛 成
 反 対
 賛 成
  −
 
全国朝日放送株式会社



意見あり
(3スロッ
ト、5番
組部分)
 反 対
要望あり


 賛 成
意見あり


 



 欠 席



全国文字放送連絡協議会
文字放送普及推進協議会
  −

 反 対

  −

  −

 
竹谷 俊雄(日経新聞社電波
本部長)
やむを得
ない
 反 対
要望あり
 賛 成
意見あり
 

 欠 席

株式会社東京データビジョン
  −
 反 対
  −
  −
 欠 席
株式会社東京放送
  −
 反 対
  −
  −
 欠 席
日本衛星放送株式会社

  −

 反 対
要望あり
  −

  −

 

社団法人日本新聞協会

 賛 成
(NHK部分)
 反 対
要望あり
 賛 成
意見あり
意見あり

 

日本テレビ放送網株式会社

 評 価
(NHK部分)
 反 対

 評 価

  −

 欠 席

日本放送協会(NHK)

 反 対
(NHK部分)
  −
要望あり
 反 対

  −

 

社団法人日本民間放送連盟
概ね賛成
 反 対
概ね賛成
  −
 
番組情報データベースセンタ
ー株式会社
 賛 成

 賛 成
要望あり
 賛 成

  −

 
株式会社ビーエス朝日

 

 反 対
要望あり
 

 

 

株式会社ビー・エス・ジェイ
・ラジオ



  −




 反 対
(新規参
者優先部
分)意見
あり
  −




  −




 欠 席




株式会社ビー・エス・ジャパ
ン
概ね適当
(NHK部分)
 反 対
要望あり
概ね適当

  −

 欠 席

株式会社ビーエス日本

 評 価
(NHK部分)
 反 対
要望あり
 評 価

  −
 欠 席

株式会社ビックカメラ
 賛 成
 賛 成
 賛 成
  −
 欠 席
読売新聞社

 賛 成
(NHK部分)
 反 対

概ね妥当
意見あり
  −

 欠 席

 これらの意見及び要望並びにこれらに対する郵政省の回答の概要は、別紙のとお
りである。

第3 理 由
   本件は、2000年末から開始される予定のBS−4後発機を利用したBSデジ
  タル放送に関して、データ放送に係る制度を整備するものである(テレビジョ
  ン放送及び超短波放送に係る制度は平成10年6月に整備済み。)。
   本件制度案について、以下の4つの論点に整理した。

 1 論点l
   一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロット相当とすること、及び、
  放送番組の数の目標を一般放送事業者の放送として5番組以上とすること(N
  HKに対して新たなスロットの割当てを行わないことを含む。)(放送法施行
  規則の一部改正案、放送普及基本計画・放送用周波数使用計画の一部変更案)

   諮問では、データ放送に使用可能なスロット数として、参入希望が多いこと
  等を考慮して、日本衛星放送のサイマル放送用に確保されていた6スロットを
  加えて12スロット(第1、第3、第13chで各2スロット、第15chで
  6スロット)とすること、及び、この12スロットについて、できるだけ多く
  の者に参入の機会を与える一方で、各番組を充実しデータ放送サービスの発展
  性を確保すると同時に、事業者間の公正競争を確保する観点から、一の者が保
  有できる最大スロット数を3とし、一般放送事業者の放送番組の数の目標を5
  番組以上としている。また、NHKについては、周波数資源が12スロットと
  希少な状況の中で、既にBS−4後発機において、標準テレビジョン2番組(
  14スロット)の認定を受けておりさらに高精細度テレビジョン1番組(22
  スロット)も認定を受ける予定であるが(トータル36スロット)、放送法の
  改正によりこれら放送の中でデータ放送の実施が可能になり、NHKに割り当
  てられた伝送容量の効率的な利用により、データ放送用の伝送容量の確保が可
  能であることから、NHKには新たなスロットの割当を行わないこととしてい
  る。

   本事案のうち、スロット数及び番組目標数に関して、全国朝日放送から、一
  社でも多くの事業者の参入を実現する観点から、「上限スロット数を2スロッ
  トとし、また、放送番組の数の目標を6以上にすべき」との意見があった。
   これに対して郵政省は、「多様なデータ放送サービスの発展の可能性を制限
  することのないよう、上限値を3スロット、番組数5以上としているが、一社
  でも多くの事業者の参入は望ましいことから、実際の申請者の状況をみながら
  認定していく」と回答した。

   本件について、昨年12月から本年1月に郵政省が行ったデータ放送への参
  入希望等に関する意見募集では、データ放送サービスに必要な伝送容量として
  1から3スロットの範囲の希望が多く、これらサービスの実現を図る必要があ
  るとともに、スロット数及び番組数に関する選択の幅を広めに設定し、申請状
  況をみて弾力的に対応していくことが望ましいと考えられるため、本案は適当
  と認められる。

   また、NHKに対して新たなスロットの割当てを行わないことに関して、N
  HKから、「公共放送にふさわしいサービスを提供していくには、現在割り当
  てられている伝送容量だけでは、これの効率的利用を工夫してもなお、降雨減
  衰対策を考慮すると十分ではない」「標準テレビジョン放送においても、魅力
  的な付加サービスが必要」との反対意見があった。
   これに対し、郵政省は、「標準テレビジョン放送については、現在のBSア
  ナログ放送のサイマル放送が本来の性格であり、付加サービスは必ずしも必要
  ではないこと、また、高精細度テレビジョン放送については、降雨減衰対策後
  の残りのスロットでも十分なデータ放送が可能」との回答を行った。
   一方、朝日新聞社、読売新聞社等からは、NHKが既に十分なスロットを保
  有している等の理由から、賛成の意見があった。

   本件については、坂内参考人から、「高精細度テレビジョン放送は、現行で
  も映像の種類、番組編成の工夫により、また、今後の符号化最適化技術の進歩
  により、22スロットより小さい周波数で伝送が可能であり、割当てスロット
  内でのデータ放送の展開を企てるべき」旨の陳述があり、降雨減衰対策を考慮
  してもNHKに割り当てられる予定の伝送容量の範囲内でデータ放送用のスロ
  ットの確保が可能と考えられること、また、データ放送に使用できる周波数資
  源が12スロットと希少であり、NHKに対してデータ放送用のスロットを新
  たに割り当てると、新規参入事業者の参入の機会が減少すること等を総合的に
  勘案すると、本案は適当と認められる。

 2 論点ll
   認定方針案(NHKと関連性がある団体の取扱いに関することを除く。)

   諮問の認定方針案では、以下のように規定している。
  1 今回BS−4後発機について認定する委託放送業務は、改正前の放送法上
   の「データ放送」とすること。
  2 委託放送の認定に当たっては、0.5スロットの整数倍を指定して認定す
   ること。
  3 委託放送の認定にあたり、指定することのできる周波数が不足する場合の
   比較審査基準は既に放送法関係審査基準第7条に規定されている事項のほか、
   以下のとおりとする。
  ・ より大きい視聴者層を対象とする放送を優先する。
  ・ データ放送全体として、特定分野に偏らず多様な番組が提供されることと
   なるよう配慮する。
  ・ 既存放送事業者、及びこれらを支配する者又はこれらに支配される者の保
   有する議決権の合計又は既存放送事業者等との役員兼務の程度のより少ない
   ものを優先する。この際、既存放送事業者等が保有する放送系の数、放送番
   組の数、伝送容量を勘案する。
  ・ BSデジタル放送開始当初から相当程度遅れた時点を放送開始時期として
   いるものは劣後する。

   本認定方針案のうち3比較審査基準に関して、日本新聞協会、日本民間放送
  連盟、新聞社、既存認定事業者、文字放送事業者を含む放送事業者等から、比
  較審査基準における新規事業者を優先する考えに反対の意見があった。この中
  で「データ放送の今後の普及や振興、魅力あるコンテンツの提供のためには、
  既存の放送事業者や新聞社の役割が重要であり、既存・新規の別を問わず、多
  彩なサービスの具体的計画及びその実施能力を重視すべきである」、「既認定
  事業者のコンテンツ制作面でのノウハウを活かし、多彩なサービスを実現する
  ため、既認定事業者へのスロットの割当てが必要」、「既認定事業者を新規事
  業者と区別すべきでない」等の旨の意見が述べられた。

   上記反対意見に対して郵政省は、「放送法52条の13第1項第3号(マス
  メディア集中排除原則)の規定に基づき、限られた周波数資源をできるだけ多
  数の者に開放し、それを用いてより独立性の高い放送事業者ができるだけ多数
  参入することにより、自由な言論や表現を行う場が確保されることが適当との
  考えで行うものであること、また、既存認定事業者については、既に割当てを
  受けたスロットの中でデータ放送を行うことが可能である」との回答を行った。
   一方で、番組情報データベースセンターからは、本比較審査基準案が「独立
  データ放送を希望する新規参入事業者にとって、参入機会の開放、公正競争の
  観点から大変満足しうる制度整備である」旨の賛成意見があった。

   本件については、データ放送に使用できる周波数資源が希少であること、及
  び坂内参考人の陳述にもあるように既存認定事業者は既存割当てスロットでの
  サービス展開が可能であることを考慮すると、データ放送の認定にあたり新規
  の事業者を優先することは、放送による表現の自由をできるだけ多くの者によ
  って享有されるようにするという放送法の趣旨に合うものであり、本案は適当
  と認められる。

   また、日本民間放送連盟、ビー・エス・ジャパン等から、「放送法52条の
  13第1項第3号の規定(マスメディア集中排除原則)を受けて同法施行規則
  第17条の8において、BSデジタル放送において一の者が保有可能なスロッ
  ト数を24スロットとしており、この基準を満たす事業者は対等であるべきで
  あるにもかかわらず、今回の認定方針案は比較審査基準としてこの内容をさら
  に踏み込んで規制しようとするもので、法規制上、問題がある」との意見があ
  り、これに対して、郵政省は、「放送法においてマスメディア集中排除は絶対
  的基準として規定してあるが、比較審査の段階で、財政的基礎に関する規定な
  どと同様、マスメディア集中排除に関する基準へ適合する度合いについて審査
  することは放送法上問題ない」と回答した。

   本件については、放送法関係審査基準第8条において、委託放送事業者に指
  定することができる周波数が不足する場合には、同7条の各基準への適合度合
  いから比較審査を行うことを規定しており、郵政省側の説明に合理性があると
  認められる。

   比較審査基準案に関しては、この他、日本新聞協会及び朝日新聞社から、「
  「全国放送にふさわしい内容」「視聴者層がより大きい」等の表現があるが、
  具体的な判断基準がなく行政の恣意的な判断がはいる」との意見があり、これ
  に対して、郵政省から、「限られた地域のみを対象としていないか、より広い
  年齢層を対象としているか、特定の者やグループを対象としているか、などの
  客観的事項に基づき判断する」との回答があった。また、朝日新聞社、東京放
  送及び読売新聞社からの「新規事業者の優先によりコンテンツの質が低下する
  」旨の指摘に対して、郵政省は、「比較審査においては、より幅広い視聴者層
  を対象とすること、多様な番組が提供されるよう配慮すること等の基準も設定
  されており、このような問題はない」と回答した。
   比較審査に際してのこれら基準の運用に関する郵政省の回答は合理性がある
  と認められ、運用にあたって、これらの意見も踏まえた適切な対応が望まれる。

   また、以下のような要望事項があり、郵政省は「要望として承る」との回答
  を行った。
  1 スロットの割当てやTS合成に関して、NHK及び日本衛星放送から「エ
   ンジニアリングスロットを少なくも1スロット確保してほしい」、ジャパン
   ・デジタル・コミュニケーション、全国朝日放送等から「認定にあたっては
   、各放送事業者の割当てが整数スロットになるようしてほしい」、ジャパン
   ・デジタル・コミュニケーション、ビーエス日本等から「既に認定を受けた
   事業者間で構築が進んでいるデジタル放送の枠組みに合意する事業者を認定
   してほしい」、「TS合成に際しての担当事業者の負担を考慮した認定・周
   波数割当てを行ってほしい」
  2 放送番組、運用等に関して、(社)日本新聞協会、竹内俊雄氏(日本経済
   新聞社)等から「比較審査基準において、新聞社のノウハウを活かす道を広
   げてほしい」、「海外の優れた技術・ノウハウ・コンテンツを容易に導入で
   きるよう認定において措置をしてほしい」、「認定済のBS事業者が映像・
   音声のスロットにデータスロットを加えてデータ放送を行うことや、これら
   事業者と今回認定される事業者が連携してサービスを行える制度にすべき」
  3 放送受信機に関して、番組情報データベースセンターから「認定にあたっ
   ては、多様な受信機を想定した放送番組が提供されるよう要望」、「受信端
   末について、独立データ放送の機能、サービスが十分に発揮できるよう電波
   産業会との技術調整を望む」、一方、ビー・エス・ジャパンから「標準的な
   BSデジタル放送受信機の機能を使ったデータ放送事業者を優先して認定し
   てほしい」

   これらの要望は、今後の認定作業に際しての課題と考えられ、郵政省での要
  望を踏まえた適切な対応が望まれる。

   認定方針案のうち上記意見等があった事項以外の事項(認定方針案のうち1
  、2)については、両参考人から「妥当」との意見が述べられたほか、利害関
  係者からも賛意の表明がされているか、又は特段の反対意見がなく、BSデジ
  タル・データ放送の円滑な導入に必要な規定と認められ、適当と考えられる。

 3 論点lll

   認定方針案(NHKと関連性のある団体の取扱いに関することに限る。)及
  び放送法施行規則の一部改正案(事業計画書の記載事項として、NHKとの関
  連性を判断するために必要な事項を追加すること。)

   認定方針案では、NHKと関連性のある団体が、BSデジタル・データ放送
  に参入することは認めないこととし、認定方針案及び放送法施行規則において
  以下の規定を行っている。
  1 NHKと関連性があると判断するための基準(認定方針案)
    次のいずれかに該当する場合
  ・ NHKから出資がある者
  ・ NHKの子会社又は関連会社が、その議決権の3%以上を有する者
  ・ 子会社又は関連会社の役員が、その役員の総数の1/5を超えている者
  ・ 子会社又は関連会社の役員が、その代表権を有する役員又は常勤役員を兼
   ねる者
  ・ その他NHKが放送番組制作に必要な資料等の供給や職員の派遣において
   、社会通念上相当とされる範囲を超えて支援を行っている者
  2 申請に際し提出する事業計画書に記載する事項として、NHKとの関連性
   を判断するために必要な事項を追加する規定。(放送法施行規則の一部改正
   案)

   本認定方針案に対し、NHKは、「NHKが特殊法人であるからといって、
  直接的、間接的に支配力や影響力の及ばない団体までも「関連性」の名のもと
  に参入を排除するのは、「特殊法人の観点」、「放送制度上の観点」からして
  もなお過剰な規制であり、また、放送法は、NHKの出資会社に対し放送法施
  行令に該当する事項だけを営むよう求めているわけではなく、既に適法に出資
  した団体までも、3%を超えてゼロを求め、出資そのものを参入拒否の絶対的
  基準とする等の規制は行き過ぎである」、「出資比率3%の権利は支配力や影
  響力を行使できるものから程遠い。放送法施行規則では「関連会社」をNHK
  が議決権の20%以上50%以下を実質的に所有する会社としているにも関わ
  らず、「関連性がある」ことの判断基準として3%の出資比率をあげ、これに
  より参入を排除するのは、過剰な規制である。」との反対意見を述べた。

   これに対し、郵政省から、「「特殊法人の観点」について、NHKは放送法
  7条の目的を達成するために設立された特殊法人で、放送法により定められた
  放送業務を自ら行うこととされており、出資や役員派遣等を通じて間接的に放
  送事業の分野に参入する必要性は認められなく、また、NHKが子会社・関連
  会社からの出資、役員派遣を通じて放送事業に参入することも同様である。ま
  た、「放送制度上の観点」について、NHKが出資や役員派遣等を通じて間接
  的に放送事業を行うとすれば、受信料を財源とするNHKと広告収入等を財源
  とする民間放送事業者という放送の基本的体制の趣旨に反するおそれがある。
  これら2つの観点から、NHKから放送事業へ直接出資することは、現在はN
  HKの放送設備を使用する文字多重放送事業者への出資を除き、認められてお
  らず、また、NHKから既に直接出資を受けた事業者が、新たに放送事業に参
  入することも、上記の趣旨を逸脱することになる。」、また、「3%の基準に
  ついて、上記の直接出資規制の趣旨を徹底する観点から、NHKからの直接出
  資がなくとも、NHKの支配力・影響力の及ぶ子会社・関連会社が放送事業に
  出資することは、NHKが迂回出資するのと同じ効果を生むことになるため、
  子会社・関連会社を通じた間接出資も原則として認められない。ただし、子会
  社・関連会社が実質的に出資していないとみなせる範囲として、株主提案権程
  度の権利しかなく、上記出資規制の観点上も特に問題にはならないと考えられ
  る3%未満の出資については、差し支えないものとしている。従って、3%は、
  「支配力・影響力」とは別の趣旨による基準である。」との回答があった。

   一方、日本新聞協会、日本民間放送連盟、新聞社、既存認定事業者、放送事
  業者等から、賛成の意見があった。
   なお、朝日新聞社及び産経新聞社から、「NHKと関連性のある団体のデー
  タ放送への参入を認めないとする方針案は、高く評価し、支持する」。しかし、
  「NHKと「関連性がある」とする基準として、子会社・関連会社からの出資
  が1%でもあれば認定から除外すべき」、「NHKの関連会社の定義について、
  「NHK又は子会社が議決権の20%以上、50%以下を実質的に所有してい
  る」と「NHKが人事、資金、技術、取引等の関係を通じて財務、営業の方針
  に重要な影響を与えることができる」のどちらかを満たせば関連会社とすべき
  」との意見があった。
   これに対し郵政省は、「NHKの子会社・関連会社を通じた間接出資も原則
  として認められないものの、実質的に出資していないとみなせる範囲として3
  %未満については差し支えないものとしている」と回答した。

   本件に関して、国民からの受信料を財源とする特殊法人であるNHKの行う
  放送業務や出資対象事業に関する放送法での規制の趣旨を考慮すると、NHK
  が出資等により間接的に放送事業を行うことは望ましくなく、このためNHK
  から直接出資がある者のみならず、子会社・関連会社を通じた間接出資がある
  者は原則、認定対象から除外されるべきものと考えられる。
   しかしながら、企業経営において株式保有が一般化している状況を考慮する
  と、放送法が直接適用されないNHKの子会社・関連会社に対して、放送事業
  を行う又は行おうとする団体の一切の株式保有を認めないとすることまでは必
  要ないと考えられ、例外としての3%未満の基準は、商法上の株主提案権程度
  の権限しかなく、実質的に、NHKが子会社・関連会社を通じて間接出資して
  いないとみなせる範囲として妥当と考えられる(3%以上では、一定の条件の
  下で、株主総会の召集、取締役の解任等を裁判所に請求しうる。)。
   以上の点から、本案は適当と認められる。

   また、NHKからの「NHKと「関連性」のある会社から見れば、その表現
  の自由や営業の自由に直接的に制約が加えられるものであり、このような憲法
  上の権利と放送体制の調和という高度な価値判断については、法律によって解
  決すべきものであり、部内の審査基準にはなじまない」との指摘に対して、郵
  政省は、「「放送の普及及び健全な発達」という放送法の目的を達成するため
  に基準を作成するものであり、また、放送法52条の13第1項第4号「その
  認定をすることが放送の普及及び健全な発達のために適切であること」の内容
  を明らかにするものである」と回答を行った。

   本件については、放送法の要請からする規制であり、同法に定める認定の基
  準である第52条の13第1項第4号の内容を明らかにするために必要なもの
  と考えられ、適当と認められる。
   なお、仮に「関連性」のある会社が放送事業への参入を希望する場合、当該
  会社にとっては、新規事業のための増資や新たな会社設立等による事業参入も
  可能と考えられるため、当該会社の憲法上の権利が不当におかされるものでは
  ないと考えられる。

   放送法施行規則の一部改正案(事業計画書に記載するNHKとの関連性を判
  断するために必要な事項)に関して、NHKから、「認定の申請書に「NHK
  の資料等の継続的な供給契約の有無の記載の義務づけ」や、「NHKの子会社
  ・関連会社からの出資について1%未満であっても記載することの義務づけ」
  は、NHKとの資料等供給契約のない者やNHKの関係会社でない場合と比べ
  均衡を失しており、不適切。出資があれば比較審査で劣後させるのであれば明
  記すべき。」、また、「郵政省の部内審査基準である認定方針を担保するため
  に放送法の施行に必要な事項を定めるべき施行規則を改正するのは本末転倒で
  ある」との指摘があった。
   これに対し、郵政省は、「この記載の義務づけは、認定方針におけるNHK
  との関連性の有無の判断の資料とするためのもので、比較審査の基準にするも
  のではい。各社1%であっても、子会社・関連会社の合計では容易に3%を超
  えることが可能であることから、1%未満でも記載を求めるものである。」、
  また、「放送法52条の13第1項第4号「その認定をすることが放送の普及
  及び健全な発達のために適切であること」の内容を具体的に定めるものが認定
  方針であり、施行規則の改正は認定方針への適合を確認するための手段を確保
  するためのものである」との回答を行った。
   本件は、放送法の規定に基づく認定方針への適否を判断するために必要な手
  続を定めようとするものであり、適当と認められる。

   なお、日本新聞協会等から、「NHKの「関連会社」の定義は改正の必要が
  あり、20%未満の団体についても、国会と郵政省に報告を義務づけるべき」
  との要望等があったが、郵政省は要望として承る旨、回答を行った。

 4 論点lV
   論点l−lllを除く事項(データ放送の位置付け、その他の事項について)

   日本新聞協会等から、「データ放送はこれまでの「放送」の概念に当てはま
  らないので放送法の対象外とすべき。基準設定前にBSデジタル・データ放送
  を放送全体の中でどのように位置付けるか、放送法上どのように位置付けるべ
  きか国民各層の意見を聞くべき」等の意見が述べられた。
   これに対し、郵政省は、「データ放送が放送法の「放送」の定義から、同法
  の対象になるのは明確であるが、将来「データ放送」の放送法上の扱いをどう
  するかについては、立法論の問題であるが、要望として承る」旨、回答を行っ
  た。

   また、朝日新聞社からの「NHKがデータ放送を実施する場合、その内容を
  公共放送の範囲にとどめ、営利を求めることのないよう、適切な規制を設ける
  べきである」との意見に対し、郵政省は、「公共放送としての基本的性格にふ
  さわしいものを行う旨を明らかにするための放送普及基本計画の一部変更案を
  7月の電波監理審議会に諮問した」旨、回答した。

   なお、放送法施行規則附則第6号の規定に基づき郵政大臣が別に告示する期
  間を定める告示案(データ放送に係るサイマル放送についての届出の期間を告
  示の日から起算して14日とすること)については、利害関係者からも賛意の
  表明がされているか、又は、特段の反対意見がなく、BSデジタル・データ放
  送の円滑な導入に必要な規定と認められ、適当と考えられる。

 (参 考)
   本件意見の聴取の官報公告(11.6.24)に際し、規制の設定又は改廃に係る
  意見提出手続(11.3.23閣議決定)(いわゆるパブリック・コメント手続)に
  基づき、一般からの意見を募集したところ、これに応じて提出された意見は1
  件であった。
   この意見は、利害関係者から提出された意見と重複する内容であったため、
  当該重複する利害関係者の意見に対する郵政省の回答をもって本意見に対する
  回答とした。
   なお、別紙(利害関係者の意見及び要望の概要並びにこれらに対する郵政省
  の回答の概要)においては、【パブリック・コメント】と注記した。


                                  別 紙  1 論点l:一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロット相当とするこ        と及び放送番組の数の目標として一般放送事業者の放送として5番        組以上とすること(NHKに対して新たなスロットの割当てを行わ        ないことを含む。)
 意見・要望の概要
       郵政省の回答の概要
 BSデジタル放送のデ
ータ放送について、一の
者が保有する周波数資源
の上限値を2スロット、
6番組以上とし、1社で
も多くの事業者の参入を
可能とすべき。
【全国朝日放送】








 限りある周波数資源を活用してより多くの者の表現の
自由の実現を達成することは放送法の趣旨であるが、一
方で、多様なデータ放送サービスの発展を考慮すること
が必要である。
 今回データ放送用として一事業者が用いることができ
るスロットは、1ch、3ch、13chのそれぞれ最大2ス
ロットと15chの最大6スロットである。
 ここで、公正競争上の観点から2スロットしか使用で
きない事業者に比べて相対的に突出して優位な状況を生
み出すこととならないように、一方で、多様なデータ放
送サービスの発展の可能性を大幅に制限するおそれのな
いよう、上限を3スロットとしているところである。
 しかし、1社でも多くの事業者の参入は望ましいと考
え、放送番組の数も5番組以上としていことから、実際
の申請者の状況を見ながら認定していくこととなる。

 NHKに対してデータ
放送のための新たなスロ
ットの割当を行わないの
は不適切。
・ 現在割り当てられて
 いる伝送容量だけでは
 、効率的利用を工夫し
 ても、公共放送にふさ
 わしいサービスを提供
 するのに十分ではない
 。
・ BSアナログ放送の
 視聴者がデジタル放送
 に円滑に移行するため
 には、標準テレビジョ
 ン放送においても、デ
 ジタル技術を活用した
 より魅力的な付加サー
 ビスを伴っていること
 が必要。
・ 降雨減衰対策に2ス
 ロットが必要な時
 間帯こそデータ放送に
 よるきめ細かな気象情
 報等が一層必要とされ
 、そのための伝送容量
 が必要。
【日本放送協会】

 NHKは、すでに標準テレビジョン2番組の認定を受
け、更に高精細度テレビジョン1番組も認定を受ける予
定で、放送法の改正法施行後は、このテレビジョン放送
の中で「データ放送」を実施できるようになることから
、NHKには公共放送として、テレビジョン放送とデー
タ放送を組み合わせたBSデジタル放送の普及発展に先
導的役割を果たしていただけると考えている。
 また、BSアナログ放送の視聴者がデジタル放送に円
滑に移行していくためには、標準テレビジョン放送にお
いても魅力的な付加サービスを伴っていることが必要と
の主張であるが、視聴者がBSアナログ放送からBSデ
ジタル放送へ移行する動機としてはBSデジタル放送で
は多チャンネルにより多彩な番組が提供されることもあ
ると考えられ、ご意見は必ずしも当を得ていない。
 さらに、降雨減衰対策に2スロットが必要な時間帯こ
そデータ放送によるきめ細かな気象情報等がいっそう必
要とされ、そのための伝送容量が必要となるとの主張に
ついては、降雨減衰対策が必要であることは認識してい
るが、残りのスロットでも十分なデータ放送をテレビジ
ョン放送と組み合わせて送ることができるものと考えて
いる。
 郵政省としては、NHKには、その役割を考慮して、
現在割り当てられているテレビジョン放送のなかで技術
革新などにより伝送容量の効率的利用を進め、公共放送
にふさわしいデータ放送サービスを魅力的な形で実施し
ていただくことを期待する。




 2 論点ll:認定方針案(NHKとの関連性がある団体の取扱いに関することを
       除く。)
       (主に比較審査基準に関すること。)
 意見・要望の概要
       郵政省の回答の概要
 認定方針案における「
全国放送にふさわしい内
容」「視聴者層がより大
きい」「既存放送事業者
の社会的影響力」「表現
の機会」などの具体的判
断基準がなく、行政の恣
意的な判断が入るのでは
ないか。
【朝日新聞社、日本新聞
協会】

 例えば、
1 「放送の対象となる視聴者層がより大きい」かどう
 かは、より広い年齢層を対象としているかどうか、特
 定の者やグループを対象としたものでないかどうか等
2 「全国放送にふさわしい内容」であるかどうかは、
 限られた地域のみを対象としていないかどうか
3 「既存放送事業者の社会的影響力」「表現の機会」
 は、保有するメディアの位置付け、放送番組の数、伝
  送容量を勘案する
など、客観的事項に基づき判断することにしており、恣
意的に判断するようなことはない。

 「より幅広い視聴者を
対象としている」という
のは視聴者の数だけでな
く、むしろサービスエリ
アが全国であること、既
存メディアにない新しい
放送サービスをどれほど
実現しようとしているか
等を考慮すべき。
【ビー・エス・ジェイ・
ラジオ】

 比較審査基準では視聴者の数だけで判断しようとして
いるわけではなく、全国を対象としたサービスを行って
いるか、多様な放送番組が提供されることとなるかどう
か等を考慮して認定することにしている。










 比較審査基準において
新規事業者を優先する考
え方には反対する。新規
事業者参入より多彩なサ
ービスの具体的計画及び
その実施能力を重視すべ
き。
【朝日新聞社、衛星デ
ジタル音楽放送、ジャパ
ン・デジタル・コミュニ
ケーションズ、スター・
チャンネル、全国朝日放
送、全国文字放送連絡協
議会、文字放送普及推進
協議会、竹谷俊雄、東京
データビジョン、東京放
送、日本衛星放送、日本
新聞協会、日本テレビ放
送網、日本民間放送連盟
、ビーエス朝日、ビー・
エス・ジェイ・ラジオ、
ビー・エス・ジャパン、
ビーエス日本、読売新聞
社】

 多くの方々から、比較審査基準において新規事業者を
優先する考え方に反対するというご意見を頂いている。
 この基準は、放送による表現の自由ができるだけ多く
の者によって享有されるようにするという放送法の趣旨
(放送法第52条の13第1項第3号)に基づき、BS
−4後発機において使用できる限られた周波数資源をで
きるだけ多数の者に開放し、それを用いてより独立性の
高い放送事業者ができるだけ多数参入することにより、
自由な言論や表現を行う場が確保されることが適当と考
え、設定しようとするものである。















 既認定事業者のコンテ
ンツ制作面でのノウハウ
を活かし、BSデジタル
放送における多彩なサー
ビスを実現するするため
には既認定事業者に割当
が必要。
【朝日新聞社、ジャパン
・デジタル・コミュニケ
ーションズ、全国朝日放
送、東京放 送、日本衛
星放送、日本新聞協会、
日本テレビ放送網、日本
民間放送連盟、ビーエス
朝日、ビーエス日本、読
売新聞社】

 既に認定を受けている者は保有スロットの中でデータ
放送を行うことも可能であるり、データ放送に使用でき
る周波数資源が少ないことにかんがみ、新規参入者を優
先することが適当としている。













 BSデジタル放送にお
いて一の者当たりの保有
スロット数を24スロッ
トとしており、24スロ
ットまではマスメディア
集中排除に当たらない(
放送法の規定を満たす事
業者間は対等であるべき
であり、さらに強い基準
は不要)。
【東京放送、日本テレビ
放送網、日本民間放送連
盟、ビー・エス・ジャパ
ン、ビーエス日本】

 データ放送に使用できる周波数資源は少ないことから
、できるだけ多数の事業者に表現の場を設けることが放
送法の趣旨であるので、比較審査になった場合には新規
事業を優先することが適当と考える。
 なお、放送法のマスメディア集中排除の条項は、絶対
的基準として規定してあるが、周波数が不足する場合に
は、これら絶対的基準に適合する度合いから見て最も公
共の福祉に寄与するものが優先することは、放送法関係
審査基準に規定されており、放送法の趣旨に抵触するも
のではないと考える。





 新規事業者の優先によ
ってコンテンツの質の低
下を懸念する声や新規事
業者ではコンテンツを有
していないし魅力あるデ
ータ放送が提供できない
のではないか。
【朝日新聞社、東京放送
、読売新聞社】



 比較審査にはほかにも
1 より幅広い視聴者層を対象に放送するものを優先す
 る
2 BS−4後発機によるデータ放送全体として多様な
 番組が提供されるよう配慮する
3 BSデジタル放送開始当初から相当程度遅れた時点
 を放送開始時期としているものは劣後する
という基準を設定することにしており、事業者の能力や
BSデジタル放送の普及の牽引力になるかどうかも考慮
して認定することにしていることから、そのような問題
は生じないと考えている。

 既認定事業者には各社
の置かれた個別の状況に
ついて考慮すべき。
 BS会社を新規事業者
と区別すべきでない。
【スター・チャンネル、
全国文字放送連絡協議会
、文字 放送普及推進協
議会、東京データビジョ
ン、竹谷俊雄、日本衛星
放送、ビーエス朝日】

 データ放送に使用できる周波数資源が少ないことにか
んがみ、新規参入者を優先することが適当としている。










 認定を受けた当時は、
データ放送の技術基準や
制度整備の遅れ等により
認定申請をあきらめた結
果、既存の認定放送事業
者として扱われ、比較審
査上劣後に扱われるのは
公平でない。
【ビー・エス・ジャパン
 】

 既存の認定放送事業者は現に保有するスロットでデー
タ放送を行うことは可能であることから、データ放送に
使用できる周波数資源が少ないことにかんがみ、新規参
入者を優先することが適当としている。







 エンジニアリングスロ
ットを少なくとも1スロ
ット確保されるよう要望
する。
【日本衛星放送、日本放
送協会】
 データ放送に使用できる周波数は12スロットのみで
あり、エンジニアリングスロット用として1スロットを
別に確保することは困難である。
 よって、エンジニアリングスロットについて申請が提
出されても、他のデータ放送の申請者と同様に認定基準
、比較審査基準に照らして審査するものである。


 比較審査基準において新聞社のノウハウを活かす道を広げ
てほしい。
【産業経済新聞社、竹谷俊雄、日本新聞協会】
要望として承る。
 高度なデータ放送の実現と幅広い番組の提供が可能となる
よう、国内だけでなく海外の優れた技術・ノウハウ・コンテ
ンツを容易に導入できるよう、認定において何らかの措置を
講じてほしい。
【衛星デジタル音楽放送】
 事業者認定に当たっては多様な受信機器を想定した放送番
組が提供されるよう要望する。
【番組情報データベースセンター】
 受信端末について、「独立データ放送」の機能、サービス
が十分に発揮できるよう電波産業会との技術調整を望む。
【番組情報データベースセンター】
 データ放送の認定に当たっては各放送事業者の割当が整数
スロットとなるよう要望する。
【ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、全国朝日放
送、ビーエス朝日、ビーエス日本】【パブリック・コメント
】
 認定済のBS事業者が映像や音声のスロットにデータスロ
ットを加えてデータ放送を行うことや、認定済のBS事業者
と今回認定を受ける新規事業者が連携してサービスを行うこ
とができる制度にすべき。
【竹谷俊雄】
 既に認定を受けた事業者間で構築が進んでいるBSデジタ
ル放送の枠組みを理解し合意する事業者を認定してほしい。
【ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、ビーエス日
本】【パブリック・コメント】
 標準的なBSデジタル放送受信機やIRDに内蔵されている
機能を使ったデータ放送事業者を優先して認定してほしい。
【ビー・エス・ジャパン】
 HDTVとSDTV放送の並行放送は技術的に可能である
ことから、NHKに限らず、既認定事業者にも認定されたス
ロットの範囲内で柔軟な放送ができる制度整備を希望する。
【ビー・エス・ジャパン】

 3 論点lll:認定方針案(NHKと関連性のある団体の取扱いに関することに限
        る。)及び放送法施行規則の一部改正案(事業計画書の記載事項と
        して、NHKとの関連性を判断するために必要な事項を追加するこ
        と。)
    意見・要望の概要
     郵政省の回答の概要
 NHKと関連性のある団体の取扱
いは過剰な規制であり合理的理由が
ない。
【日本放送協会】
1 NHKが特殊法人であるからと
 いって、直接的、間接的に支配力
 や影響力が及ばない団体までも
 「関連性」の名のもとに規制の網
 をかぶせ参入を排除するのは「特
 殊法人の観点」、「放送制度上の
 観点」からしてもなお過剰な規制
 である。
  そもそも、NHKや関係会社か
 らの支配力や影響力があってこ
 そ、はじめて、上記観点から問題
 が生ずるのではないか。







2 現在の出資政令では、NHKの
 出資対象事業に多重放送を例外と
 して放送事業は含まれていない
 が、その事実だけでNHKが既に
 出資した会社の参入を門前払いす
 る自明の理由にはならない。
  放送法は、NHKの出資会社に
 対し政令該当事業だけを営むよう
 求めているわけではない。既に適
 法に出資した団体にまでも、3%
 を超え、出資の存在そのものを参
 入拒否の絶対的基準とする等の規
 制は行き過ぎである。


3 出資比率3%の権利は株主総会
 召集請求権や整理申立権、会計帳
 簿等の閲覧・謄写請求権などに過
 ぎず支配力や影響力を行使できる
 ものから程遠い。関連会社の出資
 先にいたってはなおさらである。
  新たに「関連性」などという曖
 昧で感覚的な基準を持ち出すのは
 当を得ていない。「関連性」を基
 準にするにせよ、放送法施行規則
 では「関連会社」をNHKが議決
 権の20%以上50%以下を実質
 的に所有する会社としているにも
 関わらず、「関連性がある」こと
 の判断基準として3%の出資比率
 をあげ、この一点だけでも参入を
 排除するのは、過剰な規制であ
 る。

4 「関連性」の基準の一つとし
 て、「社会通念上相当とされる範
 囲を超えて支援を行っている者」
 とあるが、この規定は不明確で漠
 然としており、「相当とされる範
 囲」の判断は行政のフリーハンド
 なため、「行政手続の透明性の確
 保」という要請に逆行する。




5 当該「関連性」のある会社から
 見れば、その表現の自由や営業の
 自由に直接的に制約を加えるもの
 であり、あえて言えば憲法上の権
 利にも関わるもの。このような憲
 法上の権利と放送体制の調和とい
 う高度な価値判断については、国
 会による議論を経て法律によって
 解決すべきもの。部内審査基準に
 はなじまない。

 「NHKと関連性のある団体の取扱い
」の理由は以下のとおりである。


1 特殊法人の観点について
  NHKは、放送法第7条の目的を達
 成するために設立された特殊法人であ
 り、放送法により定められた放送業務
 を自ら行うこととされている。従っ
 て、出資や役員派遣等を通じて、間接
 的に放送事業の分野に参入する必要性
 は、原則として認められない。
  なお、NHKが子会社・関連会社か
 らの出資、役員派遣等を通じて放送事
 業の分野に参入することも、同様であ
 る。
  放送制度上の観点について
  NHKが出資や役員派遣等を通じて
 間接的に放送事業を行うとすれば、受
 信料を財源とするNHKと広告収入等
 を財源とする民間放送事業者という放
 送の基本的体制の趣旨に反するおそれ
 がある。
2 直接出資について
  放送法では、出資対象事業をNHK
 の業務に密接に関連する事業に限定す
 るとともに、NHKの業務の遂行上特
 に必要がある場合に限って出資を認め
 ている。
  放送事業に対してNHKが直接出資
 することについては、先に述べた2つ
 の観点から、現在は、NHKの放送設
 備を使用する文字多重放送事業者への
 出資を除き、認められていない。
  また、NHKから既に直接出資を受
 けた事業者が、新たに放送事業に参入
 することも、上記の趣旨を逸脱するこ
 とになる。
3 3%の基準について
  上記の直接出資規制の趣旨を徹底す
 る観点からは、NHKからの直接出資
 がなくても、NHKの支配力・影響力
 の及ぶ子会社・関連会社が放送事業に
 出資することは、NHKが迂回出資す
 るのと同じ効果を生むことになるた
 め、子会社・関連会社を通じた間接出
 資も原則として認められない。
  ただし、子会社・関連会社が実質的
 に出資していないとみなせる範囲とし
 て、株主提案権(商法)程度の権限し
 かなく、上記出資規制の観点上も特に
 問題にはならないと考えられる3%未
 満の出資については、差し支えないと
 考える。
  したがって、3%は、「支配力・影
 響力」とは別の趣旨による基準であ
 る。
4 「職員の派遣」「取引」の2点から
 「支援」を判断するが、これらの形態
 は多種多様であり、一律の基準になり
 がたいことから、「社会通念上相当と
 される範囲」として実体的に対応しよ
 うとするものである。
  具体的には、NHKの職員が当該団
 体の役員の1/5を超えて兼務してい
 るなどの場合であって、NHKが社会
 通念上相当とされる範囲を超えて支援
 を行っていると認められる場合等を想
 定している。
5 「放送の普及及び健全な発達」とい
 う放送法の目的を達成するために基準
 を作成するものであり、放送法52条
 の13第1項4号「その認定をするこ
 とが放送の普及及び健全な発達のため
 に適切であること」の内容を明らかに
 するものである。




 認定方針の対象は、BS−4後発
機を用いたデジタル放送におけるデ
ータ放送に関するものであるという
ことを確認したい。
【日本放送協会】

 そのとおりである。





 認定方針を支持する。諮問案の方
針が、地上波デジタル放送、CSデ
ジタル放送などでも貫徹されること
を求める。
【朝日新聞社、全国朝日放送、竹谷
俊雄】

 BSデジタル・データ放送以外の放送
については、その都度、個々に検討す
る。




 NHKの関連会社の定義について
も、「NHK又は子会社が議決権の
20%以上、50%以下を実質的に
所有している」と「NHKが人事、
資金、技術、取引等の関係を通じて
財務、営業の方針に重要な影響を与
えることができる」のどちらかを満
たせば関連会社とすべき。
【朝日新聞社、産業経済新聞社、竹
谷俊雄、読売新聞社】
 直接出資規制の趣旨を徹底する観点か
らは、NHKからの直接出資がなくても
、NHKの支配力・影響力の及ぶ子会社
・関連会社が放送事業に出資することは
、NHKが迂回出資するのと同じ効果を
生むことになるため、子会社・関連会社
を通じた間接出資も原則として認められ
ない、としているもの。
 ただし、子会社・関連会社が実質的に
出資していないとみなせる範囲として、
株主提案権程度の権限しかなく、上記出
資規制の観点上も特に問題にはならない
と考えられる3%未満の出資について
は、差し支えないと考える。
 子会社、関連会社からの出資が1
%でもあれば認定から除外すべき。
【朝日新聞社、産業経済新聞社】


 認定の申請書類に、NHKの資料
等の継続的な供給契約の有無の記載
を義務づけることは撤回すべき。こ
の義務は審査に当たってNHKとの
供給契約のない者を優先し、申請者
に対しNHKからのソフト購入は見
合わせるべきと言っているに等し
い。NHKのソフト供給は希望者に
同等条件で行っており、「支援」で
はない。
【日本放送協会】

 当該記載を求めるのは、認定方針にあ
る「協会が放送番組制作に必要な資料等
の供給や職員の派遣において、社会通念
上相当とされる範囲を超えて支援を行っ
ている者」に当たるかどうかの判断の資
料とするためである。比較審査の基準に
用いるものではない。





 NHKの子会社、関連会社からの
出資について1%未満であっても記
載することを義務づけているのは、
NHKの関係会社でない場合に比し
均衡を失しており不適当。仮に、少
しでも出資があれば、比較審査の際
に劣後させるというのであれば、諮
問案に明記すべき。
【日本放送協会】




 当該記載を求めるのは、認定方針にあ
る「協会の子会社又は関連会社が、その
議決権の100分の3以上を有する者」に当
たるかどうかの判断の資料とするためで
ある。比較審査の基準に用いるものでは
ない。
 なお、NHKの子会社・関連会社は、
平成11年3月31日現在で56社あり、各社
1%未満であっても、合計では容易に3
%を超えることが可能であることから、
1%未満の出資についても記載を求める
ものである。

 郵政省の部内審査基準である認定
方針を担保するために放送法の施行
に必要な事項を定めるべき放送法施
行規則を改正するのは本末転倒であ
る。
【日本放送協会】





 放送法52条の13第1項4号「その
認定をすることが放送の普及及び健全な
発達のために適切であること」の内容を
具体的に定めているものが認定方針であ
る。放送法施行規則を改正するのは、こ
の認定方針への適合を確認するための手
段を確保するため、つまるところは、当
該放送法の条文の要件を充足するための
ものであり、通例とられている改正手続
である。

 放送法施行規則11条による「関
連会社」の定義は改正の必要がある
。20%未満の会社・団体について
も、国会と郵政省に報告を義務づけ
るべき。また、NHKとの関連性を
判断するために、申請書に資本、人
事、取引等の実態を記載することす
べき。
【朝日新聞社、産業経済新聞社、日
本新聞協会、読売新聞社】

 要望として承る。











 4 論点lV:論点l〜lllを除く事項(データ放送の位置付け、その他の事項につ
       いて)
    意見・要望の概要
     郵政省の回答の概要
 NHKがデータ放送を実施する場
合には、その内容をあくまで公共放
送の範囲にとどめ、営利を求めるこ
とがないよう、適切な規制を設ける
べき。
【朝日新聞社】

 公共放送としての基本的性格にふさわ
しいものを行う旨を明らかにするための
放送普及基本計画の一部変更案を、先般
7月16日、電波監理審議会に諮問した
ところ。


 データ放送は、これまでの「放送
」の概念に当てはまらないので、放
送法の対象外とすべき。基準設定前
にBSデジタル・データ放送を放送
全体の中でどのように位置付けるか
に関する議論を行うべきであり、放
送法上どのように扱われるのかにつ
いて広く国民各層の意見を聞き、行
政としての考え方を早期に明示すべ
き。
【朝日新聞社、日本新聞協会】

 データ放送が、放送法の「放送」の定
義に当たることは明らかであり、今回の
諮問案において放送法の適用外とするこ
とはできない。
 将来、「データ放送」の放送法上の扱
いを変更するかどうかについては、立法
論の問題であるが、ご要望のような意見
があることはお聞きした。








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