電波監理審議会(第826回)議事要旨(平成11年10月14日公表)
1 日 時
平成11年9月17日(金)16:30〜18:46
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
(2) 電波監理審議会審理官
安成 知文
(3) 幹事
仲矢 徹(審議会室長)
(4) 郵政省
天野電気通信局長、金澤放送行政局長ほか
4 議 事 模 様
(1) 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す
る規則の各一部を改正する省令案について
(11.5.21諮問第18号)
2.4GHz帯の周波数の電波を使用する小電力データ通信システム(主に
無線LANシステム)の無線局の無線設備の技術的条件を定めること等に係る
電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する
規則の各一部を改正する省令案について、意見の聴取の手続を主宰した審理官
から提出された調書及び意見書に基づき審議した結果、適当である旨、答申し
た。
なお、答申後、端末系回線の光ファイバー化政策と本システムなど無線によ
る端末回線の整備促進施策の整合性について、質問があり、郵政省から以下の
ような回答があった。
・ 光ファイバーの整備を積極的に推進する方針に変更はない。ただし、現時
点でのニーズは光ファイバーでなければならないものは少なく、移行の段階
の措置として無線利用は有効であり、その意味で無線も積極的に推進したい。
顕在化した無線ニーズに的確に対応し、より高い潜在的な需要にスムーズに
応えられるようにしておくことが、光化へのステップとして必要である。
(2) 電波法施行規則、無線局免許手続規則、無線設備規則、無線機器型式検定規
則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一部を改正する省令
案について (11.6.11諮問第20号)
技術基準適合証明の対象設備の追加及び委託による型式検定の対象機器の削
除に係る電波法施行規則、無線局免許手続規則、無線設備規則、無線機器型式
検定規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一部を改正す
る省令案について、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及
び意見書に基づき審議し、適当である旨、答申した。
(3) 放送法施行規則の一部を改正する省令案、放送普及基本計画及び放送用周波
数使用計画の各一部変更案、BS−4後発機を用いたデジタル放送におけるデ
ータ放送に係る委託放送業務の認定に係る認定方針案等について
(11.6.11諮問第21号)
BSデジタル・データ放送の実現に向けた制度整備に係る放送法施行規則の
一部を改正する省令、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変
更案、放送法施行規則附則第6項の規定に基づく告示案並びにBS−4後発機
を用いたデジタル放送におけるデータ放送に係る委託放送業務の認定に係る認
定方針案について、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及
び意見書に基づき審議した結果、以下の二点を指摘した上で、適当である旨、
答申した。
・ 今回の答申は、現在の政策、技術の条件の下で、BSデジタル・データ放
送について行うものである。
・ 放送の二元体制論、放送主体の多様化による放送番組の多様性の確保等の
在り方について今一度議論すべきである。
審議における委員の主な発言は、次のとおりである。
BSデジタル・データ放送の放送番組の数の目標を、一般放送事業者の放
送として5番組以上とすること(NHKに対して新たなスロットを割り当て
ないことを含む。)について
・ (NHKが既存のスロットの中でデータ放送を行うに際し)降雨時に画
質を維持することは重要であるが、一年中雨が降る国でもないので、降雨
期のみ縮小画像等で工夫する手もある。
・ 視聴者はよりよい高精細テレビ番組やデータ放送を求めており、単に大
きいから排除するとか、多数参加すればより独立性の高い表現ができると
の主張はいかがか。ただし、NHKは既存スロットの中でデータ放送がで
きることから新規にスロットを割り当てないという論理は理解。
・ 利害関係者の主張も含めて今回の議論には視聴者の観点が欠落している。
が、NHKに新規スロットを与えない案については、現時点の技術を前提
として妥当。
・ 放送の実施の機会を広く国民に開放し、また、それにより視聴者に多様
な情報が提供されることを確保するということが放送政策の原則。もちろ
んその原則と放送の質等との関係は検討が必要。今回の案は、NHKは既
存スロットでデータ放送も可能で、降雨対策は技術により対応可能である
ため妥当。
認定方針案の比較審査基準のうち、既存放送事業者等の保有する議決権又
は役員兼務の程度の少ない者を優先することについて
・ よりよい番組を求めるには、最初から既存事業者等を劣後させるのでは
なく、自由に競わせる方がよい。
・ いい企画を出した者から割り当てるのが一番だが、NHKに新規スロッ
トを割り当てないならば、既存民放も同様の意味で劣後させることもやむ
を得ない。
・ NHKは民放の論理に合わせる必要はないが、(民放の間では)視聴者
のためには自由な発想のいろいろな事業者が出てくる方がよい。その意味
で、ボーダーラインに2者があった場合に新規を優先する程度の扱いでよ
い。
・ 事業者が複数あるほうが多様性を生みやすいという放送政策の前提があ
り、既存事業者の出資が多いほど配点が不利になるという扱いは妥当。
(注)既存事業者の劣後について、郵政省から、既存事業者は当然に審査
を受けられないということではなく、他にもいろいろな審査基準があ
り、その一つとして、既存事業者はこの部分の点数、配点が少し少な
くなる旨の補足説明があった。
認定方針案のうちNHKと関連性があると判断される団体は認定しないと
する方針について
・ NHKの出資は、そもそもNHKの本来業務のためのものであって、外
に出ていくためのものではないという点をさらに明確化すべき。子会社の
出資にしても同様。
・ NHKの出資は受信料を支払っている者から見えないところで認めるこ
とがいいのかを議論すべき。迂回出資は当然排除するとしても、できるだ
け多くの者を自由に競わせていい者から選ぶべき。
・ 子会社からの出資を受けていてもNHKから孫会社として出資を受けた
意識のない会社に対する対策があればよい。
・ NHKは受信料を財源とし、節度が求められ、出資についても認可事項
としている。NHKの本務は放送事業であり、多くのチャンネルを割り当
てられている一方で、迂回して別の放送事業をするというは趣旨に反する。
NHKの出資はNHKの本来業務に役立てるためのもの。放送法の出資条
項の趣旨に鑑みれば、放送事業への出資は、原則認めるべきではない。
(4) 電波法施行規則及び無線設備規則の各一部を改正する省令案並びに標準テレ
ビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式の全部を改正する
省令案について (諮問第24号)
地上デジタルテレビジョン放送方式に係る技術基準を整備するための関係省
令の改正案の概要について、郵政省から、次のとおり説明があった。
・ 本件は、電気通信技術審議会答申「地上デジタルテレビジョン放送方式の
技術的条件」(平成11年5月)を踏まえ、地上デジタルテレビジョン放送方
式に係る技術基準を整備しようとするものである。
具体的には、周波数の許容偏差、占有周波数帯幅の許容値等に係る事項や
遅延波による妨害に強いOFDM(直交周波数分割多重)方式の導入、映像
フォーマット、情報源符号化方式、多重化方式、誤り訂正方式等についての
規定を整備するものである。
本基準を明確にすることにより、受信機等の開発が促進され、地上デジタ
ルテレビジョンの円滑な導入が期待できるとともに、他の放送メディアとの
受信機の共用化、利便性の向上等も期待できる。
本件は、電波法により意見の聴取を義務付けられているため、別途、意見の
聴取を行うこととし、その手続を主宰する審理官に安成知文を指名した。
(5) 日本衛星放送株式会社に係る有料放送の役務の料金の変更の認可について
(諮問第25号)
日本衛星放送株式会社に係る有料放送の役務の料金の変更の認可ついて、郵
政省から、次のとおり説明があった後、適当である旨、答申した。
・ 本件は、CSデジタル放送のチャンネル数の増加、平成12年末から開始
予定のBSデジタル放送など新たな衛星放送メディアの普及・発展によって
競争が激化している中、加入者の増加を図り、事業の継続・発展を目指すた
め、加入料を引き下げようとするものであり、審査した結果、放送法第52条
の4第2項各号及び関係審査基準に適合していると認められるので、認可し
ようとするものである。
(変更案の内容)
新規加入に際しデコーダの引渡しを受ける場合
現行27,000円→改正14,800円
解約後1年を超えて再加入し、デコーダの引渡しを受ける場合
現行21,000円→改正8,800円
(6) 日本放送協会所属放送局の廃止の認可について (諮問第26号)
日本放送協会所属放送局の廃止の認可ついて、郵政省から、次のとおり説明
があり、審議した結果、適当である旨、答申した。
・ 本件は、新潟県能生町及び島根県仁多町に設置されている日本放送協会所
属テレビジョン放送局等4局について、放送区域内の全世帯が町営のCAT
Vに加入したことにより、受信世帯が皆無となったため廃局しようとするも
のであり、審査した結果、特段の支障はないと認められた。
(文責:電波監理審議会事務局)