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電気通信審議会電気通信事業部会第158回会合議事要旨(平成10年2月17日公表)
1 日時 平成10年2月4日(水) 午後3時04分〜午後5時16分 2 場所 郵政省審議会会議室(郵政省12階) 3 出席者(敬称略) (1)委員 園山重道(部会長)、増澤高雄(部会長代理)、加藤真代、醍醐聰、 齊藤忠夫、舟田正之 (2)事務局 渡辺信一審議会室長 (3)郵政省 谷公士電気通信局長 ほか 4 議題 (1)諮問事項 ア 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について 〔継続〕(市内通話料金割引サービスの提供) イ 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の設定の認可に ついて(電気通信事業法第38条の2第2項に基づく接続約款の設定) ウ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について 〔継続〕(番号案内料の改定) (2)報告事項 日本電信電話(株)の発信電話番号通知サービスの本格提供に当たって の通話不能トラブルの発生について 5 議事模様 (1)諮問事項 ア 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について (市内通話料金割引サービスの提供) 郵政省から、前回各委員から要望のあった事項等に関する説明が行われ た。 主な質疑応答等は、以下のとおり。 ・ 今回、全国あまねく提供するサービスをNTTに課すための措置として、 全国展開の時期については、認可の条件とするよう答申に要望を付すべき との意見があり、郵政省から、全国展開を求めることについては、認可の 条件としたい旨の説明があった。これに関連して、他の委員からも、認可 の際には、行政指導ではなく、明確に法的な認可の条件を付すべきとの意 見があった。 ・ インターネット利用者やテレホーダイの利用者の場合、長時間利用が多 いと思われるが、NTTが把握しているトラヒックデータを提出してほし い旨の要望があった。これに関連して、今後、マルチメディア時代に向け ての料金体系や長時間利用者型の料金体系を検討する際には、本件のよう な新しい形態のサービスの利用に関するデータが必要であるが、本件サー ビスの開始によりそういったデータ収集ができる環境を整備することが可 能となること及び本件はインターネットユーザが期待するサービスと思わ れることから、データの報告を求めることを前提に、認可することは適当 との意見があった。これに対して、郵政省から、行政としても電話利用に どのような変化があるかというデータを把握し、必要な施策を検討してい きたいとの説明があった。 ・ 全国展開を前提としながらも、地域によってその提供時期に差が生じる ことについては、「日本電信電話株式会社の在り方について」(平成8年 2月29日答申)の中で「このような競争の進展の中で、地域通信分野に おいても、経営の効率化が図られ、料金の低廉化・多様化、サービスの多 様化が進むことが期待される。また、地域2社体制においては、料金の低 廉化、サービスの多様化などの進展度合いに相違が生じることがあり得て も、現行水準より悪化することは想定し難い。」と記述しており、進展度 合いに差があっても、あまねく全国的に展開されていくという見通しがあ り、それが合理的な期間であるならば、一部の地域での先行実施自体には 問題はないのではないかとの意見があった。 ・ 先行実施による検証の結果、全国展開に当たって、例えば、200円の 定額料を300円にするという提供条件の変更も予定しているのかとの質 問に対して、郵政省から、「提供条件の検討を行った上で、同一の条件で 全国拡大」というのは、今回の申請内容の条件と同一という意味ではなく、 地域差を設けないという意味であるため、そのような見直しもあり得ると の回答があった。 ・ 公正取引委員会事務総長がNTTの市内通話料金割引について競争政策 上好ましくないと述べた旨の新聞報道(平成10年1月29日)について、 事務総長の発言は記者からの質問に対してあくまで一般論として回答した ものであり、NTTが認可申請中の割引サービスについて判断を示したも のではない。個別具体的な事案について独占禁止法上の判断をあらかじめ 示すことはできないが、NTTの本割引サービスが全国展開を前提として いることや、その内容等を勘案すると、直ちに問題となるものではない旨 の同委員会への照会結果について郵政省から報告があり、委員からも同様 の発言があった。 ・ NTTは支配的事業者であることから、いわゆるユニバーサルサービス の提供義務が課せられているが、その義務を履行するための措置について 不十分であるとの意見があり、さらに、接続料金における長期増分費用方 式の導入の議論等においても、ユニバーサルサービスの義務と切り離すこ とは不可能であり、ユニバーサルサービス(NTTの責務)の在り方につ いて早期に結論を得るよう、郵政省に対して要望があった。 審議の結果、以下の点を条件として認可することが適当と認められる旨 の答申を行った。 [1]本サービスが電話という基本的なサービスに係る選択割引サービスで あることを踏まえ、NTTにおいては、本サービスを全国へ展開するも のとし、その時期は、平成10年内のできるだけ早期とすること。 [2]本サービスが、パソコン通信、インターネットダイヤルアップ接続等 新しい電話利用にも対応しようとするものであることから、NTTにお いては、本サービスの実施後における電話回線の利用状況(通話回数、 通話時間等)の変化を調査し、速やかに郵政省に報告すること。 なお、郵政省においては、競争の進展やユーザーニーズの多様化に対 応したNTTの責務(日本電信電話株式会社法(昭和59年法律第85 号)第2条「国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で公平に提供 することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の 確保に寄与」)の在り方について、幅広い観点から検討の上、早急に結 論を得るよう努めることを要望する旨付記された。 イ 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の設定の認可に ついて(電気通信事業法第38条の2第2項に基づく接続約款の設定) 日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の設定の認可の 申請(概要は以下のとおり。)及び審査結果について、郵政省から説明が 行われた。 ・ 申請者 日本電信電話株式会社(代表取締役社長 宮津 純一郎) ・ 申請内容 NTTが、電気通信事業法第38条の2第2項の規定に基づき、同条 第1項の規定により指定された電気通信設備と他の電気通信事業者の電 気通信設備との接続に関し、NTTが取得すべき金額及び接続の条件に ついて定めた接続約款を設定するもの。 主な質疑応答等は、以下のとおり。 ・ 加入者交換機を使用しないで加入者回線のみを使用すること(いわゆ る芯線貸し)により接続の形態が多様化するものと考えられるが、交換 機を使用しない場合の接続料はどのようになるかとの質問に対して、郵 政省から、加入者回線のみを使用する形の接続ではないが、加入者回線 の基本料に相当する料金として、PHS基地局回線機能の例では、1回 線当たり1,741円であるが、これはアクセス回線だけのアクセスチ ャージであり、交換機の料金を含まないものである旨の回答があった。 ・ アンバンドルについて、NTT以外の事業者が交換機をコロケートす ることにより、NTTの交換機の下で接続することは可能かとの質問に 対して、郵政省から、xDSLについては、NTTにおいて近々実証実 験を開始する予定であり、その実験結果を踏まえて検討することとして いること、それ以外の方法については、接続の要望がなかったため、今 回諮問の接続約款中の料金表には含めていない。ただし、そういう要望 があれば、NTTはその料金表を作成することを検討するとの回答があ った。 ・ 減価償却費がかなり大きく計上されているが、他の業種と比較してど うかとの質問に対して、他の委員から、これは法令で認められている6 年の耐用年数から、ほぼ自動的に算出されているとの説明があった。 審議の結果、諮問された接続約款案については、「接続に関する議事手 続細則」の規定に従い、報道発表するとともに、インターネット等に掲載 するなどして公告し、意見の聴取を行い、接続小委員会からの中間報告及 び最終報告に基づき審議を行い、適切な答申を行うこととされた。 ウ 日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の変更の認可について 〔継続〕(番号案内料の改定) 公聴会の公述・傍聴申込状況及び公述人の指定について、事務局から報 告が行われた。 ・公述・傍聴申込状況 公述人130件、傍聴人1,172件 ・公述人の指定 申請者(NTT)1名のほか、14名を指定 本件については、2月10日(火)開催予定の公聴会の結果を踏まえて、 引き続き審議を行うこととされた。 (2)報告事項 日本電信電話(株)の発信電話番号通知サービスの本格提供に当たって の通話不能トラブルの発生について、郵政省から報告があった。 なお、今回のトラブルを教訓に、NTTはもちろんであるが郵政省も消 費者に対して一層の公正な情報提供に努めるべきとの意見があった。 (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。)
