《情報:電気通信審議会電気通信事業部会第１７１回会議議事要旨（平成１１年４月１日公表）》

電気通信審議会電気通信事業部会第１７１回会議議事要旨（平成１１年４月１日公表）

１　日時
　　平成１１年３月１９日（金）　午後２時００分～午後３時５１分

２　場所
　　郵政省審議会会議室（郵政省１２階）

３　出席者（敬称略）
 (1)　委員
　　　齊藤忠夫（部会長）、百﨑英、醍醐聰、舟田正之、吉岡初子
 (2)　事務局
　　　小野寺敦子審議会室長
 (3)　郵政省
　　　天野定功電気通信局長　ほか

４　議題
 (1)　諮問事項
　ア　電気通信事業法施行規則の一部改正について（優先接続機能に係る規定の追
　　加）
　イ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て（ソフトウェア開発費の協議方法の約款化及び他事業者間接続インターフ
　　ェースの導入）
　ウ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て[11.1.22諮問継続]（接続小委員会の検討結果の報告等）
 (2)　決定事項
　　　電気通信事業部会決定第３号「接続に関する議事手続細則」の一部改正につ
　　いて
 (3)　報告事項
　ア　東京通信ネットワーク（株）と（株）アステル東京の合併について
　イ　ＮＴＴドコモの料金変更命令後の新料金について

５　議事模様
 (1)　諮問事項
　ア　電気通信事業法施行規則の一部改正について
　　　優先接続に係る電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案（概要は以
　　下のとおり。）について、郵政省から説明が行われた。
　　・　電気通信事業法施行規則第２３条の４第２項の表に優先接続機能（電気通
　　　信事業者の電気通信設備を識別する電気通信番号を指定加入者交換機に登録
　　　し、当該指定加入者交換機により、加入者回線ごとにあらかじめ指定された
　　　電気通信事業者の電気通信設備に優先的に接続するために、その登録した電
　　　気通信番号を識別する機能）を追加する。

　　　主な質疑応答等は、以下のとおり。

　　・　「優先接続に関する研究会」において、「優先接続」という名称が利用者
　　　にとってわかりにくいのではないかとの議論があったが、今回「優先接続」
　　　という名称に決定したのかという質問があり、これに対して郵政省から、名
　　　称については今までの検討経緯を踏まえ、本件省令案では「優先接続機能」
　　　という用語を使用しているが、これは事業者間の接続ルール上の名称となる。
　　　研究会の報告書を取りまとめる段階で利用者にとってわかりやすい名称を検
　　　討すべきという議論があったことから、利用者向けのサービス名称について
　　　は、事業者で構成されている優先接続導入準備委員会で検討いただいており、
　　　また、今年の秋を目途に開催予定の「優先接続導入に関する研究会」におい
　　　て継続検討することとし、その検討結果を受けて利用者向けのサービス名称
　　　を決めたいとの説明があった。

　　・　名称については、サービス導入後、慣れてくれば定着するものと考えるが、
　　　むしろ、利用者が適正な選択をできるようにするための情報提供について配
　　　慮してほしいとの要望があった。また、関連して、どの事業者を選択したら
　　　得になるのかわざとわかりにくくして、広告宣伝費を多く使った事業者が儲
　　　かるようでは問題があるとの意見があった。さらに、研究会でも、公正な情
　　　報提供の主体は行政が担うべきか、電気通信事業者協会が行うべきかという
　　　議論があったが、利用者にとって得になるかは、その利用形態やニーズによ
　　　っても異なるものであり、個々の事業者の立場では、どれが一番有利という
　　　ことを責任を持って説明できないため、やはりルール作りやインフラ整備の
　　　点については行政が行司役として関与すべきという意見があった。これに対
　　　して郵政省から、研究会報告書にも書かれている「中立的機関による情報提
　　　供」を具体化するために、事業者協会においてインターネットを活用した情
　　　報提供を検討中であり、郵政省においても平成１１年度予算で事業者の財務
　　　会計、料金関係等の基本的データをデータベース化する予算を確保しており
　　　現在準備中であるとの説明があった。

　　・　公正な競争のためにこういう表示が望ましいという公正競争規約は独占禁
　　　止法にはあるが、電気通信事業法にはない。公正競争規約を検討することも
　　　一つの選択肢ではあるが、必ずしもそれが万能ではない。そこで、今後の課
　　　題として、事業者の不利益情報の開示義務についても検討していく必要があ
　　　るとの意見があった。これに対して、他の委員から、情報開示に瑕疵があっ
　　　た場合に事後的に規制することは必要であるが、予めすべての情報を揃えて
　　　開示するのは実際難しいのではないかとの意見があった。さらに、他の委員
　　　から、少なくともサービス種別ごとの各社料金一覧表はインターネット等で
　　　容易に比較できるように情報提供すべきとの意見があった。

　　・　米国では、優先接続の導入の際に事業者の行き過ぎた営業活動が行われた
　　　が、これに対する対応について検討しているのかとの質問に対して、郵政省
　　　から、研究会でも議論があったため、優先接続導入準備委員会において検討
　　　中であり、その報告を今秋に「優先接続導入に関する研究会」で確認する予
　　　定であるとの説明があった。

　　・　今回、省令に追加される優先接続機能は「基本機能」であるかとの質問に
　　　対して、郵政省から、地域網事業者及び接続事業者が共通に利用する基本機
　　　能であるとの説明があった。

　　・　本件に係る網改造費の利用者への転嫁は可能か、また、優先接続機能の利
　　　用者とその他の利用者の間の公平性はどのように担保するかとの質問があっ
　　　た。これに対して郵政省から、原則として課金方法は事業者の経営判断とな
　　　るとの説明があった。これに関連して、特定の事業者に接続する旨の意思表
　　　示をしない利用者については、ＮＴＴをデフォルトとし、長距離ＮＴＴを選
　　　択したものとして取り扱うこととなるが、これは、優先接続導入に伴う社会
　　　的混乱を避け、円滑な導入を図るための措置であり、事業者も出席していた
　　　研究会の場でも特段の異論はなく、ＮＣＣにとっても致命的な不利益にもな
　　　らないと考えられ、やむを得ないものとの説明があった。また、デフォルト
　　　等により、実質的にすべての利用者が優先接続機能を利用することになると
　　　の説明があった。

　　・　ＮＴＴをデフォルトとすることは、研究会報告書にはあるが、具体的には
　　　どのように決定されるのかとの質問があり、郵政省から、今後、本件省令案
　　　とは別にＮＴＴから優先接続機能の追加を内容とする接続約款の変更案の申
　　　請が予定されており、当審議会への諮問、パブリックコメント手続を経て、
　　　答申・認可により具体化されるとの説明があった。

　　　審議の結果、本件省令改正案については、「接続に関する議事手続細則」の
　　規定に従い、報道発表するほか、インターネット等に掲載するなどして公表し、
　　関係者から意見の聴取を行った上で、接続小委員会での検討結果の報告に基づ
　　き審議を行い、適切な答申を行うこととされた。
　　　なお、本件については、昨年郵政省が開催した研究会に各事業者もオブザー
　　バーとして参加しており、導入については既に事業者間で合意を得ていること、
　　また、機能の定義内容についても、事業者に与える影響は少なく、事業者間の
　　利害関係に影響するものではないと考えられることから、再意見の聴取は行わ
　　ないこととされた。

　イ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て
　　　日本電信電話（株）からの指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可の
　　申請（概要は以下のとおり。）及び審査結果について、郵政省から説明が行わ
　　れた。
　　・　申請者　日本電信電話株式会社（代表取締役社長　宮津　純一郎）
　　・　申請内容
　　　1)　ソフトウェア開発費の協議方法の約款化
　　　2)　多数事業者間接続インターフェースの導入
　　　3)　事業者間料金精算方式の変更（移動体端末からのフリーダイヤルサービ
　　　　スの開始に伴う技術的条件の追加）
　　　4)　ＴＴＣ（電信電話委員会）標準改版への対応

　　　主な質疑応答等は、以下のとおり。

　　・　移動体と固定網との間でどちらが料金設定権を持つべきかという議論があ
　　　るが、今回の移動体発信のフリーダイヤルサービスが、その突破口になるの
　　　かとの質問に対して、郵政省から、基本的には事業者間の協議で決定される
　　　ものとの説明があった。

　　・　ソフトウェア開発費について、接続事業者側としては接続の申し入れをす
　　　る際にＮＴＴが行っているいろいろなソフトウェア開発についてもチェック
　　　したいという意向があり、協議したいという話を聞いているが、この点につ
　　　いて事業者間協議は行われたのかとの質問があり、郵政省から、一般的には
　　　接続料に溶け込んでいるので、今後、ＮＴＴから申請される接続約款の変更
　　　案について、接続料の算定根拠を含めて審査の上、審議会への諮問を経て、
　　　当部会及び接続小委員会において調査審議いただくことになるが、それでは
　　　不十分ということであれば、更に研究会等の場で検討することもあり得ると
　　　の説明があった。

　　　審議の結果、本件接続約款の変更案については、「接続に関する議事手続細
　　則」の規定に従い、報道発表するほか、インターネット等に掲載するなどして
　　公表し、関係者から意見の聴取を行った上で、接続小委員会での検討結果の報
　　告に基づき審議を行い、適切な答申を行うこととされた。
　　　なお、本件については、接続の協議に際してＮＴＴからの情報開示を促進す
　　るもの、技術的条件について事業者の選択肢を広げる形の変更、ＴＴＣ標準の
　　改版に対応するための変更であり、接続事業者に与える影響は少ないと考えら
　　れることから、再意見の聴取は行わないこととされた。

　ウ　日本電信電話（株）の指定電気通信設備に係る接続約款の変更の認可につい
　　て[11.1.22諮問継続] （みなし契約事業者に対する新たな方式によるあて名情
　　報等の提供）
　　　接続小委員会から、接続約款の変更案に対して提出された意見の検討を行っ
　　た結果、本件については、諮問のとおり認可することが適当である旨の報告が
　　あり、審議の結果、諮問のとおり認可することが適当である旨の答申を行った。
　　　なお、平成１１年２月２６日開催の接続小委員会の議事概要は、別記のとお
　　り。

 (2)　決定事項
　　　電気通信事業部会決定第３号「接続に関する議事手続細則」の一部改正（概
　　要は以下のとおり。）について、事務局から説明が行われた。
　　・　電気通信審議会が接続に関して郵政大臣から諮問した事項に関し、意見聴
　　　取を行う場合の意見書について、記名押印（社印、団体印）に加え、署名　
　　　（法人又は団体にあっては、代表者の自署）でも提出が可能となるよう手続
　　　の簡素化を図る。

　　　審議の結果、案のとおり改正することが適当である旨の決定を行った。

(3)　報告事項
　ア　東京通信ネットワーク（株）と（株）アステル東京の合併について
　　東京通信ネットワーク（株）と（株）アステル東京の合併について、郵政省か
　　ら説明が行われた。

　イ　ＮＴＴドコモの料金変更命令後の新料金について
　　　ＮＴＴドコモの料金変更命令後の新料金について、郵政省から説明が行われ
　　た。

　　　主な質疑応答等は、以下のとおり。

　　・　不当競争について、郵政省として注視するとのことだが、スケジュールは
　　　どのようになるのかとの質問があり、郵政省から、１月の料金変更命令の答
　　　申に付された要望事項を踏まえ、ＮＴＴドコモに対して、1)四半期ごとの　
　　　サービス利用状況（契約数、契約回線数）及び年度ごとの収支状況、2)他事
　　　業者からの業務提携申込み及びそれへの対応状況について報告を求めており、
　　　３月末の数値をもとに第１回目の報告が提出される予定であるとの説明があ
　　　った。


（別記）

第１３回接続小委員会(11.2.26)議事概要


○　日本電信電話(株)の接続約款の変更案（諮問第２号）に対し提出された意見に
　ついて


（情報提供の形式）
・　番号案内事業者に対しても新方式によるあて名情報を提供することを要望する
　意見に関しては、委員から、今回の新方式によるあて名情報の提供方法は、必要
　なときに情報をテープで提供する形式であり、リアルタイムな情報提供ではない
　ことから、番号案内には適さないのではないかとの意見があった。

　　　調査の結果、本件については、諮問のとおり認可することが適当である旨の
　　報告を部会に行うこととされた。


（文責：電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正することがある。）