接続料算定の在り方に関するヒアリング(平成11年10月29日公表)
1 日時
平成11年10月22日(金) 10:00〜12:10
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 委員
百崎英(主宰者)、醍醐聰(主宰者代理)、齊藤忠夫、林敏彦、舟田正之、
吉岡初子、岡野行秀、佐藤治正、藤原淳一郎 (以上9名)
(2) ヒアリング対象者
東日本電信電話株式会社 代表取締役社長 井上秀一
〃 代表取締役副社長 三浦 惺
西日本電信電話株式会社 代表取締役社長 浅田和男
〃 代表取締役副社長 武内道雄
日本テレコム株式会社 代表取締役社長 村上春雄
〃 常務取締役総合企画本部長 松尾益次郎
(3) 郵政省
天野定功電気通信局長、有冨寛一郎電気通信事業部長、田中栄一電気通信事
業部業務課長、横田直人電気通信事業部業務課企画官
(4) 事務局
山岸一彦審議会室長補佐
4 議事模様
(1) 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT」とい
う。)から、資料に基づき説明が行われ、その後質疑応答を行った。主な内容
は以下の通り。
ア NTTからの、長期増分費用方式の導入は「経営努力の範囲内」で実施し
て欲しい、との意見に対し、委員から、「努力の最大限」についてどの程度
なのか早く示して欲しい旨要望があった。
イ NTTからの、「NTTトップダウンモデル(*)」をベースにして欲しい、
との意見に対し、委員から、
NTTトップダウンモデルをそのまま使うと
基本料が上がることになるがそういう主張か
NTTトップダウンモデルは
資料の公開が不十分で検証が困難
研究会モデル(**)をベースに適用領域の
限定や時間をかけた導入という主張はないのか、との指摘があった。
これに対しNTTから、
具体的な数値のことではなく、考え方としてベ
ースにして欲しい、即ち、経営責任をきちんと果たせるようコスト回収が行
えるような考え方で導入して欲しいということ
資料は公表するものはして
いる
そこまで検討を進めていない、との回答があった。
ウ 委員から、平成10年度接続会計結果について、「設備管理部門」で大き
な黒字がでており、接続料引下げの余力はあるのではないか、との指摘があ
り、これに対しNTTから、「利用部門」の赤字は、公衆電話、番号案内と
いったユニバーサル・サービスであることについて配慮が必要、という考え
方が示された。このNTTの見解に対し委員から、公衆電話、番号案内の利
用者料金はこれまで値上げをしてきており、消費者の立場にも留意する必要
があるとの意見が出された。
(2) 続いて、日本テレコム株式会社(以下「JT」という。)から、資料に基づ
き説明が行われ、その後質疑応答を行った。主な内容は以下の通り。
ア NTTは長期増分費用方式の導入は、投資コストの回収可能な範囲で行っ
て欲しいと主張しているがどう考えるか、との委員からの質問に対し、JT
から、効率的な経営に努めれば吸収可能であり、NTTのグループ経営全体
を考えればより可能である、との回答があった。
イ 委員から、NTTのグループ経営全体でみれば影響は小さい、という考え
方は、それぞれが独立した会社である以上現実的ではないのではないか、と
の指摘があり、これに対しJTから、グループ全体というのが現実的ではな
いとしても、東西会社単体で見て経営努力で実現できるのではないか、との
考え方が示された。
ウ 委員から、「ケースB(***)を採用すべし」との考え方のようだが、消費者
にとって負担変動が生じるとすればどうか、との指摘があり、これに対しJ
Tから、利用者料金の値上げをしないでやれるのではないか、施設設置負担
金との関係もある、との回答があった。
エ 委員から、英米では長期増分費用方式を全面的に適用している例はないが、
今後そのような議論が生じるとした場合どうか、との質問があり、これに対
しJTから、難しい質問であるが、諸外国との接続料金の水準を比較すれば、
実現できるのでは、との考え方が示された。
オ NTTは、実際のネットワークは、需要拡大に応じて増設されるのに対し、
研究会モデルは、現時点での需要をベースにつくられており、現実的ではな
いと主張しているが、経営者としてどう考えるか、との委員からの質問に対
し、JTから、増設で対応するやり方も、最初から将来需要を見込んでつく
っておく方法も、経営者の判断によって色々ある、との回答があった。
カ 委員から、インターネットの普及が進んでもNTT地域網への依存度は高
いと考えるか、との指摘があり、これに対しJTから、需要拡大の見込まれ
るダイアルアップの部分については依存が続く、との考え方が示された。
(*) 「長期増分費用モデル研究会」の報告書(案)(平成11年7月30日公表)に対
する意見としてNTTが提出したモデル。
詳細は「http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/telecouncil/iken
/report-iken-index.html」NTT提出意見「付属資料1」を参照して下さい。
(**) 上記研究会の作成したモデル(平成11年9月20日発表)を指す。
詳細は「http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/990920j602.html」
を参照して下さい。
(***)上記研究会モデルで示した、き線点RTのコストを加入者交換機コストから端末回
線コストに付け替えたケースを指す。
詳細は「http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/990920j601.html」
を参照して下さい。
本ヒアリングにて配布された資料は次のアドレスをご覧下さい。
「http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/telecouncil/iken/index.html」
(文責:電気通信審議会事務局)