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意 見 書
TITUS通申第034号
電気通信審議会
平成9年10月17日
電気通信事業部会長 殿
郵便番号 150
住 所 東京都渋谷区神宮前5丁目52番2号
氏 名 株式会社タイタス・コミュニケーションズ
代表取締役社長 木暮 浩明
電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成9年9月26日付け郵通議第64号で公開された郵政省令案「指定電気通信設備接続会計規則及び指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定案に係る関係資料の送付について」に関し、別紙のとおり意見を提出します。
(別 紙)
平成9年10月17日
株式会社タイタス・コミュニケーションズ
「指定電気通信設備接続会計規則案」および「指定電気通信設備の
接続料に関する原価算定規則案」に対する意見
「指定電気通信設備接続会計規則案」及び「指定電気通信設備の接続料に関する規則案」策定に払われた貴部会のご努力に対し心より敬意と謝意を表します。
「指定電気通信設備接続会計規則案」と、「指定電気通信設備の接続料に関する規則案」につき、弊社は電気通信事業法施行規則に対する意見徴収の際にLRIC(長期増分費用)を採用すべきであると主張してまいりました。しかしながら今回の接続会計規則案と原価算定規則案は昨年12月の「接続の基本的ルールの在り方について」で記述、勧告されたABC方式での接続料金算定方式となっており、本質的には総括原価方式の欠点をそのまま残すことになると考えております。
実体的には既に過去数年、NTTと他事業者との毎年のアクセスチャージ見直しの交渉の中で、ABC手法とは明確に言わないまでも、例えば一部の試験研究費や広告宣伝費を原価に含まない等、接続に関係ない費用を削除する改善は、不十分ながら実施中であります。
今回の上記、両省令案は法制度化される点でより厳密化、義務化され進歩、改善を期待したいところではありますが、残念ながら競争環境進展への早急かつ抜本的な改善にはならないのではないかと以下のとおり危惧しております。又、グローバルな開かれた競争環境を期待する外国電気通信事業関係者を満足させる事にも同様の危惧を抱いております。
接続会計の実施結果を踏まえて1999年に接続原価の在り方を再考、決定する過程は急激に変化する世界的競争環境に対し緩やかすぎるとの感を禁じ得ません。LRICの主張は本来接続会計と接続原価を切り離そうとの主張でありますので、接続会計の結果をみてからとの主張は意味をなさないと考えます。出来るだけ速やかな長期増分費用への移行を強く要望いたします。
- 非効率性の排除が不可能ではないか
総括原価方式あるいはABC方式では支配的電気通信事業者の非効率性の排除は不可能である事は多数の識者の指摘しているところであります。今回の規則案もその幣を免れていないと言わざるを得ません。
非効率性の排除の精神は原価算定規則案第一条(目的)でもうたわれております。当該条項の「能率的な経営の下における原価」を具体的にどう担保するのでしょうか。
接続約款の認可時点で判断するとしても、「能率的な経営」の評価尺度をどこに求めるのでしょうか。
- 各種費用配賦にあたり恣意性の排除が不可能ではないか
費用算出にあたって、共通費用の配賦、回数比例や時間比例費用への配賦段階で恣意性が入り込む事を避け得ないと考えます。
NTTの過去のアクセスチャージ交渉においても配賦段階での恣意性の問題は発生しております。例えば現行アクセスチャージはセットアップチャージと通話時間比例チャージからなっております。前者は回数比例設備費用、後者は時間比例設備費用となっておりますが現実にはどちらに配賦すべきか判断の付かない費用が当然存在します。交換機ソフトウェアなどがその最たる費用でしょう。こうした「グレー」な費用は算出する側の都合のよい費用に配賦されがちです。
配賦の恣意性を排除する為、具体的にはどのような法解釈、運用をお考えでしょうか。
弊社としては、他事業者からの疑義訴えに対し指定電気通信事業者は挙証責任を持って応える。又、挙証できない場合は接続事業者に有利に配賦する事を定める事で、抜本的ではないまでも、改善できると考えております。
- 外部のチェックが不可能ではないか
当省令案では接続会計報告書が公表される事となっております。しかし、公表される報告書内容では「能率的な経営の下の原価」すなわち非 効率性や費用配賦の恣意性を指摘するには不十分であると考えます。
又、公認会計士のチェックが義務化されていますが、能率的な経営の保証、引いては公正有効競争条件の確保を保証し得ないと考えます。
外部者が「能率的な経営の元の原価」をチェックできる為には指定電気通信事業者の最小設備単位(例えば交換機ユニット単位)での費用公表が必要と考えます
- 基本サービスの基準を明確に示していただきたい
「接続の基本的ルールの在り方について」では、「基本的な接続機能を提供するために発生するネットワークの改造費用、接続装置について接続料金で回収すべき」と提言されています。上記提言の基本的サービスとはの基準が「接続原価規則」でなされると期待していましたが該当条項が見当たりません。
指定電気通信事業者の接続約款の認可時点で個別判断となると接続事業者のリスクは大きくなります。又、議論の長期化も当然予測され、公正有効競争の阻害要因となります。「接続原価規則」で以下の項目が基本サービスであることを担保されることを要望します。
- ZC接続機能
- ZC3者接続機能
- 現行で指定電気通信事業者がサービスしているすべての機能。
- その他 質問事項
接続費用のなかには、NTT分離分割に伴う費用は含まれるべきではないと考えます。
以 上