意　見　書

平成１０年２月１８日

電気通信審議会
　電気通信事業部会長　殿

郵便番号　　１１１−８６７０　　　　　　　
住　　所　　東京都台東区浅草橋５−２０−８
　　　　　　　　ＣＳタワー　　　　　　　　
氏　　名　　日本高速通信株式会社　　　　　
　　　　　　　代表取締役社長　　　東　　款

　電気通信審議会議事規則第５条の２及び接続に関する議事手続細則第２条の規定により、 平成１０年２月４日付け郵通議第１２２号で公告された接続約款案に関し、別紙のとおり 意見を提出します。

　この度は、ＮＴＴ殿の接続約款案に対してこのような意見提出の機会を設けて頂き、誠 にありがとうございます。
　弊社と致しましては、競争を通じての利用者利便の向上及び電気通信事業の更なる発展 との観点から、本接続約款案への意見を以下に申し述べさせて頂きますので、よろしくお 取り計らい下さいますようお願い申し上げます。

１．総論

• 今回認可される予定の接続約款を平成１０年度以降運用した結果、運用前には顕在化し なかった問題点等が明らかになる可能性があるため、来年度以降の接続約款諮問の際に は変更部分だけでなく、全文を諮問の対象として意見聴取して頂きたい。
• 認可約款と届出約款の区分は当面ＮＴＴに委ねられている部分が多く、その基準が明確 になるまでの間は、届出約款であっても例外的に意見聴取のスキームを担保して頂きた い。
• 指定設備利用部門及びＮＴＴ長距離部門と、指定設備管理部門の取引条件が接続約款の 条件と同等であるかについては外部からの検証が極めて困難であります。つきましては 利用部門とＮＴＴ長距離部門が他事業者と同等の条件で指定設備管理部門との取引を行 うことを本接続約款において明確にして頂きたい。
  （修文案：「第１条（約款の適用）社内取引の条件については本約款の規定に準ずるこ ととします。」等）

• 接続料及び接続条件等の変更が生じた場合であっても、協定への引用部分の中に該当す る変更箇所がなければ改めて協定を締結し直す必要はないという理解でよろしいのでし ょうか。
• 新規の接続を行う場合、接続約款の変更を行ってから協定を締結し直すのか、又は「接 続約款により難い協定」の締結となるかの基準を明確にして頂きたい。また、「接続約 款により難い協定」を締結した場合、当該接続条件が接続約款において条文化される時 期を明確にして頂きたい。

• 「中継事業者」と「端末系事業者」の両方に属する事業者の存在も許容されるという理 解でよろしいのでしょうか。（中継事業者が設置する端末設備、ＴＴＮｅｔ等の扱いは どのようになるのでしょうか。）

• 指定電気通信設備を他事業者が利用する場合の料金には、接続に関しない費用を算入す べきではないとの接続ルールの趣旨を踏まえ、営業費等を控除した料金を設定すべきと 考えます。仮に、接続会計が実施前であることから接続に関係しない費用の控除が困難 な場合には、米国で行われているような事業者向け大口割引制度の導入等の暫定的措置 をとって頂きたいと考えます。

• 多数事業者間接続の場合、どの事業者が申込みを行うのか明確にして頂きたい。

• 現状は申込み後１カ月以内にＮＴＴからの回答が来ており、申込みと受付日は同一日付 として扱われております。接続約款においても申込みと同時に受付となるよう運用して 頂きたい。申込み日が受付日と同一であれば受付日の通知は不要と考えます。
  　また仮に申込書の審査を行うとの理由から申し込み日と受付日を分離したのであれば、 申込みから受付の可否を決定するまでの期間を明示すべきと考えます。

• ＮＴＴの再編成後においては、相互接続点の調査にあたり、ＮＴＴ長距離会社と他事業 者を公平に扱うことを明確にして頂きたい。

• 相互接続点の設置の申込みから工事着手までの期限は１年とされておりますが、建設工 事着手までの期間が長くなるケースもあるため、原則的な期間と併せて協議等により例 外もあることを明示して頂きたい。

• 従来は５月、９月の定期申込みの他、新設１２カ月、増設１１カ月、小規模の増設６カ 月前の標準申込み等のルールが事業者間での運用上ありましたが、それが本項では規定 されておりません。事業計画を円滑に進めるためにも、標準工期による随時の申込みや 追加料金で工事を早めるケースを約款で担保して頂きたい。

• 開発費用が網使用料として回収されるかどうかの決定時期及びそれまでの開発契約にお ける費用負担の取り扱いについて明確にすべきと考えます。
• ソフトウェアの開発費は、ＮＴＴがほとんど第３者（コムウェア）に委託しており、実 質費用交渉を行うことができません。従って、費用交渉ができるスキームを規定して頂 きたい。

• ＮＴＴの都合で接続が遅れた場合の扱いについてご教示頂きたい。

• 原因不明で接続に支障が出た場合の扱いを明確にして頂きたい。

• 保守確認事項に係わる保守単金等については、実額及び算定根拠を含めて認可対象とし て頂きたい。

• 接続形態は事業者毎の個別事項であるため、各事業者との協定に記載することで問題な いと考えます。仮に接続約款に接続形態が記載された場合、その追加変更には接続約款 の認可手続きを要することとなり、事務の煩雑化を招くものと思われます。従って別表 ２（接続形態）は不要と考えます。
• 事業者間の責任に関する事項については、別途汎用的な表現の条項を設けることで問題 ないと考えます。

• ３項（１）〜（４）の呼も接続料金算定コストに含まれることから、適正なコスト負担 を行うためには、トラヒックの測定が必要と考えます。なお、現時点での把握が困難な 場合には可能となる時期を明確にして頂きたい。（特に（１）の業務用トラヒック）

• 将来原価方式により料金算定を行った場合、その予測方法にはＮＴＴの恣意性が入る恐 れがあるため、将来予測の方法としてコスト削減のインセンティブが機能するようなス キーム（長期増分費用方式、価格上限規制等）が確立されるまでの間は、精算を行って 頂きたい。
• 負のタイムラグ精算は以下の２つの理由から行わないこととして頂きたい。
  

  １）	負のタイムラグ精算を認めた場合、本来ＮＴＴが全額負担すべき赤字の半分を接続 事業者が負担することとなり、ＮＴＴのコスト削減のインセンティブが半減するも のと思われます。
  ２）	負のタイムラグ精算が発生した場合、該当年度の終了後に接続事業者側に予期しな い費用が発生するため、経営計画上大きな影響を与えることとなると考えます。

• (6)の接続専用回線機能の料金は、接続原価算定規則に従って営業費等の接続に関係しな い費用を控除すべきと考えます。仮に、接続会計の実施前であることから接続に関係し ない費用の控除が困難な場合には、米国で行われているような事業者向け大口割引制度 の導入等の暫定的措置をとって頂きたい。

• 「同一単位料金区域内に終始する通信の交換及び伝送を行う機能」との表現から、本機 能の料金には単位料金区域をまたがる回線（斜め回線）の費用は除外されるものと理解 します。

• 営業費等を控除した料金（コストベース）を設定する必要があると考えます。仮に、接 続会計の実施前であることから接続に関係しない費用の控除が困難な場合には、米国で 行われているような事業者向け大口割引制度の導入等の暫定的措置をとって頂きたいと 考えます。
• 「当社及び協定事業者が共用して通信を伝送する機能」との表現から、本機能の料金に は中継系ＮＣＣが利用を予定していない二重帰属回線に係る費用は除外されるものと理 解します。
• （専用型）の説明文中の「市外中継交換機」の語句は接続形態に合わせて「相互接続点」 に修正して頂きたい。

• 営業費等を控除した料金（コストベース）を設定する必要があると考えます。仮に、接 続会計の実施前であることから接続に関係しない費用の控除が困難な場合には、米国で 行われているような事業者向け大口割引制度の導入等の暫定的措置をとって頂きたいと 考えます。
• ＺＣ局内に終始する局間専用線には現在ユーザー約款の距離区分１５ｋｍの料金が適用 されていますが、局内という短距離の実態に即した料金設定を行って頂きたい。

• 本項の記述では、公衆電話費用を発着分離して支払うとも読めますが、現状では中継系 は発着分離に対応した課金ができないため、ＩＳＭ交換機能の記述と同様、現行の扱い に即した記述にして頂きたい。

• (2)網改造料の接分において、ＮＴＴの恣意性を排除すべく接分方法及び金額について は協議の上決定することを明記して頂きたい。また、ＮＴＴが指定する場合にはその 指定方法を明示すべきと考えます。

• (2)において、個別に設備を管理できない設備に関する除却費についても、推計等に より把握して頂きたい。
• 自己資本利益率については、ＮＴＴのユーザ料金算定に用いる自己資本利益率に比 べて不利でないものとして頂きたい。具体的には、ユーザー料金算定上の自己資本 利益率の上限値ではなく、実際にユーザー料金算定に使用した利益率を採用すべき と考えます。

• 工事費や手続費の労務単金、及び保守単金については、実額を認可すべきと考えます。

• 経過措置の適用は、平成１３年３月３１日までとなっておりますが、接続原価算定規則 の答申にあるように「平成１２年度の接続ルール見直し時まで」であることから、平成 １２年３月３１日までとすべきと考えます。

• 経過措置の対象とするにあたっては、平成１０年３月３１日以前に当該機能の提供を開 始したか否かではなく、申込みを行ったか否かを基準として頂きたい。
• 個別管理が可能な設備の場合のみ法定耐用年数経過後の減価償却費を控除することとな っておりますが、併合ＩＧＳのような複数接続事業者で共通に利用している設備であっ ても、接続原価算定規則答申の趣旨に従い、推定方法等を工夫することにより控除され るべきと考えます。
  　また、減価償却費相当額の控除を適正に実施するために可能な限り減価償却費を個別に 把握すべきと考えます。

• 番号案内赤字負担については、番号案内の機能そのものと接続していないことから、元 来中継系事業者が負担する理由はないと考えます。仮に負担を行う場合であっても、接 続原価算定規則答申を踏まえ、報酬と利益対応税は除外すべきと考えます。
• 今回の接続約款案には、赤字負担の期限が平成１１年３月３１日までと明記されており ますが、当該期限経過後はＮＴＴの番号案内に係る収支状況の如何に係わらず負担が発 生しない旨を明確にして頂きたい。
• 従来どおり、番号案内対象呼を限定する（フリーフォンを除く等）旨を約款で明記して 頂きたい。

• 費用情報の開示にあたっては、少なくとも事業者間協議で開示して頂いた程度の資料の 開示が必要と考えます。特に、地域通信事業部費用のサービス別分計（今年度は設備区 分別分計）及びそれに使用した勘定科目表は最低限申請時に開示して頂きたい。

• 電話については概ね規定されておりますが、専用線、ＯＣＮ、ＦＲ、ＣＲについての規 定がほとんどないため、本接続約款との関係をご教示頂きたい。

以　　上