再 意 見 書

平成10年3月11日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

DDIポケット電話グループ代表
DDI東京ポケット電話株式会社



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、 平成10年2月4日付け郵通議第122号で公告された接続約款案に関し、別紙のとおり 再意見を提出します。



(別 紙)

平成10年3月11日

「接続約款案」に対する再意見


  1. 網改造料の対象となる機能について

     料金表第1表第2の1−1に記載されている「網改造料の対象となる機能」及び附 則第4条の「網使用料に関する経過措置(平成13年3月31日までは網改造料と見なす)」 に関して、多くの事業者(弊社も含みます)からNTT殿の考え方に賛同できない旨 の意見が出されております。
     これは、『どの機能がどう整理されるのか』ということが明確になっていないこと に起因していると考えますので、早急に明確な考え方(基準)を示していただくこと が必要であり、それを基に妥当性を検証することが必要であると考えます。
    <明確にすべき事項>
    (1) 「基本機能(網使用料の対象)」と整理された機能名及びその理由や基準
    (2) 「基本機能(網使用料の対象)」であるが、3年間は網改造料と見なす場合の理由や基準
    (3) 「網改造料の対象」と整理された機能名及びその理由や基準
    (4) 「網改造料の対象」と整理された機能であるにも関わらず、届出事項となっているために接続約款に記載されていないものがある場合には、その機能名及び届出事項とした理由や基準
     前回提出した意見の補足になりますが、活用型PHS事業者に関する機能を見る限 りNTT殿は『機能の種類』で判断されているのではなく、『その機能を実現してい る装置の種類』で判断しているのではないかと思われます。つまり、IGS(ZC) に関する網改造(ソフトウェア開発)は全て『基本機能(網使用料の対象)』であり、 PHS接続装置に関する網改造(ソフトウェア開発)は全て『網改造料の対象』であ ると位置付けていると思われます。(以下、このことを前提として意見を述べます)
     しかしながら、平成8年12月の答申では接続関連費用の負担については『設備では なく機能に着目して判断する』ことになっており、NTT殿の考え方は接続ルールの 趣旨に沿っていないのでないかとの疑問を持っております。
     PHS接続装置とIGSは、(ア)接続事業者が標準的な接続箇所を経由してNTTと 接続するために必要となる設備であること、(イ)接続する事業者からの要望によって NTTが設置する設備であること、(ウ)直接接続する機能が交換機側にあれば、本来は 不要であった設備であること、(エ)他事業者が共通的に利用可能なインタフェースを 実現していること、という観点で見れば、設備としての位置付けは極めて類似してい ると言うことができます。故に、PHS接続装置とIGSは同じように扱わなければ 不整合が生じると考えており、どちらか一方だけを『基本機能』として扱うことは妥 当ではないと考えます。
     とは言え、例えばPHS接続装置のように全国で大量の設備建設を行ったハードウェ アの費用を、『基本機能』として取扱ってしまうと網使用料に与える影響が大きくな ることが懸念されため、その部分については従来通りの取扱い(もしくは経過措置の 対象)とするという考えには一定の合理性があります。
     しかしながら、ソフトウェアについては、PHS接続装置もしくはIGSのいずれ を改造する場合でも投資規模に大きな差がないため、接続ルールの答申の通り「機能 により判断する」ことが最も妥当な方法であると確信しており、ハードウェアの取扱 いとソフトウェアの取扱いを必ずしも同列で論じる必要はないと考えます。
     以上の弊社の考えも是非ご考慮いただいたうえで、網改造料の対象となる機能につ いて整理していただきたくお願い申し上げます。

  2. 網改造料の算定等について

     前回弊社からは、以下のような網改造料に関する問題点に対して意見を述べさせて いただきました。
    (1) 設備管理運営費比率が従来よりも高くなっている場合がある
    (2) ソフトウェアの創設費の算定において「共通割掛費」が追加されている
    (3) 既に接続申込をしたソフトウェアについても、平成10年4月1日以降に開始する機能は算定式の経過措置の対象外(新しい算定式で算出)となっている
     NTT網の改造を行う場合に必要となる網改造料については、多様な接続を実現し ていくためには最も影響の大きい部分であると認識しているため、前回説明不足であっ た部分について補足させていただきます。
     設備管理運営費比率は、個別の設備ごとに値が異なっているため、従来よりも一様 に高くなったとは言えませんが、従来と同じベースで比較すれば明らかに高くなって いることが分かります。

      従 来
    (網使用料対応費用)
    接続約款
    (通信料対応設備合計)
    除却費を含む場合 6.8% 8.2%
    除却費を個別の場合  5.7% 7.2%

     上記の設備管理運営費比率の上昇に加えて、「共通割掛費」が追加されることによ り、例えばGC階梯での網改造料が約20〜30%上昇するとの試算になるため、既 にソフトウェア改造費だけで年間20億円以上NTT殿に支払っている弊社としては、 更に負担額が上昇することになってしまいます。
     幸いにも、接続約款では既存のソフトウェアについては経過措置として従来通りの 算定方法を用いることとなっており、そのことには非常に感謝しておりますが、今後 もNTT殿に対してソフトウェア開発を依頼していく(既に依頼済みのものもある) ことを考慮すると、それら全てが従来の算定方法よりも大幅に負担額が大きくなるこ とは、円滑な接続を阻害してしまうと言っても過言ではないと考えます。
     現在のままだと、接続会計が整備されて正確に費用を把握したとしても、指定電気 通信設備は合理化のインセンティブが働かない独占設備であるため、効率的に運営さ れているかどうかの確認が困難であり、設備管理運営費比率が低下していく可能性は 小さく、いつまでたっても円滑な接続を実現できないことが懸念されます。
     今後は、単純な会計の結果から導きだされた上記のような比率を接続料の算定に用 いるのではなく、不経済性により生じた費用を算定から控除する等により、指定設備 の合理化のインセンティブが働くような仕組みを作るべきであると考えます。

  3. ISDN網使用料

     ISDN網使用料が高くなっていることを指摘する意見が、半数以上の事業者から 提出されております。弊社からは「将来予測で算定すべき」との意見を出させていた だきましたが、OFTEL殿の「EUでは何を介して接続するかに関わらず相互接続 料金は一定であり、例えばBTではISDNとPSTNの相互接続料金は同一である」 との説明は、我国においても一考に値する事例であると考えます。
     加入電話とISDNは従来から接続料金が異なっているという経緯を別にすれば、 ISDNの需要が急増して他事業者もほとんどが区別なく接続していること、及び加 入電話もISDNもユーザ料金は同じであることを踏まえると、我国においてもわざ わざ機能を分けて接続料金を算定する必然性が無いと考えます。
     今回の接続ルールにおいては、『アンバンドル(細分化)』ということがひとつの キーワードになっておりますが、「費用をアンバンドルして把握する」ことと「接続 料金をアンバンドルする」ことは全く別の事象ではないかと考えております。接続会 計等においてISDNの費用をアンバンドルして把握することは、設備の効率的な運 営を促すためには必須であると考えておりますが、接続料金については、アンバンド ルして算定することによりISDNのように著しく高くなる場合があるため、慎重に 判断されるべきであると考えます。
     接続ルールでは、NTT殿がISDNサービスを提供する場合には、他事業者と同 様にこのISDN網使用料を社内取引額に用いることになりますが、このままではI SDNサービスのユーザ料金が値上げされるのではないかということを懸念しており ます。(現在のISDN網使用料の水準では、現在のユーザ料金水準を維持すること は不可能であると思われます)是非ともユーザ料金の値上げにならないように、IS DN網使用料について早急に現行水準の引き下げを行うべきであると考えます。
     なお蛇足かと存じますが、ISDNサービスを提供する端末系事業者殿の接続料金 についても個別協議を進めておりますが、その水準はNTT殿の加入電話の接続料金 よりも低廉になっており、NTT殿だけが極めて高いISDN網使用料を設定するこ とは今後の電気通信事業の健全な発展を妨げる要因になり得ると確信しております。

  4. 端末回線線端接続事業者の料金

     端末回線線端接続を契約者と同一の接続形態で行う場合に、「営業費等を控除した 料金を設定すべきであり、困難な場合には米国で行われているような事業者向け大口 割引制度の導入等の暫定的措置をとっていただきたい」との意見が日本高速通信株式 会社殿から出されております。
     現状、弊社においても(PHS基地局以外で)線端接続によりサービスを提供して いる場合がありますが、一般ユーザと同様の料金を支払っていながら一般ユーザが可 能である回線の休止や譲渡、または通話料の大口割引等の適用を受けることができて おりません。NTT殿からは「一般ユーザと区別できないために利用者約款の料金を 準用しているが、あくまでも相互接続回線であるため割引はできない」との説明を受 けておりますが、接続ルールの趣旨に従い即刻是正を図るべきではないかと考えてお ります。
     相互接続回線であるならば、営業費等を控除した事業者向けの料金を適用すべきで あり、また一般ユーザと同一であるならば、一般ユーザに対して認められていること は事業者に対しても適用すべきであると考えます。また、諸外国において事業者向け の大口割引制度が導入されている例が有るのであれば、是非とも実現していただきた くお願い申し上げます。

以 上