再 意 見 書

平成10年3月11日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

東京通信ネットワーク株式会社



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、 平成10年2月4日付け郵通議第122号で公告された接続約款案に関し、別紙のとおり 再意見を提出します。



(別 紙)

平成10年3月11日

日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款案に関する再意見について

  1. ISDN接続料金について

    (1) 前回の意見の中でも述べさせていただきましたが、接続約款案のISDN接続料金については、次の理由から明らかに不合理であり、ISDNの市内競争を阻害するものであるため、公正条件が確保されるような接続料金への見直しのご検討を重ねてお願いいたします。
    接続料金案のISDNのGCの網利用料は、3.38円+0.0860円/秒となっており、3分3分制でおそらく10円前後となると想定しております。一方、現行NTTが提供するISDNの市内通信料金は10円/3分であり、片端のGC網使用料とほぼ同額となります。NTTとの相互接続により、ISDNサービスを提供する場合、上記の接続料(片端約10円/3分、両端約20円/3分)を負担しなければなりません。
    当社の「東京電話アナログ版」は、市内通話への競争導入という点で社会から高い評価をいただいております。しかしながら、「東京電話ISDN版」が、両端で約20円の接続料金を負担しながら市内3分9円でサービスすることは不可能です。
    「東京電話アナログ版」は市内3分9円なのに、「東京電話ISDN版」はなぜ市内3分9円でサービスできないのか、NTTはアナログもISDNも市内3分10円でサービスしているではないか、というユーザーからの問いかけに答えられません。
    ようやく芽生え始めた市内競争の土俵をアナログ電話の世界に閉じこめる結果となっている点を早急にご審議いただきたくお願いします。

    (2) 具体的には、原価算定期間を複数年とすることにより、接続料金の低減を図ることを要望します。当社としては、複数年の原価算定という手法(原価算定規則第4条第2項但し書き)を活用して再算定することを希望します。

    (3) このISDNの接続料金については、他事業者からも最も多く見直しの要求がされている事項であり、喫緊の課題と考えますので、少なくともこの件については、その是非について、今回の審議会で結論を出すよう再度お願いします。

  2. 接続約款案の認可について

    日本電信電話(株)の接続約款案については、2月18日付けで多数の事業者から多岐にわたる意見が提出されていますが、そこで指摘されている様々な問題点はいずれも早急に結論を下せるような課題ではないとの認識を深めております。
    これらの問題点にさらに本日付けで提出される再意見を加え、指摘されている課題について審議不十分なまま結論を得ることは、各事業者からの意見聴取を有名無実化しかねません。せっかく導入したグリーンペーパー方式を最大限に生かすためには、ある程度時間をかけた十分な審議が必要であると考えます。
    しかしながら、一方で、接続料金が決まらないことは、本年度内の遡及精算が行えない事態を引き起こします。
    したがいまして、今回の審議会では、前記のISDN接続料金を除き、他の事項については、以下の方式で進めて頂くことを要望します。

    (1) 前例としない暫定認可
    接続料金が未認可のままであることは、年度始めに遡及した精算が本年度内にできない事態を招きます。
    したがって、年度を跨った遡及精算を避けるため、今回の接続約款案に記載してある料金額をもって、暫定的に精算すべきと考えます。
    その場合、今回の接続約款案は、あくまで「前例としない暫定認可」であることを明確にするため、電気通信事業法第89条による条件付き認可とすべきと考えます。

    (2) 今回提出された課題に対する継続的な検討
    今回の接続約款案の重要性に鑑み、本年4月を目途に、接続小委員会だけでなく全ての意見提出事業者を含む拡大検討会を開催すべきと考えます。
    その上で、本年12月頃までに結論を得ることを提案します。

    (3) スケジュールの見直し
    接続約款の改定については、毎年行われることとなりますが、次回からは、制度の主旨に沿って運用ができるように、認可申請から認可までのスケジュールを見直すことが必要であると考えます。

  3. 長期増分費用方式の前倒し導入
    (1) 現行の接続会計による接続料金の算出方法(総括原価方式)は、前述の通り、多数の問題点を抱えており、種々改善を加えても、現行方式による限り、公正競争の確保の観点からは限界があると思われます。よって、競争促進の理念により叶った、米・英等の諸外国で採用されており、かつ、わが国でも研究会により検討が開始された長期増分費用方式の早期導入が必要であると考えます。

    (2) 現在の研究会のスケジュールでは、本年秋から郵政省モデルの検討にとりかかり、平成11年度中に導入の可否を含め結論を得ることとなっておりますが、激動している競争環境を整備し、有効競争を促進するために、導入をもっと早めることを要望します。

    (3) したがいまして、今回の接続約款案検討会の中で長期増分費用方式の導入の基本方針決定と導入スケジュールの前倒しの指示をしていただきたいと考えます。


以 上