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意 見 書
1998年12月18日
欧州ビジネス共同体 (EBC)
「日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款の変更案の公表」 に対する意見書
欧州ビジネス共同体(EBC:European Business Community)では、NTT接続料の改定に関する報告書について、貴省に対して意見書を提出する機会をいただいたことを喜ばしく思っています。これは各通信事業者の年間コストに多大なる影響を与える、非常に重要な検討項目であると考えます。
今回、EBC電気通信委員会は日本の相互接続料金を一層引き下げることが日本の消費者と産業界に利益をもたらすとの考えを改めて確認したいと存じます。日本の電気通信市場にとって、接続料金を現行の高い水準から引き下げ、諸外国と同レベルの接続手続きを導入する措置を直ちに講ずることが、最重要課題と考えます。日本には、経済効率の良い接続制度が継続的に存在する必要があります。これが確立することによってはじめて、日本の消費者に電気通信市場の健全な自由競争による利益がもたらされると考えます。
これらの点において、EBC電気通信委員会では、今回のNTTの接続料金算定に関する報告書が大きく改善されることを期待しています。
調査によれば、日本の相互接続料金は欧州と比べて依然としてかなり高い金額となっています。欧州委員会は、加盟国の中でコストが一番安い3ヵ国の料金をもとに、ベストプラクティスな(現実的で最善と考えられる)接続料金を算出し、実態を明らかにしています。1998年5月の為替レートで、NTTの料金は欧州連合(EU)が設定した最も高い料金よりも30−65%高く、中間の料金より60−100%、ある場合には最低料金よりも200%近く高くなっています。最近の為替レートで計算した場合、さらに格差は大きくなります。(1998年11月時点のECUレートは、1ECU=140.5円。)
下の表はNTTの申請する1998年度接続料金とEUが1998年12月に発表したベストプラクティスな料金との比較です。
5月時点の |
EUによる1998年ガイドライン |
NTTの |
EUとの格差 |
||||
最低値 |
中間値 |
最高値 |
最低値 |
中間値 |
最高値 |
||
市内相互接続 |
\89.8 |
\119.8 |
\149.7 |
\193.1 |
115% |
61% |
29% |
シングルトランジット接続 |
\134.7 |
\202.1 |
\269.5 |
\399.7 |
197% |
98% |
48% |
ダブルトランジット接続 |
\224.6 |
\306.9 |
\389.2 |
\642.2 |
186% |
109% |
65% |
日本は電気通信の完全自由化に向けて順調な進展を見せて来ましたが、今後急速に相互接続料金を引き下げ、消費者、社会、産業界に自由化による利益を還元することが必要です。競争力のある相互接続料金は電気通信分野における競争になくてはならないものです。
EBCでは、相互接続料金を可能な限り引き下げるために、国際標準のベンチマークの設定が必要であると考えます。また、世界の最大貿易地域であるEU、アメリカ、日本は相互接続料金に関して共通のベストプラクティスな料金体系を構築するべきです。
EBC電気通信委員会は1998年度(4月1日から適用)の日本の接続料金について、2000年の長期増分費用方式の導入前に、比較指標を参考にして更に下げるべきだと考えます。また、貴省はNTTに対して申請中のPSTNとISDN双方の相互接続料を更に引き下げるよう指導することもご提案いたします。
欧州ビジネス共同体について:
欧州ビジネス共同体(EBC)は、EU各国の在日商工会議所が、日本における共通の情報発信機関として1972年に設立したもので、メンバー各国全体の日本での事業促進を図り、各国の在日商工会議所間の相補効果を援助、促進、強化することを目的とします。したがって、メンバー各国箇別の利益を追求するものではありません。
EBCの電気通信委員会は、日本の通信市場の自由化と競争導入に関する諸問題を専門に扱います。同委員会を形成するのは、日本で積極的な事業活動を行い、かつ日本の通信産業および日本政府の通信政策に建設的な役割を果たせることを望む欧州の主要通信企業です。