平成10年12月18日
日本電信電話株式会社の指定電気通信設備に係る
接続約款の変更案に対する意見等について
東京通信ネットワーク株式会社
このたびの日本電信電話株式会社の接続約款変更案につきまして、広く事業者の意見を聴取していただき誠にありがとうございます。当社の意見を下記に述べさせていただきます。
記
- 網使用料算定根拠
(1) 先行投資資産の混入有無
- 網使用料について、NTTの現有設備を所与のものとして料金額が算定されていますが、マルチメディア化等に向けたNTT独自の戦略的な先行投資(線路設備、伝送設備等)や過大な先行投資が混入していることはないのでしょうか。
- 現状で提示されている算定根拠のみでは、接続事業者側でそのチェックを行うことは困難であり、検証を行うに十分なデータの提示をしていただきたいと思います。
(2) ISM交換機能
- 「ISM交換機能将来原価総括表」における10年度見込値の算出方法において、「事業化を加味」という想定方法が用いられておりますが、この「事業化を加味」の意味が不明確であるため、その考え方を教えていただきたいと思います。
- 今回、NTTがISM交換機能に係る接続料金算定に際し、9年度実績ではなく10年度見込値を利用したことにつきまして評価します。しかしながら、今後、実績原価と将来原価の適用選択及び将来原価を適用する場合の算定期間等について、NTTが恣意的に設定するのではなく 、 一定の基準を明確化するとともに継続性についても配慮する必要があると考えます。
- その他の料金の算定根拠
(1) 労務単金
- 今回の変更において、工事費等に適用される労務単金が新たに設定されておりますが、この作業単金については、世間一般で適用される作業単金と比較して、非常に高い水準にあると思われます。「建設物価」(平成10年6月号 平成9年6月調査)によると、最も高い水準の通信工事技術者「東京地区・監督・主任レベル」でも34,220円/日(8時間)であり、NTTの労務単金45,769円/日は、これより約34%割高です。
- 単金水準が高くなる要因として、NTTの算定根拠より、次の問題点が考えられることから、作業単金について見直しを要望します。
- 作業単金について、NTTの労務費合計のみから算定されていますが、NTTが外部に委託している場合もあると思われます。仮に接続事業者がNTTに作業を依頼する以外の選択肢があれば、「建設物価」上の単金に近似した単価で、第三者に委託可能であると考えられることから、NTTも今回申請の単金より安いレベルで委託していると思われます。したがって、外部に委託する場合の費用も加味して算定することにより、単金は低減すると考えます。
- 算定根拠上では、平均年収10,289千円の社員が工事等の作業を行っていることとなりますが、この年収レベルの人員が中心で保守作業を行うことはないと思われます。
- 約款条文
(1) 網使用料の精算
- 原価算定規則の第13条及び第14条、並びに現行接続約款の第71条(上記訂正後)において、タイムラグ誤差の再計算及び精算についての規定はありますが、タイムラグ精算用の単金を別に設定することについては規定されていません。したがって、当社としましては、9年度分のタイムラグ精算について、当然、今回の新単金が適用されるものと理解しています。
- 今回、NTTはタイムラグ精算用の単金を別途設定する旨条文を変更し、附則に9年度精算用単金を追加していますが、適用段階において接続約款を都合良く変更し、約款変更前に支払済みである接続料金についても、その対象とすることは認められるべきでないと考えます。
- 仮に、タイムラグ精算用の単金を別途設定する旨の接続約款変更が今回認可されたとしても、当該条文は認可後に発生する接続料金支払分に対して適用すべきであり、したがって、9年度分の精算については、従前に認可を受けた接続約款の規定を適用すべきと考えます。
- 行政当局に対する要望事項
(1) ISDNにおけるユーザー料金(市内料金)と接続料との関係について
- 今回の約款変更案におけるISDN接続料金の算定において、10年度見込値を用いたことにより、当該料金額が大幅に値下がりとなったことにつきまして評価します。
- しかしながら、一方においてISDN需要は急激に増加しております。当社は、アナログからISDNへの切替により単価の高いISDNの比率が高まることで、接続料金の負担額合計はほとんど下がらないのではないかと危惧しており、ISDN接続料の更なる低廉化を要望します。
- また、ユーザー料金(市内料金)と接続料との関係につきましては、下のグラフのとおり、値下後の料金額をもってしても、なお逆転状態にあります。
- ISDNの接続料金については、これまで、
- 当該接続料はNTT利用部門及び接続事業者に公平に課せられるのだから問題ない
- 当該接続料を含んでどのようなユーザー料金を設定するかは、各社の経営戦略の問題である
という考え方が示されています。
- しかしながら、ISDNの市内競争をいかにして創出するのかという視点が欠けていることから、あらためてこの点につき議論させていただきたくお願いします。
(2) 再意見提出の在り方について
- 接続約款案に関する現行のプロセスでは、NTTが申請した接続約款案に対して接続事業者が意見書を提出し、その後、再意見書の提出というステップを踏むこととなっています。
- しかしながら、再意見書の提出にあたっては、NTTと接続事業者の提出タイミングが同時であるため、接続事業者は、当初意見書に対するNTTの反論を見ることなく、再意見書を提出しなければなりません。
- したがって、接続事業者の再意見書提出のタイミングにつきましては、NTTの提出した再意見を確認した後に提出できるよう配慮していただきたく、要望いたします。
(3) 「接続料の算定に関する研究会」の継続について
- NTTと接続事業者が審議会委員の前で意見を述べあうことは、接続料の決定プロセスをより透明化するために極めて有効であったと認識し、 この意味で当社は同研究会の在り方を高く評価しております。
- したがって、同研究会を解散することなく、継続的に案件を議論する場として存続していただきたいと考えます。
- 研究会を継続する場合には、当社としては「ISDNにおけるユーザー料金(市内料金)と接続料との関係」について議論させていただきたく、ご検討の程よろしくお願いします。
以 上
