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競争政策小委員会 第5回会合 議事録








               目    次

1.開  会 ……………………………………………………………………………… 1
2.議  題
 (1)競争政策小委員会における主要論点について ……………………………… 1
 (2)次回の開催予定について ……………………………………………………… 39
3.閉  会 ……………………………………………………………………………… 39



               開    会

○舟田主査 それでは、第5回の競争政策小委員会を開催いたします。
 皆様ご存じのとおり、9月13日に第1回の会合を開いたわけでございますけれども、
その後、ユニバーサルサービス小委員会、国際競争力小委員会との合同で3回ヒアリング
を行いました。ということで、それを入れますと今回が第5回の小委員会となります。
 今回の小委員会におきましては、これまでの意見交換、ヒアリング及び郵政省が行った
意見募集の結果を踏まえて、競争政策小委員会における主要論点をまとめた上で、来る1
0月30日に開催予定の特別部会に報告する予定です。
 それでは、資料1について事務局からご説明をお願いします。

               議  題

       (1)競争政策小委員会における主要論点について

○南事業政策課調査官 それでは、事務局の方から、資料1に関しましてご説明をさせて
いただきたいと思います。「競争政策小委員会における主要論点」というタイトルの資料
でございます。
 目次をつけさせていただいておりますが、先ほど舟田主査の方からご紹介をいただきま
したとおり、郵政省の方で140件近くの意見募集の結果が寄せられたところでございま
すけれども、それプラス、3回の合同ヒアリングの模様を踏まえまして取りまとめさせて
いただいたものでございます。ネットワーク構造、電気通信事業の将来像というタイトル
の項目と、競争の基本的枠組みに関するもの、それから、NTTグループのあり方に関す
るもの、3つの骨組みにさせていただいているものでございます。ページをめくっていた
だきまして、1ページ目でございますが、まずネットワーク構造、電気通信事業の将来像
ということで、これは競争政策を論じていただく前提として、どのように考えるべきかと
いう論点でございます。下線を引いてある部分を中心に以下主としてご説明をさせていた
だきます。
 IPベースのネットワークの構造の出現と冠しまして、データ通信のトラヒックが急速
に拡大をし、ネットワークはIPベースの高速・高信頼ネットワークが主流になっていく
のではないかと。その上、多くの通信トラヒックがIPベースのネットワーク上で統一的
に取り扱われるようになるのではないかと。そしてまた、電話、放送、インターネット等、
サービスの融合化が進展していくのではないかというIPベースネットワーク構造の出現。
 それからアクセス網とバックボーンネットワークに関しましては、DSL、CATV網
等、さまざまな多様で中高速アクセス網が整備されると同時に、バックボーンネットワー
クに関しましても、高速大容量のバックボーンネットワークというものが生まれ、2層分
化していくのではないかという傾向でございます。
 それから、電気通信事業の将来像に関しましては、エリア限定のマイクロ一種の出現で
すとか、事業者に対する設備提供のみをビジネスとする事業者の出現等、今後電気通信サ
ービスの提供形態は一層多様化するとともに、インターネット電話の出現等によりまして、
電気通信事業の収益構造と言われるものが大きく変化すると考えるべきではないのかとい
う論点でございます。
 それからページをめくっていただきまして、競争の基本的枠組みということで、まず1
としまして、IT革命を推進するに当たって電気通信分野における競争政策の基本理念と
いたしましてどういうものがあるべきかと。その1としまして、インターネット時代の競
争政策の基本理念ということで、市場におけます競争が電話からインターネットへ、ある
いは固定電話から移動通信へと拡大する中で、基本理念はどうあるべきかと。
 それから2としまして、非対称規制というものの拡充に関する論点でございます。これ
は市場支配力と言われるものを持っている事業者とそうでない事業者を区分して非対称規
制をかけるというのが諸外国で今やグローバルスタンダードとなりつつある手法でござい
ますが、これを我が国に積極的に取り入れることが適当と考えるかどうかと。
 あるいは、支配的事業者に対しましては、公正競争を促進する観点から、一定の事前規
制を行いまして、他方、非支配的事業者に対しましては、業務規制や接続規制の体系をで
きる限り、認可を中心とした事前規制から事業者の自己責任原則を前提とした事後監視型
規制に改める方向で検討されるべきかどうかという論点でございます。
 それからNTT法の今後の位置づけでございますが、仮にこういった支配的事業者規制
を導入するということといたしました場合には、NTT法における特殊会社であるNTT
に固有の規律を電気通信市場における支配的事業者に共通する課題として、できる限り、
電気通信事業法に移しかえていくということが適当であるのかどうかという論点でござい
ます。
 それから3ページ目でございます。徹底した競争ルールの確保と。非対称規制の拡充に
伴い、事業者間の紛争が増大するおそれがあることから、より迅速で簡易な紛争処理制度
を整備するとともに、行政が電気通信市場における競争を積極的にモニターできるような
仕組みを設ける必要があるかどうかと。
 それから、公正競争促進という目的の明確化と。現在事業法の目的の中には明文として
は書かれておらないわけですが、さきにIT基本法と言われるものが今臨時国会に提出を
されておりますが、その第16条というところに「事業者間の公正な競争の促進」と言わ
れる文句が盛り込まれているところでございまして、同じような文句を入れて明確化する
ことがいいかどうかという論点でございます。
 それから6としまして、電気通信事業法と独禁法との関係でございますが、競争秩序の
維持という側面から両者の関係をどう考えるべきかと。技術革新が激しく、専門的かつ技
術的な電気通信分野で競争市場を形成していく上で、電気通信事業法と言われるものが積
極的な役割を果たすべきではないのかどうかという論点でございます。
 あるいは電力やガスなどと同様に、電気通信分野におきまして、郵政省と公正取引委員
会が共同して何らかのガイドラインを出すということにつきまして、どう考えるかという
論点でございます。
 それから4ページ目でございまして、先ほど申し上げました支配的事業者規制の導入に
関する論点でございます。下の(1)の支配的事業者規制の導入と。そういう導入を求め
る意見が大変多数に及びますが、既存の法体系の整合性と言われるものを考慮しながら、
その定義、あるいは非対称規制のあり方についてどのように考えるべきかということで、
まず定義でございますが、支配的事業者は、基本的に第一種電気通信事業者の中から認定
されると考えるべきであるかどうかという論点。それから、仮に定義をいたします際に、
どういう要素をしんしゃくすべきであるかと。例えばボトルネック支配の有無、あるいは
供給代替性、需要代替性、市場シェアとその推移、当該企業の規模及び資源といったよう
なことがアメリカではリストアップされているわけでございますが、どういう要素をしん
しゃくすることが適当かどうかと。
 それから支配的事業者を認定する方法といたしまして、市場を幾つかの単位に分けて、
固定、専用、移動、長距離、国際といろいろな市場があるわけでございますが、その個別
に判断されるべきかどうかと。またその際、グループとして複数の市場でサービスを提供
しているような事業者の扱いをどうすべきかと。
 それからページをおめくりいただきまして、市場シェアと一言で申しましても、EUで
は25%、ドイツでは3分の1といったさまざまな考え方があるわけですが、どのように
考えるべきかということでございます。
 それから、非対称規制の具体的内容としましてどういうものが考えられるのかというこ
とで、支配的事業者に対する規制ということで、WTOでは、反競争的な内部相互補助の
禁止、あるいは他の事業者から得た情報を不当な競争をもたらすように利用することの禁
止、いわゆる目的外利用を禁止しているわけでございますが、そういったものが含まれる
べきかどうかと。あるいはそれ以外に具体的にどういう反競争的行為の類型が記述される
べきであるかと。
 あるいは支配的事業者に対する業務規制や接続規制については、現行制度を維持すると
いうことが基本となるべきなのかどうかと。
 それから、ボトルネックの設備を持っているそういう支配的事業者とそうでない支配的
事業者を全く同列に扱う必要があるのかどうかという論点。
 それから、支配的事業者と特殊な関係にある子会社についても一体として特別な規制を
課すことが必要かどうかという論点。
 それから他方、非支配的事業者に対する規制緩和として具体的にどういうところまで規
制緩和をすることが適当かという論点でございます。
 それから6ページ目でございますが、3としまして、紛争処理機能及び意見申出の強化
ということでございます。仮に非対称規制を拡充いたすといたしましても、あるいはまた
来年1月から優先接続の申し込みが開始されるわけでございますが、そうしたトラブルの
続出が予想される中で、事業者間の紛争をより迅速にかつ簡易な手続で解決するニーズと
言われるものが高まるのではないかという論点でございます。
 では、その具体化に向けてどのような措置を講ずることが適当かということで、例示を
してございますが、現行の接続ですとか、約款外役務等に関します裁定に関しまして、裁
定に加えまして、あっせんだとか調停だとか、そういう当事者間の合意をベースとしまし
た簡易な紛争処理制度を整備するようなこと。あるいは、住宅紛争処理の例に見られるよ
うな民間活力を活用した制度の導入というものが考えられるのかどうかという論点でござ
います。
 それから、現在の意見申出制度におきましては、私どもの方が「誠実に処理をする」と
書いてあるのみでございまして、利用者にとって必ずしも十分な手続の透明性が確保され
ていないという指摘がある中で、意見申出に係る申請処理の窓口や手続、問題となる行為
の類型に関しましてガイドラインを整備することによって、一層の透明化、明確化を図る
ことが適当であるかどうかということでございます。
 それから、意見申出制度の実績を定期的に取りまとめて公表してはどうかという論点。
 それから最後に、行政が電気通信市場における競争を常時モニターできるような体制を
強化して、競争状況につきまして定期的にレビューすることが必要じゃないかということ
でございます。
 それから7ページ目でございますが、これは電気通信分野における競争ルールの推進に
向けた行政組織のあり方というご議論が多々登場してございます。そういうような独立し
た第三者機関と言われる場合もあるわけでございますが、そういう規制機関を設けるべき
との意見があるがどう思われますかということでございます。
 まず、競争ルールの立案・策定から競争状況の監視、紛争処理に至るまでを一体として
行う規制機関のあり方については、国によってそれぞれの異なる事情に基づいて定められ
ているのではないかという論点。それから、我が国では、既に中央省庁の再編論議で整理
済みの課題ではありますが、こういった組織問題よりも現在直面している競争ルールの中
身の方の議論というものが優先されるべきではないのかどうかという論点でございます。
 それから、我が国において規制と産業振興機能を分離するということが果たして必要不
可欠の選択肢であると考えられるのかどうかと。それとも、規制機能と産業振興機能とい
うのものはいわば一元的、総合的、機動的に行える形の行政機関のあり方が望ましいと考
えるべきなのかどうかという論点でございます。
 それから、行政による競争監視・紛争処理機能の強化の要請に対しましては、先ほど述
べましたような方法で十分対応できるのではないかということでございます。
 それから規制機関のあり方と言われるものを論ずる際には、電気通信分野のやはり特殊
性というものを踏まえて議論する必要があるのかどうかという論点でございます。
 それから8ページ目でございますが、地域通信市場の東西NTTによる独占的な状態が
続いておりますが、その具体的な競争活性化策、促進策として有効な方策はどういうもの
が考えられるかという論点。1はまず線路敷設権、このご要望が大変多いわけでございま
すが、これに関しましては、電柱・管路等の提供についての貸与の申し込み・貸与の拒否
等の手続を定めて、国による裁定の運用基準となるような実効性の高いガイドラインと言
われるものを郵政省の方で今検討しているところでございますが、そういうガイドライン
の早急な策定が求められると考えられるがいかがでしょうかと。
 それから、現在電気通信事業法の73条以下に裁定制度と言われるものが用意されてご
ざいますが、こういう公有地上の電柱・管路に対し適用があるかどうかというのは必ずし
も明確でないということから、制度を見直すことが適当ではないかのかという論点でござ
います。 それから2としまして、いわゆるキャリアズ・キャリア制度と言われるもので
ございます。これは自治体や電力事業者、鉄道事業者等の保有します公共的な光ファイバ
の解放、あるいは公平な利用を促進するという意見が出されているところでございますが、
これに対応するために一種・二種を問わず、すべての電気通信事業者に対して、光ファイ
バの心線貸し、あるいは帯域貸し等柔軟に行える事業者を、例えば卸電気通信事業者(キ
ャリアズ・キャリア)として明確に事業法の中に位置づけてはどうかという論点でござい
ます。
 それから、光のアンバンドルにつきましてもご議論があるところでございますが、現在
事業部会の下の接続小委員会でご議論を進めていただいているところでございまして、こ
の光ファイバのアンバンドル化につきましても、早急に結論を得る必要があるのではない
かということでございます。
 それから9ページ目に入っていただきまして、事業者向け割引料金と。いわゆる、これ
はキャリアズ・レートの方でございますけれども、指定電気通信設備を設置しております
事業者に対して、事業者向けの割引料金を義務づけるということがアメリカでは行われて
いるわけですが、こうした形で再販ベースの新たな競争事業者を創出していくことが適当
ではないかという論点でございます。
 それから10ページ目、これはNTTグループの以下あり方にかかわる論点でございま
す。
 まず、1としまして、持株会社方式によるNTT再編成を可能な限り客観的に評価すべ
きかどうかという論点でございます。まず、持株会社方式によるメリットとしてはどうい
うものがあるのかということで、例えば、ワンストップサービスの提供が可能になる。グ
ループ資源の最適配分の確保ができる。あるいは、世に言われておりますところの研究開
発力、国際競争力の維持・強化につなかるというメリットがある。
 他方、持株会社方式というものは多様な競争主体の創出、あるいは公正競争条件の確保
の観点からは、はたして阻害要因とならないのかということで、デメリットとしまして、
以下に書いてありますとおり、各社間の自由な競争や自主的、機動的な事業運営が抑制さ
れるようなおそれはないのかどうかと。あるいはグループ会社間における反競争的行為の
温床となるおそれはないのかどうかと。いわゆるグループ内での情報の流用、一体的な営
業活動、あるいはグループ内での相互補助というようなことを示させていただいていると
ころでございます。
 それから、ページをおめくりいただきまして、11ページでございますが、IT時代に
対応したNTTグループの経営形態の在り方といたしましての論点でございます。
 これは先ほど申し上げましたとおり、多様な競争主体の創出だとか公正競争の確保の促
進という観点から見直しが必要と仮にされる場合に、具体的にどういう方法が考えられる
のかということで、持株会社方式を廃止して、グループ内の各社の資本を完全分離すると
いう要請が出ているわけでございますが、そういうものが必要なのかどうかと。
 あるいは、東西NTT以外のグループ会社、NTTコム、ドコモ、データへの出資比率
を独立した事業体と認められるレベルまで引き下げるということで公正競争上の問題が解
消されるのかどうかと。
 あるいはまた支配的事業者規制ですとか、反競争的行為の防止、徹底した会計の分離、
公表などの公正競争を確保するために必要な措置を導入することによって問題が解消され
るのかどうかと。
 あるいは、グループ企業間のファイアーウォール規制と言われるものを強化することに
よって問題が解消されるのかどうかと。
 こうした議論の前提としまして、NTTみずから将来の展望を踏まえた明確な経営ビジ
ョンを示す必要があるのではないかという論点でございます。
 それから12ページ目でございますが、いわゆる国際競争力の維持という観点から、持
株会社方式を維持していくことが望ましいというご意見があるわけですが、これについて
どう考えるかと。そうした要請を受けて、グループ経営以外のスキームで、本当にこうし
た目的が達成できないのかどうかという問題。
 それからインターネットを初めとする激動の競争時代の中で、持株会社方式による安定
的・調和的なグループ運営が果たしていつまで通用するのかと。むしろそのことが我が国
電気通信事業全体の発展にとって阻害要因となるのであれば、見直す必要があるのではな
いかという論点でございます。
 それから13ページ目でございますが、これは東西地域会社のあり方という問題、いわ
ゆる業務範囲の問題でございます。現行の業務範囲規制につきましてどのように考えるべ
きなのかと。これはいつまでも新分野への進出を認めないということにすると、いたずら
に閉塞感を生むとともに職員の士気を低下させ、将来の明るい事業展望が得られないので
はないかという論点。他方、こうした業務範囲規制というものは、地域通信市場における
公正競争が確保され、かつ競争が相当程度進展したと客観的に評価されるまではやはり緩
和するべきではないのではないかというご意見もあるところでございます。
 それから、アメリカに見られますとおり、ネットワークの解放度合いですとか、接続義
務の履行状況、いわゆる競争チェックリストと言われるようなものですとか、グループ内
の競争の進展状況等に応じて、業務範囲規制を緩和するといったインセンティブ規制の手
法が有効なのかどうかという論点でございます。あとグループ企業間の競争を促進する観
点から、この業務範囲のあり方をどうとらえるべきかという論点です。
 それから14ページ目でございますが、いわゆる東西2社間のヤードスティック競争が
やはり機能していないというご意見があるわけですが、特にヤードスティック競争を有効
に機能にさせるために地域会社をさらに細分化すべきだというご意見がありますが、これ
についてどう考えるべきかと。
 それから、東西NTTは実際子会社(NTT−ME、ぷらら)などを通じまして、イン
ターネットサービスに二種事業の形でサービスを提供しているわけでございますが、これ
はNTT法に定める業務範囲規制を形骸化するものであるというご意見があるわけですが、
これについて公正競争を確保するための枠組みを検討する必要があるのかどうかという論
点でございます。
 それから、15ページ目でございますが、これはいわゆる東西会社と長距離会社間のフ
ァイアーウォール規制のあり方でございます。東西NTTとNTTコムとの間で、公正競
争を阻害するさまざまな行為が指摘をされているわけでございます。一体的営業、情報の
流用、あるいはコムの優遇といったような問題点が指摘されているところでございます。
 それで、東西再編成時に中止事項と言われるものを定めているわけでございますが、そ
の中止状況を公開をして、パブリックコメントを実施したり、あるいは両社間の取引状況
を公表させる等、一層の経営情報の開示が必要であるのかどうかという論点。
 それから、再編成の時点で作成されました現行の基本方針に基づくファイアーウォール
措置と言われるもので果たして十分と言えるのかどうかと。十分でない場合、どのような
措置が必要なのかという論点でございます。
 それから、16ページ目でございますが、いわば現在の問題点は持株会社が一人株主で
あるということが、東西NTTとNTTコミュニケーションズの一体性を強めているとい
う指摘があるわけでございますが、現在NTT法の附則の13条に長距離株式会社の株式
を処分する場合の認可制度と言われるものが用意されているわけでございますが、これが
NTTコムの株式放出を抑制する要因になっているのであれば、そのあり方を見直すこと
が必要なのかどうかという論点でございます。
 それから、公正競争確保の措置は、東西NTTと資本関係を有するNTTグループ全体
に対して課することが必要であるのかどうかという論点。
 それから一部にNTTのブランドが強過ぎるというご意見がある中で、ブランドのあり
方を検討する必要があるのかどうかという論点でございます。
 それから、NTTグループによる放送を初めとする他分野への進出を認めるに当たって
は、電気通信市場における市場支配力の濫用を防止するための枠組みを検討する必要があ
るのかどうかという論点でございます。
 それから、17ページ目に入りますが、これはNTT法の会社法に基づきます特殊会社
としてのいろいろな規制があるわけでございますが、例えば、新株発行の認可、事業計画、
利益処分の認可等のもろもろの事業規制が課されているわけですが、そのあり方について
どう考えるべきかということでございます。今のもろもろの規制は、NTT各社が適正か
つ安定的な事業運営を確保する上で必要不可欠な最小限の規制でありまして、多くの規制
は特殊会社としての横並び上課されているものであることから、基本的には一部の規制の
みを取り出して緩和撤廃というのを論じるのは適当ではないのではないかという論点。し
かしながら、他方、NTTからはグローバルな業務活動を展開していく上で支障があると
いう要望があるわけでございまして、新株発行等の認可の早急な緩和撤廃が要望されてお
りますが、果たしてどのように考えるべきかということでございます。
 それから、最後にその他の論点として掲げさせていただいておりますのは、一つには電
子商取引への対応を求めるご意見が多数出されているところでございます。インターネッ
ト上のプライバシー侵害、名誉棄損等に関しますISPの責任の範囲等について基本的な
ルールを整備することを検討すべきではないのかという論点。あるいは、レイティングや
フィルタリングの普及促進策の検討。それからハッカー、スパム等の迷惑メール等に関す
るルールの整備みたいなご意見が出されているところでございます。
 それから、電気通信行政に関する課題としましては、請願制度の導入といいますか、見
直しといいますか、そういうご意見が出ております。あるいはノーアクションレター制度
のような、欧米で見られるような制度を導入すべきだというご意見がありますが、どのよ
うに考えるべきかと。あるいは電気通信分野は変化が激しい分野でございますので、定期
的なルールの見直しを求める声が出ておりますが、どう考えるべきかという論点でござい
ます。
 以上、ちょっと駆け足で恐縮でございますが、主要論点のご説明をさせていただきまし
た。
 それから説明は省略させていただきますが、参考資料としまして、この主要論点のバッ
クグラウンドになりますデータ、第1回目の競争政策小委員会でご説明をさせていただき
ました資料もだぶっておりますけれども、掲載をさせていただいております。
 それで一点だけ、お手元に横長の「NTTグループの事業展開」というB4の資料をお
配りさせていただいております。これは第1回の小委員会の席で、NTTグループが果た
して一種事業、あるいは二種事業の枠を超えて、アプリケーション、コンテンツといった
上位レイヤーレベル、あるいはその周辺の事業展開をNTTグループ全体としてどこまで、
その外延ですけれども、情報通信分野全体の範囲でどういうグループ展開をされているの
かわかるような資料を用意してほしいという宿題を承っておりましたので、ご用意させて
いただいたものでございます。
 ごらんになっていただきますとわかりますとおり、持株、それから一種事業者を中心と
しまして、二種、プラットフォーム、アプリケーション、コンテンツレベルまで至るさま
ざまな分野にいろいろな形で事業展開をしているということでございます。
 それから右の上の方に放送分野と書いてございますが、これはCATV、FM放送ほか
おつき合い出資の範囲でございますけれども、さまざまな形での出資が行われていると。
それで上の方が主として情報通信分野の関連グループでございまして、その下段の方に書
いてありますのがNTTの本来事業を支援するという形でのもろもろの事業運営の形でご
ざいます。ご参考にしていただければと思います。
 それから、参考資料の2の方では、これまで意見募集の結果、あるいはヒアリングの資
料等で各企業、あるいは団体から寄せられました主要論点にかかわりますご意見を取りま
とめさせていただいたものでございます。ちょっと説明は時間の都合で省略させていただ
きます。
 以上でございます。
○舟田主査 それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問ご意見をいただきますけれ
ども、この特別部会は非常にタイトな日程で、きょう議論いただいて、すぐ次に特別部会
という、1回しかできない。ごらんのとおりの非常に広い範囲で、しかも重要な問題が出
ているのを、ここで小委員会で1回議論して次は特別部会ということなので、きょうはも
ちろん十分議論いただきますけれども、皆様お気づきの点ありましたら、後から事務局へ
出すなり、あるいはぜひ事務局の方にお願いしたいと思いますけれども、欠席の方には直
接お会いして、1人1人ちょっとご意見を伺うというのをやっていただけますでしょうか。
○南事業政策課調査官 わかりました。
○舟田主査 それでは、、皆様の方から質問なりご意見を出していただければと思います。
 どうぞ。
○根岸専門委員 私はこの委員会に初めて、小委員会としては実質的には初めてで、ちょ
っとピント外れかもしれませんが、2ページのインターネット時代の競争政策の基本理念
のところで、変化があって、競争政策の基本理念をどう考えるかということが論点に出て
いるんですけれども、これはいろいろな問題にどういうふうにつながっていくのかという
ことが必ずしもよくわかりませんというか、あるいは非常に重要なことのように思うんで
すけれども、つまり、じゃあ、現在の理念がどうであって、そしてこういうふうに変化し
たのでどう変化するかと、そういうふうに多分考えるんだろうと思うんですけれども、現
在は、つまり電話料、固定電話で、そういうもののみを考えて競争政策の基本理念を考え
ていたけれども、変化したので、それらも含めて、そういうふうにただ考えればいいのか、
というようなことがちょっとよくわかりません。
 それから、私の理解するところでは、いろいろな問題がありますけれども、一つの大き
な論点としては、市内の市内網における事実上の独占というようなことが非常に大きな問
題と、こういうふうに理解しているんですけれども、そういう問題とこれはどのように関
係があるのか。こういうことによってそれが何も余り変わらないということなのか。変わ
るのかというようなことをどういうふうに考えるのかということ。それは何か質問して、
自分も答えなきゃならないと思うんですけれども、ちょっと私としては最初なので、ちょ
っともし今までご議論がありましたお話しいただければ大変ありがたいと思います。もち
ろん委員の皆さんにもお願いしたい。
○舟田主査 では、まず事務局から何か。
○南事業政策課調査官 まず、今根岸先生の方からご指摘がありました、私どももインタ
ーネットが主流になっていく時代に、競争政策のあり方をどう変えていったらいいのかと
いうのが、我々も経験があるわけじゃないんですが、一つの例としましては、例の固定電
話、加入電話と移動通信、ドコモを初めとする移動通信の加入者の数が逆転してしまった
ということで、数的に言うと、移動通信のトラヒックが大変伸びておりまして、片や固定
電話の方の加入者数というのはほぼ横ばいという状況の中で、移動通信と固定通信という
のが、仮に地域の方が独占の分野であるとすれば、その有力な競争相手として移動通信事
業者というものをとらえるべきなのかどうなのかというような新しい現象が、携帯電話は
非常に爆発的に伸びているものですから、その移動通信と固定通信のマーケットをどうい
うふうにとらえるべきなのかということによって、競争政策のあり方が変わってくるのか
どうかという論点があろうと思っておりますのが一つと、それからもう一つは、電話から
インターネットへの変化ということで考えますと、先ほどご説明しましたNTTの東西の
業務範囲ということに関しましては、今は主として県内の電話なりISDNだけしかやっ
ちゃいけませんよということになっているわけですが、インターネットがこれだけ発展を
してまいりますと、ヒアリングの中でもお示しされたように、東西NTTさんもやはりイ
ンターネットのサービスの成長性、将来性というものに大変魅力を感じていらっしゃると
思うんですけれども、そういう県内、県外に分けて規制をするというようなやり方が、そ
のシームレスなインターネットのネットワークというものが主流になってきた場合に果た
して適切なのかどうなのかというところでのやはり論議が行われる必要があるのかどうか
ということの問題意識を我々は持っております。
 それからよく言われますのは、インターネット電話みたいな形のものが仮に本格的に普
及するようになると、果たして既存の電話事業、メタルで提供していたような電話事業で、
伝統的な電話事業みたいなものの経営なり、あるいは事業の構造などを変えていく可能性
があるのかどうかというのは我々もよくわからないんですけれども、そういったインター
ネットが主流になっていく場合に、従来の電話を中心として築き上げられてきた規制の体
系というものを改める必要があるのかどうかというふうな問題意識を持っているところで
ございます。
○根岸専門委員 ありがとうございます。
○舟田主査 今、2つお聞きになりましたね。それでよろしいですか。
○根岸専門委員 はい、結構です。
○舟田主査 どうぞ。
○林主査代理 きょういただいた資料では、随所に問題提起というか、「考えるか」とか
「べきか」とか「ではないか」というのがありますが、きょうここでこれにイエス・ノー
答えるわけですか。決めちゃうわけですか。
○舟田主査 全部は無理ですよね。
○天野電気通信局長 きょうは、今までのパブリックコメントの募集の結果、それからヒ
アリングの結果を総ざらいして、今後論点を年末までに結論を出すものと、もうちょっと
時間をかけて議論しなきゃいけない事項とかいうものを整理していく作業が次回以降入っ
てきますので、全体として問題提起されているのをもう一度おさらいをいたしまして、今
後の整理に役立てるというか、めり張りをどういうふうにつけていったらいいだろうかと、
そういったところをご議論いただいた方がいいんじゃないかと思うんです。私どもとして
も今後の2年間の運営につきましては、審議会の基本的な性格がこの年末までが一つの役
割の区切りになりますので、あとまた新しい情報通信審議会に引き継いでいくという審議
会自身の構造的な問題がありますので、まず緊急に整理すべきものは、できれば年末まで
にまとめてご答申をいただきたいなという期待があります。ですから、そういうものと、
それから来年以降のご審議にゆだねるようなことというようなめり張りをつけていかなき
ゃいけないと思っておりますので、まあその辺を、非常にたくさんある論点をどういうふ
うに交通整理していくか。そういったことがともかく作業上必要になってきますので、そ
の辺のことを認識しながら一度おさらいをしたというような整理になっております。
○林主査代理 では、そういう理解のもとに、この整理された論点を拝見いたしますと、
非常に網羅的に整理されていると思うんですが、ひとつ東西の料金の格差、是か非かとい
うのは、公聴会の中では意見が出たと思うんですが、それはここにはずばりは書いていな
いわけですけれども、それは小委員会、別のところで検討するという意味でしょうか。
○南事業政策課調査官 基本的な消費者団体等とのやりとりの中で紹介されました料金格
差の話は、主としてユニバーサルサービスの今後のあり方を議論する中でその義務づけを
どうするのかと。そしてその場合に、それを補てんするような、仮に競争中立的な仕組み
をつくっても、なお均一料金を維持するのか維持しないのかというところは主要な論点の
一つであろうというふうに認識しておりまして、主としてユニバーサルサービス小委員会
の方でご議論いただく予定で考えております。ただ、ユニバーサルサービスの確保のあり
方というのは、当然競争政策のあり方と密接に関係してまいりますし、それは当然一体と
して議論されなければいけないという問題意識は、ユニバーサルサービス小委員会の側か
らも提起をしていただいているところでございますので、当然お互いの調整を図っていか
ないといけないかなというふうには思っておりますけれども。
○舟田主査 どうぞ、ほかに。
○根岸専門委員 今、林先生のお話はあれでしょうかね。東西で料金が格差が出てくる。
そしてそれはだから格差があってはならないというか、まあ、ならないという方向もある
し、あっても別に問題ないと、そういう両方があり得ると思うんですけれども。
○林主査代理 現行は格差がないようにさまざまな制度が運営されているわけですけれど
も、それを格差があっても構わないということにすれば、例えばの話、東西NTTの営業
の自由度というのは相当影響を受けると思うわけですけれども、そうすると、NTTのあ
り方に関連してくるわけですし、ある意味でそこで制約条件をつけて、競争中立的とおっ
しゃいましたけれども、ファンド等を使っているという意味なんでしょうが、制約条件を
つけて競争するというのと、制約条件を、まあ常識的な制約条件はあるにしても、それを
外して営業戦略として自由に競争するというのとではかなり違ってくるような気がいたし
ますので。
○舟田主査 それでは、ちょっと2ページから少しずつやっていきますか。その方がいい
かもしれませんね。
 2ページのローマ数字のIですね。ちょっと私からちょっと意見ですけれども、(1)
の基本理念、これは先ほど根岸先生ご質問になりましたけれども、基本理念を非常に抽象
的にとらえると、そんな変わるわけないんで、それは同じなんですね。ただ、先ほど事務
局からご説明があったように、競争政策の基礎となる実態が変わったんではないかと。そ
の実態の変化を踏まえて、競争政策のあり方を考え直す、そういうことじゃないかと思い
ますけれどもね。
 それから(2)で、私はもう前から言っているんですけれども、事前規制から事後監視
型規制というのは、おととい経団連も強く主張されたことですし、意見にもあったと思い
ますけれども、事前規制を減らすということは私も賛成ですが、これは非支配的事業者に
対してですけれども、非支配的事業者に対してどんな事後監視型規制があるのかと言われ
た場合に、それを答えることを用意して、もしこういうペーパーを出すとするととですね。
法律家からしますと、事後監視型規制というのは非常にきつい規制であると。ある事業を
やっていて、あるいは接続の約款を結んでやっていて、途中で「お前それはいけないから
だめだ」というわけで、既存の契約関係をひっくり返すわけですね。それは非常にきつい
規制。ですから独禁法−−独禁法はなぜ電気通信分野で今までないのかと言いますけれど
も、後からひっくり返すと大変なことですから、よっぽど立証活動をきちんとしないと裁
判で負けてしまうと。そういうことから公取委は非常に慎重になる。当然なわけで、そう
いう意味で「事後監視型規制」という言い方がいいのか、よく俗の言葉で言いますと、む
しろ「裁量型規制からルール型規制」とかという言葉がありますけれども、ご提案も、も
し何かルールをつくるんであれば、それに従ってくださいというのがいいのではないかと
いう……。これは恐らく支配的事業者に対しても、やはり若干ルールを示して、それに従
ってはどうかというようなスタイルになるんじゃないかと思うんですね。
 おとといの経団連の主張では、業務改善命令というようなこと−−本当に業務改善命令
を郵政省にやれと言うんですかと。それの方がよっぽどきつい規制だと思うんですけれど
も、そういう意味でちょっとこの辺は、少なくとも法律家から見ますと、再検討の余地あ
りという気がいたします。
 何かありますか。よろしいですか。
 それから3ページですが、(4)で、より迅速で簡易な紛争処理制度、それがニーズに
合うのであれば、私はそれは大変結構なことだろうと思いますが、その後、競争を積極的
に常時モニターする仕組みというのは、これはちょっとご説明、私もちょっと今、なぜこ
こに出てきたのか。ルールの確保で、その紛争処理制度の前提としてモニターする必要が
ある。そういうことなんですか、これは。どういうことでしたか、ちょっと、すみません、
これは質問です。
○南事業政策課調査官 お手元の6ページ目にも同じような記述をさせていただいておる
んですけれども、6ページ目の一番最後の四角で書かせていただいておりますが、要する
に電気通信市場の競争状況ですね。行政当局が常時モニターできるような体制をつくって、
これは事業者だけということではないのかもしれませんが、競争の進展状況だとか、消費
者利益の確保等に関していろいろな形で定期的にレビューをしていくという、これが法律
的な措置なのか、実効上の措置なのか、あるいはそういう国民消費者生活センターに委託
してやっていただくようなイメージのものがいいのか、ちょっと我々も別に具体的なイメ
ージがあって申し上げているわけじゃないんですけれども。非常に競争市場にあるかどう
かというものを行政の方が常時監視をしておいてほしいというニーズに対応して、どんな
ような仕組みがあり得るのかというのは、我々も実は経験があるわけではないんですけれ
ども、そのような問題意識を示させていただいただけでございます。
○舟田主査 規制緩和の中で、行政官庁による報告聴取制度というのが事業者にとって大
変な負担だという、そういう意見もあったように私は記憶しているんですね。報告聴取の
一種の行政命令−−強く言えばですね−−まで、そういう制度をつくるんであれば、ちょ
っと問題かなと。まあ、今のご説明ですと、いろいろなことが考えられるというので、な
るべくソフトな制度の方がいいんじゃないかなという気がいたします。
○山内専門委員 よろしいですか。私も、例えばこの競争を常時モニターする仕組みとか、
6ページの表現だと、例えばそれが答申の原文で出てくると、かなり何か確固としたイメ
ージのものが想像されて、今まさに先生おっしゃったような、ちょっと時代的に逆行する
ようなイメージをとられかねないですね。ですから、もうちょっと具体的に例を挙げると
かいう形でご提案される方がいいかというふうに思います。
 今のお話を聞く限りでは、ちょっと想像するに、何かあれですか。消費者側からこうい
う競争の有効性みたいなものをモニターする必要があるんだというニーズがあるというこ
となんですか。
○南事業政策課調査官 具体的にといいますか、私どもも電気通信利用環境整備室という
ところが局内にございまして、そちらの方が消費者からの苦情・相談の窓口みたいなこと
で、電話料金の関係に関する苦情・相談等は対応させていただいておるんですけれども、
具体的といいますか、一般的に利用者サイド、あるいは事業者からも電気通信市場の競争
状況をちゃんと行政としてもウォッチしておいてくれという要請が日ごろの行政の中でい
ろいろ寄せられているところでございますので、そういったものに何か対応するような有
効な仕組みがちょっとあるのかどうか。ちょっと私ども今の段階で具体的なイメージがあ
るわけではないんですけれども、そういう一般的な行政対応の中からちょっと最近考えて
いるというものでございます。特に具体的なイメージはございません。
○貝沼事業政策課長 この点は、支配的事業者の規制をどうするかということとも関係す
ると思うんですけれども、例えば、後で出てまいりますように、内部相互補助を防止する
だとか、あるいは情報の出し惜しみだとか、そういうことについてチェックするべきだと
いうルールをつくったとしますと、支配的事業者がそれについてきちんとやっているのか
どうかということがわかるような資料を出してもらうという点も含むんじゃないかと思っ
ておりまして、やはりNCCとNTTの紛争の大きな要因の一つがNTTの情報が余り開
示されていないということで、よく実態がわからないままに不公正なことが行われている
んじゃないかというような指摘もありますので、主として支配的事業者を念頭に置いて、
どういう状況なのかということの資料を出していただくとか、そんなことを考えておりま
す。
○山内専門委員 それだったらよくわかります。そっちの方がよくわかって、そういうふ
うな記述をされた方がいいと思うんですよね。それで、一般的な競争法と事業法の関係で
言うと、競争法だと恐らく非対称規制でできないんだと思うんですね。一方で、その事業
法は何らかの目的さえ定めれば非対称規制ができるんだと思うんですけれども、だとする
と、郵政省がこういうようなことをするという、より積極的な根拠は、おっしゃったよう
な非対称的な規制の中で、情報の必要性とか競争の確保とかということに結びついていか
ないと、なかなか一般的に理解されないんじゃないと思うんですね。常時競争をモニター
する、確保するというのは、これは競争担当部局があるじゃないかという、そういう議論
が当然出てくると思うんですね。そういうふうな印象をちょっと持ちました。
○舟田主査 では、まあそういう、主として支配的事業者に対する規制の前提としてとい
うことですね。
○林主査代理 今の件に関してですけれども、ということは、現状ではそういう機能が必
ずしも十分働いていないということになるわけですか。それと、公取の調査とか考査とか
検査とかという、そういう強権的なものは今のご説明の中になかったわけですけれども、
そういうことは考えていないという、これは確認ですけれども、そういう意味ですね。
○貝沼事業政策課長 現在も会計の報告等を、これは全事業者対象にしてとったり、ある
いは接続については、その接続会計について特別に指定事業者からとっているというよう
なことで、一定の報告をいただいていたり、あるいは報告聴取の件というのもあるわけで
ございますけれども、それが十分なのかどうかということを見直す必要があるんじゃない
かというのが第1点目でございます。
 それから公取、あるいは独禁法につきましては、それは−−まあ専門ではございません
のでちょっと間違っているかもしれませんが−−独禁法の中で、例えば独禁法違反の事例
があれば、当然調査したりするということがあると思うんですけれども、私どもは主とし
て電気通信事業法の中でどういうようなルールづくり、あるいは競争が確保されるような
仕組みをつくっていく必要があるのかということで、ここで問題提起させていただいてい
ると。
○林主査代理 事業法の中に独禁法の調査権に当たるようなものを置く、事業法の中に類
似のものを置くことまでは考えていないということですね。
○貝沼事業政策課長 当然、独禁法は独禁法として、独禁法の規制の必要に応じて調査を
やるということだと思うんですけれども、こちらは事業法における競争ルールの中で、そ
の競争ルールを維持するための、あるいは担保するための必要なモニタリングというのが
あるんじゃないかということで、必ずしも独禁法でやっていることと同じものをこちらで
やるというようなことではございません。
○舟田主査 まあ、4ページ以下の支配的事業者規制の中で、その前提として、その支配
的事業者に対して何かの情報を求めるということはあり得るでしょうね。その仕組みが独
禁法でいう報告聴取制度みたいなものになるかどうか、そういう細かい点でしょうけれど
もね。
○根岸専門委員 ここではあれでしょうね。要するに、電気通信事業法上での競争ルール
を従来より以上というのか、競争ルールを設定すると。特に支配的事業規制というような
形で競争ルールを設定すると。そうすると、そのルールを運用する上で、そこで、いや、
違反している、違反していないとか、そういう問題が起こりますよね。そうすると、そこ
で、苦情というんでしょうか。郵政省に来ますよね。そうすると、それは来ますと、そこ
でここの紛争処理とそれがうまく合うんだろうと思うんですけれども、そこでそのルール
に照らしてどうかというようなことを考える上では、それは何かないとできませんですよ
ね。だから、そういう趣旨でここに書かれているんだろうと思いますけれども。
 独禁法は独禁法で多分それは公正取引委員会、もちろん類似していますけれども、別の
あれで、どこかでもちろん、私は共同した方がいいと思いますけれども、ですから出発点
は違っていて、目的は同じだと思いますけれども、出発点は違っていて、それはそれで一
定の別のあれがあると。ここでは、電気通信事業法上の競争のルール、それの紛争という
か、苦情というか、何かそういうものを処理する。そしてそのための情報収集というか、
そういう位置づけなんじゃないかなとちょっと思いましたけれども。
 具体的にどういう、そのときに調査権限を与えるかというのは、ちょっとここで細かい
議論は多分できないというか、余りそれをやり過ぎるとちょっとまた問題点も、さっきお
っしゃったとおりだと思うんですけれども。
○舟田主査 まあ、ここではちょっと「常時モニター」と書いてあるんで。
○山内専門委員 かなり書き方が強いんですよ。
○舟田主査 ぎょっとした。
○山内専門委員 だから、物すごい何か大変な機関ができちゃうようなイメージを持つの
で……。
○舟田主査 わかりました。
○宮崎データ通信課長 1点、今のはどちらかというと、競争の観点の議論なんですが、
ここにちょっと消費者の観点のことが書いてあるんですが、アメリカの例で申しますと、
FCC等々でやっている話としては、例えば、長距離会社を勝手に変えるスラミングの話
とか、あるいは電話料金の請求の中に、いつの間にか頼みもしないサービスの請求が入っ
ている、これはクラミングというんですが、そういうものが非常にたくさんあって、まあ
正確には記憶してないんですけれども、年間数千件そういう苦情が来て、そういうのを処
理するみたいな話がございまして、それは支配的事業者に相当するものがやっている場合
もあるんですが、そうでないものもありまして、まあどちらかというと、日本のやり方と
いうのは、その参入の時点に許可とか、あるいは約款の認可で大丈夫そうかというのを結
構綿密に見て、それで後は余り見ないというやり方なんですが、アメリカの場合は、参入
のときはチェックを緩くして、それで入れた後に問題があればちゃんと対処できる。それ
をモニターというふうに表現するかどうかというのもあるんですが、そういう競争プラス
何か事後規制による消費者保護的な部分もこういうのでやる必要があるという議論があり
ます。
○舟田主査 わかりました。議論は進んだと思いますから、特別部会に出すときにちょっ
と変えていただいて。
○高村専門委員 やっぱりこれは表現が官庁用語なんですね。「ともに」というのは。い
つも悩まされるんですけれども、これは両方かなり強く書いているのか、それとも、私は
これは補完的なものだと思うんですね。後半の方は。やっぱり紛争処理制度の整備という
ことに重点があって、それのベースというか、それを効果あらしめるために情報を集める
仕組みですね。というふうに僕は読んだんですが、表現が「ともに」というのは非常にわ
かりにくいんですね、いつも。それから後半が「積極的に常時」という言葉はちょっと強
過ぎるんじゃないかと思うんですね。この感じが。やっぱりポイントは支配的事業者の透
明性を高めるところにあると思うんですよね。だから、この場合は1回切っちゃってもい
いのかもしれませんね。
○天野電気通信局長 これはパブリックコメントとか、ヒアリングをなされた企業の中に
競争監視機能、それと紛争処理機能、明確に分けてあるんです。そしてそれを強化すべし
と、こういう意見があるものですから、私どもの現在の仕組みは、先ほど根岸先生がおっ
しゃいましたように、競争ルールに対する何らかの問題があれば、意見の申出そういうの
で一応出るようになっているわけですね。あとは紛争処理手続に回るんです。紛争処理手
続につきましては、多少もうちょっと手続を簡素化してスピーディーにできるようにすべ
きじゃないかという余地はあると思いますが、監視についてはそんなに、余り事業法上制
度ががちっとできているわけじゃありません。一般に意見を言えるというような、やや受
け身的な仕組みです。ですから、それ以上のものをやるとすれば、どんな手法なのか私ど
もちょっとわからないものですから、ちょっと踏み込んでいますけれども、もし考えられ
るといったらこういうことになるのかなというものを、問題提起型で書いておるだけでご
ざいます。
○山内専門委員 さっき言っていたのはあれですよね。非対称規制のケースとそれから消
費者保護のケースですよね。だから、そういうふうに具体的に書かれた方がよくわかると
思うんですよね。
○高村専門委員 最近独禁法でも相当商取引とか突っ込んできていますよね。だけど、こ
れはちょっとまた法律の精神から言っても、ちょっと違うような気がするんですね。
○舟田主査 それでは、その独禁法のこと、(6)にありますけれども、根岸先生、報告
書の小委員会をなさったわけで、何かこれについてご意見とか……。
○根岸専門委員 いや、特にありませんけれども、(5)に公正競争促進という目的は、
これは多分恐らく支配的事業者の規制とか、そういうことが多分前提になっていて、そう
いうものが現に存在するし、したがって公正競争と、多分そうなっているんだろうと思う
んですけれども、まあこれは、事業法では、例えば道路運送法にも公正競争という目的が
書かれて、多分ほかには余り見かけない目的だと思うんですけれども、多少気になるのは、
最終的にはこれでいいのかなという気もしますけれども、何か公正、公正というと、その
自由と公正なので、余り公正を強調し過ぎると、ちょっと本来の競争をゆがめるというよ
うな、そういうおそれもあるということで、だけど、それをじゃあ法文でどうあらわすか
はちょっと難しいかもわかりませんけれども、まあ、今の電気通信事業の実態を踏まえて
考えれば、支配的事業者というのがいると。特に地域通信ではそういう問題があるので強
調しているというふうに……。そして、競争という場合に、公正というのを余り強調する
とちょっと問題があるということは認識していただいた方がいいというのはちょっと思い
ます。
 それから(6)の方は、これは私としては、基本的にこのような方向で考えていただき
たいというふうに思っておりまして、電気通信事業法も、従来もそうだったと思いますけ
れども、1985年からそうだったと思いますけれども、やはり新規参入を促して競争を
促進するということが非常に大きな目的があって、それで法律ができ、運用されてきたと
思うんですけれども、より一層そういうのを明確にしていくと。しかし、独禁法というの
はもちろん競争促進というのが目的ですけれども、しかし、独禁法というのは、先ほど舟
田先生のお話もありましたけれども、継続的に一貫して競争促進という形で電気通信事業
法を促していくという、そういうようなタイプの法律ではなくて、要するに、競争を阻害
するような違法な行為があったらそれを排除していくと。それは表現が難しい。ある意味
で私の表現では消極的というんでしょうか。あるいはアドホックで消極的というようなや
り方でやっていくものであり、電気通信事業の方は、それとの対比で言えば、アドホック
ではなくて、やはりかなり一定の方針のもとにやっていこうという、こういうものであり、
かつそれは継続的であるというようなところで、やはり違うと思うんです。したがって、
何か競争促進だから独禁法だけがあればいいという問題では、少なくとも電気通信事業の
現状から見ればそういうことはないと。少なくとも当面の間というか、あるいはかなり長
いかもわかりませんが、あると。両方でやらないとうまくいかないと、こういうふうに私
は思いますので、基本的にはこのような、2つ書いてありますけれども、2つともこうい
う方向でぜひ検討していただきたいというふうに思っております。
○山内専門委員 余計なことですが、(5)のところは、ぜひともこういうのは入った方
がいいと思うんですね。根岸先生がおっしゃるように、公正という意味は僕はよくわかり
ませんので、とにかく事業法自体が競争促進を向けるということを書いたのって、さっき
おっしゃったように道路運送法−−根岸先生の論文を読ませていただいたら、論文にそう
いうふうに書いてあったのでよくわかったんですけれども−−だけだと思うんですけれど
も、今回のコメントの中にもやはりこういった意識の、ヒアリングの中でですね。こうい
った意識の発言はかなりあったんですよね。それで、要するに規制のための事業法から競
争促進のための事業法へという意識があったんで、それをやるべきだと思うんですが、そ
うすると、あれなんですか。私はこれは法律の先生に質問になるかもわかりませんけれど
も、例えば、公益事業特権とか、ああいうのというのは、こういう競争促進法の中での位
置づけというのは、今までと違った位置づけとして整理できるものなんですか。電気通信
事業法でも。特に電気、ガスと比べてももうちょっと強いと思うんですけれども。そうい
うもので線路を線を張っていくこと自体というのは、今までの解釈、古典的な解釈でいく
と、特定の公益事業者に対する義務の対価といいますか、義務の反証として権利が与えら
れていたと。それは独占が前提になっていたからだと思うんですが、そうじゃなくて、競
争を促進するために線路敷設権的にそういった自由が与えられいてるということの解釈と
いうのは、今までの事業法とちょっと違うと思うんですよね。それが整合的にできるのか
なという、これは単なる疑問なんですけれども、どうなんでしょうね。
○舟田主査 なるほど。おっしゃるとおりで、公益事業特権の頭は、競争という頭はない
わけですよね。そういう意味で、こういうふうに変わった場合に公益事業特権、あるいは
線路敷設権が変わるのかどうか。まあ、そういうことですね。
○根岸専門委員 まあ、それは変わるというか、大丈夫と私は思いますけれども。いや、
私が大丈夫と言っても、もちろん何の問題も解決しませんけれども、それは、まあある種
のドグマで来たと思うんですよ。ですから、それをやっぱり組みかえることはできるとい
うふうに思います。それは名前が公益事業特権なんだから、何か競争が入ると公益事業じ
ゃないじゃないかという、簡単に言えばその種の議論だと思うんですよ。だから、それは
政策的に変えることは私は可能だと思います。
○山内専門委員 そうなんですね。まあ、あれですよね。免許か許可かという議論とか、
許可になっても、今度は一種と二種、これは今までこの前提は残すという話ですけれども、
一種と二種もやめてしまえという議論もあって、だんだんと免許基準みたいなのがどんと
緩くなって、もちろん特許じゃないし、許可でも、それは緩いものになってきている中で
の公益事業特権というのはおかしいな、何かわからないなという感じをちょっと個人的に
持っているだけですので、すみません。
○根岸専門委員 それはやっぱり議論を組みかえたらいいと思うんです。
○宮崎データ通信課長 公益事業特権というわけじゃないんですが、WTOで、例のレフ
ァレンスペーパーと言われます標準的な規則というか、競争促進規則といったときに、希
少資源へのアクセスというルールをつくりまして、そこは電波と番号と並んで、ライトオ
ブウェイの話がありまして、その新規参入の場合に、通常はいろいろな国に看板で置いて、
それがいろいろな道路にアクセスを持っているんですが、その外国の事業者が入ってきた
ときに、同一の条件でそういう希少資源へのアクセスができないと競争がうまくいかない
と。そういうとらえ方で、WTOの中ではそういう、公益事業特権とはちょっと違うんで
すが、そういうものを含めたものを全体として希少資源として、それへのアクセスをでき
るだけ公平にするというか、トランスペアレントにするというか、そういう議論はござい
ます。
○舟田主査 まあ、そういうことで……。
○山内専門委員 余計に時間をとってすみません。
○舟田主査 いえ、大事なご指摘なんで、公益事業特権、あるいは線路敷設権というのを
いうのは、従来の独占の見返りとしての特権という考え方とは大分違うと。そういう意味
でちょっと考え方を変えて新しく構成するということだと思いますね。
 (6)の2つの点、今根岸先生がおっしゃいましたけれども、私の感じでは、「積極的
に果たすべきだ」と。前はそのとおりですけれども、共同ガイドラインをどう考えるかと
いうのは、これは共同ガイドラインをつくるのもいいし、あるいはほかの方法も、いろい
ろな方法があるんではないかという、今のところですね。そういう感じを持っていますね。
○根岸専門委員 私も別に具体的に何かをつくれとここで言っているわけではなくて、今
おっしゃったことで結構だと思います。
○舟田主査 一番大事なのは4ページ、5ページですけれども、これについて何か。まあ
新しく支配的事業者規制の導入はどうかと。
○林主査代理 これを導入するという方向で考える場合には、NTT法を原則撤廃すると
いうことと、それから指定電気通信設備に係る文言もここへ全部吸収してしまうというこ
とをお考えなわけですか。それとも既存の、例えばNTT法とか、電気通信事業法等は置
いておいて、それに加えて、この支配事業者、つまり規制の範囲を広げるというイメージ
が出てくるのかどうかということなんですけれども。
○舟田主査 まず2ページの下にありますように、なるべくNTT法から電気通信事業法
に移すというのはあるんですね。撤廃かどうかは……。
○林主査代理 撤廃かどうかは別にして……。はい、わかりました。
○舟田主査 そういうことだと思いますけれどもね。
○林主査代理 NTTに対する追加的な事業法を超える規制の部分というのはできるだけ
なくしていくという方向ですね。そうすると、ここへ……。
○舟田主査 要するに、これは電気通信事業法上の規制と。
○林主査代理 事業法上の規制ですね。支配的事業者を定義する際に、この中にボトルネ
ック支配の有無というのがありますから、これを生かすとすると、現行の指定通信設備を
有する事業者というのは、ここへ吸収されるということに……。そういう理解でよろしい
わけですか。
○貝沼事業政策課長 5ページに支配的事業者規制を仮にやるとすれば、具体的にどんな
制度があるのかということで幾つか掲げておるんですけれども、今、林先生がおっしゃっ
たのは、ボトルネック設備を持つ支配的事業者とボトルネック設備を持たない支配的事業
者を全く同列に扱う必要があるのかどうかということにかかわるご意見だと思うんですけ
れども、そこはここでご議論いただきたいと思っている点ですが、私どもは一応一つの考
え方としては、全体として支配的事業者というジャンルがある中で、ボトルネック設備を
持つ支配的事業者とそうじゃない支配的事業者があり得るんじゃないかと。それに応じて、
規制のグレード、あるいは規制の内容も変わるんじゃないかというふうに思っております。
 したがいまして、支配的事業者制度というのを仮に事業法に導入するとなりますと、支
配的事業者は以下の規制を受けるということをまず書いて、それで支配的事業者のうち、
ボトルネック設備を有する事業者については、さらにこのような規制がありますというよ
うなのも、支配的事業者の制度自体がいろいろあろうとは思いますが、一つのバリエーシ
ョンじゃないかなと思いますが。
○南事業政策課調査官 一点ちょっと補足させていただきますと、例えば、ヨーロッパに
おけるいわゆるSMPと言われる支配的事業者規制の例で申し上げますと、やはり今移動
市場と固定市場と、大きく分けてそれぞれ支配的事業者というものの指定なり認定なりが
行われいてるわけですけれども、おのずからその固定の方は、いわゆるボトルネック設備
を持っている事業者が多いということで、おのずから共通する規制の部分もあれば、ボト
ルネック設備に着目して異なる規制を受けているというケースが多いということでござい
まして、おのずからボトルネックを持っているか持っていないかによって差があることが
あるということでございまして、そういった事業、市場の特性の違いといいますか、設備
の独占的な性格の設備を持っている事業者とそうでない場合とによって多少その施設、特
に接続ルールのところが大きく変わってくるのかもしれませんけれども、規制の違いがあ
ってもいいのかどうかということをぜひご議論いただきたいというふうに考えております。
○山内専門委員 固定と移動で考えると固定はあれですよね。実際的に設備を、具体的な
物理的な設備を持っている事業者がいて、それがエッセンシャルファシリティみたいな形
になって。だけど、移動の場合だと、最後のあれですか。そのボトルネックは電波の問題
ですか。電波の配分の問題になるんですか。
○貝沼事業政策課長 今ご説明しましたのは、固定と同じ意味でのエッセンシャルファシ
リティとかボトルネック設備というのは移動通信の場合にはないんじゃないかと。
○山内専門委員 ないけれど、要するに電波をどう使えるかということを握っていること
自体が、ある意味でエッセンシャルファシリティみたいになる可能性があるんじゃないか
と。
○貝沼事業政策課長 これはヨーロッパの例なんですけれども、移動通信事業の中でシェ
アが一定以上のものについては支配的事業者にしましょうということで、シェアが少ない
事業者も当然限られた資源を割り当てられてやるわけなんですけれども、そこは普通の事
業者として緩やかな規制でいいんじゃないかと。
○山内専門委員 それはそうでございます。
○南事業政策課調査官 すみません、ちょっと一点だけ。ヨーロッパの場合ですと、例え
ば国際だとか長距離通信という市場のカテゴリーではそういうSMPがないんですけれど
も、移動通信についてSMPをつくっていると申しますのは、やはり先ほど宮崎も申し上
げましたけれども、電波という資源がどうしても限られちゃっているという意味で……。
○山内専門委員 だから、そこは電波の配分の……。
○南事業政策課調査官 そういう意味で、それをボトルネック支配というカテゴリーで見
ているのか、新規参入の困難性というようなところで、おのずから事業者の数が絞られち
ゃうでしょうという尺度で見ているのか、どっちの尺度で見ているのかと言えば、どちら
かというとボトルネックというふうに、余りそれは通常、電気通信の世界では言うことは
ないと。
○山内専門委員 だけど、要するに電波をね……。
○南事業政策課調査官 限られているというのはおっしゃるとおりです。
○山内専門委員 それをどういうふうに配分するかによって違ってきちゃうから、あれで
すよね。
○南事業政策課調査官 まあ、長距離の通信は手を挙げればだれでも線を張れますけれど
も、電波の場合はどうしても限られています。というその性格の違いというのは当然しん
しゃくされているということだろうと思います。
○林主査代理 先走った議論をすることになるのかもしれないんですが、そして現行のシ
ステムのもとでは確かに固定電話にアクセスする設備というのはボトルネックを構成して
いるというのは紛れなもい事実だと思うんですけれども、アクセスという場合に、その人
に通信が届けばよろしい。つまり、固定電話が鳴らなくても、人に届けばよろしいという
ふうに、そうすれば、音声でもインターネットでもすべてのものができますというふうに
なった場合、つまり無線で代替がきくというふうになった場合に、ボトルネックというこ
とに関する論争が起こる可能性があるのではないかという気がいたしますので、もしそう
いう競争状態が出現した暁には、ボトルネックに注目したというのは、それほど重要度を
持たなくなる可能性があるのかなと思いますから、一定の経過措置的な考え方の中で、ボ
トルネック設備を持つ場合と持たない場合、支配的事業者を分けて、規制のあり方を変え
ていくということは私は意義があると思いますけれども、恐らく将来的には意味がなくな
ってくるような気がいたします。
○舟田主査 これは指定電気通信設備の定義をつくるときに、あそこは「固定」という言
葉が入っていましたね。
○田中業務課長 そうです。
○舟田主査 50%ですね。随分議論しまして、無線でも、固定無線であろうが、あるい
は携帯電話であろうがいくじゃないかという議論をしたんですけれども、しかし、経済的
に見て、当時は物すごく値段が違っていて、今でもかなり値段が違うと。コストさえ、例
えば全く固定と同じ料金で無線でできるんであれば、という時代になればボトルネックと
は言えないし、また定義自体を変える必要があると。固定というのを外してシェアを計算
するということは、将来的には私もあるように思いますね。今、説明するとしたら、まだ
料金差があるということが大きいんじゃないでしょうかね。ボトルネックというのは合理
的代替性ですから、消費者にとってどれだけ代替できるかですから、余り高いのを、全く
固定と同じように使うというのは今のところないということでよろしいんじゃないでしょ
うか。
○宮崎データ通信課長 もしよろしかったら、参考資料の27ページを。参考1の27ペ
ージ、WTOの主要サービス提供者の……。これが日本も約束をしておりまして、義務が
あるんですが、これを交渉しているときに2つの議論がございまして、この主要サービス
提供者というのを決めて、反競争的行為に対する防止措置と相互接続の義務というのを両
方かけておくと、そういう構造になっているわけでございますが、当初、日本は不可欠設
備に係るものだけを、この義務を課すべきという主張を交渉の中でしておりまして、その
後、ヨーロッパを初め、それだけでは十分じゃないということで、その「もしくは」の後
にあります『「当該市場における自己の地位の利用」の結果として、基本電気通信サービ
スの関連する市場において(価格及び供給に関する)参加の条件を著しく影響を及ぼす能
力を有するサービス提供者』というのが入ったと。ほとんどの国はこれを丸飲みというか、
全部やりますということなんですが、日本はちょっとそういう経緯がございましたので、
このWTOの合意に入るときには、この後段の方は留保していまして、要するに日本がこ
の義務を負うのは、この不可欠設備に係る部分についてのSMP、主要サービス提供者に
ついてこのWTOにいろいろ書いてある義務を果たしますというやり方をしたわけです。
そこがございますので、日本の制度というのは不可欠設備に引っ張られた格好になってい
まして、欧州はもともと不可欠設備だけでなくて、マーケットシェアを見て、この反競争
的行為とか相互接続の範囲を適用するというルールを主張しておりましたので、そういう
のが適用されていると。
○舟田主査 ついでですから、これはメージャーですよね。これはなぜドミナントを使わ
なかったんですか。何かそういう経験ありますか。ドミナントキャリアじゃなくて、なぜ
メージャーキャリア……。
○宮崎データ通信課長 要するに、これはテレコムの人間が交渉していまして、言葉を起
草するときに、例えば欧州とか、あるいはアメリカの代表団が独禁当局との関係でどうい
う言葉で表現するかというのは非常に気にしていまして、そのWTOの中では独禁の観点
からのルールはつくることになっているんですが、実はまだないんですね。テレコムの方
が先行してできてきたんで、そのときにテレコムで独禁上のいろいろなルールみたいなの
をつくっちゃうと困るということで、少し言葉の使い分けをしているという主張を……。
○舟田主査 ドミナントを避けてメージャーにしたと。
○宮崎データ通信課長 ちょっといろいろな経緯があるんですけれども……。
○舟田主査 ああ、そうですか。
○山本専門委員 前々からちょっとお聞きしたかったんですが、今回ヒアリングを聞いた
ときも、ドコモを指定事業者にしてくださいという要望があったと思うんですよね。それ
、やはり今の問題に絡むんですが、私は今、ドコモとドコモ以外の携帯との接続がどうな
っているかよくわからないんですね。接続の条件とかそれが。多分ドコモは圧倒的シェア
6割持っていますから、携帯間の接続のとき、ドコモがある意味で言ったらばドミナント
の地位を濫用しているというそういうニュアンスで聞こえたんですが、まずそこのところ
の今の実態はどうなっているのかというのがちょっとわからないんで、これは何とも言え
ないんですが、そこをちょっと今の、携帯間の接続はどうなっているのかというのをちょ
っと教えてもらえませんか。料金が幾らでどうなっているのかとか。
○舟田主査 ちょっと今日は時間がないので、簡単なペーパーをつくるなり、次回もうこ
れは特別部会に持っていくものですから、簡単なペーパーをちょっと作って郵送するとい
うことでまず。また山本先生からご質問いただくということにしましょうか。
 さて、今の話ですけれども、WTOのとき、これはそういうことで、ヨーロッパ型の規
制なので、明らかに市場支配的地位の濫用規制なんですね。そういう意味では、アメリカ
はちょっと少し違うんですけれども、今回のご提案は、そういう意味では一種の濫用規制
かなと。これは私の理解ですけれどもね。一定の対象を決めて、それに対して濫用しては
いけないよという規制だと思うんですが。
 それで、4ページ、5ページに戻りまして、そういう意味で濫用規制と考えますと、一
定のルール、まあ濫用だけでは何が濫用ですかと。わからないということですけれども、
それについては競争ルールというものが後でも出てきますけれども、つくるということで
すし、それから、これは先ほどの事前規制を維持するという提案ですけれども、このぐら
いは支配的事業者に対しては必要不可欠かなという気がいたしますけれども。いかがでし
ょうか。
○根岸専門委員 (3)のちょっと細かいことかもわかりません。子会社。多分これはこ
の分野だけじゃなくて、全体として法律関係がどういうふうに取り扱っているかというこ
とに共通する問題だと思うんですけれども、従来、多分伝統的というか、基本的には法人
格が違えば違うものだということで、先ほどNTTは何か子会社でほかへどんどん出てい
るというような話も、それは法人格が違うんだから、別にそこを気にしていないと、こう
いう主張が十分あり得る話だと思うんですけれども、この支配的事業者という概念を導入
して規制を導入することになると、やっぱりちょっとそれではなくて、やっぱり実質的に
考えないといけないということに多分いくんじゃないかと。そういたしますと、子会社と
いうのもちょっと従来の取り扱いとは少しやっぱり違った取り扱いをせざるを得ないとい
うので、一体としてということに多分ならざるを得ないんじゃないかというふうに私は理
解いたしますけれども、どうなんですかね。
○舟田主査 これは一つ吉原先生に、金融とかいろいろな分野、まあ独禁法でも持株会社
で、こういうグループ子会社という中でとっているんですけれども、こういう特別な事業
規制でこういうタイプの規制の仕方をするということですが、何かご意見。今突然指名し
て申しわけないんですけれども、何かございましたら。
○吉原専門委員 会社法上どう扱うかという問題とは別に、それぞれの事業規制について
こういうグループ会社をどういうふうに扱うかと。また別に考えればいいことで、会社法
上は別の人格であっても、その事業規制を加えるときには一体のものとして、実質的に一
体として活動している以上は一体としてとらえなければいけないと。これは当然のことで
あって、銀行法や保険業法でも、持株会社が解禁された後、金融持株会社があるというこ
とを前提にした規制が置かれているわけですから、通信事業分野においても関係会社を一
体としてとらえる規制を監督規制を置くべきであると思います。「特殊な関係にある子会
社についても」と書いてありますけれども、これはしかし金融なんかの場合だと、むしろ
上に持株会社があって、銀行、証券、保険の子会社がそれぞれの事業展開をしていくとい
うことはあり得るわけですね。そうすると、子会社だけではなくて、上に持株の会社があ
るような場合も、通信事業の場合だって出てくる可能性があるわけですね。そうすると、
子会社だけではなくて、特殊な関係にある法人にもう少し広く特殊な関係にある関係者と
いうような書き方をしておいた方がいいのかなと思います。
○舟田主査 まあ、いずれにしろ、根岸先生がおっしゃったように実質的な規制対象とい
うことを考えるべきだということですよね。
○山本専門委員 合計値的にはやはり特殊な関係というのは資本関係ということですか。
○吉原専門委員 が最も主要な基準です。
○山本専門委員 そうすると、例えば、持株が5割を切るとかね。そういったときには合
計値的にはどうやって理解するんですか。特殊な関係じゃなくなるというふうに……。
○吉原専門委員 だから、特殊な関係をどういうふうに定義するかということによるわけ
で、持株比率だけで切るのが一番クリアですけれども、ただそれをやったら過半数を切っ
て規制を免れるということができるようになってしまいますから。
○山本専門委員 特殊な関係の定義が問題になるわけですね。
○吉原専門委員 そうです。銀行法や保険業法の方も、むしろクリアにし過ぎていて、そ
ういう抜け道があるという批判がありますので。
○舟田主査 ほかによろしいでしょうか。もちろんどういうルールをやるかちょっと問題
なんですけれども、先ほどのWTOのことがヒントになるように思います。
 ちょっときょうあと20分ぐらいしかない。これは全部は大変なことですけれども、ど
うしましょう。何かもうどこでもいいですから、ちょっと何かご意見があればということ
で。
○山内専門委員 7ページのルールの行政機関のあり方なんですけれども、いろいろ今、
要するに事業規制の中でやるのはおかしいと。それで独立をしようという話があるんでけ
れども、形式的な問題なんですけれども、あれですか。その前にお聞きしたいのは、例え
ば、昔あれですか。例えば、電気通信に係る料金認可をするとか何とかというときに、何
か郵政省の中で別の審議会みたいなところに諮問するとか、そういう形をとっていました
っけ。それはどこに諮問するんですか。
○田中業務課長 料金認可は今はもう全部届出になっておりますが、料金認可をやってお
りましたときには電気通信審議会に諮問させていただいて、ご答申いただいた上で認可す
るという手続です。
○山内専門委員 運輸省は運輸審議会と運輸政策審議会と2つあって、そういう専ら技術
的なやつは運輸審議会がやっているんですよね。それで、まあ言いたいことは、政策立案
とかそっちの方とそういう非常に裁定的なものを審議会は分けているんですね。
そういうのってあり得ると思うんですよ。裁定とか調停とかそういうものをするだけの審
議会みたいな制度とか、あるいは委員会、その運輸審議会の場合は運輸省設置法の中に書
いてあるんですけれども、別のあれですよね。だから、国家行政組織法の3条とか8条と
かわからないんですけれども、そういうどういう形をとるかわかりませんが、そういうも
のってあり得るとは思うんで、そういうものを探るという手はないんですか。
○舟田主査 山内さんの運輸省なり運輸関係では、運輸省と独立した……。
○山内専門委員 いや、独立はしていない。設置法の中に書いてあるから独立してないん
ですが、これは要するに政策的なこととは別に技術的なことだけ……。
○舟田主査 私の質問はそうじゃなくて、そういう要望がないですかと。第三者機関とい
う、そういう話は余りないんですか。
○山内専門委員 運輸省の場合ですか。
○舟田主査 運輸産業については。余り紛争がない。
○山内専門委員 紛争が余りない。同じようなレベルで、例えば情報公開について、第三
者の検討機関を置きなさいというのは、一般的なレベルで今企画庁なんかでやっていたの
がございますね。そういうことはありますけれども、この紛争について第三者機関を置き
なさいというのは余りないですね。
○山本専門委員 ちょっと今の議論に関連しますが、規制機能と産業振興機能の分離の問
題ですよね。これは多分、私去年OECDの本を訳したときに、日本の規制改革に対する
OECDの勧告がありまして、提言が。その中に規制機能と産業振興機能を完全に明確に
分離しなさいと。どちらかというと、規制機関を独立した規制機関にしなさいという勧告
があったと思うんですよね。それに対してのいかがなものかというご提言だと思うんです
が、今回のヒアリングもかなりこういう要望がありましたね。それで、ある意味で言った
らば、政治的な影響とかそういうものから独立させて、もちろん政策立案と規制というの
は、規制機関の中で一体ではできる話ではありますので、そういう独立規制機関の設置と
いう問題は、やはり何かちょっと検討しなきゃいけないんじゃないかなというふうには思
うんですが、競争の確保という点から見てね。その点は、ここでは従来のままで一元的、
機動的、総合的にやっていけるのならば、従来のままでいいんじゃないかという、そうい
うようなことなんでしょうか、この内容は。
○舟田主査 まず、議論を整理しますけれども、これはもう古くから電気通信やっている
問題なんですけれども、山本先生、私はOECDのを知らないんですけれども、今おっし
ゃった規制機関と産業振興の分離、ここではむしろアンパイアーと行政との分離という、
どうですか。私ちょっとディメンジョンが違うかなと。少なくとも事業者が要求してきた
のは、接続の紛争があった場合の裁定機関を別にしてくれという、これは昔からあったわ
けですけれども、それから、OECDの場合ちょっと違うかなと。いろいろな分離がある
ので、これは少なくともそこをちょっとはっきりしておいた方がいいかもしれませんね。
ここは裁定機関の分離の話ですか。それとも全部入っているんですか。いろいろなことが
入っているんですか。
○南事業政策課調査官 確かにいろいろなご意見がありまして、競争のルールをつくって
いるところと裁定するところを分けてしまえというご議論もあれば、競争のルールから監
視、裁定は一つでいいんだけれども、政策振興みたいなところから分けたらどうかという
議論があったりとか、いろいろでございますし、それでWTOでも、実は独立した規制機
関というものが参照文書の中で各国政府に義務づけられておりますけれども、ここで言っ
ている独立というのはあくまでも事業者から独立しなさいという趣旨しか書かれていない
わけであって、その政府から、要するに昔は国営の事業者だったわけですから、国営の事
業者が監督機関になっちゃ矛盾しますねということで、競争を入れる以上、ちゃんと事業
者から独立した規制機関をつくりなさいという趣旨が担保されているだけでございます。
 それからあと、山本先生がおっしゃった話と関連するかもしれないんですが、規制と振
興をじゃあ電気通信分野ではっきり本当に分けているような諸外国の例が本当にあるんで
しょうかということで、例えばFCCの例なんかがよく取り上げられるんですけれども、
FCCの場合も実際はもう2,000人ぐらい人がおりまして、産業の振興もやっていれば
規制もやっていると。何も規制ばかりというわけじゃないという実態もございますし、そ
もそもいろいろな国のそれぞれの事情に基づいていろいろつくられているケースがあるの
で、なかなか一概に比較はできない面があるとは思うんですけれども、本当に我が国で規
制と振興をぴしゃっと分けているケースというのは、行政組織としてうまく機能している
例があるのかどうかというのは我々も実はよくわかりません。もしそういう例があるんで
あれば、ぜひ教えていただきたいというふうに思っておるんですけれども。
○山内専門委員 だから、その中間的ものとして、さっき提案したんですけれども。
○舟田主査 まあ、ここは昔からいろいろ議論があるところですし、分離もそういうこと
でさまざまなレベルの分離があると。少なくとも、私は12月まではここは議論をまとめ
る、明確化するというだけで十分かなとい気がいたしますが。
 ほかいかがでしょう。あるいはもう次のNTTのことでも結構ですけれども。
○林主査代理 やっぱり一番大きいのは13ページからの東西NTTのあり方をどうする
かということで、ヒアリングにおけるコメントも、これに対するいろいろな注文とか意見
とか集中したと思うんですね。
 新分野への進出をいつまでも認めないというのは、士気を阻害するというのは、私はそ
のとおりだと思いますし、これは持株会社方式になる前に審議会でNTTの在り方を議論
したときにも、もっと積極的に相手のテリトリーへ入っていって、競争するというような
ことを認めようとか、コンテンツのことも認めようとか、何でもありの競争にしましょう
ねと言って、ただしそのときには持株会社の話はなかったわけですけれども、独立した会
社として相互にやりたいことがやれるようにしましょうねという、かなりそういう高揚し
た気分というのが審議会にはあったと思うんですね。ところが、それが現実問題としては、
いつの間にかそうでないようなイメージが強くなってきているので、私はもう一度あの原
点に返るのがいいんじゃないかなと言っております。それを担保する仕組み、持株会社を
どうするのかとか、出資比率をどうするのかというのは議論の余地があるだろうと思うん
ですけれども、現状では確かに私がNTTの職員だったらおもしろくないだろうなという
気がしています。
○山本専門委員 ただ、これはあれですよね。96年のアメリカの電気通信法なんかを見
ていると、93、4年からもう相互参入をアメリカは認めちゃっているんですよね。AT
&Tを80年代に解体したときはかなり相互参入というのを厳しく規定していたような感
じがするんですが、90年代に入って転換して、今やほとんどもう垣根がなくなってきつ
つあるという状況ですよね。なおかつ、最近のアメリカの要求を見たら書いてあるんです
よ。垣根を設けろって。しばらくの間、相互に参入するのは禁じろと。日本は。分割した
ばかりだから。だから、そういうような、もう時代は相互参入・融合の方に向かっている
のに、アメリカはなおかつ日本には、せっかく東西に分けたんだから、東西の企業を厳し
く規制して相互参入を認めないようにしろと。しばらくの間と書いてありましたけれども。
だから、そういう点で言うと、かなり10年おくれで日本が回っているのに、またその1
0年おくれをまたそのまま強制するような、そういう言い方をしているんですね。ただ、
そこでちょっと考えなきゃ問題がありまして、本当にその相互参入を最初からここのとこ
ろを外して自由にやらせて、NTTが一人勝ちしないかという問題はやはり何かあるよう
な感じかじて、アメリカのその要求もむげに、こいつらまた日本の市場をガタガタさせる
つもりかなという感じは受けたんですが、むげにそうも言えないところもあって、すごく
難しいところなんじゃないかなと思いますけれどもね。
○舟田主査 まあ、今おっしゃったのは、地域会社と長距離会社との垣根の問題ですね。
一応アメリカと似たような14項目の競争チェックリスト、これはいかがでしょうね。ま
あNCCはこういうことを主張しておられますけれども。
 まあ私は、筋としてはこういうインセンティブ、これもインセンティブ規制という名前
をつければあり得るかと思いますけれども、他方で、規制の仕方によっては、非常に恣意
的な行政という批判を受けるおそれがある。非常に難しいやり方の規制だなと。FCCの
場合は、こういう場であれなんですけれども、独立行政委員会ですから、非常に広い裁量
をもともと持っているので、自由にできるわけですけれども、日本のような官庁制度でこ
ういう、非常に裁量を使わざるを得ないことをやるには、かなり技術的に困難があると。
難しいとは言いませんけれども、かなり気を使わないといけないと。そういう感じを持ち
ますけれどもね。
○林主査代理 今の山本委員のご発言なんかも、さっきのドミナントキャリア規制が適用
されれば、東ではNTT東がドミナントキャリアに当然なって、西から入ってきたときに
はドミナントキャリアに対抗して何かやることになるのかなと。西だったら逆だというふ
うに、何かドミナントキャリア規制の中にこの、こういう14項目がいいかどうか。ある
いは、段階的におろしていくのがいいかはちょっと別にして、何かそこら辺でルールを明
確にすることで、相互参入もよし、あるいはインターネットもよしというふうに業務範囲
を拡大することがいいんじゃないかなというふうに、今では思っていますけれども。
○舟田主査 東西の間はそもそもチェックはする必要ないんですよね。地域が長距離に出
るときに今は規制があるわけで。
○山本専門委員 じゃあ、長距離が地域に入るときには。
○舟田主査 それは規制ないでしょう。
○田中業務課長 長距離は規制はないですね。現実に無線なんかが入ったりしていますけ
れども。
○林主査代理 ビジネスデシジョンとしてやっていないわけですよね。
○山本専門委員 まだできなかったんですよね。ちょっと相互料金とか接続料金。これか
らはわからないと思います。
○舟田主査 できる。
○山本専門委員 できると思います。
○舟田主査 NTTコムが地域に入ることもできるはずだと。
○山本専門委員 ないしはケーブルテレビを買収したりね。
○貝沼事業政策課長 相互参入で現実に問題が提起されておりますのは、東西が長距離市
場、あるいはインターネット市場という県内、県間という区別がないところに、どういう
形で参入できるのかと。あるいは現行の県内、県間の区分であれば参入できないんじゃな
いかということと、逆に今ご議論ございましたように、NTTコム、長距離会社は地域に
参入できるんでけれども、参入自制というか、参入が不十分と。特にNCC等は市内電話
サービスも提供するという動きとしてあるわけですけれども、NTTコムは現在のところ
そんな動きはしていないというようなところが相互参入をめぐる具体的な問題じゃないか
と思っています。
○根岸専門委員 今のような相互参入ということになりますと、やっぱり持株会社という
ことに問題がありますよね。そのときにどういうふうに考えるかということをやっぱり議
論しておかないとと思いますけれども、それをどうするかは別にして。
○山内専門委員 ちょっとアメリカとそこのところは違うんですよね。アメリカの場合は
それなりに分けましたから。だから、地域の問題と長距離と国際の問題、相互参入のかな
りすきっとした形で出てきたんだけれども、日本の場合は持株会社という形で分離してい
ますので、相互参入の問題はえらく難しくなるという……。認めるにしろ、認めないにし
ろ。
○舟田主査 まあちょっと難しい問題。今ちょっと判断、明確な私の意見も言えませんけ
れども、冒頭に林先生がおっしゃったように、東西NTTが非常に閉塞感といいますか、
ぎりぎり縛られているのは問題だというのは、私もそう思います。特に14ページの最後
にあるようなインターネットサービスですね。これは今子会社をやっているんですけれど
も、インターネットの特徴というのはもともと地域も長距離もないということで、インタ
ーネットだけ一定の条件を認めるかなという気もちょっとあるんですけれども、その場合
にどれだけのチェックリストといいますか、項目を認めるかというのがちょっと難しい。
ただ、子会社ならいいというのは、やはり実質的な規制ということから言いますと、子会
社なら自由というのはちょっとおかしいなということがありますね。
 あとご自由に。15、16、17ページとありますから。どうぞ。
○吉原専門委員 これを本体でやっちゃいけないんだったら子会社としてやっちゃいけな
いというふうに考えるのが普通の解釈、考え方だと思うんですよね。それで、実質上、こ
うなってしまっているのであれば、正面から認めた上で子会社を含めて規制をかけるとい
う方がいいと思います。
○林主査代理 持株会社についてよくわからない点があるんですけれども、もしも持株会
社が株主利益の最大化を図ろうと行動するとすれば、そして傘下にある2つの企業が、相
互に競争した方が両方とも活性化するという判断があれば、持株会社の判断としてはそう
いう経営戦略をとるだろうなと頭では思うんですけれども、何かテリトリーを決めて、す
み分けをすることによってかえって停滞するんであれば、持株会社の株価は上がらないん
じゃないかなと思うんですけれども、実態はどうなんでしょう。
○有冨電気通信事業部長 NTTの宮津さんとか、あるいは関係の方に意見を聞く限りに
おいては、持株のままで相互に競争しろという、すべきだというのが会社の一つの方針。
ですから、例えば、ドコモがAOLと結んでやろうと。あるいは、NTTコムが市内に何
らかの方法で入ってこようといいじゃないかと。もっとやれというような方針ではあるよ
うなんですが、実際、じゃあどういう調整をしているのかわかりませんけれども、この前
のヒアリングでもNTTコムの社長も、市内に参入を検討していますという話は聞かれま
したけれども、社内では調整しているようです。ですから、東から見るとちょっと待てと。
長距離に特化といういうようなのはあるようなんですが、優先接続が1日から具体的に売
り出しますので、そうすると、市内を持たない長距離が何ができるんだと。競争上ですね。
NCCは市内から国際、携帯まで一気通貫でやれると。片方、NTTの中であるがゆえに、
今後は足元がないというのではちょっと困るというようなことも議論はされているようで
すね。ですから、徐々に出てくるんじゃないかとは思っています。
 株価を上げると言うかどうかは別にしても、一応NTTの中では相互に今の枠の中で可
能な限りの競争をしようというようなことではあるようです。
○山本専門委員 外資規制のお話はドコモと、一応ドコモは株が独立していますから、要
するに株価も違いますから、ドコモとNTTのグループという形ではわかりますけれども、
東西という話になってくると、例えばちょっと西が接続料金を下げなきゃいけなくて苦し
くなるから何百億円か赤字が生じると。これはちょっと内部で補助するのを認めてくれと
いうような話はいつも出てくるわけでしょう。そうすると、ドコモを除いて第1列目にあ
るNTTというのは、やっぱり内部で、持株会社としての全体としての株式価値の最大化
を図ることになってしまって、西なら西とか、コムならコム、東なら東、それぞれが利潤
最大化を求めるというようなことはないんじゃないでしょうかね。持株会社の場合。まあ
ドコモの場合はあるかもしれませんがね。それ以外は。
○林主査代理 一体として100%持株ですから、まさに1社ですよね。
○山本専門委員 そういうところで競争を求めるというのは、なかなか困難のような気が
しますね。
○林主査代理 普通の事業会社の場合に事業部があって、事業部同士競争させることで会
社全体がよくなるというふうな発想があるのかどうかということを知りたかったわけです
けれども。
○舟田主査 私はですから山本先生のおっしゃるのがむしろ一般の持株会社としては普通
だと思いますけれども、今回のNTTの持株会社については、今、林先生がおっしゃった
ように、それぞれの100%子会社がなるべく自律的に競争単位として機能してほしいと。
少なくとも……。
○山本専門委員 そこを担保するものが何かないとなかなか競争をやらなくて、公取の報
告みたいに、具体的に地域競争の芽が東西ではないというような話になってきちゃいませ
んか。
○舟田主査 まあ、その意味では、確かに100%の場合には、持株会社の、あるいは株
主の利益という点からの要請の方が優先するということも十分あり得るから、ちょっと各
社、各自にというのは電気通信施策としては要望にすぎないという……。そういう意味で
は担保はない。その辺はちょっと難しいところですね。そういう意味では、きょうのペー
パーにちょっとありましたように、NTTコムを100%子会社じゃなくて、少しずつ株
を放出していくというような、16ページでしたか。そういう意味ではドコモと同じよう
に……。そうですね。16ページの一番上ですね。そういう方向が出てくれば、100%
子会社じゃありませんから、NTTコムなりドコモ独自の利益というものを考えなきゃい
けないと。随分そういう意味では100%子会社と一部株主が別会社になる場合は違うと
いうことになるんでしょうね。
 私は前から気にしているんですけれども、吉原先生、もう一つ、取締役が持株会社から
派遣されて、例えばドコモなりNTTコムに入ると。その派遣された役員は、例えばドコ
モの取締役ですから、ドコモに対して忠実義務を果たさなきゃいけない。ドコモの利益と
しては、例えば、相互参入したいけれども、持株会社全体としてはお前ちょっと待てよと。
ほかの会社といった場合には、その人は自分自身で分裂しますよね。役員兼任の場合。ど
うなるんですか、そういう場合。
○吉原専門委員 おっしゃるとおりで、現行の会社法上は親会社から派遣されてきた人で
も子会社の取締役になれば、子会社に対して善管注意義務、忠実義務を負いますから、子
会社の取締役としては子会社の利益の最大化を目指して行動しなければいけないので、も
し親会社からの指図に応じて、子会社の利益に反するようなことをしたとすれば、それは
子会社に対して損害賠償責任を負うということはあり得るということになりますね。
○舟田主査 その人が両方、今兼任というのはあるんですか。持株会社の役員であって…
…。
○南事業政策課調査官 持株会社の役員が東NTTの取締役を兼ねていたり、西NTTの
取締役、コム、ドコモ、データそれぞれの子会社の役員を兼ねております。
○舟田主査 兼任。その場合どうなるんですか。自分自身で分裂しちゃうんですか。
○吉原専門委員 持株会社100%持っている場合には、それほど問題は生じないわけで
すね。子会社の少数株主いないですから。でも、少数株主が出てきた場合に、子会社の少
数株主が害されるおそれが出てくるんですね。会社側からすれば、まさに親会社から派遣
されてきたときには子会社は親会社からの指図に従って行動してもいいと。逆にそのかわ
り親会社は責任を負うということがあり得ると。一定の場合には子会社の損害について子
会社の少数株主が債権者について責任を負うということがあり得るというような規制を設
ける必要があるだろうということは、これは商法学者の間でも二、三十年間ずっと定説だ
と思うんですけれども。経済界はそれは必要ないと。実際上困ってないから必要ないとい
うところだろうと思います。
○舟田主査 まあ、後で皆さんよく吉原さんに聞いてください。ほかに何かありますでし
ょうか。
○高村専門委員 100%の場合は分裂は起こらないんじゃないでしょうかね。その出た
人も。大体持株会社の意向で行きますから。言うことを聞かない人は大体出ませんよね。
だから、ほとんど一体だと思いますけれどもね。
○吉原専門委員 その場合は、子会社の利益イコール株主の利益というのは親会社ですか
ら、100%親会社ですから。その場合でも、場合によってはグループ全体のことを考え
てある子会社をつぶしてしまうという場合には、その子会社の債権者の利益が害されると
いうことはあり得るんですけれども。
○根岸専門委員 ドコモの場合は、少数株主がいるからそういう問題が現実に起こります
よね。
○舟田主査 まだ議論尽くしていませんけれども、そもそもこんな広い論点を2時間でや
れというのは無理な話で、まあ皆様どうぞ、先ほど申しましたように、ご意見がありまし
たら、事務局の方へ。ペーパーによりますと10月25日までに事務局にご連絡ください
ということですので、ぜひ。その上で主査である私が適宜取りまとめいたしまして、特別
部会に報告することといたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
○舟田主査 それでは、そういうことにいたしまして、きょうの会議を終了したいと思い
ます。

             (2)次回の開催予定について

○舟田主査 次回の小委員会ですが、お手元の資料2、11月2日、よろしくお願いいた
します。

               閉  会

○舟田主査 それでは、ありがとうございました。






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