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競争政策小委員会 第7回会合 議事録








               開  会

○舟田主査 それでは、第7回の競争政策小委員会を開催いたします。
 きょうは、前回に引き続きまして、16日に開催される特別部会に報告する当小委員会
の取りまとめ案を作成する議論を効率的に進めたいと思います。

               議  題

         (1)IT特別部会第一次答申(案)について

○舟田主査 まず、「インターネット時代における新たな競争政策に関する議論の方向性」
という前回の小委員会の議論や、資料1のとおり書面にて寄せられた意見、4件−−中尾
委員、佐藤委員、高村委員、村上委員からご意見がありますが、それを踏まえて事務局で
資料2として答申案をつくっていただきました。
 それでは、前回の会合で委員の皆様から質問や修正のご意見がありました項目について、
事務局において調査した結果及び修正箇所を中心にまずご説明をお願いいたします。
○南事業政策課調査官 それでは、手短にご説明させていただきますが、先ほど主査のほ
うから、委員のほうから4件というふうにご紹介ございましたが、実はけさほど吉原委員
からも1枚ご質問・ご意見をちょうだいしておりますので、これもご参考にしていただけ
ればと思います。
 それでは、資料2の「委員限り」と書かれてございます「IT特別部会第一次答申(案
)」の競争政策小委員会のパーツにかかわる部分につきまして、前回のたたき台をベース
に改定をしたものでございます。目次のところは端折らせていただきまして、1ページ目
でございます。
 まず、資料の1ページ目に「はじめに」という項目をつけ加えさせていただきまして、
いわゆる産業政策的なところと競争政策的なところの混同を避けるべきだというご指摘も
ございましたものですから、産業政策的な色彩、インフラ整備の目標的なビジョンみたい
な話につきましても、「はじめに」のほうに移管して記述をさせていただいているところ
でございます。中身につきましては省略させていただきます。
 2ページ目でございます。2ページ目は「ネットワークの将来ビジョン」ということで、
2の(4)の「国民にわかりやすい目標の提示」のところは先ほどの「はじめに」のとこ
ろに移管いたしましたので、削除しております。
 3ページ目でございますが、「競争政策の基本的枠組み」ということで、「公正競争に
よる消費者利益の実現」として具体的にインターネット時代の競争政策の目的は何かとい
うところの記述が不足しているのではないかというご指摘がありましたものですから、3
ページ目を加えさせていただいているところでございます。説明は時間の関係で省略させ
ていただきたいと思います。
 4ページ目でございますが、マル8のところでございますが、電気通信事業法の目的に
公正競争の促進を加えるというところを、前回、支配的事業者のところに書いてございま
したところを前段のところに移し変えているところでございます。あと、「て・に・を・
はの」修正等を加えさせていただいております。
 ずっとおめくりいただきまして、7ページ目が大きな修正点の一つでございます。「I
Tインフラ整備に向けた新たな競争促進方策」として、キャリアズ・キャリアの位置づけ
をどうするのかということが前回ご議論いただいたところでございまして、一つにはキャ
リアズ・キャリアを電気通信事業者の提供する新しい役務というふうに考えるという考え
方と、もう一つはもっぱら電気通信事業者に対して役務を提供するような、そういう新し
い電気通信事業者というカテゴリーの2つの考え方があるのでよく整理をしておくように
というご指摘をいただきまして、私ども種々検討いたしました結果、新しい卸電気通信役
務というような考え方に立って整理をしたほうがよろしいのではないかということで修正
をさせていただいたところでございます。若干紹介させていただきます。
 まず、マル1のところでございますが、自治体等の保有する光ファイバー等の自営電気
通信設備の有効かつ公平な利用の促進を図るというだけではなくて、電気通信事業者によ
るネットワーク構築の柔軟性を高めるという観点から、こういうキャリアズ・キャリア−
−名称はあえて変えさせていただいておりませんが、そういう卸電気通信事業者ではなく
役務という制度を新たに導入する必要があるのではないかと。現在、自治体等は、第一種
電気通信事業者に対しまして、IRU(インフィージブル・ライツ・オブ・ユース)とい
うことで、長期的な使用権契約ベースで自営の光ファイバーの芯線貸しを行っているわけ
ですが、これは電気通信設備の設置権が借り手の一種電気通信事業者に全面的に移管をい
たしますために、電気通信事業法の枠外の形態であるというふうに解されている。キャリ
アズ・キャリアという制度を導入いたしましたとしても、従来のIRUベースの提供形態
という取り扱いには何ら変更は生じないというふうに考えられますが、自営の電気通信設
備の設置者ですとか、あるいは一種電気通信事業者ですとか、他の事業者に対しまして芯
線貸しですとか、あるいは帯域貸しのような多様な形態による設備の提供が可能となりま
すので、電気通信事業者におけるネットワーク選択の幅が広がるという効果がこの制度に
よって期待されるのではないかと。こうしました卸電気通信役務というものは、もっぱら
電気通信事業者向けの役務という性格を持ってございますので、従来の一般ユーザー保護
を目的とした規制とはやはり異なる規律と言われるものが適当なのではないかということ
でございます。
 なお、支配的事業者というカテゴリーを今回導入いたします際に、支配的事業者による
卸の電気通信役務の提供に関しましては、支配的事業者以外の一般の電気通信事業者とは
異なる規律を設けるべきかどうかについても検討が必要なのではないかという問題を書か
せていただいております。
 8ページ目は字句の修正でございますので、省略をさせていただきます。
 それから、9ページ目でございますが、これも大きな論点の一つでございます「支配的
事業者規制の導入」の中身でございますが、「支配的事業者」というネーミングが適当か
どうか、ここではタイトルのところにあえて「(基幹的電気通信事業者)」という言い方
を書かせていただいてございます。この辺はネーミングの是非も含めましてぜひご議論を
いただきたいというふうに考えております。
 それで、「支配的事業者規制導入の必要性」のアのマル1のところで、前回、独占から
競争へ移行する過渡的期間において必要だという立論をさせていただきましたところ、市
場がある程度成熟していく過程でやはり支配的事業者が存在する場合においてもこういう
規制の必要性が生じるのではないかということで、字句を追加させていただいております。
 それから、イの「支配的事業者の定義」のところでございますが、正確を期するという
観点から、支配的事業者と言われるものは、それぞれの業務区域におけます電気通信サー
ビスの提供市場におきまして、売上高ですとか利用者数、トラヒック等が一定割合以上の
高いシェアを有する事業者の中から認定することが適当ではないかという考え方を明確化
させていただいているところでございます。
 それから、マル3の市場シェアの考え方のところでございますが、前回、EUの25%
の例示を書かせていただいたところでございますけれども、できる限り客観的な基準を設
定する必要があるのではないかということご指摘をいただきましたので、10ページ目を
お開きいただきたいと思いますが、現在我が国の電気通信事業法の体系の中におきまして
は、例えば指定電気通信設備の指定ということで50%という基準が現在使われているこ
ともございます。こういったことを踏まえまして、50%とすることも考えられるのでは
ないかと。25で薄く、広く網かけをするのがいいのか、50というある程度高い基準を
設定して絞り込んでいくのがいいのかというその辺の考え方につきましてもぜひご議論い
ただきたいと思っております。
 それから、マル4のところでございますが、対象となる市場の範囲といたしましては、
やはり我が国の電気通信市場の実態を反映する形でご議論いただく必要があるのではない
かということで、これは必ずしもヨーロッパとすべて一致すると、あるいはアメリカと一
致するということではなかろうということで、現在の市場の実態を反映する形で、まず1
としまして固定通信の中の地域の電話と専用線をまとめた市場として見てはどうかと。も
う一つとしましては、固定通信の中でも長距離と国際の電話と専用線の市場を一つのくく
りとして見てはどうかと。3つ目は、移動通信としましていわゆる携帯電話とPHSをま
とめた市場として検討してはどうかと。この3つの市場を関連市場として特定してはどう
かというお考えを案として示させていただいているところでございます。
 それから、マル6のところは、支配的事業者として一たん認定された事業者が未来永劫
そのまま認定され続けるというのはいかがなものかというご指摘を踏まえまして、「市場
での競争の進展状況に応じて、適宜見直されるなどの柔軟な対応が求められる」という記
述を追加させていただいております。
 それから、ウのところでございますが、これは反競争的行為を防止するためのルール化
の必要な理由につきまして若干補足をさせていただいているというところでございます。
ここは省略をさせていただきます。
 それから、ウのマル4のところでございますけれども、「ボトルネック設備を有する支
配的事業者と特殊な関係にある子会社等」と前回お示しをさせていただいておりますが、
その「子会社等」の範囲として子会社あるいは親会社、兄弟会社等の範囲におけます人で
すとか資金、顧客情報、営業面のファイヤーウォールを設けることを検討する必要がある
のではないかというご指摘を明確化させていただいているところでございます。
 それから、11ページ目でございますが、その際に当該規制を実効あらしめる見地から、
やはり支配的事業者に対して役務別の会計情報ですとか、子会社等との取引に関しまして
一層の情報開示を事業者側に求めるとともに、郵政省も子会社等との取引関係につきまし
て定期的な報告等を求めて、競争状況のモニターを適時行う必要があるのではないかとい
うことをご指摘させていただいております。
 それから、11ページ目のオというところで、第一種電気通信事業者と第二種電気通信
事業者の区分の関係、いわゆる今回支配的事業者規制の導入に伴いまして規制の体系が非
常に複雑化するのではないかというご指摘をいただきまして、委員の先生方のほうからも
幾つかご指摘がございましたので、この関係の記述を追加させていただいております。読
み上げさせていただきます。「支配的事業者規制の導入に伴い、一種、二種区分を廃止す
べきとの意見がある。第一種電気通信事業者は、国民生活や経済活動に不可欠なインフラ
機能を提供する公共性の高い事業であることから、通信の途絶に伴う利用者への不測の損
害の防止、事業の安定性、確実性の確保の観点から、許可制の下で規律することに合理性
がある。一方、二種事業者は、登録や届出という簡素な規制により自由で多彩なサービス
展開ができるようになっている。このように一種と二種の事業区分は、それぞれの事業特
性の違いに応じて、明確でわかりやすい電気通信事業の基本的な枠組みとして設定されて
いるものである。諸外国においても、設備に着目した何らかの規制の枠組みを構築してい
ることが一般的であり、規制の細部は異なるにせよ、安定性、信頼性等を担保できる仕組
みとなっている。ただし、近年における電気通信事業の形態の多様化に伴い、例えば、小
規模な伝送路設備を設置する者であり、かつ、公益事業特権を必要としない事業者につい
ては、一定の規制緩和を検討する必要がある。また、一種事業者による業務区域の変更許
可等の運用が、事業者の迅速な業務展開を妨げている面があるなどの問題が指摘されてい
るが、業務区域の拡大に関しては、迅速な事業展開を可能とし、利用者の利便向上に大き
なメリットがあることから、業務区域の縮小や撤廃の場合と区別して、届出に改めること
が必要である。なお、事業区分の問題については、将来の通信と放送の融合化の進展、欧
米におけるハード・ソフト分離規制の動向等を見据えつつ、検討することが必要である。」
という記述を加えさせていただいております。この辺も後ほどご議論いただければありが
たいというふうに考えております。
 それから、13ページ目は、イのマル3のところに事業者間紛争処理委員会、イメージ
を明確化するために、その公正としまして法律や会計や技術の専門家により構成されると
いう点をつけ加えさせていただいております。要するに、利害関係者を除いてより公正・
中立的なイメージを出すという意味でございます。
 それから、マル4のところに、委員の先生方のほうから、紛争処理をより迅速に行うと
いうためには、まず第一義的に紛争処理機関に事案が持ち込まれる前に、事案の対象とな
る当事者の一方でありますところの支配的事業者が、競争事業者からの苦情申し立て等に
対し速やかに対応するという努力が必要なのではないかというご指摘がありましたので、
加えさせていただいております。
 それから、14ページ目でございますが、「行政の在り方」というところの記述の中で、
前回ご指摘をいただきました、いわゆるノーアクションレター制度ですとか、あるいはペ
ティション制度と言われるものに関しましてぜひご議論いただきたいと思っておりまして、
マル6とマル7を議論の展開の前提としてご提案させていただいているところでございま
す。マル6のほうは、「事業者から電気通信事業法などの法解釈の問い合わせを受け付け、
違法性の有無等について見解を公表する制度(ノーアクションレター制度)は、事業者に
よる円滑な事業展開を可能とする観点から、受入れ体制の整備含め早急に導入策を検討す
る必要がある」ということでございますが、この点につきましては、ほかの委員の先生方
のほうからは、ノーアクションレター制度は政府全体の中での取り組みをよく検討する必
要があるのではないかというご指摘もいただいているところでございますので、この点に
つきご議論いただければありがたいというふうに考えております。
 それから、マル7でございますが、競争の本格的な進展等に対応しまして、電気通信事
業の規制の体系は不断に見直していくことが必要なわけですが、「できるだけ国民に対し
てわかりやすい制度としていく努力が必要である。見直しにあたっては、例えば、規制の
在り方や改善点等について、2年に1回、定期的にバブリックコメントやヒアリングを実
施するなどの方法について検討する必要がある」という記述をつけ加えさせていただいて
おります。
 それから、15ページ目でございます。「NTTの経営形態」のところでございますが、
前回、十分議論いただけなかったところでございますが、その後、委員の先生方からのご
指摘等を踏まえて、一部手直しをさせていただいております。
 まず、「基本的視点」のところのマル1のところは、再編成によりまして、一応制度的
には長距離NTTは地域に参入することが可能になりましたし、東西NTTも相互に相手
のエリアへ参入することが制度的には可能になっていると。また、それがまだ実現をして
いないというその前提の記述をつけ加えさせていただいております。
 それから、マル5以下でございますが、NTTの経営形態を考える上の基本的視点とし
て、本日この辺につきましてもご議論を尽くしていただければというふうに考えておりま
すが、まず(a)各事業会社の経営の自主性の確保、(b)各事業会社間の相互競争の実
現、(c)各事業会社と競争事業者との間の公正競争の確保という、その3つによりまし
て各事業会社がIT時代に対応したダイナミックな事業展開をすることにより、ユーザー
ニーズにこたえるサービスを提供するとともに、通信市場全体の活性化を達成するという
ことが基本的な視点として求められているのではないかと。しかしながら、NTTは再編
後1年経過した今も、必ずしも上記の目的を期待どおり達成しているとは言いがたい状況
にあるのではないかと。そこで、以下において現在の持株会社方式のもとにおけるグルー
プ経営の改善方策につきまして種々記述を設けさせていただいておりますが、本来、グル
ープ経営とは、グループ内各企業に持てる資源を有効に配分し、相互補完的にグループと
して業務展開を図っていくものであり、持株会社のもとでNTTグループが形成されてい
る限りにおいては、グループ内の企業が独自の経営判断に基づき業務展開を図ることや、
グループ内企業間の競争は期待できないのではないかとの指摘もございます。そこで、グ
ループ経営改善方策の実効性が確保できない場合には、現在の持株会社方式によるグルー
プ運営そのものの在り方を見直すことが必要となるのではないかという問題意識をつけ加
えさせていただいております。
 それから、あとは字句の修正でございます。
 18ページ目でございますが、「インセンティブ規制の導入」は削除させていただいて
おりますが、この趣旨は、いろいろなところにインセンティブ規制の考え方が散在してご
ざいましたので、一つにまとめさせていただいたという趣旨でございます。
 それで、19ページ目のところでごらんになっていただきたいと思いますが、19ペー
ジ目のマル6のところで−−これは東西の話でございます、東西NTTの業務範囲の見直
しに当たったは、後ほど述べさせていただくNTTグループが公正競争確保のための諸措
置をみずから講ずることの動機(インセンティブ)づけの一つとして業務範囲の拡大を位
置づけることについて検討する必要があると前置きをさせていただきまして、ずっと飛ば
していただきまして、23ページ目に東西NTT及びNTTグループ全体のインセンティ
ブ規制方式の在り方と言われるものにつきまして、本日ぜひお時間をとっていただいてご
議論を尽くしていただきたいと思っております。
 読ませていただきます。インセンティブ規制方式の導入。NTTグループが公正競争条
件確保や市場活性化のために講ずべき事項を実現するための方策としては、当該事項の実
施を(a)NTTグループの自主的経営判断に委ねる方式、(b)NTTグループの規制
緩和要望事項を認める条件とする方式、(c)法的に義務づける方式が考えられる。
 このうち、(b)の方式は、NTTグループの規制緩和を実現して欲しいという意欲を
動機づけ(インセンティブ)として、NTTグループに一定の措置を講じさせるという規
制手法であることから、「インセンティブ規制方式」と言われている。
 インセンティブ規制方式は、NTTグループの経営判断を尊重しつつ、NTTグループ
として講ずべき措置の実施に誘導するという点で、(a)、(c)に比べ実現可能性が高
いというメリットがある。
 また、本方式は、アメリカにおいてAT&Tの完全分割や地域通信事業者の地域網開放
の実現のために有効な手法として評価されており(前者は、情報サービス分野への進出、
後者は、州際通信分野への進出をそれぞれインセンティブとして付与)、我が国において
も、検討に値する有力な手法と考えられる。
 エ、NTTグループに対するインセンティブ規制方式の適用。このような方式をNTT
グループに当てはめた場合、どういう考え方が適当かと。
 マル1でございます。これまで述べてきたとおり、NTTグループに対しては、東西N
TTのネットワークの一層の開放、NTTドコモ、NTTコムの持株保有比率の引き下げ
等、公正競争条件確保や競争促進のための措置を講ずる必要がある。
 マル2、他方、NTTグループには、東西NTTの業務範囲規制、NTT法における事
業計画の認可等の規制、放送業・製造業分野への進出(出資)制限、ユニバーサルサービ
ス提供責務等、諸規制が課せられている。
 マル3、そこで、これらの諸規制の緩和・撤廃をインセンティブとして、ネットワーク
の開放、NTTコムやNTTドコモ株式の持株比率の低下を実現するというインセンティ
ブ規制を導入することとし、その具体的内容(NTTグループが講ずべき諸措置との組合
せ等)を早急に検討すべきである。
 マル4、その際、インセンティブ規制に対する国の裁量の余地が広がりすぎることのな
いよう、インセンティブ規制を法的ルールとして明確化するとともに、ネットワーク開放
度合等を評価するための客観的な指標についても併せて検討する必要がある。
 それで、恐縮でございますが、お手元の補足説明資料、資料3−−これも委員限りの資
料でございますが、競争政策小委員会関連部分の補足説明資料の最後から2ページ目の1
2ページ目をお開きいただきたいと思います。これは、今文章で読み上げさせていただい
たインセンティブ規制の在り方を考える大きな考え方といたしまして、左側の列にNTT
がしなければいけない、あるいはしていただく必要がある事項と。まず、ネットワークの
オープン化ということで、例えば光のアンバンドル化を進める必要があるのではないかと
か、公衆網の再販を地域網の世界でも実現すべきなのではないかとか、いわゆるアメリカ
で徹底的に議論されております顧客情報支援システムのようなものをネットワークのアン
バンドルの構成要素として開放すべきではないかと。あるいは、線路、電柱等を開放すべ
きではないかといった、いわゆるネットワークのオープン化という形で汗をかいていただ
く。それから、グループ内競争を実現するということで、東西NTTの相互乗り入れとか、
NTTコムが地域に入っていくというようなグループ内の競争が実現したというあかしが
必要なのかどうかと。それから、ドコモ、コムの例えば持株比率を引き下げるというよう
なこと。あるいは、最終的には完全分離分割というような形も含めまして、構造的な問題
を措置すべきなのかどうかと。左側はNTTに実施を求める必要があるような事項と。
 それで、右側に書かせていただいておりますのは、NTTが要望している事項、あるい
は要望する可能性がある事項としまして、1番目としましては、東西NTTは現在、地域
の電気通信業務に業務範囲を限定されているという規制を緩和してほしいという要望が出
てくる可能性があると。それから、2番目としては、これは既に要望が出されている事項
として、経営の自由度を高めてほしいということで、NTT法に書かれていますもろもろ
の許認可を緩和してほしいという要望が出されているところでございます。3つ目としま
して、放送業、あるいはメーカー、製造業等への進出としまして、出資の制限がNTT法
に内在する制約としてかけられているところでございますけれども、こういったものにつ
いて緩和をしてほしいという要望が出てくる可能性があると、こういう大きく左側の枠で
NTTが汗をかかなければいけない事項、右側のほうにNTTが求めている事項とのバラ
ンスをどのように組み合わせて考えていく必要があるのかどうかというところにつきまし
て、委員の先生方からも多数ご指摘をいただいているところでございますので、こういっ
たものにつきましても、ぜひご議論いただきたいというふうに思っております。
 以上、説明が長くなりまして申しわけございません。私のほうからの説明は以上でござ
います。
○舟田主査 それでは、以上のことにつきまして、前回は前半までやってNTTのことま
で入れなかったんですけれども、順序としては前回の積み残しから入りたいと思いますが、
それとも、委員の方々から出ていますけれども、それは今読み上げますか。それとも適宜
議論の中で発言していただけますか。
○南事業政策課調査官 時間も限られておりますので、それぞれの項目につきまして先生
のほうから、もしよろしければ、まとめてということではなくて、個別ごとにご意見をい
ただければと思います。
○舟田主査 そうですね。それでは、7ページの「キャリアズ・キャリアの制度化」のと
ころ、直したりしておりますけれども、いかがでしょうか。
○佐藤専門委員 中身を確認させていただくと、これで何ができるんですかと商売をやっ
ている人はまず考えますよね。そのときに、昔で言うゼロシュというか、そういう光ファ
イバーを持っているけど、他の一種事業者や二種事業者が入るかどうか知らないですけれ
ども、貸すためのルールがなかったらつぶれますよと。
 それから、今、一種事業者も小売りがあるわけですね。でも、ネットワークを持ってい
ますよね。その一種事業者もこの制度で他の一種に使ってもらえるようになるんですか。
○南事業政策課調査官 そういう意味です。一種から一種への卸電気通信役務の提供とい
うイメージも含んでおります。
○佐藤専門委員 かつ、それは芯線であったり、帯域であったり、基本的にほとんど自由
にネットワークをほかから調達して使えるようになると、そういう趣旨ですね。
○南事業政策課調査官 そういう趣旨でございます。芯線貸しであろうが、WDMを使っ
て帯域貸しをしていただこうが、どんなような形態でもよろしいということだろうと思い
ます。
○佐藤専門委員 借りるほうは、一種でも二種でも別に制約はないと。
○南事業政策課調査官 というイメージでございます。
○佐藤専門委員 と聞くと、ちょっといいかなと思いますね。もう少し考えてみないとわ
かりませんが。
○山本専門委員 やはり、設備投資をするときは、事業者というのはきょうの場合はリス
クを背負うわけですよね。具体的に言いますと、光ファイバーと引いている自治体がそれ
なりに意思決定してやったんでしょうけれども、多分企業のボニーとは違う論理がそこに
は働いていて、ある意味公共事業のかわりにやっているとかですね、もとは税金ですから、
それほどリスク感覚なくやっていて、そういう事業者と、かなりコスト計算して、都市計
画を練ってリスクをかけて遣っている事業者とは、やはりちょっと土俵が違うんではない
かなという感じがするんですね。同じように賃貸するにしてもね。そこらあたりの問題と
いうのをどのようにして処理したらいいのかという問題がちょっと残っているような感じ
がするんです。
○南事業政策課調査官 自治体等が例えば、当然下水道管理のための光ファイバーを張り
ますということで公共目的で公共的な予算を使って整備をしたもので、たまたま余剰が生
じましたということがあれば、それは自治体のご判断で、今でもIRUベースみたいな形
で余った部分をご提供いただくことはできるわけですけれども、例えばそれを踏み越えて
それを電気通信事業のような観点からもう少し弾力的にやりたいと自治体がご判断されれ
ばそういう世界に入ってこられるでしょうし、そういうご判断をしなければ今までどおり
のやり方を続けていただければいいんです。
○山本専門委員 だから、そのときね、自治体が踏み越えて入っていったときに、使って
いただきたいということで、ある意味で言ったら非常にダンピング的な賃貸料でもって貸
すというようなことは、これは出てきちゃうわけですよね。すると、第一種の人たちも賃
貸をやるわけですから、そうすると、例えばここで言っている賃貸の料金水準の問題なん
ですが、貸して幾らもらえるかという話になりますが、その価格が市場の価格ではなくな
っちゃう可能性があるわけですよね。そこはだからちょっと、やはりコストをちゃんと計
算して、コストメリットを計算して、投資計画を立ててやっている事業者というのと、税
金で公共事業でやってしまった人たちとは、同じ市場に出てくるにしても違うんではない
でしょうかね。何かダンピングをやる感じがしますよね。
○舟田主査 現在でも自治体は芯線貸しはできますから、個別の経路でやりますね。ここ
で言っているのは、第一種電気通信事業者になってサービスを提供すると、これは約款を
つくらなければいけない。
○貝沼事業政策課長 いや、一般消費者向けの約款というのは要らないと。
○舟田主査 一般消費者向けではなくて。
○貝沼事業政策課長 そういう意味で、相対ベースを基本として提供できるということで
考えておりますが。
○舟田主査 そうしますと、一般消費者向けには約款をつくらなければいけないけれども、
卸電気役務の場合には全く個別だから約款もつくらないし、内容もわからないということ
になると。
○貝沼事業政策課長 内容がわからないということについては、例えば契約の届出をする
とか、あるいは開示要求があったときに開示するとかということはあり得るかなと思うん
ですが。
○佐藤専門委員 例えば、今電力系が光を持っているとしますよね。それで、自分の関連
会社にある条件で貸している。今度、それをほかの人も使えるようなルールができますね。
でも、そのときに、要するに自分の関連会社よりは悪い条件ではないとか、「何でうちは
こういう条件なんですか」と来たときにコストを説明する義務とか、そういうのはないん
ですか。いろいろな柔軟な仕組みはいいんですけれども、実効上として、競争事業者が入
ってきて、いろんなネットワークを調達してビジネスを始めるときに、今言った約款なり、
料金のコストの開示やご説明なり、そういうのはないんですか。
○舟田主査 事業者向けのはないんですね。
○貝沼事業政策課長 今のコンセプトとしましては、舟田先生がおっしゃったような事業
者向けの約款と料金をきちんと決めて、だれに対しても同じように提供しろというような
ことは、今は制度のイメージとしては考えておりませんで、相対ベースで契約できると。
しかしながら、その際には、佐藤先生がおっしゃったような利用の公平というのはどうい
うふうに担保できるのかと。子会社とそれ以外のものを著しく差別することによって、実
態的な電気通信市場に悪影響を及ぼすということはブロックする必要があるんではないか
と。そこは事後規制的に、クレームが出てきたときにその資料を出してやるということな
のか、あるいは約款化は求めないけれども、その報告なり公表する必要があるのかという
ことは現在検討しておりますということと、あと山本先生がおっしゃった点は、事業者も
結構気にしているところでございまして、税金をつぎ込んで自分たちよりも安いところ、
かつ競争的なところをやるのはどうかというような問題意識があるようでございまして、
それにどう対応するかという対応策としては2つほど考えられるのではないかと思ってお
りますが、1つは、そもそも自治体なんかはこういうビジネスのところに入ってくるなみ
たいなやり方もあろうとは思うんですけれども、そこまでするとせっかく自治体がつくっ
ている設備を有効活用することができないということになりますので、自治体が入ってき
て、その価格が余りにも市場を歪めるようなことであれば、その自治体に対して改善を求
めていくというような措置ということも考えられるんではないかというふうに思っており
まして、ここもまだきちんと制度的には詰め切れておりませんが、マル4のところで支配
的事業者による卸電気通信役務の提供について検討が必要だということで、自治体とかそ
ういう公共のお金を使ってこのビジネスに入ってくるものについてもどう扱ったらいいか
ということを検討させていただきたいという記述を加えて、今申し上げた2つの方法が考
えられるとすれば、2番目の方法のように、やらせないというよりは、やってみて弊害が
生じたときに是正を求めていくというのがいいんではないかとは思ってはおりません。
○佐藤専門委員 こういう制度ができるのはいいんだと思いますよ。だけど、その制度が
本当に生きて、競争ネットワークが柔軟にできて、競争が生まれてくるような仕組みにち
ゃんとなっているかというところがポイントで、そういう意味では、山本先生が言われた
ように、まずインフラをつくる側のインセンティブなりつくることが、合理的にいいもの
をつくったらそれが回収できたり、インフラをつくる同士の競争がまずきちんと担保され
るかどうか。それから、相対でもっとインフラを使う側が本当にきちんとしたコストベー
スかどうかわかりませんけれども、きちんとしたコストで、差別されないような条件でそ
のネットワークを公平に使えるかどうか。それで、自前のネットワークにそれを柔軟に組
み合わせていくことができるかどうか、その2点で、後半のほうも、今の話を聞くと、例
えば新聞等では開放しますよ、でも自主的にと、そういう方向にも聞こえているんですね。
今、接続ルールにこれ一部に入るかどうかわからないんですけれども、接続だったら、問
題があれば大臣サイドに一遍に持っていっちゃうわけですよね。そういう意味では、ここ
のルールづくりが、要するに制度としてはいいんですけど、本当に競争上各事業者にとっ
て使い勝手のいいような制度になっているかどうかまだちょっと疑問があるので、私は委
員としてももう少し議論させてほしいという気がします。
○舟田主査 私は基本的に、貝沼さんのおっしゃった2番目の方法がいいと思いますね。
自治体がいろんな公的資金を使ってインフラを整備してその料金で貸し出すというときに
は、例えば自治省の起債の条件だとかさまざまな縛りがかかっていますから、実際は民間
よりも安くなるよりは高くなるんではないかと思います。これは、さまざまな土地の造成
や何かをやったときに、必ず公的な土地は高どまりして値下がりして売れないんですね。
それは一般的な行政の仕組みのルールの中でそういうことが起こって、マーケットにフレ
キシブルに対応してダンピングして土地を売る自治体が出てきたら褒めてあげたいぐらい、
実際は起こらないことなんですね。そういうことを前提に考えると、これから民業を圧迫
するということは、あんまり心配しなくていいんではないかという気がしますので、新し
い制度としてとりあえず奨励してやってみて、その上で著しく不公正が生じた場合にはそ
のときに考えると。恐らく生じないだろうと私は思います。
○山本専門委員 どういうようなイメージでこの光ファイバーのインフラの整備をするか
という、そのインビージーの問題なんですが、私は最終的にはキャリアと言われる事業者
たちも自前のネットを持つのが一番いいと思っているんですね。ところが、こういうこと
をやり始めますと、多分事業者の側は、投資にコストがかかり過ぎるということになると、
自治体がつくっているんだから、危ないところはみんな自治体に任せればいいんだから、
公的資金がやるんだから、自分たちはそれを借りればいいという形でコンフォーすると思
うんですよ。インフラの所有運営者が事業者と、企業と、それから自治体という形で。そ
ういう形でいいというふうに考えるのか、最終的には事業者にも出したほうがいいだろう
と考えるかという、そこの政策の違いでして、私は競争政策というのを、今の話を聞いて
いる限り、どうも公共政策的な要素が非常に多くて、これはある意味で言ったら、事業者
が追いつかないインフラ整備を自治体にやらせるという逆インセンティブを与えることに
もなるので、そこらあたりがどういうイメージを持つべきかという、最終的なインフラの
所有と運営に関してですね。そこをちょっと議論したほうがいいのではないかなというの
で、私ももうちょっと議論したほうがいいんではないかなと思いますね。
○天野電気通信局長 光ファイバー網整備は、これは政府のいわゆる国家戦略として超高
速ネットワークを向こう5年以内につくるということで議論されておりますが、もっと以
前から郵政省は光ファイバー整備につきまして民主導でやるという方針を打ち出して、そ
れは今のIT戦略本部の前の政府の高度情報通信社会推進本部においてオーソライズされ
ているわけです。政府としては2005年までに光ファイバーを−−当初は2010年だ
ったんですけど、それを5年繰り上げまして2005年までにやると。これが今回の超高
速ネットワークの目標とも結果としてぴったり一致しまして、光ファイバー整備が200
5年を民主導でやるのは大原則になっているんです。ですから、私どもは、それを通信事
業者や、あるいは電力事業者もそれぞれやっていますが、特に通信事業者には特別低利融
資制度を用意しまして、毎年予算を確保して、低金利で融資を受けることができるように
やってきております。
 それでやってきたんですが、都市部はそういう形でどんどん進められているんです。問
題は、採算性が低いと言われる地方、特に過疎地とか、そういう地方のほうだけが次第に
取り残されてきているわけです。そういうところもいずれは、民間もやるでしょうけど、
放っておくと大分遅くなるんですね。そこで、そういうところをできるだけ2005年ま
での間にあわせるならば、やはり公的な主体が積極的に支援する必要があるのではなかろ
うかということで、基本は民主導でやるという政府の大原則で都市部を中心に光ファイバ
ー網は進められておりますが、今一番問題になっているのは、そのまま行った場合に取り
残される危険がある地方を公的主体で、国の単なる融資ではなく、例えば国費を投入する
とか、あるいはそういった地方自治体の地域イントラネットをつくるという動きをさらに
助成するなどして、取り残される心配のある地方を公的なセクターが補完していくという
意味で、基本は民主導ということは揺るがない原則になってきているわけです。ですから、
私ども公的な地方自治体がどんどん民間市場に入るということはちょっと考えにくいわけ
でありまして、現実にも、先ほど林先生おっしゃいましたように、地方自治体の引く回線
は意外と高いんです。ですから、今のところダンピングして市場を歪めるというよりは、
むしろ安くしてもっと協力してほしいという要請のほうが高いという現実にあります。
○村上専門委員 先ほどの佐藤先生のご質問等をお聞きしていますと、この制度の導入に
よって新たに届出したり認可を受けるような、新たな事業者が出てくるという印象を受け
ます。その場合、相手方の事業者側の事情とか、例えばさっきの電気事業法と関連するん
であったら、その電気事業法との関係みたいなものが出てくるんではないかと思うんです
けれども、その辺は相手方との調整は行われているというふうに理解してよろしいんです
か。
○貝沼事業政策課長 例えば、自治体のほかに電力、ガスとか、いろんな人が自分で持っ
ている設備を役務として通信事業に生かしたいというときに、本家本元の電気事業法とか
ガス事業法でどういう規制を受けるかというのは、電気通信事業、あるいは電気通信政策
からすればあずかり知らないことという整理かなと思っておりますが。つまり、電気事業
で兼業ができる、できないとかそういう制約があれば、それは電気事業者がその制約を撤
廃してほしいと言えば電気事業法を所管しているところに言ってやればいいではないかと。
○佐藤専門委員 今のお話で、例えば電力の人がこういうサービスをやりたいとしたら、
このルールでできますよと。だから、やりたくないと言ったら、それっきりなわけでしょ
う。
○貝沼事業政策課長 ええ。あるいは通産の政策でやれなければ。
○佐藤専門委員 使いたい人がたくさんいて、子会社に出しているじゃないですかと。う
ちも光ファイバー使わせてくれと言っても、その事業者が「いや、うちはそんなことした
くない」と言えば、それっきりなわけですか。
○貝沼事業政策課長 ええ。
○佐藤専門委員 無理にやらせているわけではない。
○貝沼事業政策課長 そうです。
○南事業政策課調査官 今、村上委員のほうから、新たな事業者をつくるというイメージ
よりも、いずれにしても電気通信事業者になっていただかないとできないことでございま
す。一種事業者になっていただくというのが前提でありまして、その上で卸という役務を
非常に柔軟な形で提供できるようなことが可能になるということでございますので、この
ためだけに新しい事業者をつくるという意味ではございません。
○古川専門委員 私も、ダンピングの問題なり自由な競争を阻害するような案件があれば、
個別に対応するということが非常に柔軟な方法だと思います。それを含めても、ここに書
いてございますように、それを進める価値があるかと思っていますが、もうそういうふう
に敷設が終わっているケーブルで実は眠っているものが非常にたくさんあると。私も幾つ
かそういうことの活用事例を提案するということでいろいろ委員もやらせていただいてい
ますし、例えば荒川流域だけでも300億円ぐらいかけて光ファイバーを張っているんで
すね。ところが、ほとんど何にも使っていない、大体眠っていると。300億かけました
ので、年間1,000億の年度会計の郵政省の何%かと考えるとぞっとするんですが、実は
河川の氾濫を全国でモニターする河川の領域に張っている光ファイバーの連動予算だけで
きっと郵政省さんの予算を超えるお金が建設省から出ていると。それがほとんど眠ってい
る状態で、実質何に使いましょうかといってお話を伺うと、現状のテレビ監視システムで
の映像が雑なので、ハイビジョンのクォリティーの映像を流したいと。でも、川が氾濫す
るかどうかハイビジョンのクォリティーで、24型BTSでモニタリングすることに果た
してどれだけの価値があるのかと。そういうものを積極的にその地域に開放していくとい
うことが需要なんではないでしょうかというお話をいつもさせていただいているんですが、
そういう意味では荒川もそうですし、それから今、山梨から長野まで一直線で走っている
光ファイバー網もその自治体が中心にやっておられますし、あわせて三重県などのケース
は、英虞湾に上がってくる海底ケーブルを京阪路につなぐのではなしに、もし三重県の持
っておられる光ファイバーを使って三重県の全体をケーブルテレビに対するバックボーン
として使えるなら、それを名古屋地区まで引っ張れれば、京阪路のほうは民間が中心にや
られるけれども、三重県が名古屋まで引っ張りましょうと、その間を渡しましょうという
ことで光ファイバーを提供されれば、三重県の内部のネットワークの活性化と、それから
データセンターを誘致するという価値も生まれるんではないでしょうかというお話をしま
した。そういう意味では、逆に三重県が独自に実際として頑張られることが自由な競争を
損なうかというと、むしろ逆に東京経由、大阪経由でなしに名古屋地区の方にも太いパイ
プがアメリカとつながれるという健康な状態がむしろ生まれるんではないかと。皆様ご議
論いただいているいわゆるオコチジョウの側面以外に、ある意味で実務の中で実体験とし
て感じていることをお伝えしているまででございますけれども、これに沿った形である意
味では自治体の方のかかわりでは健康的な競争を生んでいくんだろうというふうに思いま
す。
○山本専門委員 僕はその点では、確かにおっしゃるとおりなんでしょうけれども、やは
り需要にあわせて投資をやっていくんですよね。多分我々が、また政府がその需要をどう
やって予測するかとか、光ファイバーの大容量をだれが使うかという話なんですが、20
05年までに全部引くとかいうのは、これは僕はすごく政策的な発想でよろしくないと思
っているんですよね。幾ら引いたって使ってくれなきゃどうしようもないわけでして、今
そういう段階に入っちゃっているわけです、逆に言うと。だからこういう問題が出てきち
ゃうわけでね、そういう点で言うと、やはり競争ベースでやるということが、多分公共政
策、産業政策のものではなくて、NTTの社長が言っているように、光ファイバーを引い
ているけど、だれも使ってくれないんだよと。開放すれば言うならいつでも開放するよと。
使われていませんと。地方に行けばますますですと。そういう段階でね、上がIT戦略み
たいに2005年までにやるというのは、僕はちょっと産業政策的には考えられるかもし
れないけど、余りいい政策ではなくて、民主導といったときは、やっぱり民間に需要予測
とか投資の戦略を立てさせるべきなんですよね、多分。それを上からやっておいて、「さ
あ、おまえたち競争やれ」という、それは競争政策ではないような感じがしますね、私は。
○舟田主査 それはキャリアズ・キャリアとちょっと離れた議論ですので、ちょっと時間
もあれですから、一応お話は伺いました。事務局にはキャリアズ・キャリアのまずわかり
やすい説明表をつくってください、もう一度。報告書は報告書でこれで直すとして、例え
ば第一種電気通信事業者になって、そして契約はどうするとか、規制についてはこういう
意見もあり、こういう意見もある。私はマル3のような異なる記述はないほうがいいと思
うんですけど、なくていいという意見と必要だという意見が両方あるでしょう。そういう
整理の表をつくっていただいて、文言についてはもうちょっと−−基本的にはこういうこ
とで、役務をつくるということ自体は結構なことだと思いますので、文章はまた皆さんか
らもご意見をいただくし、私も事務局と検討するということにいたしましょう。
 すいません、時間が余りないので進ませていただきます。
 9ページ、(3)支配的事業者(基幹的電気通信事業者)、これはどっちにしようか迷
っているんだろうと思いますが、イ、支配的事業者の定義ということで、10ページには
こういう規制内容ということです。これが11ページの上まで来ていますが、これについ
てご意見をお願いいたします。
○佐藤専門委員 言葉よりも中身が同じところがあって、支配的というと、マーケットを
コントルする力とかそういうふうに聞こえるんですが、基幹的というのはどういう違いな
んですか。要するに、言葉だけの話で中身は一緒ですよと言われているのか、中身が基幹
的と言われると違ったりするんですか。
○南事業政策課調査官 WTO上でいわゆるメジャー・サプライヤーと言っているものを
……。
○佐藤専門委員 英語で言うと、メジャー・サプライヤーかドミナント・キャリアかと。
○南事業政策課調査官 そうです。どちらを選ばれますかという。そういうイメージによ
って中身というものをある程度連想させる部分もあるものですから、一応電気通信の世界
ではメジャー・サプライヤーというのが使用されています。ただ、世の中の人が私どもの
ほうに求めている言い方はドミナント・キャリアと。
○佐藤専門委員 基幹的というと設備をイメージするのか、基幹的というのが何をイメー
ジさせるかですよね。
○舟田主査 私は基幹的はやめたほうがいいかなと。放送の世界でね、基幹放送、基幹的
放送メディアという言葉があるけれども、むしろ質的な判断なんですよね。国民にとって
基本的な情報をきちんと提供すると。電気通信から出たというのは、もちろんそれは結構
なんですけれども。それから、支配的というのは、経済学者の前で失礼ですけれども、も
うがっちり全部支配するということではない場合も含むわけで、つまり、普通は市場価格
に従わざるを得ないけれども、若干市場価格よりは高くてもやっていける。例えば、ドコ
モみたく1万円ぐらい高くても十分それで客がついているわけですよね。私が言うのも変
ですけれども、9ページのイのマル1、「当該市場における価格、供給の条件決定に著し
い影響を及ぼす能力を有し」というのは、経済学の教科書で言いますと、むしろ市場価格
があるとしても自分が違う、例えば5%高い値段を設定しても売り上げが下がらないとか、
そういう意味で普通言うわけでしょう。普通、これを読むと、ドコモは著しい影響を、例
えばJ−フォンに影響を及ぼしているかというと、そんなことはない。J−フォンはJ−
フォンで自分の価格設定をしているわけですよね。しかし、市場価格から若干自由に自分
は少し高目に設定しようと、これでもやっていけるというのが力なんではないかと思うん
です。そういうのも支配力、一種のコントロールなんではないかと思うんですが、どうで
すか。
○林主査代理 難しいところですけれども、どっちかというと、確かにドミナント・キャ
リア、支配的事業者のほうがいいかなという気がするんですけれども、経済学者のセンス
から言いますとね。おっしゃるように、基幹というと、その反対は周辺みたいな感じにな
って、A級、B級みたいな、メジャーリーグがはやっていますから、メジャーといっても
いいんだけれども、そうしたらほかはマイナーかということになっちゃう……。
○高村専門委員 語感の問題なんでしょうけれども、やっぱり基幹的というのは、何とな
く経済の発展段階から割合最初のほうに設定するような感じがしますね。質的というより
か、もっと  的な感じですね。支配的というのもちょっと、多分当事者からするともう
ちょっと別の言葉はないかと思うでしょうけれども、やっぱりこれは競争政策の議論をし
ているわけですから、定義もしていくわけで、私はドミナントのほうをとったほうが、こ
の議論としてはいいんではないかと思いますね。
 それで、定義のところで、市場の支配という言葉はもちろん大事だと思うんですが、何
か倍の価格というか、調達のほうの影響力というのは証明できないんでしょうね。その辺
をちょっと感じたんですけれども。
○山本専門委員 前、供給の代替性の問題とか、需要の代替性といったようなアメリカが
使っている概念が、前もらった表に入っていたはずなんですが、どうして取っちゃったん
ですか。例えば、先ほどちょっと舟田先生がおっしゃったように、価格を1%上げたとき
売り上げはどのぐらい減るのかとか、そういうのは意外とマーケットシェアだけではなく
て市場力をはかる一つの基準だと思うんですよね。代替性の問題とかね。そういう問題は
やはりちゃんと言っておいたほうが……。
○貝沼事業政策課長 9ページのマル2のところにそのまま残っております。これはアメ
リカの考え方をそのまま敷衍したものでございます。
○山本専門委員 これはすごく大事なような感じがしますね。
○南事業政策課調査官 これは先ほど舟田先生がおっしゃられたような、仮に値段をちょ
っと上げたとしても、でもお客さんは逃げるおそれはないという意味でのことだと。
○貝沼事業政策課長 舟田先生がおっしゃったことに関連してご議論いただければと思う
んですが、市場価格よりも高い価格でもお客さんが減らないということが価格供給条件の
決定に影響を及ぼす能力ということの一つの例だというお話だと思うんですが、実は、ド
コモのケースなんかで考えますと、市場価格よりも高くても大丈夫だというよりも、市場
価格をリードするというか、いわゆるプライスリーダーみたいになっている。ドコモが下
げればほかの競争相手が仕方なく追随して、多少ドコモよりも安目の設定をせざるを得な
いとか、少なくとも同額だというような、そういう市場価格を牽引していくような能力を
どのように評価したらいいのかというのがちょっとわからないことなんですが。
○舟田主査 プライスリーダーシップというのはいろんな状況で発生するんですよね。そ
れは一つのあらわれ方であって、プライスリーダーシップが必ず支配的な事業家がいる場
合に起こるわけではないんですよね。例えば、長距離市場はむしろNCCが値下げしたと
きに、何かそういう文章がありましたね、前。NCCがまず値下げしてどうのこうのとい
う文章があって、私あれがプライスリーダーシップというのは変な話だなと思ったんです
けれども、現象としてNCCがまず値下げするということがありますけれども、それはプ
ライスリーダーシップとは言わないと思うんですけれどもね。
○山本専門委員 やっぱり一番問題なのは、談合ですよね。例えば、携帯と携帯の接続料
金の資料をもらったんですが、大体同じなんですね。僕は、どこが決めているかというと、
携帯と携帯の、モバイル−モバイルの接続料金をドコモが決めていると思うんですよ。だ
けれども、なぜ文句を言わないのかというと、ドコモ以外の携帯事業者にとっても、接続
料金が高いほうが料金収入が大きいですから、最終財の料金も高くなるわけですから、文
句を言わないで談合しているんだと思うんですね。だから、そういう点で言うと、このプ
ライスリーダーシップの問題というのは、談合というか結託の問題で、それをどのように
競争させるか、結託をやめさせて競争させるかみたいな問題が絡んでくる話なんではない
でしょうか。
○佐藤専門委員 1点、「需要の弾力性」と書いてあるけど、供給の弾力性・代替性とい
うのはあれですか。
○南事業政策課調査官 両方とも含まないといけないと思っています。
○佐藤専門委員 価格を上げて本当はお客が移るのでも、周波数がもういっぱいでライバ
ルが提供できないから、結局価格をつり上げる能力を持ちますからね。
○貝沼事業政策課長 「参入の容易性」のところですね。わかりやすく「需要・供給の弾
力性・代替性」と明記いたします。
○山本専門委員 こういうことに関しては、ルールをつくったほうがいいんではないです
か。アメリカはルールをつくっていますよね。1%上がったとき、どうなったときはどう
なるかと。それは細かい話ですからここでやる必要はないと思いますが、何か明確なルー
ルにしたほうがいいんではないかと思いますよね。
○林主査代理 これは、支配的事業者の定義をここでやっているということは、例えば事
業法を改正して、その中に支配的事業者の定義を入れて、それに対するレギュレーション
の在り方をやるというわけですね。そのときに、支配的事業者と判断される条件がいろい
ろ出てきて、そしてその条件というのは結構気を使わないと「かかならきゃいいんだろう」
という読み方をされると思うんですが、しかしこういう書き方をしたら出てこないけれど
も、結構力としては大きいというのは、先ほど高村委員のおっしゃった購買力ということ
なんだと思いますね。それも単に電気通信事業に限られない購買力で、よく言われている
のは、例えばコマーシャル市場の出向額がすごく大きいことによってそれぞれの影響があ
るとか、あるいはものの購入やさまざまなものがありますから、ちょっと含みを残してお
いたほうがいいような気がいたします。
○舟田主査 特定の市場の競争を特別に、企業の総合力みたいなことでよく言われること
ですね。何かそういう特別な配慮が……。
○古川専門委員 私も基幹的より支配的という言葉のほうがなじみがあるなとは思うんで
すが、それは支配的事業者という言葉の持つ意味がここで定義されているからわかるんで
すけれども、一般の人がその言葉だけを聞くと一人歩きをしたり、マスコミの方はこの言
葉をまた別の、自分なりの定義で記事にしてしまうことが往々にして起きるんではないか
と思います。そのときに、本来のここで定義したことがだんだん歪められてしまうという
ことに対して、資料トの中で支配的事業者の持つ意味を必ず添えていただくなり、それか
らこの言葉の持つ意味は本来こういう意味なんですよということを正しく定義していただ
くということを一般の記者の方にも則していかないと、この言葉だけが一人歩きして、庶
民にお代官様を呼び寄せるみたいなですね、その図式をいつもそのまま当てはめるような
状態にしてしまうの、本来ここまで深い議論をやっていることが一つの記事でまた歪めら
れてしまうということになりかねないと。ですから、ここに書いてあることをいかに広く
告知していくかというところも忘れずに行っていただきたいと思います。
○舟田主査 支配的というのは、支配者だ、悪いやつだという、そういう意味ではないで
すよね、ここは別に。
 それから、10ページの下のほうはどういう規制内容をかけるのかということで、マル
4ではボトルネック設備を有する支配的事業者と特殊な関係にある子会社、親会社、兄弟
会社等の間においてはファイアーウォール、あるいはモニターを行うと。私、前回ちょっ
と申し上げたかもしれませんけれども、電気通信分野である事業者が50%を超えるとい
うことがあり得るでしょうけれども、ボトルネック設備は現在東西NTTだけですけれど
も、東西NTTの100%子会社、あるいは多数の株式を持っている事業者が支配的事業
者をやる場合には余計十分な合致が必要なのではないかということで、こういう文章があ
るんですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤専門委員 この文章をこのまま読みますと、例えばドコモの取締役は持株会社から
来てはならないということになりますか。人のファイアーウォールという意味は。それと
も、社員だけですか。社員は勝手に東西からドコモに行ってはいけないという、そういう
ファイアーウォールですか。
○南事業政策課調査官 基本的にここで記述をしておりますのは、ボトルネックを持って
いる東西を中心に考えてございますので、東西とドコモなり、東西とコムとの間の仮に役
員の兼任はいけないという場合には、そこまでになるのか……。
○舟田主査 持株ならいいというは変な話ですね。
○有冨電気通信事業部長 まだ事務的にも議論をしている最中なんですけれども、今、持
株会社の役員が事業会社の役員を兼任しているんですね。とすると、持株会社の役員は別
の場で東西のいわゆるグループ戦略として知り得る立場にありますね。代表して、あるい
は情報を共有する立場なので。これまでのファイアーウォールの議論というのは、事業者
間同士のファイアーウォールで、持株との考え方の議論は全然していないんです。
○舟田主査 全然ありませんでしたっけ。東西間だけけでしたか。
○有冨電気通信事業部長 そうです。それをどうするかというのは実は悩ましい問題で、
ちょっとまだ詰め切っていないので書いていませんけれども、やはり営業情報とか経営戦
略とかが持株が今全部決めているとすれば、それはちょっと持株の役員が兼任するという
のはいかがなものかと。人を経営的にコストをいろいろ動かして、また別の議論もあると
思うんですけれども、兼任役員というのはいかがなものかというのは、少し議論をしてい
ただく必要があるなと。
○南事業政策課調査官 すいません、補足説明資料の6ページ目をお開きいただきたいと
思います。これは一つの考え方ということで、幾つかの案をお示しさせていただいていま
す。これは、ファイアーウォール規制とこの本文中に書かれているものを一体どういう形
で、特に子会社の範囲みたいな、あるいは親会社、兄弟会社みたいなものを、一体どこま
で特定をしていく必要があるんだろうかということで、まず3つの案を掲げさせていただ
いておりますが、今、舟田先生ご指摘のとおり、やはりボトルネックというところが一番
独占力、支配力は高い部分でしょうということで、ボトルネックを持っている、今で言え
ば東西と言われるのを中心に考えるだけで十分だと考えるのか、マル3で書いてあります
のは、およそ支配的事業者であれば、ボトルネックを持っていようが、持っていまいが、
すべてファイアーウォールにかからしめるべきなのかという考え方につきましては、私ど
もとりあえずボトルネックというところが一番強い独占力を持っているので、そこを中心
に考えたらいいだろうというふうに考えておりますので、そことの関係で一体どこまで子
会社、親会社もすべて一律そういうファイアーウォールをかけていくという考え方をとる
のか、例えばそういう子会社の一定の範囲の中から郵政大臣が指定する範囲というものも
決めまして、その間でファイアーウォールをかけると。もし、必要であれば、弊害がある
のであれば持株会社も入れましょう、あるいはコムも入れましょう、ドコモも入れましょ
うということになるのか、その辺は実際の状況を見て特定していくというような手法が考
えられるのかどうかですね、その辺ぜひ……。
○舟田主査 でも、大まかなことは審議しておかないと。この6ページ、4の支配的事業
者に対する規制、前半はこれは支配的事業者全体にかかる規制ですね。それについてもフ
ァイアーウォール規制をかけるんですか。コムは書いてないけど。
○中澤データ通信課課長補佐 マル2番は間違えて書いてございます。すみません。
○舟田主査 ファイアーウォールというのは、やはり基本的にはボトルネック設備と関連
する規制ですよね。
○南事業政策課調査官 これは非差別性のところを書こうと思ったところがちょっと、マ
ル1のところの子会社等と他の事業者との差別的な取り扱いの禁止というところで、マル
1のところで尽くしておりますので、マル2は不要だというふうに考えております。
○山本専門委員 これは暫定的措置としてということですか。というのは、私はNTTを
独立させたほうがいいと思うんですが、具体的には例えば会計で接続会計なんかを見ます
と、インフラを使うのでアクセス料が必ず必要になるのでいつも大きな問題になるんです
が、世界の大きな流れは最初会計で分離するということでしたよね。その後、今度は機能
で分離するということになりましたよね。最後はやっぱり全部だめなんだと。例えば、イ
ンタートランサーの問題で結局ドミナントわかっちゃうんだから、組織を分離しなきゃい
けないというので、イギリスなんかを見ると発電と送電は分離しちゃったわけですよね。
そうしない限り公正な競争は担保されないという考え方なんですよね。世界の大きな規制
改革の流れは、そういうような組織分離のほうに向かっているんではないかと思うんです
よ、電力なんかを見ても。そうなってくると、ファイアーウォールがすごく大きな問題に
なるのは、日本が持株会社制という変な制度をとってしまったから、そこで会社の経営の
自立性が大きな問題になって、それを担保するために法的な規制をかけざるを得ないとい
う形で問題になってきているような感じがするんですが、あくまでもあと3年後とか5年
後とか、NTTは完全分離分割するんだという方向に行くならば、やっぱりそれは暫定性
のある問題としてやったほうがいいんではないかなというふうに思いますけれども。
○貝沼事業政策課長 ここの支配的事業者のルールというのは、一般的なルールというふ
うに考えておりますので、ボトルネック設備を持っている支配的事業者が仮に存在します
と、それが支配する例えば50%以上の子会社とか兄弟会社があれば、それはファイアー
ウォールをつくってくださいと。仮にその50%とか何か持株比率を下げることによって
……。
○山本専門委員 NTTの問題ではなくて、もっと一般的な支配的事業者で、NTT以外
も考えて……。
○貝沼事業政策課長 考えてつくりましたと。それで、NTTに当てはめたらどうなるか
と言えば、東西とコムとの資本関係が薄まれば薄まるほど、ファイアーウォールの必要性
はなくなるでしょうという構造だと思いますけれども。
○古川専門委員 ボトルネックの範囲としては、当然に会社の設備なりそれからいろんな
ことをお考えになるかと思うんですけれども、実は持株会社が研究開発部門を持っていな
いことによって、特定の技術が実は持株会社の下に行くことによって、それが引っ張られ
るということは当然あると思うんですね。ですから、資金的なものとか顧客情報以外にも、
主たる研究開発項目が持株会社の配下にあることによって、それが有利に働くということ
に対してどういうふうにバランスを保っていくかということをぜひご検討いただければと
思うんです。実際に起きていることというのは、例えば携帯電話でも着メロをどうやって
送信するかとか、そこに書いてある電話番号を外から見るときにどういったところでその
電話番号を引っ張り出せるかということを自体を開示してもらわないと、実はだれもプロ
グラムが書けないと思うんですね。そういうことが実際には、ほんの小さな仕様そのもの
がやはりほかの参入を妨げるというようなことに実際なっているようなケースもあります
ので、将来にわたる音声認識だとか指紋照合だとかそういう優れた技術もたくさんお持ち
なんですけれども、そういった研究開発の要綱も大きなセットであり、それそのものが支
配なりそういう権力を高めていくことにつながってしまうのではないかという感じがいた
します。
○舟田主査 それはどこで考慮するか、後でご検討ください。
 忙しくて申しわけないんですけれども、きょう1回で終わらせないといけないので、先
に進ませていただきます。
 次は、11ページで、一種・二種区分。これについてはいろいろな方からこれ以前にご
意見もいただいているので、こういう形で、きょう新しくつくったのは、そういうご意見
を踏まえてつくったものですけれども、これでよろしいかどうか。
 全体としては、マル1、マル2、マル3というふうに、現在合理的だというふうに考え
るけれども、しかしマル5、マル6のように修正はあり得ると。また、マル7にあるよう
に、今後ちょっとよく考えましょうと、そういう筋ですね。私個人はこれで書いていただ
いたらよろしいかなと思いますけれども、マル4はちょっとこれ……。
○佐藤専門委員 諸外国はあるといっても、一種、二種があるわけではなくて、一種、二
種がなくて、そういうものを別立てで残しているのはあるんだろうけれども、逆にこう書
くと「ええ、そうですか」といって、私はきょうの夜何か書きたくなると(笑)。ただ、
いいですよ。こう書かれたら、これでコメントをとられるわけでしょう、外に。
○貝沼事業政策課長 そうです。
○佐藤専門委員 だからコメント来ますけど、「いや、先生はこの委員で何か言うべきだ
った」と言われると、言っておかないといけないかなと……。
○貝沼事業政策課長 表現の仕振りについて、また佐藤先生等のご意見も……。
○舟田主査 あるいは、もうちょっと弱いトーンのほうがいいと思いますね。
○貝沼事業政策課長 わかりました。
○村上専門委員 エの非支配的事業者に対する規制の緩和のところですが、経団連からの
規制緩和要望等を見ていますと、業務区域とか設備の概要変更の届出制とか、役務区分の
届出制というようなものもあげられてますが、今回はここまでにするということですか。
○貝沼事業政策課長 この辺は、一応我々現在のNCCさんからの要望を踏まえればこん
なところなのかなという感じはしているんですけれども、もし     上障害になって
いって、利用者保護上問題がないような事項があれば、そこはもう少し追加していく余地
はあると思います。
○舟田主査 業務区域の変更は緩和するんではなかったですか。
○貝沼事業政策課長 12のマル6ですね。
○南事業政策課調査官 ふやしていく方向のものは大変ユーザーにとっても結構なことな
ので。
○佐藤専門委員 要するに、会議が終わって、外でいろんな人に僕が聞かれて、「一種、
二種、郵政は残すそうですね。でも、ドミナント規制というのはドミナントを規制するの
で、それ以外は自由になることを考えているんじゃないですか」と聞かれますよね、僕が。
それで、「いやいや、郵政省はきっと一種、二種を残すのでたくさん規制緩和を入れるん
ですよ」と答える場合、「この12ページを見てください」と言えばいいんですか。
○貝沼事業政策課長 11ページのエのところと、12ページのマル6ですね。
○佐藤専門委員 これだけ自由化するから、一種、二種あっても……。
○山本専門委員 一種、二種に関して、WTOでコンテスタブルな市場にするんだという
ようなことを言われていると思うんですね。通信コンテスタビリティーというですね。2
つあると思うんですよ。政策のコンテスタビリティーと市場のコンテスタビリティーと。
僕は、市場のコンテスタビリティーの問題を考えさせていただくと、なぜ通信がコンテス
タビリティーというふうに言うようになったのかというと、ヒット・アンド・ランができ
るということですよね。サンクコストをかけないでヒット・アンド・ランができるような
市場にしようということですから、ばか言うなと。電気通信事業はすごくサンクコストが
あるしね、投資したら埋まってしまうしね、特にインフラ、ボトルネックにかかわるよう
な投資をやったときには絶対にサンクしちゃうんでコンテスタブルになるはずがないと思
っていたんですが、一つの見方というのは、東大の斉藤も多分言ったと思いますが、退出
規制がないと無責任に事業を辞めて、そこのところのネットを使っている人が大被害を被
ると。だからやっぱり一種、二種は必要なんだという議論を言われていましたが、アメリ
カのゴングだと違うような感じですよね。M&Aをやればいいじゃないかと。だから、そ
ういう点でいうとね、一種、二種のときに、今言ったように退出規制をしないとね、顧客、
ユーザーが物すごく大混乱に陥って迷惑するという論理というのは、一つの論旨としては
あるかもしれないけれども、ちょっとそれとはまた違う別の論理もあるということは考え
ていただきたいというのが一つ、ここでの私の意見です。
○舟田主査 退出規制の認可どうするか、ちょっと私も考えていますけれども顧客が大迷
惑を受けた場合には民法上の損害賠償が入りますから、自由な退出はできないんですよね、
事実上ね。
○佐藤専門委員 これは全面否定されているわけではなくて、私が勝手に解釈すると、7
番見ると、いろいろ世の中変わっていきますので、一種、二種に限らず間口をちょっと広
くして検討しますと書いてあるのか。
○舟田主査 7番は非常に重要視してください。
○佐藤専門委員 そういうものをきちんとつくってくださるんだと、そこでまた議論を深
めましょうと。今すぐ議論で結論が出る問題ではないとは思っています。
○林主査代理 7番でなしに、1番、2番のところなんですけれども、先ほどのキャリア
ズ・キリャアという制度を入れるとしますと、例えば自治体は「許可制の下で規律するこ
とに合理性がある」という文章に服することになるわけですか。
○貝沼事業政策課長 そうですね。
○林主査代理 ちょっときついような気がするけれども。
○南事業政策課調査官 実は、ほかの委員からも「自治体で一種事業者になっている例な
んてあるのか」というお尋ねがありまして、実はCATVインターネットみたいな事業と
いうのは、三セクで自治体さんがおやりになられているケースは多数あるんですけれども、
それ以外に富山県の小さな町、八尾町というところで、許可をされているところもござい
ます。
○林主査代理 現行はそうですけれども、貸し出すだけだったら事業者になっていないわ
けですよね。しかし、今度はキャリアズ・キャリアとしてそれをそれを一種事業として位
置づけようとすると事業者になりなさいというのが先ほどの話ですよね。なるとすれば、
第一種事業者と。ゼロ種事業者というのをつくらない限り、第一種事業者になりますよね。
その第一種事業者というのは、ここに書いてあるように「事業の安定性、確実性の確保の
観点から、許可制の下で規律することに合理性がある」という文言に服することになると
いうことなんですかね。
○南事業政策課調査官 今までどおりIRUベースで芯線貸ししかしない自治体さんは、
今までどおり……。
○林主査代理 そうか、なるかならないかは自治体の自由ですということですか。
○南事業政策課調査官 はい。それよりもっと幅広いメニューで役務として提供されたい
という場合には、一種の世界にお入りいただきたいと。
○林主査代理 全部なれというわけではないということですね。
○南事業政策課調査官 はい。
○林主査代理 わかりました。
○天野電気通信局長 それから、もっぱら他の事業者だけを相手にサービスを提供するよ
うな、自治体がもしやるとした場合ですね、その場合の許可制を今の一種事業のところよ
りもっと、先ほどの規律を薄めるという表現がちょっと気になるとおっしゃいましたけれ
ども、エンドユーザーを持たないわけです。ですから、その辺のことを考えると、やっぱ
り今の一種とは違う、もっと緩やかなものをイメージとしては描いております。それから、
従来のようにIRUベースでやる場合には全く自由と。結果としてもっと幅広くやれる余
地を残すということです。
 それから、先ほど佐藤委員のおっしゃいました、一種、二種と支配的事業者がトータル
として規制が多くなるようなイメージに受けとられるというのは、私どもそれはちょっと
いけないと思っているんですね。私どもの大きな流れとしては、一種、二種という問題は、
基本的に設備ベースでもって市場に入ってくる事業者に対しまして、参入時、それから退
出時における消費者保護、あるいは利用者保護の観点から何らかのチェックが必要なんで
はないかというのが大原則で、そこにはやっぱり設備ベースのものには公益事業特権とい
うものがあるわけですね。ですから、特別見ましょうと。参入後の不公正な行動につきま
しては、できるだけ支配的事業者の概念でいって、そこはもう極力薄くしていきましょう
という大きな考え方があります。そのときに大きな流れとして、もう一つ放送のほうでハ
ード、ソフトを分離する流れがございます。ですから、そういった大きな通信法制の骨格
の中で、私どもは今言った一種、二種の在り方論と、それと通信、放送を含めて設備規制
といったものを統合的にとらえていこうということで、今ここですぐに結論を出すのはま
だちょっと時期尚早だけれども、問題点としては指摘しておいて、そういう作業を早期に
始めていけたらいいんではないかと。ただ、当面のやり方としては、一種、二種というの
は設備ベースで入ってくる事業者に対する参入、退出の点でのチェックを意識しておりま
して、それは当面必要なのではないか。だけれども、プレーヤーとして入ったものが市場
の中で行動していく、そこについてはできるだけ支配的事業者規制で支配的な事業者に対
しては厳しくするけれども、非支配的事業者に対しては緩やかな規制で臨もうと。今まで
よりもっと緩やかに。だから、トータルとしては変わらないんですよというようなイメー
ジをはっきりしたいと、こういうことなんです。
○佐藤専門委員 見た人が大幅に規制緩和されて自由競争を原則にしたルールづくりだと
見えるように書く必要があると思います。
○天野電気通信局長 はい。
○舟田主査 マル2のところは、私は前回はたしかゼロ種事業者というカトリブリはどう
かということで、林先生のようなご指摘を私も思っていたものですから、ちょっと文章で
変なことですけれども、「通信の途絶に伴う利用者への不測の損害の防止」、これだけち
ょっと消していただけませんか。事業の安定性、確実性があれば、それは一種事業者とし
て安定性、確実性があるのであればこれを含むというふうに広くとってですね。
○山本専門委員 今の局長さんの言葉なんですが、やっぱりコンテスタブルとい概念をも
うちょっと検討してほしいというふうに思います。どうもコンテスタブルではないような
ので。消費者保護ということになると、やっぱり一種、二種という形で、一種はやっぱり
参入に対しては必要だということでしょうから。
○舟田主査 南さん、ゆっくり山本さんと議論してください。
○林主査代理 銀行業の規制緩和も参考になると思いますので。
○舟田主査 14ページにご意見を入れまして、ノーアクションレターとパブリックコメ
ントですが、これはよろしいですか。
○佐藤専門委員 やっぱりペティションルールはだめですか。行政のルールにここ変えて
くださいと一般の人が言うのは、無理ですか。
○南事業政策課調査官 無理といいますか、実行上の話としてどこまでできるのかという
ことと、法律上のシステムみたいな形でつくるのがどうなのかというふうに言われますと、
今、我が国においては請願法と言われる立派なものもございますし、そういったものと別
にもし通信固有のもので、法律的な仕組みをやることが本当にNCCさん等の望んでいら
っしゃることなのか……。
○佐藤専門委員 そう書いてもらえますか。そういうところがあるから、そっちでやられ
たらどうですかと。だから、ペティションルールはつくることを考えていないとか、何か
書いてもらえませんか。
○舟田主査 それでは、報告書では書かないとしても、次回の競争政策委員会に1枚ペラ
で、自分たちはこう考えているというね。
○佐藤専門委員 外の人がそれを見てつくってくれという人がたくさんあるわけですよね。
そうすると、つくらない場合には、つくらないことを説明しないといけないと思うんです。
○舟田主査 ちょっと扱い方を検討してください。
○南事業政策課調査官 わかりました。
○村上専門委員 13ページのイのマル4ですけれども、「競争事業者からの苦情・申し
立て等に対し、速やかに対応することが求められる」ということで精神論になっているん
ですけれども、例えば「速やかに対応する仕組みが求められる」というふうにもう半歩ぐ
らい踏み込めないかと思います。
○佐藤専門委員 こういうのは、どこまで実行性があるかというのがあって……。
○南事業政策課調査官 これは期待の表明みたいな感じなんですね。
○佐藤専門委員 審議会もいろんなものが整備されているわけですね。
○舟田主査 処理機関に持ち込まれる前の話ですね。そうすると事業者側で仕組みをつく
るというんじゃないですか。
○村上専門委員 その場合もありますでしょうし、例えば公正競争推進室に出てくるもの
をもっとオープンにしていくとかいう対応もあるかと思うんですが。
○貝沼事業政策課長 一番強いのは、例えば支配的事業者の義務規定として、競争相手か
らの苦情に誠実対応義務を法律上書くみたいなんですね、一番強いイメージとしては。そ
こまで書け得るかどうかというのは、ちょっと我々も、どんな苦情に対しても、あらゆる
苦情に対して誠実に対応しろという義務を法律上の義務として支配的事業者に課すことが
バランス上どうなのかなという感じで、ここはちょっと「仕組みが求められる」ぐらいの
感じでもう少し考えさせていただきたいと思っています。
○佐藤専門委員 この辺もうちょっと、どこかで小委員会とか何とかいろいろ聞かなきゃ
いけないんだけど、具体的にどういう形になるだとか、あるいはパブリックコメントは審
議会の議事録は全部オープンにしてくれるのか、ほかの行政の在り方に対しては幾つかあ
るかと思うので、その辺も必要ないんだとか、できるだけここの会議みたいにオープンに
していく方向でやるとか、幾つか書いていただけませんか。
○貝沼事業政策課長 全体の話でございますので、26ページにですね、いろんな意見が
出されたんですけれども、ここで言及できなかったことが、例えばペティションルールだ
とかいろんなものがございますので、そこについては今後検討するということと、最終と
いうか、一次答申に向けてですね。
 それから、もう一つは、パブコメについていろんな意見が出たけれども、それについて
行政として、あるいは審議会としてどう考えるのかという1対1の対比表見たいな形で意
見を示すべきではないかという話もございますので、それも21日のときには、そのパブ
コメを出していただいたことに対する対応としては必要なのではないかと思っております。
○佐藤専門委員 わかりました。
○舟田主査 それでは、15ページ。NTTの、今回網かけの部分のところと、それから
特にインセンティブ規制というのが23ページにございますので、その辺を中心にご議論
を進めていただきたいと思います。どうぞ、どなたからでも。
○村上専門委員 副次的なことなんですけれども、15ページですが、(1)の基本的視
点のマル2で、「グローバルな事業展開のいずれの面でも、牽引的役割を果たすことが期
待されている」というふうに強まっているんですが、これはこの前のままでいいんではな
いかと思うんですが、いかがでしょうか。そう強くは期待されていないんではないかと思
いますが。
○舟田主査 ワン・オブ・ゼムだと。
○村上専門委員 前の文章はそういうニュアンスがありますので。
○南事業政策課調査官 わかりました。
○舟田主査 マル5、マル6、マル7あたりですね。マル7あたりは、これは村上先生の
ご意見を入れてこういうふうに書いてみたんですけれども、ちょっと私もきのう、おとと
い読んで、苦しいなと。15ページ一番下の持株会社のもとでNTTグループがある以上
は、グループ内企業間の競争は期待できないのではないかとの指摘もあり−−これは村上
先生ですね、と私理解したんですけれども、そうすると、見直せというのを入れたという
ことなんですけれども。
○貝沼事業政策課長 村上委員のご指摘というのは、原案についてのコメントだったんで
すけれども、まず持株会社を前提として、持株会社をどういうふうに改善するのかと、グ
ループをどう改善するかと言っておいて、最後にグループを検討するというのは回りくど
くて、そもそもグループとそのグループ内における相互競争なり、グループ内の企業の独
立性というのが矛盾するんではないかと。したがって、自主独立制を発揮させたいとか、
あるいは相互競争を参入させるべきだというのがポリシーだとすれば、ストレートに持株
会社を廃止するというのが結論であるべきではないかと。論理の流れとしてですね。それ
で、それに対して、私ども、その意見をストレートにそのまま持株会社は廃止しますとい
うことで今回議論しましたということでは、やはり現実性とか、あるいはこれまでの議論
の経緯等−−議論というか、過去からの経緯なんかも考えれば、やはり持株会社をスター
トさせたところで、この15ページのマル5の3つを実現し得るという期待のもとに持株
会社をスタートさせたんではないかと。それで、本当にできているかと。できていなけれ
ば、直ちに持株会社をなくすということではなくて、何か改善の余地がないのかというこ
とで検討し、その改善ができなければ、持株会社そのものを検討するというのが段階をへ
た扱いというんでしょうか、そういうプロセスなんですよということを(1)のところで
明らかにしておけば、村上委員の論旨が明確ではないかということに対する一応の答えに
なっているのかなと思って書かせていただきました。
○佐藤専門委員 何回か読むと、グループ内の競争の話しか書かれていなくて、グループ
を見直したほうがいいと見えて、でも上のマル5を見ると、グループ内の自主性、競争の
話とほかの事業者との競争の話が両方上げられていて、両方入れたほうがいいかなという
気もするんですが、最後のほうにやっぱりグループ内の競争もそうですが、グループ以外
との競争も含めて競争を機能させていくためにグループで全体の在り方を見るんだといっ
たほうが……。
○貝沼事業政策課長 おっしゃるとおりだと思いますね。だから、持株会社のもとでグル
ープを形成する限りにおいては、内の競争だけではなくて、外との公正競争も達成できな
いんではないかというご指摘……。
○佐藤専門委員 それはNTTの経営の問題だみたいなものに対してものを言っているよ
うに、内部だけの話に見えるから、市場全体の競争を活性化していくための努力というの
は、もう1回見直す必要があると。
○舟田主査 市場全体の競争のためにも、NTT各社間の競争をやることが大事だという
ことですね。
○佐藤専門委員 もっと大きく考えているというほうがいいのかなと。
○舟田主査 そういう文章のほうが格好いいですね。
○南事業政策課調査官 わかりました。
○林主査代理 基本的な考え方として、グループ経営をやって、グループ全体として効率
的な経営をしようとして、その効率的な経営実現のためには傘下の企業を相互に競争させ
たほうがいいという判断はあり得るわけですね。AT&Tが自分で自分を分割していると
いうような流れを見てみると、恐らくそういうことは信憑性が高いのではないかと思われ
ますが、にもかかわらず、そういうことをあえて持株会社がやらなければ、持株会社とし
て非効率的な経営をしているということに世界の目から見ると見えてくる可能性がありま
すね。そこで、外資規制を大幅に、持株の外資規制を仮に撤廃するというようなことがあ
れば、NTT持株といえども乗っ取られると。つまり、資本の論理でディシプリンを受け
るという可能性がありますけれども、そういう流れにはこの報告書はなっていませんです
ね。だから、NTTが資本市場から罰を受けるということは全く前提に、想定に入ってい
なくて、それはずっと大丈夫だろうと。ずっと大丈夫だから、さぼった経営をやるんでは
ないかと。つまり、グループ間でテリトリーに線を引いて、静かな人生を歩きましょうよ
みたいなことをやるんではないかと。それは国民生活にマイナスだから、経営形態の変更
等を考えると、そんなロジックになっているように思うんですけれども、そういう認識で
よろしいんでしょうかというのが私にはよくわからない。
○舟田主査 ただ先生、NTTの主張は、このままで行くとむしろそうなってしまうから、
業務範囲の拡大とかもっと自由にやらせてくださいという話ではなかったかなと思うんで
すが。このままで行ったら支障があるから、株価が下がっている、彼らはきっとそれを気
にしていますから、市場から今ひどい評価をだんだん受けつつあるという危機感から、だ
から業務範囲の拡大、そういうこともあるんではないですかね、NTT自身というのは。
○林主査代理 それは多分、規制当局に対してはそういう態度に出るかもしれませんが、
非常に巨大な資本を持つ国際資本があったとすれば、自分が持株に乗り出しておいて、子
会社を大いに競争させるというのは自分でできることですから、レギュレーション関係な
しに自分でできることですから、そういうことが理屈の世界では起こり得る話かなと思っ
て、むしろそういうことが起こりますよというしかけをしておいたほうが効くんではない
かという気がして。
○貝沼事業政策課長 今の林先生がおっしゃったことを具体的にどうするのかというレベ
ルで考えてみますと……。
○林主査代理 恐らく、NTTに対する外資規制をかなり大幅に緩和するということでし
ょう。いわゆる通信規定みたいなことも言わないと。
○貝沼事業政策課長 つまり、グループ経営の効率化ということで、例えばグループを独
立性をふやしていくベクトルに働かせるためのインセンティブとして、いわば外資の脅し
をかけるというような、外資規制を撤廃することによって……。
○林主査代理 なぜグループ性が問題にされるかというと、本来活発な競争があったら還
元されるべきメリットが消費者やユーザーに還元されていないという判断があるから政策
課題だというふうにとらえているわけですね。それを政策課題として対応していくという
やり方が一つと、もう一つはもしそれが非効率的な経営のあらわれであるとすれば、非効
率的な経営をただす仕組みとしては、別のディシプリンもあるかなと。
○貝沼事業政策課長 資本マーケットにさらすことによってということになりますか。
○林主査代理 そう。
○有冨電気通信事業部長 ただ、今、別の委員会でもお諮りしていますけれども、経済の
論理だけでやれば多分そういうことなんでしょうけれども、果たしてそれでまたいいのか
という、経済規制でいいのか、政治的規制というんですかね、経済的規制でない観点での
心配事が結構強いですね。その辺は経済論理だけでインセンティブでいいんではないかと
いうのはちょっと……。
○林主査代理 もちろんオール・オア・ナッシングではないと思うんですね。
○有冨電気通信事業部長 はい。この論理だけですべていいんだということになると、ち
ょっと別の委員会との調整が必要かなと。
○貝沼事業政策課長 そうですね。最終的な結論に向けては、国際競争力小委員会でご議
論いただいている外資規制の問題とも調整してということだと思うんですが、ただ、競争
政策でも林先生がおっしゃったような、そういう資本マーケットにさらすことによって経
営の効率化を図るとか、あるいは子会社の独立性を進める方向に導くべきだというのは一
つの重要なポイントではないかと思っておりますので、ちょっと今のレベルでご指摘のと
ころを表現に盛り込めるかどうか検討させていただいて……。
○舟田主査 そうですね。思い出しましたけれども、5年前の審議会のときには、NTT
の経営形態を前提に、経営がどれだけ合理的かどうかというようなことをどう評価するか
やりましたよね。現在、特に東西については外から見て、資本市場から見て厳しい目があ
ると。これでもし外資規制が外れたらもっと厳しくなるというようなことがもし書けるん
でしたら、ちょっとご検討いただきたいと思います。
○山本専門委員 そういう経済の論理だけではなくて、前ヒアリングを聞いていたときに
感じたんですが、グループ運営、グループ経営のメリットというものが強調されていまし
たよね。その中で一つ、人材の活用・流動化という論点が非常に大きな論点でNTTが主
張していたことだと思うんですが、それはある意味で言ったら政治の論理で、これを分解
でもさせて競争でもさせたら、ますますリストラ策、合理化が進むよと。10何万人とい
う従業員を維持しているのは持株のためだよというね、持株があるから維持できるみたい
な、そういうニュアンスにもとれたんですがね、そうなってくると、単に経済の論理では
なくて、多分政治の論理がこれまた入ってきて、さらにややこしい問題になるような感じ
がするんですよね。だから、そういう点で言うと、すごく慎重にやらなきゃいけないと思
うんですが、とりあえずインセンティブを与えるというところが一番大きな問題になると
思うんですが、私ちょっと懸念するのは、この資料3の12ページに書かれた、すなわち
求めているものに対して汗をかいてもらうよという貸借対称表みたいなものをつくりまし
たよね。これすごくうまくできていて、NTTが要望している、要望する可能性がある事
項に対して、それは認めてあげるからこういう汗をかいてくださいという条件でもって規
制をやっていくということなんですが、2番だけは確かにもう来ているというんですがね、
1番とか3番とかね、これ場合によってはNTT自体が汗をかくほうと対比して求めてこ
ない場合もあるんではないかというふうに思うんですよ。懸念がある。そうすると、もう
具体的なインセンティブを与えてあげないといけないんではないかなと。その具体的なイ
ンセンティブなるものというのはすごく難しいと思うんですが、例えばアメリカでこれは
発電所を自由化したとき、カリフォルニアだと思いますが、新規参入の発電事業者に売却
させるために、既存の統合後の電力会社が税法上のインセンティブを与えたと、そういう
ことがありますね。それで、既存の事業者は発電所を売却しなさいと。新しい事業者にそ
れを運営させると。そういう具体的にメリットがあると思えるようなインセンティブがな
いと、抽象的なあれでは要望しない可能性もあるし、動かない可能性もあると。そこが大
きな問題ではないかなと。ちょっと詰めなきゃいけない問題ではないかなと思うんですけ
れども。
○舟田主査 重要なご指摘だと思いますので、うまく言えるかどうかわかりませんけれど
も、ひとつ考えてみてください。
 ただ、12ページのこの辺にあることは、NTTさんが今実際に主張しているものもあ
るし、していないものもあるけれども、しかし制度的に可能にしておくということは、や
っぱりそれなりに意味があると思いますからね。
 インセンティブのこと、ほかにいかがでしょうか。23ページあたり。
○佐藤専門委員 基本的に、こういうインセンティブをつくっておいたりするのは方向と
して正しいと思うんですが、これがことし例えばこう決まると、そのインセンティブの具
体的内容は来年いつまでにまた検討するんだとか、そういうスケジュールが新たにできる
ことになりますね。
○貝沼事業政策課長 全体の実施スケジュールというのは、ほかの小委員会でご議論いた
だいているアイテム等も含めて総合的にご判断いただきたいとは思っておるんですけれど
も、仮にインセンティブ規制措置を来年実施するということになりますと、そのインセン
ティブの中身にもよるわけですけれども、例えばNTT法における経営自由度の付与とい
うのがすごくNTTが求めていることだということだとすると、NTT法に事業法上の何
々をするならばとか、あるいは……。
○佐藤専門委員 NTT法の中に書き込む形になるわけですか。
○貝沼事業政策課長 ええ。物すごく単純なことを法的に書けるかどうかは別として、ド
コモとかコムの持株比率を下げるならば、認可は外しますよとかということをですね、事
業計画の認可は要りませんよということをNTT法に書くと。
○佐藤専門委員 NTT法に書かれている業務範囲はNTTのいろんな規制ですから、そ
こに書き加えるわけですか。
○貝沼事業政策課長 そういうイメージだと思います。法律上に。もし、これを措置する
とすればですね。
○佐藤専門委員 そうすると、今度の国会に出す中に具体的に、要するにそういう具体的
なインセンティブの条項を書く予定なわけですね。
○貝沼事業政策課長 そこは仮にという留保があると思うんですが、仮に来年やるとすれ
ば。
○佐藤専門委員 要するに、電気通信事業法だったら、事業法は通しておいて、後で省令
で細かいところをつくったりしますよね。そういう形ではない。
○貝沼事業政策課長 ちょっとそこまで詰めた議論ではないんですけれども。
○林主査代理 ちょっとそれに関連して、法律にそういうのを書くのが、法律家でないも
のですからどういう意味を持つのかよくわからないんですが、これ仮にペアにして条件だ
としますね。あるいはグループで条件だとしますと、左側をクリアしない限り右側をやら
せないよというわけですよね。世間がどう要望して、テクノロジーがどう変わろうと、左
側をNTTが変えない限りやらせないよというメッセージになりますよね。ちょっときつ
いような気がしないでもないんですけれどもね。
○貝沼事業政策課長 ご指摘のとおりだと思うんですが、ただ23ページのエのマル4に
書かさせていただいているんですけれども、このインセンティブ規制というものを仮にや
るとした場合に、どういう枠組みでやるのかと。つまり、ある意味でディーリングになり
ますので、行政の裁量の余地が大きくなったり、あるいは法的ルールの外でやっちゃうと、
実行上やっちゃうということも可能性としてはあるわけなんですけれども、やはり透明性
を高めた運営をしていくということからは、ここに書かせていただいておりますように、
できるだけ裁量の余地を少なくして法的ルールにすることによって、NTTからも例えば
ネットワークのオープン化ということについてレベルがあるとすれば、ネットワークのオ
ープン化についてこれだけやっているのに、右側のインセンティブ措置を行政が与えない
ことはおかしいということを法的に解決できるような枠組みが望ましいんではないかとい
う考え方もありますので、法律に書くことが厳しいという側面、法律に書くことによって
紛争を法的に処理できるという側面もあるんではないかというふうに思っているんですけ
れども。
○林主査代理 私、そこがわからないんですが、日本には司法取引という制度はないんで
すよね。一種の司法取引的な考え方ですよね。それを条件を限定して、列挙して、規制緩
和事項もかなり限定的にやりますと、書かれたこと以外はできなくなっちゃいますよね。
例えば、NTTは左側のことで、あるいは追加的なことで大いに貢献したことがあると。
かわりに、右側に書いていないけれどもほかのことをやらせてくれということが起こった
ときに、それは書いてないからできないよと。
○舟田主査 それはまずいですよね。何かそういう仕組みはできそうですね。
○林主査代理 何か非常に硬直的にこれをとられてね……。
○舟田主査 例えばこれが全部できないとこれは一切だめとかね、そうなると困る。もう
少し、ほかにこういうことがあるから、ほかにこういうこともさせてくれとか、そういう
ような仕組みは確かにね。
○貝沼事業政策課長 12ページの絵は説明不足だったかもしれませんけれども、本文の
23ページのエのマル3の具体的内容、そのグループが講ずべき諸措置との組み合わせ等
を早急に検討すべきであるという趣旨は、12ページの絵の3対3がバンドルしてワンセ
ットですよということではなくて、これの順列組み合わせがいろいろあるんではないだろ
うかと。それで、ここに書いたのも例示として書いたわけでございますので、NTTがや
るべき事項ももう少し何かあるかもしれないし、規制緩和についてももう少しあるかもし
れないということですので、そこをバランスがとれるような形で法的ルール化できれば、
例えばなんですけれども、ドコモの持株比率の引き下げと経営の自由度というのがバラン
スして、業務範囲については別のネットワークのオープン化をするならば業務範囲が拡大
できるというような道もあると思うんですけれども、そこは組み合わせの中でですね。
○村上専門委員 この12ページの整理、非常にわかりやすい整理になっていると思うん
ですけれども、これは左側全体に対して右側全体とか、一つ一つが対応しているとか、い
ろいろな考え方があると思うんですが、まずはネットワークのオープン化と業務範囲規制
の問題というのは競争そのものにかかわる事項だということで、この業務規制にかかわる
NTT法の、インセンティブの対象にこれをしてしまうのはどうかなという問題が一つご
ざいます。
 それと、このインセンティブというのは、先ほど貝沼さんおっしゃいましたように、経
営にかかわるところ、つまり、ドコモ、コムの持株比率の引き下げというものと経営の自
由度の付与というのを対応させるというのは非常によくわかるんですが、例えば放送業へ
の出資というのは、相手方の事情、つまり通信・放送業融合の問題で別の考え方、規律等
がある話ですから、それをNTT法のインセンティブ規制の中に優先的に入れてしまうと
いうことができるのかなと思います。できるのかなというのと、はたして適切なのかなと
いう思いがありまして、この対応関係と扱う事項というのはかなり慎重にしないと、前半
で競争法的側面を強化するために言っていたことを否定してしまう可能性もあるんではな
いかと思います。
○山本専門委員 そういう点で言うと、やはりこれは司法取引にかなり近い感じですよね。
だから、インセンティブ規制というのは、私の持論なんですが、具体的にインセンティブ
が働くように、目に見えてだれが見てもわかるような形でやるほうがいいんで、これはあ
る意味で言ったらば、規制緩和に向けた郵政省の戦略というようなとらえ方を私はしてい
るんですが、それはそれで結構なんですが、司法取引も規制緩和の大きな流れの中でやっ
ていいというような声もありますので、それは含めて考えてもいいと思いますが、ただこ
れが本当にインセンティブになるのかどうかというのは、ちょっとよくわかりませんね。
だから、ここは本当に戦略の問題として郵政省が考えなきゃいけない問題なのか、ルール
化すべき問題なのか、そこはもうちょっと練っていただけませんかね。
○舟田主査 私のほうから私の理解を申し上げますと、左側、NTTが講ずる事項という
のは、すべて日本の電気通信市場が競争化するための措置だと思うんですね。右側も一番
広い意味では、広い意味での電気通信市場の活性化につながるだろうと。そういう意味で、
一番広くとれば、左と右は対応していると。それを今度は、村上さんおっしゃったから伺
いますけれども、これとこれがどう対応するかということを細かくどこまでやるかですね。
おっしゃった意味はそういうことですか。
○村上専門委員 というよりもですね、業務とか事業にかかわる競争の問題と経営の問題
は別で、私はインセンティブ規制というものを考えるとすれば、経営の問題に限って議論
をすべきなんではないかと思うのです。競争の問題は前半の競争ルールの問題として、イ
ンセンティブ、司法取引の対象にはしないというほうが健康的なんではないかなという感
じなんですがいかかでしょうか。
○貝沼事業政策課長 議論の参考のためでございますけれども、次のページにアメリカの
例がございまして、私どもの理解では、2つアメリカはインセンティブ規制ということで
求めることとやってほしいという条件を組み合わせたことをやったんではないかというふ
うに思っておりまして、第一は司法取引に類似のものかもしれませんが、AT&Tを完全
分割したと。そのかわりに情報サービスとか製造業への進出を認めたと。これを12ペー
ジの表に戻して考えますと、一番下のドコモ、コムの持株比率の引き下げと放送業、製造
業への進出を認めたと、これを結んだような措置がAT&T分割だったんではないかと。
96年の相互参入促進のための措置というのは、左側にございますように、ネットワーク
のオープン化、つまり接続ルールの実施、あるいは深化ということと、右側の地域に限ら
れたものを長距離市場に進出を認めたと。これを12ページで言うと、上のオープン化と
業務範囲規制の緩和ということを結びつけたということなんではないかというふうに理解
できるんではないかなと思うんですが。
 あともう一つ、村上委員ご指摘のとおり、12ページの左側の枠に書いてあることがす
べてインセンティブ措置で実現するものということではなくて、例えば光のアンバンドル
化というのはルールによって当然できるんではないかと。何もこれをやるためにインセン
ティブをあげるなんていう必要はないんではないかというようなものもあると思っており
まして、これも僕らもアメリカの制度をもう少し勉強しなくちゃならないと思うんですけ
れども、アメリカも接続ルールということでアンバンドル化しなさいだとか、番号クォー
タビリティーを実現しなさいというふうに言っておきながら、それを14項目のチェック
リストなんていうことでインセンティブの道具に使うというのはどういう構造になってい
るのかと。だから、そこは最低限法的にやらなくちゃならないことと、インセンティブに
よってあげられるレベルが違うということなのかなという感じもしますし、先ほどご説明
しましたOSSみたいな運用支援システムのオープン化というのも相当程度の違いがある
ので、高いグレードでなければインセンティブをあげませんよということによって、OS
Sを高いレベルで開放させるというような政策をとったのかもしれないというふうに考え
られますので、もう少し深めて、具体的な組み合わせと中身について事務局も検討させて
いただきたいと思いますし、ぜひ委員の先生方からもこの件についてのコメントをいただ
ければと思います。
○佐藤専門委員 余りしゃべっていない方に申しわけないからどうしようかなと思います
けれども、このページを見ると、僕が見るとインセンティブ規制の在り方にも見えるけれ
ども、そもそも競争政策なんですよと。NTTがいろいろなところへ出ていって競争する
のは、基本的にいいじゃないですかと。ただ、ドミナントなものを利用して、そこを開放
せずに出ていったり、そこを使えるような状況はやっぱり悪いねと。だから、そういうも
のを開放したり、何かあるルールをかけて、それによってNTTもぜひ競争に出てくださ
いと。僕は全部競争ルールだと思うんですよ。それを実現するのに、あるところは義務化
して、接続の一部や何かですけれども、ルールとして決める場合もあるし、特に経営に近
い部分になると、自主的に判断してくださいと。今のルールだったらあなたはこれしかで
きませんよと。新しいルールのもとで何かするんだったら、この条件を満たしてください。
要するに、命令してもいいわけですよ。この条件をこうしてつくっちゃいますよと。会社
もこうしなさいと。そのかわりこれができますよとつくってもいいんですけれども、イン
センティブというのは単に手段だから、一般的にアメリカだったら、法律があって財産権
や既得権があれば、今の法律でできなければ選ばせるわけですよね、命令できないから。
でも、それが本当に社会的におかしければ、法律まで変えてしまって命令してしまうとい
うレベルに行くわけですよね。だから、本当にコンセンサスがあれば、インセンティブで
はなくてここら辺を全部法律的につくることも可能なわけです。ただ、特に経営の問題も
含めて、ある種インセンティブという仕組みの中で実現することを今回考えていると。た
だ、エの全体で言うと競争政策だと。手段の一部にインセンティブのやり方を入れている
と。それとあと、中身の対比でやっぱりちょっと心配なところがあるので、議論を深めて
いただきたい。ネットワークのオープン化や何かと放送、製造業に入っていく話と、競争
を担保するには違う議論が必要かもしれないし、中身は議論してください。お願いします。
○舟田主査 ほかにいかがでしょうか。もう余り時間ないですけれども、この点。あるい
はNTT問題全体。
○林主査代理 最終的な報告書の文言によってイメージが変わってくると思うんですけれ
ども、私はこういう条件を設定してというのは、まだ釈然としない部分があるんですね。
それよりも、それこそ司法の論理なんかのほうを効かせたほうが、自分の判断してやって
くれるほうがいいんではないかなと思うんですけれども、そこは認識の違いがあって、ス
ピード感覚の違いもあるだろうと思うんであれなんですけれども、何かちょっと問題を矮
小化しているうような気がしてしようがないんですけれども、これをやったらこれをあげ
るよと。子供を指導しているようにいい子にしてたらこれをあげるよと、いい子してたら
クリスマスのプレゼントが来るよと、それが事業者と規制当局との関係として健康な関係
なのかなというところが釈然としないんですね。
○山本専門委員 だから、右側の項目は規制緩和をやるんだということで、方針を打ち出
して、ただドミナントだからこの条件は飲まなきゃいけないよというので左側の項目をか
なり強制的に実施する。競争政策として。そういうスタンスも一つはあると思うんだよね。
そういう場合は、戦略性の問題で、さっき言ったようにインセンティブ規制みたいな話じ
ゃないような感じはちょっとするね。規制緩和をやるんだと。規制緩和はやるんだけれど
も、ドミナントだからこういうものはきちんとやってくれと。そういう出し方のほうが非
常にわかりやすいですね。でないと、規制緩和ということの意味がよくわからなくなって
しまうような感じがするんです。
○林主査代理 ドミナントの場合は50%ルールを仮に設定するとすれば、50%を切っ
たら外れますよとなるんですよね。そこに含まれているわけですから、これと同じような
ことが、あとちょっとの努力でこれだけ獲得できるみたいなインセンティブが働くと思う
んですね。だけれども、これは私は司法取引というふうな考え方があれば、これをやる余
地は十分あると思うんですが、それをレギュレーションの方策として政策としてやるとい
うことはどうかな。さっきの82年のAT&Tも、実はあれは裁判所がやった話ですよね。
だから、政府が法律をつくって政策としてやったことではないんで、ちょっとそこのレベ
ルが少し違うんではないかなという気がしてしようがないんで、私まだ整理し切れていな
いんで、もう少し考えてみたいと思うんですけれども。
○貝沼事業政策課長 山本先生、あるいは林先生のイメージをちょっと……。例えば、具
体例でどういう対応をするかということで考えてみますと、仮にの組み合わせなんですけ
れども、ドコモの持株比率の引き下げをやるべきだというアナウンスメントをして、それ
をしない限りはNTT法の事業認可の規制緩和をしないということで、何もしないで放っ
ておくと。それで、NTTがドコモの持株比率を下げたと。それならば、NTT法の規制
緩和を実施しましょうというような対応ということなんでしょうか、例えば。
○山本専門委員 それも何かなかなかどぎついですね、改めて聞くと(笑)。もうちょっ
と検討したらどうでしょうか、大事な問題ですから。
○高村専門委員 この表で見ると、こうやって書くから左の条件になってもいいというふ
うに見ちゃうんですよ、視覚的に多分。だから、逆にしたっていいわけね。規制緩和を先
に書いておいて、活性化が大事なんだと。そのためにドミナントは何をすべきかというふ
うに、視覚的にはそうですよね。そうでなかったら、規制緩和のほうをカラーで書くとか
ね。そうしないと何となく条件、ご褒美でこうなるというのが一番まずいですよね。素直
に見た場合ね。だから、もうちょっと表現、在り方の議論からすると、ちょっと工夫が要
るんではないですかね。
○舟田主査 よろしいですか。時間をちょっと超過していますので。
 それでは、23ページのところ、恐らく23ページのエのマル3、「そこで」というと
ころですぐに来ているわけですけれども、文章はこれでいいのかもしれませんけれども、
この補足資料なり何かのところでちょっと詳し目の説明資料ですね、をつくっていただけ
ますか。インセンティブ規制というのはこういうふうにやるとか、ちょっと林先生のご議
論に対してこういうふうになるとか、あるいはアメリカとの比較とか、山本先生のアイデ
アとか、ちょっと別紙ということでつくっていただいて、特別部会に報告するときに、そ
のまま出すかどうかは別にしまして、このまま出すとまた同じような議論が特別部会でも
出るような気がするんですよね。でも、きょうは大変貴重な意見をたくさんいただいたと
思いますが、なおさらにまた何かありましたから……。かなり長いものですから、よく読
んでいただいて、ご意見は11月13日(月)までにくださいということです。きょうの
ご議論といただいた意見をもとにきょうの資料2の答申案を修正して、16日に開催され
る特別部会に報告をするという形になります。
○貝沼事業政策課長 大変スケジュールがタイトで恐縮なんですけれども、16日の部会
でパブリックコメントを出すということは、ほかの小委員会との関係でなかなか動かせな
いということでお願いしたいと思うんですけれども、それで、大変重要なところをご議論
いただいておりまして、事務局に宿題もたくさんいただいたんですけれども、その宿題を
ぜひ小委員会の皆様方でもんでいただければ、16日には大変議論を尽くしたような形で
部会に報告できるんではないかというふうに思っておりまして、これは事務局からのお願
いで、もちろん先生方皆さんお忙しいと思うんですが、もし16日までの間にもう一度お
時間いただければ大変ありがたいんですが。
○舟田主査 16日って来週でしょう。その前にですか。皆さん、そんなこと可能ですか。
可能な方だけということで。
○貝沼事業政策課長 もちろんそういうことで。13、14、15のうちのいずれかでお
時間いただければ大変ありがたいんですが。
○舟田主査 林先生、13、14、15、取れますか。もし16日にお出にならなかった
ら、むしろ13、14、15いただければ一番あれですけれども……。ちょっときついで
すね。無理じゃないですかね。私も13、14、15やるとしたら、夜とかですね、幾つ
か候補ありますけれども。
○貝沼事業政策課長 もちろん全員のご都合がつく日というのは当然、今急の提案ですの
で、私ども無理だと思っておりますが、もしご参加できる方だけでも集まって、きょうの
議論のフォローアップをさせていただいて16日に臨ませていただければ大変ありがたい
と思うんですが。
○林主査代理 14日の午後、遅くはだめですか。
○貝沼事業政策課長 では、それで別途スケジュール調整させていただいて……。
○舟田主査 藤井部会長とお会いした、その後ならね。もちろん林先生はご一緒していた
だいて結構なんですけれども、ほかの先生方、夜5時半とか……。
○林主査代理 私の都合を言わせていただきますと、大学を12時過ぎに出られると思う
んですね。そうすると、4時ぐらいのスタートなら入れるかなと思いますけれども。
○舟田主査 例えば、5時からということで可能な方はおられますか。
○村上専門委員 私はその日は9時以降でないとだめです。
○貝沼事業政策課長 例えば、14日、部会長とも議論をするというようなことで考えて
おりまして、6時から2時間ぐらいお時間、もしご都合がつく方がおられればご出席いた
だくというようなことで、各委員の方にご案内申し上げさせていただければありがたいん
ですが。
○舟田主査 山本先生は。
○山本専門委員 ちょっと難しいかもしれないですね。
○舟田主査 そうですよね。では、この場では決められないですから、別途事務局のほう
でお願いします。いずれにしても16日は出さなきゃいけないということですので、その
前の指示についてはメールか電話かということで。いずれにしろ、事務局においてはきょ
う欠席した皆さんに対しては早急に説明等をお願いいたします。

             (2)次回の開催予定について

○舟田主査 それでは、次の小委員会ですが、お手元の資料4に載っていることですが、
12月4日の午後2時から3小委員会合同ヒアリングの開催をいたします。これは何のヒ
アリングでしたか。
○南事業政策課調査官 パブリックコメントを受けまして、また最終的なご審議に入って
いただく前に、3小委員会合同で利害関係者のほうからご意見をちょうだいするというこ
とでございます。
○舟田主査 この場合には、報道機関の傍聴を前回同様認めることといたします。よろし
いでしょうか。
              〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○舟田主査 それでは、ほかの2小委員会においても同様の了承が得られ次第、傍聴を認
めるという形でヒアリングを行うことといたします。
 16日の特別部会のことは、これは出席は。特別部会メンバーということで……。
○貝沼事業政策課長 メンバーは、特別部会のメンバーの方にご出席いただいて。
○南事業政策課調査官 ですから、12月4日のヒアリングはできればお願いしたいとい
うことです。
○舟田主査 よろしゅうございましょうか。

               閉  会

○舟田主査 ちょっと時間を超過しまして失礼しました。
 どうもありがとうございました。






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