(平成8年4月12日公表)
電気通信審議会
NTTの在り方についての特別部会
第24回会合議事要旨
1 日時
平成8年2月16日(金) 午前10時〜12時00分
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 特別部会
ア 委員・臨時委員
伊東光晴(部会長)、月尾嘉男(部会長代理)、新井明、加藤真代、後藤守正、酒巻英雄、園山重道、舟田正之、齊藤忠夫
イ 専門委員
鬼木甫、黒川和美、酒井善則、醍醐聰、多賀谷一照、直江重彦、若杉敬明
(2) 事務局
佐村知子審議会室長
(3) 郵政省
五十嵐三津雄電気通信局長 ほか
4 議事
答申案の討議
5 模様
月尾嘉男起草委員長から、起草委員会が作成した答申案について説明があり、その
後これについて討議を行った。主な意見等は次のとおり。
ア 電話番号等の加入者情報の各事業者による共有については、慎重に検討する必
要がある。事業者間の公平性に配慮した結果、すべての事業者に個人のプライ
バシ−がいくことになるのは問題である。
イ 事業者が加入者情報の目的外利用はしないということにすれば問題ない。
ウ ワンストップショッピングはよいことのようであるが、一方ではプライバシー
の保護や事業者間のカルテル的な体質をつくるのではないかという不安がある
。
エ NTTを分割することによりNTTの自由度を高めることはよいことだが、今
芽の出かけているCATVやPHSを抑え込まないことが配慮されないと競争
の意味がない。
オ 長距離事業者は複数いるので、ワンストップショッピングがカルテル的なもの
にはならないと考えられる。
カ ネットワークのオープン化も加入者線部分には及ばない。したがって、加入者
線部分のコスト構造について、どのような形で効率化のインセンティブを与え
るかが課題である。
キ 日本では競争が導入されたにもかかわらずなぜこのような通信市場の独占状況
が続いているかについての分析が必要である。
ク NTTにもいろいろ問題があるが、一方、郵政省もできる限りのことはやった
が、解決できなかった点や、反省する点もあるといった議論が必要と思う。
ケ 非構造的な政策だけでこれまでやってきたが、それでは十分ではなかったから
、構造的措置が必要との認識である。
コ 郵政省は第1次情報通信改革を行い、主として非構造的措置を行ってきたが、
その非構造的措置による競争の促進は不十分であったと言わざるをえない。
サ 国民利用者の利益の増進と言っているが、情報通信産業の低コスト化の面だけ
でなく、サ−ビスの多様化についても基本的視点として大事なことなので入れ
るべきである。
シ 今までNTTは、NTTデ−タとNTTドコモを分離したが、これは技術分野
が異なるところを分離したので研究所の分離が比較的容易であった。長距離と
地域では、技術分野がほとんど重なっているので、研究所の扱いについては、
NTTが自分で考えるほかないのではないか。
ス NTT及びメーカの技術者は、自分たちの共同開発体制がこれまで日本の技術
を支えてきたと自負しているので、そのことにも配慮すべきである。
セ KDD法とNTT法で国際通信と国内通信とを法的に分離していたから海外進
出が遅れたことは否めない事実だと思う。
ソ 5年前の答申が実現しなかったことの代替措置として政府措置が決定されたこ
とを確認しておく必要がある。ベストの措置は他にもあったが、代替措置とし
て政府措置をとったということだと思う。
タ 戦後の弱体経済の中で、国際的に急速な発展を遂げるために国際通信専用の会
社をつくらざるを得なかったが、そのKDDをつくることによって、かなりの
成功を収めた。しかし、それがある段階でその役割を終えたのではないかとの
議論があり、時代の変遷に応じて、KDDの国際通信専業の見直しをもっと早
く検討すべきだったのかも知れない。
チ KDDの国内通信進出は、NTTの再編成を待つことなく、早期に認めるべき
である。
ツ KDDが今後事業展開するときに自ら進出するのではなく、他社との合併等が
できるような方策を考えた方がよいのではないか。
〔その他〕
次回は、平成8年2月21日(水)午後2時から開催。
総会に報告する答申案について討議が行われる予定。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり)
