(平成8年3月13日公表)

電気通信審議会
NTTの在り方についての特別部会
第22回会合議事要旨


1 日時

  平成8年2月6日(火) 午後2時〜4時

2 場所

  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)

(1) 特別部会

  ア 委員・臨時委員
伊東光晴(部会長)、月尾嘉男(部会長代理)、新井明、岩山保雄、加藤真代、後藤守正、酒巻英雄、園山重道、林敏彦、藤井義弘
  イ 専門委員
浅野正一郎、岩原紳作、鬼木甫、酒井善則、醍醐聰、多賀谷一照、直江重彦、若杉敬明

(2) 事務局

佐村知子審議会室長

(3) 郵政省

五十嵐三津雄電気通信局長 ほか

4 議事

討議

  ア イメージ(案)について
  イ 再編成を想定した場合の各社の財務の健全性について

5 模様

  次のとおり討議が行われた。
  
ア イメージ(案)について
  
   月尾嘉男起草委員長から、「イメージ(案)」について説明があり、その後討議
   が行われた。資料の内容及び主な意見等は次のとおり。
   
  ア 「イメージ(案)」の内容(項目)
   1 基本的視点
   2 具体的再編成イメージ
   
  イ 主な意見等
   
    A 加入者線部分のみを独立させるという案は、加入者線部分がやはり独占に
      なるのと、その会社は発展性が見込めないということで、選択すべきでな
      い。
   
    B 長距離分離を伴わない地域分割では、地域と長距離の間にある一種の相互
      補助的なあいまいな部分を廃するという大きな目的が達成できない。
   
    C この5年間のNTTを見ると、柔軟な経営の状況が醸しだされていないと
      いうことが、書面ヒアリングの回答から理解できる。
    
    D 検討の基本的視点として、地域の活性化の視点も必要である。
    
    E NTT内部での意思決定がもっと柔軟にできるようにすべきである。
    
    F NTTを現状のまま放置するのはよくない。
    
    G NTTDoCoMoとNTTデータ通信の株式を長距離会社が保有すれば、東日
      本会社や西日本会社に匹敵する売上げになる。
    
    H NTTを東と西に分割することで、東会社は西のエリアにおいて、西会社
      は東のエリアにおいて、CATVやコンテントなど発展的市場への相互参
      入が可能となる。
    
    I ネットワークの一体性を守る一方で営業体としては不自由であるのと、営
      業体としての自由度を高める一方でネットワークを分けるのと、どちらが
      競争時代にふさわしいかというと、今後はネットワークの一体性維持の重
      要性は小さくなっていくと考えられる。
    
    J 米国の通信事業者の人たちの中には、NTTの分離・分割問題について公
      式には日本の国内問題としているが、実際には、NTTが今のままで、か
      つ日本の外資規制が緩くなるのが最も望ましいと考えている人もいる。す
      なわち、相互主義により、今のままの地域独占のNTTには米国への進出
      は認めず、一方で日本の外資規制が緩めば、自らは 100%子会社により日
      本に進出したいと考えている。
    
    K 分離・分割の圧力があるから、ネットワークのオープン化や料金の低廉化
      が進むという面がある。
    
    L 分離・分割のほかに、プロセスとして分社化という手法もメニューの中に
      入らないものかどうか。
    
    M 分社化では、互いに競争会社であるという意識が浸透するか疑問である。
    
    N 分社化は、一つの案であるが、最終案ではない。分社化では、不公正競争
      の可能性が残り、また、制約がなくなったとたん再合併することが可能で
      ある。
    
    O 分社化した場合、それぞれが独立して経営が行われるかどうか現在のNT
      Tの状況ではかなり疑問。
      現在でも中でいろんな意見が存在するにもかかわらず社長の意見以外は一
      切言えない状況。また、大学の学部長に、私のような議論をする人のいる
      学部からは以降、学生を採らないという言い方を電話してくる状況。すな
      わち、一人で全部指揮をとって、一言も言わせないようにしているという
      状況を考えてもらいたい。
    
    P 分離・分割、分社化、持株会社化等いずれにしても、今回方向が決まらな
      いと、NTT株式の売出しはできない。21世紀は情報通信が日本を引っ張
      っていく必要があり、NTTにはリーディングカンパニーとしてがんばっ
      てほしいが、今回方向を決めて早く半分以上の株式を売出す等しないと、
      NTTはマーケットを利用できない会社になる。
    
    
イ 再編成を想定した場合の各社の財務の健全性について
  
   若杉敬明専門委員から、「再編成を想定した場合の各社の財務の健全性」につい
   て、基本的には過去のトレンドを将来に引き延ばした財務見通しの説明があり、
   その後討議が行われた。資料の内容及び主な意見等は次のとおり。
  
  ア 「再編成を想定した場合の各社の財務の健全性」の内容(項目)
   
   1 基本的考え方
   2 再編各社の財務見通し
      2分割モデルの場合
      3分割モデルの場合
      4分割モデルの場合
   3 望ましい地域会社の数
     
  イ 主な意見等
     
    A 財務的な見通しから見れば、4分割だと構造的に非常に弱い体質の会社が
      でき、5分割以上にすれば、4分割よりさらに悪くなる。
    
    B この試算は再編成後に競争を担えるような会社が誕生し得るかどうかとい
      う観点から検討したものである。
    
    C 長距離料金が2000年には100円まで下がるという前提での試算にな
      っているので、長距離会社の利益は今よりも少なくなっている。
   
    D NTT長距離に移動体とデ−タ通信を付けてNTT長距離を強力にし、N
      TTの持つ技術力を国際的競争に持ち込んでいくといった方向を基本的に
      目指すべきである。
   
    E 地域会社の利益が増える見通しとなっているのは、(1)平成7年に基本料を
      値上げしたこと、(2)ISDNなどの伸びがこの数年間非常に大きいこと、
      (3)人員減が見込まれていることなどによるものである。
     
    F NTTのデジタル化投資に係る減価償却費用は、法定耐用年数が6年であ
      ることから、1997年以降急減していく。償却が終わってもなおその資
      産を使用できることが地域会社の利益を大きくすることと思う。今後、光
      の投資の償却が入ってくるが、光投資よりもデジタル化投資の方が償却期
      間が短いので、利益増の要因となり得る。
     
   〔その他〕
   次回は、平成8年2月13日(火)午後2時から開催。
   委員間の討議が行われる予定。
       (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり)