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(平成8年1月30日公表)
伊東光晴(部会長)、月尾嘉男(部会長代理)、新井明、岩山保雄、加藤真代、後藤守正、酒巻英雄、園山重道、林敏彦、藤井義弘、齊藤忠夫イ 専門委員
浅野正一郎、黒川和美、酒井善則、多賀谷一照
佐村知子審議会室長
五十嵐三津雄電気通信局長 ほか
(1) 関係者からのヒアリング 日本電信電話株式会社(第2回) 井上秀一常務取締役、宮脇陞常務取締役、木塚修一取締役 (2) その他
(1) 関係者からのヒアリングについては、次のとおり行われた。 ア 意見 前回の日本電信電話株式会社からのヒアリング(第13回特別部会(平成7年11 月29日))に関連して委員から提出された質問に対して、同社から回答書が提出 され、そのうち、研究開発に絞って説明が行われた。 A NTTの売上高に対する研究開発費の割合は5%程度であるが、今後それ ほど伸びないと思っている。 一方、研究開発の要員数は8500人程度で推移しているが、退職・分社等に より従業員全体の数が減っているため、対従業員数比では増えている。 B NTTは、基礎から実用化まで一貫した研究開発を行っている。光ファイ バの製造・接続・伝送技術等において世界の先端をいっている。 また、ATM交換機の開発等研究開発リソースを集中する必要があり、し かもリスクの大きい研究開発を手掛けている。幅広い技術を総合すること も重要な要素である。 C 標準化は、世界の事業者やユーザが接続できるように一定の条件を定める ものである。NTTは、国際的に標準化されたものを一番使っている。ま た、国際標準の作成にも貢献しており、FAXや共通線信号方式等が国際 標準に採用されている。 D NTTとして、マルチメディアサービスを提供する基盤技術の研究開発を 今後とも推進していく義務があると考えている。マルチメディア技術全体 は幅広い領域になるため、NTTのみではカバーできないことから、NT Tにない技術を有するところと提携して開発を進めていこうと考えている。 E 研究環境をよくし、研究者にいかに能力を発揮させるかが、研究開発マネ ジメントの一番重要な課題である。 F 研究開発成果のオープン化・共有化については、民営化後、成果をできる 限り高く売りたいという気持ちが極端に働いた時期があったが、今は、生 煮えでもいいから早く世に問うようにした。その成果は大きく出ている。 G NTTを分離・分割した場合には、研究開発力は落ちる。研究開発は、ス ポンサーが大きい方が有利である。ただし、「有利」であって、絶対条件 ではない。 H NTTの事業部門の研究開発部門に対する要求は常に厳しく、また、研究 所同士、研究所の部同士、研究者同士が競争相手となっている。 I NTTの研究所には歴史があり、国の財産かも知れないと思っている。国 立研究所とメーカの研究所の中間ぐらいのものかも知れない。 ここまで作り上げた研究体制を壊すのはあっと言う間にできるが、作り上 げるには何十年もかかる。 イ 質疑応答 NTTの研究開発に関する説明について質疑が行われた。NTTからの主な回 答は次のとおり。(同行者が回答したものを含む。) A NTTを2つに分けた場合、両社は同じような研究開発をすることになる が、1社当たりの財力は半分になることから、研究開発の項目が限定され る可能性がある。会社間で調整することは、過去に成功した例はない。 B NTTの研究開発は、他のところがあまり手掛けない部分が多い。 ATM等基盤となるようなものは継続的に手掛けていかないといけない。 C マルチメディアの研究開発については、会社を分けた場合、オーバーラッ プした研究も、独立した研究もあり得る。 D 研究開発の結果が良くなければ、事業部門は採用しない。研究開発部門は 事業部門から役立っているかと常にチェックされている。 E NCCやAT&Tの例を見ても、研究所はそんなに簡単に持てるものでは ない。NTTを東西に分けても、それぞれが研究所を持つことにはならな いと思う。 F 国により通信事業者とメーカの関係の歴史的経緯が異なり、研究開発にお けるそれぞれの役割分担の仕方が異なる。フランスやドイツは通信事業者 とメーカが一体で動いている。 日本は、当初からマルチベンダーでやってきている。例えば、メーカとの 共同開発で交換機を作ってきた。これは日本独特の文化である。これが足 かせになっている部分もあるが、NTTの基礎研究の場をどこかが代替で きるのか。 G 基盤研究と基礎研究の合計は600 億円位で、研究開発全体の2割位であり、 基礎研究だけだともっと少ない。 H NTTドコモは研究開発部門を持って出て、今の携帯電話に関する技術開 発の責任は負っているが、中長期的な研究開発はあまりやれないでいる。 未来の移動体電話の研究開発は、NTTも行っており、ドコモやそれ以外 の会社に技術移転してよいと思っている。 I 国の電気通信分野の研究予算は本当に少ない。これはNTTがあったから ではないと思っている。今後は増えるのではないか。 J OCN(オープン・コンピュータ・ネットワーク)とインターネットは、 料金、品質、セキュリティが違っている。特にアクセス系についてはIS DNの加入者線伝送方式を使うことにより、安く提供することとしている。 また、ある程度の規格を満足するような画像が大量に飛び交っても十分な 品質、セキュリティを確保したいと考えている。 K OCNのO(オープン)は、パーツ、パーツをアンバンドルして、NCC にも提供する概念を称している。加入者系のみを二種事業者が使うことも 可能としたい。 L 国際調達方式を開始して10数年経ち、今はメーカとの関係は極めてドライ なものとなってきている。 M 北海道・九州など赤字部門を分離すれば、残った所の黒字が大きくなり、 研究開発にも有利ではないかとの話については、そのときに研究開発費を 増やす経営者はなかなか現れないのではないか。 (2) ヒアリング対象者への追加質問に対する回答を公表することとなった。 (3) 特別部会に起草委員会を設置することが決定された。そのメンバーについては、 電気通信審議会議事規則に従い、部会長が後日指名することとなった。 〔その他〕 次回は、平成8年1月19日(金)午後1時から開催。 行政改革委員会の関係者からのヒアリング及び委員間の討議が行われる予定。 (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり)