電気通信審議会
NTTの在り方についての特別部会
第11回会合議事要旨
1 日時
平成7年11月6日(月) 午後2時〜4時
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 特別部会
ア 委員・臨時委員
伊東光晴(部会長)、新井明、岩山保雄、加藤真代、後藤守正、酒巻英雄、椎名武雄、園山重道、藤井義弘、舟田正之、齊藤忠夫
イ 専門委員
浅野正一郎、鬼木甫、黒川和美、酒井善則、醍醐聰、多賀谷一照、直江重彦、若杉敬明
(2) 事務局
佐村知子審議会室長
(3) 郵政省
五十嵐三津雄電気通信局長 ほか
4 議題
(1) 専門委員発表
「NTTの経営財務状況」(醍醐聰専門委員)
(2) 関係者からのヒアリング
- 日本放送協会 川口幹夫会長
- 社団法人日本民間放送連盟 磯崎洋三会長
(3) 地方ヒアリングの意見陳述者等について
(4) 第10回会合議事要旨について
5 模様
(1) 醍醐聰専門委員から「NTTの経営財務状況」について次のとおり発表が行われた。
なお、本発表の内容は、NTT等の関係者に対し企業秘密に係る情報等の提出を部会長名で要請し、非公開を前提として提出された資料を基に専門委員が分析したものであることから、提出資料は公開しないこととされた。
ア 発表内容
- 次の3つの視点から、NTTの経営財務状況について分析した。
1. 事業部制導入以降の地域通信事業部の経営効率性の改善度合い
2. NTTの業務切出し(子会社化)と、経営効率化の関連性
3. NTTの長距離通信事業部と長距離系NCCの財務状況の比較
- 地域通信事業部の経営効率性については、加入者数と従業員数の関係等から、大都市圏以外の地域通信事業部には、なお過剰な従業員配置の可能性がある。
したがって、各地域通信事業部の経営比較(ヤードスティック競争)を通じて、経営効率化のインセンティブを付与していくことが重要である。
- 民営化以降の従業員10万人削減の合理化努力は評価されるべきである。しかし、それにもかかわらず、人件費総額は増加し、総費用に占める人件費の割合も非常に高い。また、ここ数年人件費の伸びは止まっているものの、人件費と作業委託費の合計で見ると、総費用に占める比率は民営化以降一貫して増加している。
- これは、業務切出しによって設立された子会社の中に、従業員の大半をNTTからの在籍出向者で占め、また、売上高の多くをNTTからの作業委託費で賄っているものがあるためと考えられる。このことと、同業他社との対比等から、子会社への業務切出しが、経費削減の効果を上げるのに寄与していないことがうかがえる。
- NTTの長距離通信事業部と長距離系NCCの財務状況の比較については、両者の業容が異なる面もあるが、NCCの営業費がNTTに比べて多いこと、また、NCC収入に占めるNTTへの接続料金の支払割合が高いことが特徴となっている。
イ 質疑応答
人件費、人員配置等の問題について質疑が行われた。主な回答は次のとおり。
- 需要の疎密と人員の関係については、需要が点在しているから人員を多く配置しなければならないということはない。また、需要の疎密と設備の関係については、1加入者当たり設備量が多くなる面はある。
- 事業部間の人員再配置の可能性については、大都市圏と地方で加入者当たりの人員に相当な差があるのは事実であり、人員の再配置も可能と考える。
- 会社間の比較を行う場合には、年齢構成についてはかなり留意しつつ分析した。また、絶対水準で比較するよりも、上昇率で比較する方が適当と考えた。
(2) 関係者からのヒアリングについては、次のア・イの両氏から行われた。
ア 日本放送協会 川口幹夫会長
(ア) 意見
- 通信回線のユーザとして、また災害対策基本法の指定公共機関として、回線の安定的提供が極めて重要であり、通信事業者には、高い品質、優れた技術力、弾力的な運用、高い信頼性と、より安く、安定的な提供を望む。
- マルチメディア時代に向かっては、公共的なマスメディアサービスの必要性は現在とあまり変わらず、一方、サービスのやり方は非常に変わっていくと考えられる。今後、高画質映像をベースに、音声、文字、図形、データ等の複数情報を統合して放送する「統合デジタル放送(ISDB)」により、ユーザの要望に応えていきたい。
- 放送には通信とは異なる次のような特質がある。
1. 言論・情報を提供するジャーナリズムでなければならないこと
2. 日常生活のリズムに合わせた編成を行うことが大事であり、生きたメディアとして現れるものでなければならないこと
3. 放送文化というものを創っていくものでなければならないことこの実現には、経済性、耐災害性、広域・地域性、同時性、移動性という基本要件の充足が必要であり、今の無線の放送サービスはこれを満たしている。
- 一方、マルチメディアは双方向であり、無線だけではカバーしきれず、有線系インフラの利用が必要となる。
放送と有線系インフラとの関係については、番組伝送、CATVによる再送信、双方向サービスのための補完的利用などが考えられる。
このため、CATV施設の充実、高品質・低負担の回線ネットワークの全国整備を希望する。
- NTTの在り方の検討については、次のように考える。
今後、通信と放送の関係が益々密接になり、融合化していく面もあるが、マスメディアサービスを担う放送と、番組・情報の伝送を担う通信という両者の役割は今後も変わらない。是非こうした点を踏まえて審議をお願いしたい。
放送事業者として、情報通信産業のダイナミズム創出の視点と合わせて、通信事業者としてのユニバーサルサービス、公共的使命に配意した、調和のとれた検討を期待する。
(イ) 質疑応答
通信と放送の棲み分けの問題について質疑が行われた。回答は次のとおり。
- 将来は、通信と放送の垣根が低くなる方向に向かうだろうが、その中で、我々が何をすべきかが課題。放送は、ジャーナリズム、放送文化という特質があり、その充実が必要。また、安く提供していくことが必要。そういう意味で、放送がなくなることはあり得ないだろう。
イ 社団法人日本民間放送連盟 磯崎洋三会長
(ア) 意見
- 民間放送事業者は、送信施設や中継施設を自力で設け、番組やニュースを視聴者に届けている。また、各事業者間のネット化により、放送は全国的な展開・普及を遂げ、民間放送は信頼される基幹的マスメディアとなり得ている。
この全国ネットは電気通信事業者の回線によって構成されている。また、日常的に海外と情報の交換を行い、電話やFAXを利用した視聴者参加型の番組作りを行うなど、民放事業者は電気通信サービスの高度利用ユーザである。
そうした意味では、放送事業と通信事業は密接な関係にある。民放事業者は、本部会で議論されている通信事業の新秩序形成に無関心ではいられない。
- NTTとNCCが切磋琢磨し、市場経済を通して、国民に安い料金で良質のサービスをもたらすという考え方は、十分理解できる。料金が安いだけでなく迅速で確実、多様なサービスが事故ゼロで提供されることを強く要望する。
このためには適切な競争環境の整備が欠かせない。柔軟で大胆な発想のもと、民放事業者にとっても、利用者一人一人にとっても有益な結論を期待する。
- マルチメディア社会の到来を前にして、我々としても、これまで培ってきた経験を活かし、コンテンツ分野の開拓に努めていきたい。
- 電気通信事業者が垂直的な融合を遂げ、この分野に進出する場合には、他のコンテンツ事業者との公平な競争環境が確保できるような方策が不可欠である。
(イ) 質疑応答
通信と放送の融合の問題等について、質疑が行われた。主な回答は次のとおり。
- コンテンツ分野における具体的な公正競争条件については、大きなインフラ事業者がコンテンツに進出すると、新たにコンテンツに参入しようとする者にとって不利になり、不公平さが出てくる。
NTTが子会社によりコンテンツ事業に進出する場合についても、規模や構想にもよるが、公正さを欠く危険性はあるだろう。
- 放送と通信の棲み分けについては、自ずから棲み分けは可能と見ている。放送として40年インフラ整備を行ってきた。ユーザに一定の信頼と支持を得ていると考えている。
放送事業者も、持っている素材、情報収集力を活かしていきたい。ソフトの供給事業者として対応は可能と考えている。
- 英国のBTのCATV参入規制のような措置が必要かどうかについては、NTTがどのような形でコンテンツ事業に参入してくるのかによる。
- 放送の情報流通機能とNTTやインターネットとの競合については、放送はソフトを自ら制作している実績を活かし、今後もソフト開発能力を高めて、ソフトの供給を多様な形で行っていくことが必要である。
(3) 地方ヒアリングの意見陳述者について、部会長から、選定の経緯につき説明があり、了承された。
(4) 事務局より、第10回会合の議事要旨を公表したこと、及び議事要旨については、審議会室に備えつけるとともに、PC−VANとニフティ・サーブの郵政省オンライン広報に掲載することとしたとの説明があった。
〔その他〕
次回は、11月20日(月)午前10時から開催。
関係者からのヒアリングとして、全国消費者団体連絡会の太田吉泰事務局長、社団法人テレコムサービス協会の一力健会長、社団法人情報通信設備協会の玉野義雄会長及び通信機械工業会の澤村紫光会長の意見を伺う予定。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり)
