「日本電信電話株式会社の在り方について」答申(概要)
第1章 検討の視点
1 我が国が目指す経済・社会像と情報通信改革
(1) 求められる我が国経済・社会構造の変革
戦後半世紀を経て、経済・社会全般にわたる改革、既得権を乗り越えた
改革が必要。
(2) 目指すべき経済・社会像
空洞化を克服できる産業競争力の向上、雇用の創出、一極集中の是正、
研究開発力の向上、高齢社会への対応等の諸課題の達成。
(3) 経済・社会の変革と情報通信改革
ア 情報通信産業は21世紀のリーディング産業として、その在り方が経済
・社会の変革を大きく左右。
イ 経済・社会の変革と情報通信改革は、不可分の関係。
2 検討の基本的視点
(1) 国民利用者の利益の増進
料金の低廉化・多様化、サービスの多様化
(2) 情報通信産業の活性化
3 競争促進の意義
(1) 競争促進と国民利用者の利益
(2) 多元的な競争主体によるダイナミズムの創出
事業者の柔軟な事業展開を可能とする環境の整備、異分野への進出の積
極的な促進、公正有効競争条件の整備の徹底
(3) 競争促進政策の形態
ア 独占的事業者にいかなる対応をとるかによって、大きく「構造的措置」
と「非構造的措置」とに分けられる。
イ これまでNTTに対し非構造的措置(規制緩和、会計区分、接続ルー
ルの設定等)による対応が図られてきたが、接続問題等において、その
限界が示されており、真の意味での競争を実現する観点から、構造的措
置(再編成)と非構造的措置を併せ実施することを検討する必要
(4) 幅広い競争政策の展開
通信・放送事業者間の国内の競争のみならず、海外市場・グローバル市
場での競争等幅広い局面で推進される必要
(5) 競争促進と公共性の確保との調和
公共性確保のため、事業者間の連携、行政の関与も含め、十分な配慮が
必要
4 検討の際考慮すべき環境の変化
(1) 技術革新の進展(デジタル化、大容量化、双方向化)
(2) サービスの融合
ア 通信と放送の融合
イ インフラとコンテントの連関
(3) グローバル化(海外市場への展開、グローバルな提携、低軌道周回衛星
通信)
(4) スピードの経済性(エコノミーズ・オブ・スピード)
技術革新をはじめとして、経営を取り巻く環境の変化がより速まる中で
、迅速かつ的確な意思決定に基づく機動的な経営、スピードの経済性が極
めて重要となりつつある。
(例) AT&Tの再分割
(5) 世界的な政策潮流
世界の政策潮流は、競争の促進
(ア) 米国:AT&T分割 -> 1996年電気通信法の成立(相互参入政策…
(1984年) 通信/CATV、長距離/地域)
(イ) 英国:複占政策 -> 反競争的行為の禁止
(ウ) 欧州:通信インフラへの競争導入(1998年1月まで)
(エ) アジア・中南米その他の地域:事業体の民営化や競争原理の導入など
が進展あるいは論議されつつある。
