第3回接続の円滑化に関する特別部会公表資料(日本移動通信株式会社)






 電気通信審議会
 接続の円滑化に関する特別部会 
 御説明資料
     接続の基本的ルールについての意見・要望     
            平成8年5月24日 
            日本移動通信株式会社

               目 次

  1.「接続ルール」検討の視点

  2.事業者間の公正・対等な関係の重要性

  3.NTTとNCCの力の格差

  4.NTTと携帯電話の接続の現状

  5.「接続ルール」作りの意義

  6.個別テーマに関する意見

   1)接続の義務化

   2)接続料金の料金表・約款化

   3)接続に関する会計、接続費用の細分化等接続に関する会計方法、基準

   4)接続に必要な機能のアンバンドル化等

   5)接続に必要な局舎の提供、電柱、管路等の使用に関する条件

   6)番号ポータビリティの実施方法

  7.その他


1.「接続ル−ル」検討の視点

   本日のテ−マであります「接続の基本的ル−ル」の策定は、一見お客様と
  は直接関係のない事業者間の円滑な取り引きを目指すもののようにみえます
  が、その本質はお客様へのサ−ビス向上を図ることが目的であり、「いかに
  お客様の満足度を高めるか」を目指すべきものであると受け止めております。

   そして、事業者はお客様へのサ−ビス向上を通じて社会に貢献し事業者自
  身発展していくべきものと考えております。

   「接続ル−ル」の検討に際しては、事業者の身勝手な論理は意味をなさず、
  何よりもお客様の利益を優先すべきものと確信しております。


2.事業者間の公正・対等な関係の重要性

   低廉で魅力あるサ−ビスの実現には、互いに競争することが必要不可欠で
  ありますが、通信サ−ビスは競争相手である複数の事業者の相互の接続によ
  ってはじめて成り立つものであり、サ−ビスの品質向上や料金の引き下げに
  ついても自己の努力だけでは完結しないところに大きな特色があります。

   このため、強い立場の事業者が弱い立場の事業者のサ−ビス提供に制限を
  加えたり、強い事業者のコストダウンが不十分なために強い事業者のコスト
  を含めた弱い事業者のお客様へのト−タルな料金の低廉化が十分に図れない
  ということが起こりえます。

   このように、通信サ−ビスにおいては、自己のサ−ビスの提供が他の事業
  者によって影響を受ける面があることから、他の分野以上に市場での公正性、
  平等性の必要性が高いといえます。


3.NTTとNCCの力の格差

   公正・対等な競争ル−ルのもとで、各事業者が自由闊達な競争をおこなう
  ことが、お客様へのサ−ビス向上と通信事業の発展に結びつくことはいうま
  でもありません。

   しかしながら、人・物・金の面において比較的安易に国家資産を継承した
  NTTと、我々のように独力で事業を構築するNCCでは、スタ−ト時点か
  ら対等とはいえない状況にあるのも事実であります。
   圧倒的な力を背景としたNTTと、NTTとの間において、競争条件の点
  で大きな格差のあるNCCが、対等な関係を構築できる条件整備を図る必要
  があります。

   例えば、携帯電話の利用者は3月末に1,000万の大台を突破し、その
  後も順調に推移をしております。この結果、携帯電話と携帯電話の間の通話
  におけるように、NTTのネットワ−クを使用しない通話も増加しつつあり
  ますが、まだ全体の80%前後が依然としてNTT固定網との通話で占めら
  れているのが実態であります。

   そして、固定電話サ−ビスは実質的にNTTの独占状態にありますので、
  現時点では携帯電話各社はNTTのネットワ−クなくしてはサ−ビス提供が
  できないのが実情であります。
   このため、NTTとNCCは接続に関して対等とはほど遠い状況にあり
  ます。

   今後のサ−ビス提供、とりわけマルチメディア社会の進展に伴うサ−ビス
  の高度化と、それに向けての各社の取り組みを考えますと、事業者間の公正
  性・平等性の確保は不可避であり、NTTの強者の論理は修正を余儀なくさ
  れるものと思われます。


4.NTTと携帯電話との接続の現状

   現在、NTT網と携帯電話網とは、図のとおり概ね各県一か所のPOI
  (事業者間の接続点)を介して接続しております。POIまでの接続に係る
  設備費用・工事費用についは、各々の事業者が負担しております。ただし、
  接続に伴いNTTが設置する事業者間接続用交換機(IGS)の費用は、各
  々の事業者で折半となっております。  


   また、当社携帯電話からNTT固定網に通話した場合の通話料は、10.
  5秒当たり10円を当社が徴収し、その中から、一定の使用料をNTTに支
  払い精算しております。この場合のNTTへの支払い金額は、一般の加入電
  話の通話料と同額となっております。

  NTT着信                       IDO発信
   |  1利用者の支払う通話料(平日昼間:10.5秒/10円) |
   |<−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
   |              |               |
   |              |               |
   |  2NTTへの支払い   |    3IDO通話料金   |
   | (加入電話料金と同額)  |   ( 3= 1− 2)  |
   |<−−−−−−−−−−−−−|<−−−−−−−−−−−−−−|
   |              |               |
   |             POI              |


5.「接続ル−ル」作りの意義

   事業者間の対等性が確保されることがいかに大切であるか述べてきました
  が、今回の「接続ル−ル」作りも競争市場における対等性確保のための施策
  の一つであると認識しておりその効果に期待をしております。

   具体的検討に際しましては、   
    ・ NTTと接続事業者との対等な地位の確保
    ・ 全事業者に対する平等な相互接続条件の整備 
    ・ 接続にかかる費用の妥当性の確保(詳細情報の開示)

  の実現を目指すことになるものと考えております。    


6.個別テ−マに関する意見

  1) 接続の義務化

   ・ NTT固定網については、接続の義務化は必須の要件
   ・ 接続実現までに要する期間についても制度化が必要
   ・ 通常の手順で迅速な接続が実現できない場合の対応についても制度化
     が必要

  2) 接続料金の料金表・約款化

   ・ NTT固定網については接続条件を約款に設定する必要性大
   ・ 約款に設定する料金の範囲、設定の手順等についても明確な規定が必
     要
   ・ 合理化努力を促進する観点から、設定された料金の定期的見なおしが
     必要
   ・ 料金改訂の過程で、他事業者が意見を述べる場の設定を要望

  3) 接続に関する会計、接続費用の細分化等接続に関する会計方法、基準

   ・ 実態に則した網使用料算定のため、NTT固定網において接続会計と
     営業会計が区分されることは以前からの懸案
   ・ 設備費、工事費などの相互接続に必要な費用の負担原則、範囲、算定
     方式等の策定が必要
   ・ 約款の料金表と接続会計の中身とが明確に対比できることが必要
   ・ 付加サ−ビス(例えば104番号案内)についても会計方法・基準を
     明確にすることが必要

  4) 接続に必要な機能のアンバンドル化等

   ・ NTT固定網についてはネットワ−ク設備・機能がアンバンドル化さ
     れることが必要
   ・ 接続会計の中身とアンバンドル化された機能の料金とが明確に対比で
     きることが必要

  5) 接続に必要な局舎の提供、電柱、管路等の使用に関する条件

   ・ NTTが電柱・管路・局舎等を貸し出す条件を明確にすることは、迅
     速な設備構築、接続実現に効果大
   ・ 申込みから貸出しまでの手順の明確化についても必要

  6) 番号ポータビリティの実施方法

   ・ NTT加入電話と他の地域電話事業者との間の番号ポ−タビリティの
     実施を期待


7.その他

   ・ NTTへの回線業務委託において、通常の申込み以外に緊急時の随
     時申込みを可能にしていただきたい。
   ・ NTT回線業務委託の申込みにおいて、NTT支社内で完結できる
     ものについては、支社を窓口にすることにより迅速な処理を図って
     いただきたい。
   ・ NTT交換機のソフトウエア開発・改修に要する期間を短縮してい
     ただきたい。

                               以  上