第1回接続の円滑化に関する特別部会公表資料(米英の接続制度について)






米英の接続制度について

1 接続の義務付け

 (1)米国
   1996年連邦電気通信法において、全電気通信事業者に対して、他事業
  者との接続を一般的義務として課している。
   さらに、地域電話会社に対し、一般的義務に加えて、アンバンドル化、コ
  ロケーション(局舎の提供)、番号パリティ(ダイヤル桁数の同一化)、番
  号ポータビリティ等を義務づけている。

  【参考】 これまでの制度
   州際・国際サービスに関して、地域電話会社(LEC:Local 
  Exchange Carrier)に対して、他事業者との接続を義務づ
  け。

 (2)英国
   公衆電気通信事業者(PTO:Public Telecommuni−
  cations Operater)に対して、他事業者との接続を義務づ
  け。(PTOに対する免許条件)

  【参考】
   95年7月に提案されたEU相互接続指令案においては、各市場において
  25%以上のシェアを有する以下の事業者に対して他事業者との接続を義務
  付けることを規定。
   (1)固定電話事業者
   (2)専用線事業者
   (3)携帯電話事業者

2 接続料金

 (1)米国
   1.料金表・約款による接続
    州際・国際サービスの接続の料金その他の条件については、料金表・約
   款(タリフ)において設定。

   2.接続料金のアンバンドル化
    1996年連邦電気通信法において、既存地域電話会社に対し、アンバ
   ンドル化を義務づけ。


   【参考】 これまでの制度
    修正同意審決(MFJ 82年8月発効)において、ベル運営会社
   (BOC)に対して接続料金のアンバンドル化を義務づけ。

   【参考】 ナイネックスニューヨークの例(省略)

 (2)英国
   1.接続用会計と営業用会計の分離
    BTの会計について、接続料金がコストベースで決定され、かつ、内部
   相互補助が行われていないことを明確にするため、免許条件を修正し、9
   4年度会計から接続用会計と営業用会計を分離。

   2.OFTELによるBTの接続料金の決定
    BTの接続料金については、従来は事業者間の協議により設定されるこ
   ととされていたが、95年3月の免許条件の修正により、OFTELが決
   定することとされた。
    これに基づき、OFTELは、96年1月、95年度に適用される暫定
   料金(Interim Charge)を決定。

   3.長期増分費用方式による接続料金の設定
    OFTELは、97年8月から長期増分費用方式により接続料金を設定
   することについて、意見公聴を行っている。


  (参考) 94年度 BT分離会計結果(省略)


3 コロケーション(局舎の提供)

 ○ 米国
  96年連邦電気通信法において、既存地域電話会社に対して、物理的コロケ
 ーション(注)を義務づけ。

  (注)物理的コロケーション(physical collocation)
    他事業者が、地域電話会社(LEC)のアンバンドルされたネッワーク
   との接続に必要な装置をLECの局舎内に設置して接続を行うこと。

  【参考】 これまでの制度
   州際・国際サービスに関して、地域電話会社に対して、競争事業者のため
  に回線終端装置を局舎内に設置して、相互接続することを義務づけ。

   (具体的内容)
  (1)ティアI(年商1億ドル以上)のLECは、主要局(central
    office)に関係者(CAP、長距離電話会社、ユーザー等)が指
    定する回線終端装置を設置し、主要局舎に可能な限り近い相互接続点に
    おいてこの装置と関係者の回線を接続する(バーチャルコロケーション)。

  (2)LECは、当該回線終端装置の設置、保守及び修理をLECの同種装
    置と同じ条件で行う。

  (3)関係者は、当該回線終端装置の遠隔モニター及び遠隔コントロールを
    行うことができる。

  (4)LECが物理的コロケーションを提供する場合には、バーチャルコロ
    ケーションの提供義務を免除される。

  CAPのサービス提供形態
   自己施設型

   物理的コロケーション
    (1)専用線型(92年9月FCC命令)
    (2)電話型 (93年8月FCC命令)

   バーチャルコロケーション(94年7月FCC命令)

4 イコールアクセス

 (1)米国
   1996年連邦電気通信法において、全地域電話会社に対して、番号パ
  リティ(優先接続)の提供を義務づけ。

【参考】 これまでの制度
 修正同意審決(MFJ)において、BOCに対して、イコールアクセスとして
優先接続及
び同一桁
数の事業者番号によるアクセスの提供を義務づけ。

1.優先接続
 優先接続とは、加入者が長距離通信を行う場合に、事業者番号をダイヤルする
ことなく予
め指定し
た長距離事業者に接続する制度。
 制度の導入(84年7月)に当たっては、加入者に意向調査を実施し、意思表
示のない加
入者につ
いては、意思表示のあった加入者の比率で自動的に割当てを行った。

2.同一桁数の事業者アクセス番号
 MFJ以前は、MCI等の競争事業者を利用するためには、通常の利用者番号
で事業者に
アクセス
した後に通信相手の利用者番号を回さなければならなかったが、MFJ後は、分
割後のAT
&Tを含
めて、「10xxx」の事業者番号が付与された。


(2)英国
 BT及び市場シェアが25%を越える事業者に対して、イコールアクセスとし
て優先接続
又は同一桁
数の事業者番号の提供を義務づけ。


5 番号ポータビリティ

(1)米国
 1996年連邦電気通信法において、全地域電話会社に対して、番号ポータビ
リティの提
供を義務づ
け。


【参考】 これまでの制度
 FCCは、89年に、地域通信事業者(LEC)に対して、800番サービ
ス(着信課金
サービス)
における番号ポータビリティを可能にするアクセスシステムの提供を義務づけ。
 一般の利用者番号については、ニューヨーク州等において、着信転送方式等の
暫定方式に
よる番号
ポータビリティを義務づけ。


(2)英国
 OFTELは、94年8月にBTに番号ポータビリティの提供を命令。現在、
OFTEL
とBTとの間
において、BTが応分のコスト負担をすることを含め、番号ポータビリティを提
供するため
の免許条件の
修正を検討中。



 6 その他接続に関する動向

(1)電柱、管路等の提供
 米国においては、1996年連邦電気通信法において、全地域通信事業者に対
して、競合
する電気通信
事業者への電柱、管路、とう道及び公道利用権へのアクセスの提供を義務づけ。
 英国においては、BTの所有する電柱及び管路の他事業者との共有について、
意見公聴を
行っている。

(2)反競争的行為の禁止
 英国においては、全ての重要な電気通信事業者の免許条件に盛り込むべき反競
争的行為の
禁止条項及び
反競争的行為に関するガイドライン案について、意見公聴を行っている。