電気通信審議会接続の円滑化に関する特別部会第9回会合議事要旨(平成8年11月19日公表)
1 日時
平成8年10月25日(金) 午後3時37分〜5時30分
2 場所
郵政省第3特別会議室(郵政省12階)
3 出席者
(1)特別部会
ア 委員
後藤守正、齊藤忠夫、篠原滋子、園山重道、醍醐 聰、月尾嘉男、
林 敏彦、舟田正之、増澤高雄、百崎 英
イ 専門委員
青井浩也、浅野正一郎、井上伸雄、大野幸夫、坂庭好一、佐藤治正、
関口博正、手塚仙夫、東海幹夫、濱谷和生、三谷政昭
(2)事務局
渡辺信一審議会室長
(3)郵政省
谷公士電気通信局長 他
4 議題
(1)部会長の互選等
(2)関係者からのヒアリング
ア 日本テレコム株式会社 村上副社長
イ 国際電信電話株式会社 山口副社長
ウ 東京通信ネットワーク株式会社 岩崎社長
エ 日本移動通信株式会社 塚田社長
5 模様
(1)部会長の互選等
委員の互選により、増澤委員が部会長として選出された。なお、部会長
代理については、舟田委員が部会長から指名された。
(2)関係者からのヒアリング
関係者からのヒアリングの後、次のような質疑応答等があった。
ア 日本テレコム株式会社 村上副社長
(ア)日本テレコムの回線をNTTの回線と接続する際に、アンバンドル
する必要があるとされるNTT側のオペレーションシステムとは、足
回りの故障情報に関するものだけでよいのかとの質問があり、これを
肯定する回答があった。
(イ)故障情報の提供についての事業者間の料金はあるのかとの質問があ
り、これに対し、開発費用等を含んだ経費を支払っているとの回答が
あった。
(ウ)故障情報の提供についての事業者間の料金に関して、これを機能の
アンバンドリングとすれば、例えば、TMN(電気通信管理網)を使
った信号の伝送と情報について、そのインターフェースをNTTが持
ち、そのインターフェースの利用料についてのアンバンドリングとい
うことになるのかとの質問があり、これを肯定する回答があった。
(エ)赤字負担のところで、接続料金には、離島等へのサービスに必要な
コストも算入されているとはどういう意味かとの質問があり、ユニバ
ーサルサービスとして、離島や過疎地のサービス分の赤字負担もアク
セスチャージの中に入っているという意味である旨の回答があった。
イ 国際電信電話株式会社 山口副社長
(ア)「すべての一種事業者に接続義務を課す場合には、事業者の業務運
営に支障を来さないものであることが必要」とは具体的にどのような
ことを想定しているのかとの質問があり、次のような回答があった。
・ 接続を行うことがかえって事業者の過大な負担になるというようなこ
ともあり、その接続コストに比して、接続によるユーザーの利便性向上
が期待されにくいようなケースも想定される。例えば、KDDの場合は、
海底線の陸揚げ局を全国にいくつか持っているが、この陸揚げ局に他の
事業者から加入者回線レベルでの接続を要求された場合、陸揚げ局は加
入者線レベルでの接続を想定した設備構成、あるいは保守運用体制をと
っていないことから、大体大都市に通信センターを設置して、そこで接
続を行うということになる。したがって、このような場合、業務の運営
に支障を来すことが考えられる。また、外国のキャリアの子会社等のニ
種事業者が、例えば、海底線の陸揚げ局で直接接続してほしいというこ
とになると、今の技術的な問題以外に経営的にもかなりの問題が生じる
可能性がある。
(イ)業務運営に支障を来さないという意味について、競争関係上の有利、
不利という意味でいっているのかとの質問があり、次のような回答が
あった。
・ 基本的には、技術的な問題、運用上の問題、あるいは保守の問題とい
うのがベースにあると思う。ただし、ニ種事業者が極めて軽い義務にな
っている一方、第一種事業者はかなり厳格な規制になっているという問
題があり、将来、外国の非常に支配力のある事業者が日本へ進出してき
たときの問題を考えておく必要があるという趣旨である。
ウ 東京通信ネットワーク株式会社 岩崎社長
(ア)地域競争の進展によって接続料金の単価が上昇するという、競争阻
害的な構造、算出方法の矛盾」とあるが、どのような意味かとの質問
があり、次のような回答があった。
・ 今の仕組みでは、例えば、関東だけで競争が進んだ場合、関東の事業
者は競争者の安い方の接続料金を使うことができることになるが、全国
的にNTTの需要が減った場合には、他地域のコストがその反射であが
ってしまうことになるという趣旨である。
(イ)不可欠設備について、接続サービスの競争のないエリアにコストが
つけ回されるということかとの質問があり、これを肯定する回答があ
った。
(ウ)NTTが高い料金をつけたら参入してもっと需要がとれるので、大
いにやればいいのではないかとの意見があった。
(エ)接続を拒否すると競争力がつくということがあるのかとの質問があ
り、次のような回答があった。
・ お互い肌の合わない事業者を無理に結びつけても、結局はうまくいか
ないことになる。
・ 市場支配力のない事業者間での接続、競争にさしたる影響をもたない
事業者間での接続は、コマーシャルベースでということであり、競争の
中でうまくいかない場合は、大臣裁定というルールがあるので、特に義
務化という形で強化しなくても、現行で足りるのではないか。
(オ)肌の合わないところとの接続には応じられないとなると、その部分
に関してエンドユーザーから見て競争の機会が狭められるのではない
かとの質問があり、以下のような回答があった。
・ 接続を望む事業者は、少なくともNTTの網には接続できるので、一
般の電話という一つの利便性は十分享受できる。
(カ)競争は非常に重要で、ダイナミズムというのは非常に重要だが、同
時にケイオスが発生する可能性がある。ケイオスとダイナミズムをど
こで兼ね合わせるかが一番難しいところだが、それが接続義務という
ことになっているとの意見があった。
(キ)例えば、TTNetの電話に長距離系NCC経由でつながると思っ
たらつながらなかったというような、顧客が相当詳しい知識を持たな
いと使えないというのは、ダイナミズムというよりはケイオスではな
いかとの質問があり、以下のような回答があった。
・ 恣意的に拒否するということを考えているわけではなく、不可欠設備
との接続で問題が起きているのだから、そこの義務化で足りるのではな
いかということである。
エ 日本移動通信株式会社 塚田社長
(ア)(ルール案の中で)接続を拒否し得る正当な理由のうち、不当な条
件というのが明確でないという指摘があったが、具体的にどういうこ
とかとの質問があり、以下のような回答があった。
・ 接続に要する費用が著しく妥当性を欠くというような場合とか、実現
不可能な実施時期を要求された場合といった具体的な例示を付け加えて、
その意味あいを明確にした方がよいと考えている。
(イ)特定事業者の範囲について、NTTドコモまで含めたNTTグルー
プ全体を特定事業者に準じた扱いにしてほしいという意見だが、NT
Tの接続に関して、NTTドコモと他の移動系事業者とで差別的な扱
いがあるのかとの質問があり、以下のような回答があった。
・ 実態として、新しいサービス開発にしても、NTTとNTTドコモで
はグループとしてのコンセンサスあるいは情報交換がスムーズにいくと
いうことがある。接続に関して差別的な条件があったかといえば、そう
とはいえない。ただ、携帯電話の世界でも、NTTドコモのシェアが全
国の50%を占めているので、今後、NTTドコモの設備との接続問題
が発生するのではないかと考えている。
(文責: 電気通信審議会事務局。事後修正の可能性あり。)