電気通信審議会接続の円滑化に関する特別部会第11回会合議事要旨(平成8年12月27日公表)





1 日時
  平成8年11月14日(木) 午前10時〜11時56分

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者

 (1)特別部会

  ア 委員
    増澤高雄(部会長)、後藤守正、篠原滋子、醍醐 聰、月尾嘉男、
   百崎 英

  イ 専門委員
    相田仁、青井浩也、伊東 晋、井上伸雄、大野幸夫、酒井善則、
   佐藤治正、関口博正、三谷政昭

 (2)事務局
    渡辺信一審議会室長

 (3)郵政省
    谷公士電気通信局長 他

4 議題
  主要な論点及び論点に対する考え方

5 模様

 (1)討議
    関係9者からのヒアリングの結果及び接続の基本的ルール案に寄せられ
   た意見における主要な論点及び論点に対する考え方について、事務局から
   の説明の後、これについて討議を行い、本日の議論を踏まえて、次回、特
   別部会としての答申案について審議することとされた。
    主な意見等は次のとおり。

  ア 接続ルールの施行は、大体いつになるのか。

   (事務局より以下のように説明し、了解を得た。)

  ・ 12月にご答申をいただいたら、法改正作業に入り、来年の通常国会に
   電気通信事業法の改正案を提出したい。そこで、5月から6月に国会で成
   立すれば、一定の準備期間をおいて、施行されるのは平成9年の秋になる。

  ・ 来年秋に改正事業法が施行されたとした場合でも、会計制度については、
   実際に会計データをつくれるのは平成10年度のデータということになり、
   それをもとに接続料金を算定するのは平成11年度になるという状況を踏
   まえて、平成12年度目途ということになる。

  イ ユニバーサルサービスの取扱いについて、「確保のための方策について
   検討する必要がある」というのは、精神規定なのか。実際にいつまでに検
   討をやるということなのか。

  (事務局より以下のように説明し、了解を得た。)

   ・ マルチメディア時代をにらんで、ユニバーサルサービスの在り方につ
    いてどうあるべきかを検討する研究会をこの10月に立上げており、そ
    ういったところでの検討は既にしているというのが実態である。

  ウ 長期増分費用の問題について、「引き続き検討を行う」というのをもう
   少し前向きな表現で、「早期に導入するための」というふうな、ある程度
   増分方式に移行するということを前提とするニュアンスの表現にするほう
   がよい。

  エ 長期増分方式の実行可能性が、このレベルでは重要なので、多少慎重な
   書き方をしているかなという印象は持たれてしまうかと思うが、最終答申
   のルール案の中に長期増分費用方式の検討項目とスケジュールについての
   考え方を反映していけばご意見の趣旨に添えるのではないかと思う。

  オ 長期増分費用の問題について、期限をというのが、特に意見として多く
   出てきたので、ルール見直し時に検討することとした。また、具体的に何
   を検討するかということについても「考え方」で出ているので、単なる先
   送りではないのだということで、多くの意見に応えられるのではないかと
   いう気がする。

  カ ルール見直し時までの間は、結局今までの総括原価方式と同じことを踏
   襲するということが、マスコミで報道されているが、これは非常に残念な
   反応だと思う。むしろその間でも議論した者としてはかなりラジカルに考
   えており、具体的に言えば、営業費、試験研究費は外すとか、実質的にも
   かなりの接続料金の下げに寄与するルールになるのではないかと思う。こ
   れをもっと徹底していこうという趣旨だということを、はっきりと外部に
   向かっても、アピールしていっていいのではないかと思う。

  キ 将来の検討課題として、いくつか残っているものがあると思うが、試験
   研究であるとかユニバーサルサービスというのは、二、三年たったらすぐ
   にということではなくて、今後の影響を深刻に考えなければいけないこと
   ではないかと思う。

  ク 第三者機関について、裁定しなければいけないことが大分増えるのでは
   ないかと思うが、そのようなときに具体的に審議会の充実・強化について
   検討すべきであると書いてあるが、多分これは審議会を開くというよりは、
   本当の意味でそのようなことを専属にできるスタッフが相当いないと、ほ
   とんど無理な話ではないかという感じがする。

  ケ このルール案の施行時期、法制化の時期とNTTの分離・分割と、タイ
   ミングの持っていき方で、かなりルール案の中で見直さなければならない
   部分が出てくるのではないかという気がする。

  コ 技術的条件のところで、変更があったものは、すべて約款に記載するこ
   とを義務化し、それに変更が生じたときも、それはすべて約款上で処理す
   ることに伴い、迅速化を図ることが必要と書いてあるが、それをどのよう
   にして短時間でやろうとしているのかということについては、具体性に欠
   けると思う。
    また、「適切かつ簡略化された手続を設けることが適当」と書いてある
   が、いつどういう機関で、どういう形でこの手続を設けようとしているの
   かの明示がいるのではないかと思う。

  サ 「郵政省が中心となって事業者も集めて検討する」というふうに主語が
   入っているところもあれば、入っていないところもある。入れられるもの
   なら、主語を入れたほうがよいのではないかと思う。

  シ 網機能の公表範囲について、例えば、NTTが持ってきたものをどこま
   で開示するかについては、かなり急いで決めないといけないと思うが、相
   当、中まで突っ込んで議論しないと、どれが正しくて、どれがリーズナブ
   ルかよく分からないことが多いと思うので、その辺りは相当議論をしてお
   く必要がある。

  ス 多数事業者間接続について、利用者に対する責任が不明確になったり、
   利用者の利益が害されること及び事業者が予想外の責任を負うことを防止
   するということで、こうした要件を満たすようなことをきちんと決めるこ
   とは大変重要だと思う。

  セ 今回、ルール案というものを中間段階で公表して意見を求めたことに対
   しては、賛否はともかくとして、非常に大きな共感をいただいていると思
   う。その意見に対して、取捨の結果はともかく、なぜ取り入れ、なぜ取り
   入れなかったかについての理由を明記してほしいという意見もかなりあり、
   今は「公開」が強調されている時代なので、是非最終の答申を出すときに、
   今日の「主要な論点及び論点に対する考え方」は添付していただきたいと
   思う。

  ソ 意見をかなりオープンに外から求めたので、それに対しての答えをきち
   んと出すのは、この部会の責任だと思う。

  タ 「主要な論点及び論点に対する考え方」を本体に反映させるほうがいい
   と思う。

  チ 「主要な論点及び論点に対する考え方」をそのまま付属に付けても、分
   かりにくい。付けるならもう少しまとめ直したものにするのがよい。

  ツ ルール案に対する意見には、反対のための反対があるように思うし、そ
   の逆もあると思う。だから、整理をして建設的な方向にもっていかないと
   意味がないと思う。

  テ 今回このように結論に達する前に一般の意見を求めたのは、新しい試み
   で非常によかった。将来的には審議会の審議過程も公表されるべきだと思
   う。こういう意見が出て、こういう討論の結果を経て、ルールになったと
   いうことを示すことは、ある意味では責任ではないかと思う。

  ト 個々の細かい項目について、この後どういうふうに決めていくのかにつ
   いても、大きな方針でいいと思うが、示せるものは示した方がよいと思う。

  ナ 主要な論点の主な意見のところが、この項目だけでわかるかどうか若干、
   疑念がないわけではない。恐らくルール案に添付する形にすれば、それが
   一人歩きすることに少し配慮が必要なので、文言を多少なりとも分かるよ
   うにした上で添付するということに賛成である。

  ニ 「その他の設備」に関して、もう少し具体的な言い方がしてあればより
   よいのではないか。また、「アンバンドル」という言葉について、中身が
   見えにくいので、意味を明確にすることも考えてみたらよいと思う。

  ヌ ユニバーサルサービスに関連して、例えば、基礎研究の扱いを接続と関
   連しないものは除くとするのはよい。しかし、接続との関連性がない、あ
   るいは検証しにくいというものが大半となった場合に、それが接続料金か
   ら除外され、しかも、基礎研究だとしたら、それはNTTのユーザー料金
   という形でいくのか。公的な責務として行っている基礎研究についての負
   担がどうあるべきかについても、今、NTTのユーザー料金のみという考
   え方は問題があると思う。特に基礎研究に関してインセンティブが弱くな
   るということは、非常に大きな問題だと思うので、そうならないような枠
   組作りを考えていく必要がある。それが接続料金の制度の中だけでできな
   いということになれば、公の責務を遂行するための負担をだれがどうやる
   のかということに関する議論の場が必要であり、もう少し記述があっても
   よいと思う。

  ネ 第三者機関については、その他の関連意見という形で審議会の機能の充
   実・強化について検討すべきであるとさらっと書いてあるが、この問題を
   避けようとしているという印象を持たれてしまうということは本意ではな
   いと思う。「公平性・中立性・透明性」の確保のため、特別部会としては
   審議会の機能の充実・強化を検討すべきだという判断をしたということに
   ついて、もう少し噛み砕いた説明があってよいと思う。具体的には、まず、
   中立性については、この審議会自体が当然担保している。また、透明性に
   ついては、だれが裁定するかいうことはそれほど重要ではなく、裁定のプ
   ロセスやその記録の公開が担保され、それに対して異議のある方は意見を
   言えるような反論可能性が開かれているということがむしろ重要である。
   だれがやるのだということが本質的な問題ではないということをもう少し
   書き込んだほうがよいと思う。

  ノ 国の将来にとって必要な基礎研究を、NTTないしはその関連会社が将
   来やるとしても、それが絶たれてしまうようなやり方は問題が出てくると
   思う。第三者機関に関しても、いろいろな立場で検討がなされたと思うの
   で、それを明確にして今後はデュープロセスをきちんと取ってやるのだと
   いうことであり、だれがやるかというよりも、手続が大事だと思う。告知、
   聴聞の機会をきちんと与えることに配慮すればよいのではないかと思う。

  ハ 第三者機関について、政策立案当局が郵政省なのだから、そこが最終的
   に判断するのはおかしいという意見があるが、あくまでも立法機関は国会
   なので、行政という観点からそれが守られるように指導するのは、郵政省
   の機能としてあってもいいと思う。したがって、郵政省が実際に施行する
   こと自身は問題ないだろうと思うが、透明にそれを行うこと、及び迅速に
   行うことに配慮される必要があると思う。

  ヒ 第三者機関の問題は、今回、私どもの検討すべき項目には入っていない
   が、これだけ外部からの意見が大きいので、意見の中にきちんと入れた方
   がよいと思う。

  フ ルールの執行部門だけのためにコストがかかるということはなるべく避
   けていった方がよいと思うので、そのことも意見として言ってもよいので
   はないかと思う。


     (文責: 電気通信審議会事務局。事後修正の可能性あり。)