第93回電気通信技術審議会議事録





第1 開催の日時及び場所
   平成8年9月30日(月) 午後3時から 於、郵政省3階第二特別会議室

第2 出席した委員(敬称略)
  西澤 潤一(会長)、徳田 修造(会長代理)、太田 亨、金子 尚志、
  國井 秀子、倉内 憲孝、河内山 重高、小舘 香椎子、坂田 浩一、
  関澤 義、高橋 寛子、長尾 真、長谷川 豊明、羽鳥 光俊、森島 展一、
  安田 靖彦

第3 出席した関係職員等の所属及び氏名

 1 郵政省
   五十嵐 三津雄(事務次官)、山口 憲美(郵政審議官)

 2 大臣官房
   甕 昭男(技術総括審議官)、鍋倉 真一(官房審議官)、高祖 憲治
   (官房審議官)、長谷川 憲正(国際部長)

 3 通信政策局
   木村 強(局長)、元女 久光(政策課長)、鬼頭 達男(技術政策課長)、
  河内 正孝(標準化推進室長)

 4 電気通信局
   谷 公士(局長)、田中 征治(電波部長)、竹田 義行(計画課長)、
  寺崎 明(移動通信課長)

 5 放送行政局
   楠田 修司(局長)

 6 通信総合研究所
   古濱 洋治(所長)、箱石 千代彦(次長)

 7 事務局
   渡辺 信一(審議会室長)


第4 議題

 1 一部答申「国際電気通信連合電気通信標準化部門の活動への対処について」
 2 新規諮問「科学技術基本計画を踏まえた情報通信研究開発基本計画の充実
  について」
 3 報告「補聴援助システム用小電力無線設備の技術的条件の審議開始につい
  て」
 4 報告「平成9年度情報通信政策の重点」
 5 報告「平成9年度郵政省科学技術関係予算概算要求の概要」
 6 その他

第5 審議の概要

 1 開会

  ○渡辺審議会室長 それでは定刻になりましたので、第93回電気通信技術
   審議会を開催いたします。
    議事に先立ちまして、委員の交代がありましたのでご紹介いたします。
   市原委員、宮津委員、森川委員が辞任され、新しく国際電信電話株式会社
   代表取締役副社長 太田 亨 委員、日本放送協会専務理事・技師長 長
   谷川豊明 委員、日本電信電話株式会社代表取締役副社長 宮脇 陞 委
   員の3委員のご就任をいただいております。
    本日は3名の委員のうち、太田委員、長谷川委員にご出席いただいてお
   ります。宮脇委員は、海外出張で欠席でございます。それでは2委員の方
   からごあいさついただければ幸いでございます。よろしくお願いいたしま
   す。

  ○太田委員 KDDの太田でございます。よろしくお願いいたします。

  ○長谷川委員 NHKの長谷川でございます。どうぞよろしくお願いいたし
   ます。

  ○渡辺審議会室長 ありがとうございました。なお、議事次第の下に新しい
   委員名簿をお配りしております。後ほどごらんください。
    次に議事の確認をいたします。本日の議題は議事次第にありますとおり、
   一部答申として、国際電気通信連合電気通信標準化部門の活動への対処に
   ついて。新規諮問として、科学技術基本計画を踏まえた情報通信研究開発
   基本計画の充実について。その次に郵政省から報告が3件ございます。ま
   ず補聴援助システム用小電力無線設備の技術的条件の審議開始について。
   次に平成9年度情報通信政策の重点について。3番目に平成9年度郵政省
   科学技術関係予算概算要求の概要について報告がございます。
    本日の議事は以上の5件を予定しております。
    次に配付資料の確認をさせていただきます。お配りしています資料は、
   上から順に議事次第、電気通信技術審議会委員名簿、第92回電気通信技
   術審議会議事録(案)、これは委員の方のみにお配りしております。
    次に本日の説明資料でございますが、資料93−1として電気通信技術
   審議会電気通信標準化委員会報告、資料93−2として答申書(案)(諮
   問第2号「国際電気通信連合電気通信標準化部門の活動への対処について
   」)、資料93−3として諮問書でございますが、諮問第87号「科学技
   術基本計画を踏まえた情報通信研究開発基本計画の充実について」、資料
   93−4として部会への付議について(案)、資料93−5として部会の
   所属委員の追加、資料93−6として部会の所属専門委員の指名、資料9
   3−7として補聴援助システム用小電力無線設備の技術的条件について、
   資料93−8として平成9年度情報通信政策の重点、資料93−9として
   平成9年度郵政省科学技術関係予算概算要求の概要、以上でございます。
    配付資料の方にもれているものはございませんでしょうか。よろしけれ
   ば、さっそくですが、西澤会長、よろしくお願いいたします。

 2 議事

  ○西澤会長 それでは最初に前回の会合の議事録案が事務局から示されてお
   ります。あとでごらんいただきまして、ご意見などがございましたら、今
   週中に事務局までご連絡をお願いしたいと思います。その後、公開をする
   という手続に入らせていただきます。
    それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めさせていただき
   ます。

 (1)一部答申 「国際電気通信連合電気通信標準化部門の活動への対処につ
          いて」

  ○西澤会長 まず最初、一部答申。国際電気通信連合電気通信標準化部門の
   活動への対処についてでございます。
    はじめに議事 一部答申、国際電気通信連合電気通信標準化部門の活動
   への対処についてでございますが、最初に電気通信標準化委員会の委員長
   をお願いしております安田先生から、委員会でのこれまでの検討結果につ
   きまして、ご報告をちょうだいしたいと思います。安田先生、ひとつよろ
   しくお願いいたします。

  ○安田委員 それではご報告申し上げます。資料は93−1が電気通信標準
   化委員会報告でございまして、答申の本体は93−2になっております。
   ご承知のとおり、国際電気通信連合の下の電気通信標準化部門、ITU−
   Tというのがございますが、電技審の下の電気通信標準化委員会は、この
   ITU−Tの活動への対処に対応するための委員会というふうに受けとめ
   ておるわけです。
    この電気通信標準化部門、ITU−Tは4年に1回、総会が開かれるわ
   けでありまして、今年はその年になっておりまして、第2回のITU−T
   の会合があるわけですが、この10月9日から18日までジュネーブで行
   われるという予定です。
    この電技審の下の委員会はそういったものに直接対処するばかりではな
   く、その間に郵便投票の関連でSGが活動しております。そういうSGに
   対する対処等も含めて、定期的、連続的に多数の専門委員会がそれに対応
   して動いているというものでございます。
    委員会の構成でございますが、ITU−Tの方がいわゆる研究委員会、
   SGというものが全部で、いま15が動いているわけです。番号は15ま
   でありますが、電気通信技術審議会では3番が欠番になっている。それか
   ら電気通信アドバイザリーグループという横断的に作業計画等を審議する
   委員会があるわけですが、これをTSAGといっておりますが、これが1
   つあります。
    そのほかにコーディネーショングループといったものがたくさんあるわ
   けでして、そういったものに1対1に対応するわけではございませんが、
   11の専門委員会を設置しておりまして、対応しておるわけであります。
    その辺の構成は、ページを幾つかめくっていただきますと別紙1が出て
   きますが、別紙1−1が委員会名簿です。委員会の構成、それから分科会
   がございますが、その主査。別紙1−2が全体の構成を表にしてあるわけ
   でございます。
    別紙2に我が国からITU−Tの方の活動に対して、研究委員会等に出
   している議長や副議長が、どういう委員会に出しているかという一覧表が
   出ております。
    審議経過でありますが、審議経過は別紙3のとおりでございまして、こ
   れまでに平成5年5月19日を最初といたしまして、4回開いているわけ
   でございます。3回までにつきましては、既に電技審のこの場で中間報告
   をしているわけでして、今回は、主として第4回、平成8年9月11日に
   行われましたものにつきまして、ご報告を申し上げたいと思います。
    審議概要でありますが、1つはITU−Tの各SGに対する寄与文書及
   び対処方針の審議、決議1に基づき会期中に承認が提案される研究課題案
   及び勧告案に対する審議を行っております。
    2番目といたしまして、ITU−Tの各研究委員会が作成し、WTSC
   ですね、先ほどの世界電気通信標準化会議の96度会合に提出される勧告
   案の評価及び来会期の研究課題案についての審議を行っておるわけです。
    その辺のところをまとめて表に示してございまして、別紙4でございま
   すが、活動の状況をあらわす統計データを入れております。最初は、各専
   門委員会の開催状況。全部で合計141回の会合という多くの会合をこれ
   までにやっておると。それから分科会につきましても、194回という会
   合をもっておるわけであります。
    また別紙5が今会期、1993年から1996年でありますけれども、
   この間における我が国から出しました寄書の提出状況も各SGに対して、
   どのような機関から提出したかという一覧表がマトリックスで示してあり
   ます。全部で942という多数の寄書を提出しておるわけであります。
    別紙6でございますが、これは今会期における会議出席者の延べ人数と
   いうことでありまして、延べ1,382名が出席しておるという状況であ
   ります。
    それから続きまして、別紙についての説明をいたしますが、別紙7が勧
   告化、ITU−Tで勧告化の現状ということでありまして、左の項のコラ
   ムが郵便投票で承認された勧告。前会期からITU−Tが組織がえになり
   まして、それに伴って、最近の技術進歩の速さに対応して、郵便投票でも
   って勧告を成立させるということが可能になったわけであります。
    その勧告が左側。それから今回のWTSCに提出される勧告案というも
   のが右側にあります。それら両方をトータルすると821と、大変多数の
   勧告案が出るということでございます。
    別紙8が研究課題の中身を示したものでございます。詳細は省略いたし
   ますが、各SGがどのような仕事をしておるかということがここに示され
   ております。
    この別紙8は今会期の研究課題。それから別紙9は次会期以降、つまり
   1997年から2000年までの研究課題が一覧として示されております。
   以上でございます。
    次に審議結果を簡単に申し上げますが、WTSC−96に提出される勧
   告案、課題案、作業計画等に対する評価、これは答申書の本体の方でござ
   いますが、少し詳しくとりまとめておるわけでございます。全体を通して
   言えることは、勧告案につきましては、基本的に我が国の意見が取り入れ
   られているということでございますので「支持」または「静観」というこ
   とで対応するということにしております。
    ただし1つだけ例外がございまして、SG15から提出されるG.69
   1という勧告があります。これは本体の資料93−2の77ページ目をご
   らんいただきますと、どのようなものか書いてあります。77ページに表
   15−1がございます。ここにG.691というのがございまして、光ア
   ンプを用いたシングルチャンネルSDHシステム及びSTM−64システ
   ムの光インターフェースという勧告であります。
    この中で、パテント問題ですね。合理的な条件で非差別のパテントを使
   わせることが国際勧告の常識でございまして、そういう条件に従うことな
   く勧告化をしようとしているわけでございます。これにつきましては、そ
   ういった観点から好ましくないということで、反対を表明しようというこ
   とであります。
    また課題案及び作業計画の審議につきましては、各SGの対処に電気通
   信標準化アドバイザリーグループの対処を踏まえまして、適宜、対処する
   ということにしたわけであります。
    次に今会期の重要な検討項目をわかりやすく述べたものが、図をつけて
   ここに8項目ばかり書いてございます。
    これについても詳しく説明しておりますと、与えられた10分という時
   間はすぐ超過いたしますものですから、かいつまんで取り上げてみたいと
   思います。第1がオーディオビジュアル/マルチメディアサービス。これ
   はテレビ会議やオーディオグラフィック会議、CATVのデジタル化とい
   う研究が行われているわけであります。
    主な勧告といたしましては、動画像符号化勧告H.262。これはMP
   EG2というものに対応するものです。それからN−ISDNにおけるテ
   レビ電話/会議勧告H.320。それからパソコン会議、これはT.12
   0のシリーズ。パソコン会議とテレビ電話/会議を組み合わせるT.13
   0のシリーズというものがあるわけでして、こういうものに対する勧告あ
   るいは研究が進めされておるわけであります。
    今後はB−ISDNや移動体・公衆通信網に対応したオーディオビジュ
   アル/マルチメディアサービスとシステムの規定、パソコン会議、テレビ
   電話/テレビ会議を組み合わせるT.130シリーズの検討を深めるとい
   うことが予定されております。
    こういった問題に関しましては、我が国としても非常に関心の深いとこ
   ろでありますので、積極的に対応していく必要があるということでありま
   す。
    2番目がモデムの高度化。これはSG8及び14関連であります。従来
   の電話網を使った伝送におけるモデムは9.6キロビットというのが高速
   なものでございました。最近は14.4や28.幾つという高速なものが
   実際、市場に出回っているわけでありまして、その辺からITU−Tとい
   たましても、33.6kbpsというふうに高速のモデムを標準化しよう
   ということであります。これによって伝送時間が非常に削減されるという
   ことであります。
    さらにモデムを複数の端末で共用するという技術。モデムの自動認識と
   いう技術もこの勧告勧告化が行われているということであります。
    3番目がインタラクティブテレビ。これはインタラクティブテレビの概
   念を整理した段階であるということでございまして、図がございますが、
   上のほうが分配型のテレビ、下の方がインタラクティブテレビということ
   で、双方向のメディアといたしましては、PSTN、ISDN、VSAT、
   インターネット、CATVとこういったいろんなものがあるということで
   あります。
    次が4番目、広帯域ISDN。これについても従来から、精力的に標準
   化の作業が進められておりまして、サービスのクラスを幾つかに分けて、
   簡単なものから順次、標準化が進んでいっているという状況でございます。
   まずポイント・トゥー・ポイント接続。そういったポイント・トゥー・ポ
   イント接続をカバーするところの信号能力セットSCS1というものの勧
   告化は既に完了しております。
    それからポイント・トゥー・マルチポイント接続等のための信号能力セ
   ット、SCS2というものの勧告化もほぼ終了しております。
    今会期にB−ISDN関連の新規勧告はSG11関連で63件、SG1
   3関連で13件と非常に多くの勧告がB−ISDN関係で行われているわ
   けです。
    次会期以降は、さらにインターネットをB−ISDN網にのせるための
   プロトコルの検討でありますとか、分配型/放送型サービス等の提供を可
   能にする信号能力セットSCS3というものの検討が進められる予定であ
   ります。これにつきましても、我が国としては積極的に寄与していきたい
   ということであります。
    それから5番目が将来の公衆陸上移動通信システムFPLMTS。これ
   につきましても、従来から研究が行われておりまして、この電技審の場で
   もいろいろ説明がありましたので、省略いたしますが、2000年を目途
   に標準化を進めるということで現在、検討が進められておるわけでありま
   して、関連SGの進ちょく・課題調整を行うSG−FPLMTSという横
   断的なFPLMTS関連のグループが適用されて、検討が行われておりま
   す。
    次が6番目でございますが、パーソナル通信関係。ユニバーサル・パー
   ソナル・テレコミュニケーション。UPTはご承知のとおり、個人に対し
   て付与した番号を用いまして、いろんな端末から複数のネットワークを通
   じて、同じ番号で通信ができるように、世界的な規模でやりたいというこ
   とで検討されているサービスでありまして、そのために必要なルーティン
   グ原則であるとか、機能モデル・情報フロー記述という関連の新規5件の
   勧告が完成しております。
    これを用いますと、将来は世界中、個人それぞれに付与された固有の一
   つの番号によって、どこででも、どのようなサービスでも受けることがで
   きるようになるということであります。
    しかしまだ完成はしておりませんで、今後さらに、その詳細化の検討が
   進められる予定です。
    7番目がインテリジェントネットワーク。このインテリジェントネット
   ワークは、いろんな新しいサービスが最近出ているわけで、マルチメディ
   アであるとか、いま申しましたUPTであるとか、FPLMTSというも
   ののネットワーク側の対応を検討しているものというふうにお考えいただ
   いてよろしいかと思います。
    ここで電気通信業者、ネットワーク側の交換機能に関するいろんな検討
   が行われております。
    それから次が8番目。ITU−Tの作業方法と作業計画。これは先ほど
   申しました、それぞれ個々のサービスに対応した研究委員会ではございま
   せんで、全体の作業経過、作業方法、勧告承認等手続を検討しておる電気
   通信標準化アドバイザリーグループ、略称TSAGと言っているものです
   が、そこでの検討であります。
    今回のWTSCでは、今会期の検討を踏まえましてマルチメディア技術
   に対応した新研究委員会、SGを設立します。これまではマルチメディア
   関係がいろんな研究委員会で取り扱われておりまして、作業効率が悪いと
   いうことで、マルチメディア関係だけをピックアップいたしまして、新し
   いSGをつくる。SGA、これは仮称でしたか、この名前となるのか、い
   まは覚えておりませんが、そういったものが新設される予定です。
    それから技術革新のスピードに対応した新しい作業法、フォーカスグル
   ープ、手続の簡素化というものを導入するとか、作業の効率化を目的とし
   て電子的文書伝送/処理の導入、知的所有権の取り扱いルールの明確化と
   いうものについて、今回のWTSCで審議をすることになっております。
    これらにつきましては、我が国の提案も多く含まれておりますし、また
   関心の高いところでございますので積極的に支持していくという形になる
   ところでございます。
    なお下に図が出ておりまして、左側に書いてあるような現行のSGで扱
   われている課題を、右側に書いてあります移動後の新しいSGに移す。新
   しいといいましても、本当に新しいのはSGAと書いてありますマルチメ
   ディアサービスとシステムというものでありまして、SG8、SG15は
   既存のものであります。ほかのものを整理し、SG1など幾つかの他のS
   Gから持ってきたものをSGAで改めて再編して検討するということであ
   ります。
    下の図は、投票方法を変えまして、勧告が承認されるまでの期間を早め
   るということで、従来はSG会合の後に各国の機関に投票を求めて、その
   結果によって勧告を成立させるということでありましたが、SGの会合の
   前に投票をやらせてやるということによりまして、約4カ月、従来よりも
   短縮できるという案を出しておるわけでございます。
    以上、簡単でございますが、電気通信標準化委員会の検討状況をご説明
   申し上げました。

  ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの報告に
   関しまして、ご審議をお願いいたします。

  ○羽鳥委員 先ほど資料2でご説明いただきました77ページのパテント問
   題というのはどのような内容のことでございますか。

  ○河内標準化推進室長 この勧告はSTM−64という同期型のトランスフ
   ァーモードで約10ギガヘルツという非常に高速の情報伝送をしようとい
   うものでございます。
    この光アンプの部分が一つの技術のポイントでございまして、この光ア
   ンプから高出力の信号をファイバーに入射するときに、ここでの誘導ブリ
   ルアン散乱という名前がついておりますけれども、非常に散乱が起きる。
   これをどう抑えるかというのがポイントでございまして、そこの特許をイ
   ギリスのブリティッシュテレコムが持っているというようなことです。ブ
   リティッシュテレコムがこの特許を開放しないということを言っているの
   に対して、それでは標準にしたときに、合理的な形で開放されなければル
   ールに反するのではないかということで、反対しようというものでござい
   ます。

  ○西澤会長 ほかにございませんか。
   それでは、ほかにご意見もございませんようですので、よろしければ、電
   気通信標準化委員会報告を了承するということにいたしまして、資料93
   −2に示します答申書の案にありますように、諮問第2号に対する一部答
   申としたいと思います。
    ご異議ございますでしょうか。
    (異議なしの声)
    どうもありがとうございました。ご異議ないようでございますので、本
   件を一部答申することにいたします。委員の安田先生、委員会での検討と
   とりまとめについて、どうもありがとうございました。
    ただいまの答申に関しまして、答申後の行政上の措置につきまして、省
   側からご説明を伺えるということでございますので、よろしくお願いいた
   します。

  ○木村通信政策局長 このたびは国際電気通信連合電気通信標準化部門の活
   動への対処につきましてご答申を賜りまして、大変ありがとうございまし
   た。
    国際電気通信連合電気通信標準化部門は、世界的規模の電気通信標準の
   発展の見地から、技術、運用及び料金の問題についての課題を研究し、ま
   たそれらについての勧告を発することを任務としております。
    10月に開催されます世界電気通信標準化会議におきましては、B−I
   SDN、マルチメディア、パーソナル通信ネットワークを始めとした数々
   の分野について、勧告案及び研究課題案の審議、採択がなされ、その実用
   化に向けて大きな進展が図られるとともに、より迅速かつ社会のニーズに
   適合したITUの標準化体制を構築すべく、その組織と手法の変革が図ら
   れるという重要な会議であります。
    郵政省といたしましては、その会議におきまして、ただいまいただきま
   した本答申に基づきまして、我が国の意見が広く取り入れられるよう、的
   確に対処していきたいと考えております。
    本答申を取りまとめるに当たりまして、委員の皆さんをはじめ、専門委
   員の方々など、多くの方々に熱心にご審議をいただき、そのご尽力に対し
   まして、ここに改めて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

 (2)新規諮問 「科学技術基本計画を踏まえた情報通信研究開発基本計画の
          充実について」

  ○西澤会長 それでは次に新規諮問の審議に入らせていただきます。
    それでは、これにつきまして、郵政省側からご説明をお願いいたします。

  ○鬼頭技術政策課長 技術政策課長でございます。
    お手元の資料93−3に基づきまして、ご説明申し上げます。諮問第8
   7号ということで、情報通信研究開発基本計画の充実でございます。
    まず1の諮問理由を読み上げさせていただきます。我が国は来る21世
   紀の技術創造立国に向けて、研究開発の強化が緊近の課題となっています。
   とりわけ情報通信がそれ自体リーディング産業となるものであり、また幅
   広い分野において新規産業を創出する新たな経済発展基盤の中心的役割を
   果たすものと期待されていることから、情報通信技術の研究開発は技術創
   造立国の根幹をなすものと考えられます。
    このため本年5月には、情報通信技術の研究開発を総合的かつ計画的に
   推進していくため、研究開発の基本方針、推進方策及び政府として推進す
   べき77の重点研究開発プロジェクトを内容とする答申「情報通信技術に
   関する研究開発基本計画」を本審議会からいただいたところでございます。
    しかしながら、同答申以後も情報通信技術は急速な進歩をとげており、
   また本年7月には、昨年11月に公布・施行された科学技術基本法に基づ
   く科学技術基本計画が閣議決定されるなど、研究開発を取り巻く環境も刻
   一刻と変化しております。
    そこで状況の変化に的確に対応し、今後ますます我が国全体としての科
   学技術振興に向けた取組を強化していくことが必要であります。科学技術
   基本計画では、研究開発投資の拡充、厳正な評価の実施等を重点に掲げて
   います。これを踏まえて、情報通信分野の研究開発に関して、研究開発の
   必要性、効用を社会にアピールすることにより、国民の理解を得て、十分
   な研究開発予算を確保していくこと。研究開発の厳正な評価を実施し、研
   究開発をより実効あるものとすることが必要であります。
    このため科学技術基本計画を踏まえた情報通信研究開発基本計画の充実
   について、審議を求めるものであります。
    答申を希望する事項といたしましては、研究開発推進の一層の強化方策。
   今後の技術展望及び研究開発の社会的効用。研究開発に対する評価のあり
   方。答申希望時期といたしましては、来年5月。答申が得られたときの行
   政上の措置といたしましては、情報通信技術政策への反映という中身でご
   ざいます。
    5月に答申をいただいた研究開発基本計画第4章にこのような文面がご
   ざいまして、適時適切な計画の見直しを行うべきということで、これを受
   けて今回新規に諮問させていただくものでございます。
    その上でございますが、今回の研究開発基本計画の充実について、具体
   的には研究開発の必要性を社会に、よりアピールできるようにしたいとい
   うことと、平成10年度の予算要求等に向けての取組に使わせていただき
   たいというのがねらいでございます。
    次に4ページでございますが、4ページに5月に答申をいただいた研究
   開発基本計画、それから7月に出されました科学技術基本計画との関連を
   絵にいたしております。科学技術基本計画の方をごらんいただきますと、
   4つの大きな柱がございます。
    政府の研究開発投資の拡充。今後5年間で17兆円を投入することが必
   要。それから新しい研究開発システムの構築。国等の研究成果の活用の促
   進。一番最後にございますけれども、厳正な評価の実施。この4つがござ
   いまして、5月の答申にも、それぞれ盛り込まれておりますが、特にこの
   真ん中の「充実」というところをごらんいただきたいわけですが、1つは
   この重点プロジェクトにつきまして進ちょく状況を把握して強化していた
   だきたい。それから研究開発体制の強化につきましても、地域の研究開発
   力の向上あるいは国際共同研究という視点、さらに他省庁との連携という
   のが今年の予算の主流でございましたので、そういった視点等も踏まえな
   がら、強化方策を策定していただきたい。
    2点目でございますが、今後の技術展望を踏まえた研究開発の社会的効
   用の明確化ということ。3点目でございますが、適正な評価方法の確立と
   いうこと。これは、科学技術基本計画におきましても厳正な評価の実施と
   いうことが盛り込まれており、それを受けた科学技術会議の方で、国の研
   究開発全般に対します評価のあり方についての大綱的指針を策定するとい
   うことで、今年度中を目途に検討を始める予定となっております。これと
   整合性のとれた形で、当審議会におきましても適正な評価方法の確立等と
   いう視点から、この基本計画の充実を図っていただきたいというものでご
   ざいます。
    以上でございます。

  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
   て、ご意見、ご質問お願いいたします。

  ○倉内委員 この基本計画等については既にこの審議会でもお話しがありま
   したし、科学技術基本計画におきましても、いろいろ新しい研究開発体制、
   あるいは、その他の新しいことがかなり織り込まれているわけであります。
    今回の諮問では厳正な評価方法であるとか、評価のことが一つの重点に
   なっているようでございます。そういった意味から考えますと、厳正な評
   価、適正な評価ということを余り打ち出しますと、かえって評価そのもの
   が、硬直化するという言い方はおかしいかもしれませんけれども、余りに
   一様的な評価になってしまうということも多少問題ではないかと思います。
    研究開発そのものの対応性という立場からいくと、確かに適切な評価は
   非常に重要なんですけれども、評価そのものがある程度、多様性を許容す
   るという形での評価を考えていただくことが重要ではないだろうかと考え
   ます。
    国の政府の関係の研究でいわゆる1つの成功、ある目標に対して成功す
   るとか、成功しなかったということがよくあるわけであります。もちろん
   ある種の研究においては、目標を達成して成功することは非常に重要だと
   思いますけれども、一方、学問的な知見が得られるとか、ある種の技術の
   可能性の限界を確かめるといった研究もあろうかと思いますので、そうい
   った種類の研究も十分生かし得るような評価基準を検討していただきたい。
    ですから評価基準自身も単一ではなくて、ある程度、選択性といいます
   か、こういうテーマについてはこういったものを適用する。成功、不成功
   は場合によっては問わないという評価基準の対応性のこともぜひ考えてい
   ただきたいのが1点。
    もう一つ、研究テーマそのものの進め方、研究の体制やテーマの選択に
   ついても、これは既にそういうことが提案されているかと思いますけれど
   も、ある種の研究については大枠だけを与えて、テーマそのものあるいは
   研究体制、それ自身の自分自身の研究の評価を含めて、はじめから一般の
   公募によるというような研究制度もすべてではないでしょうけれども、一
   部取り入れていただくことも重要ではないかと思います。
    どういう研究テーマを選ぶかということは極めて重要でもあり、通常あ
   る準備の期間において、関係者の間でいろいろ議論がされた結果、研究テ
   ーマが出され、それに対して公募されるということは既に行われておりま
   すが、場合によっては、最初からオープンにして、研究テーマ自身を提案
   させるという範ちゅうの研究制度も考えていただくことが有効ではないか
   と思います。
    研究体制そのものにしても、大学の人と一緒にやろうが、外国の人と一
   緒にやろうが、そういったことに余りとらわれずに、とにかく提案そのも
   のを受け付けてそこでやるというフレキシビリティのあるような研究の制
   度も考えていただいた方がいいのではないかとおもいます。いま申し上げ
   たことはいずれも研究開発そのものの多様性。特に情報通信関係はそうい
   ったことが重要になってくるかと思います。
    そういった意味で私のコメントを申し上げた次第です。以上です。

  ○関澤委員 この新しいといいますか、新規諮問となっておりますが、内容
   を伺いますと先般、出されました基本計画の発展型継続ということで、基
   本的に賛成でぜひやるべきだと思います。
    研究開発というのは、決してぶつぶつ切れているものではなくて、継続
   性が非常に大事なことでありまして。たまたま衆議院の解散がありました
   けれども、そういったことに影響されずに、研究者が継続的にテーマに深
   く取り組むことのできる体制という意味で、こういう見直しも必要だと思
   います。さきほど、説明の中にもございましたけれども研究開発を取り巻
   く環境というのは非常な勢いで変化しておりますから、常にそれを見直し
   ていかなければいけないだろうと思います。
    そういった意味で、この基本計画の発展型としての新規諮問ということ
   で大変結構だと思います。そういったことからしますと、例えば77プロ
   ジェクトでスタートしているわけですけれども、このへんももう一度よく
   見直す必要があるかもしれませんし、地域研究開発力の向上、他省庁との
   連携、国際共同研究の促進ということもまさにここのところへきて急激に
   発達したネットワークを使っての相互協調という環境の中で、一体、世界
   に遅れをとらない研究というのはどうやっていくのかといったことも含め
   て、これから来年の5月まで審議ということになるわけですが、ぜひ日本
   が技術的にこの分野で決して遅れをとらないというか、むしろリードする
   ような形の計画ということでまとまれば、大変結構だと思っております。
   以上です。

  ○鬼頭技術政策課長 どうもありがとうございます。いまのお二人の委員か
   らのご指摘、私どももぜひそういった方向で検討したいと思っている趣旨
   でございます。
    一つだけ補足させていただきますが、厳正な評価や適正な評価という言
   葉づかいをいたしておりますが、これはあくまでも国民の目。例えば国の
   税金を使って研究開発をやる際に、国民等の目から見て、きちんと使われ
   ているという意味合いで使っておる言葉でございます。当然、研究開発の
   評価の難しさというのは、先ほどご指摘のありましたとおり、余り厳しい
   評価をしますと、研究者の意欲を失わせることになりかねませんし、逆に
   余りにそれをしないということになると、今度は何に使っているんだとい
   う納税者の方の批判を受ける。この辺の兼ね合いをどの辺におくかという
   ことも含めて、ご検討いただければと考えております。よろしくお願いし
   ます。

  ○西澤会長 場違いでございますが、少しだけ、私の方から周囲状況をご説
   明しておいた方がいいかと思います。
    省庁間の連絡をうまくとるということは必要でございますが、私として
   は若干、オーバーラップさせた方がいいと提議しております。余り壁をつ
   くってしまうことは、むしろマイナスでございます。例えば文部省と科技
   庁あたりは、一部だぶるぐらいの方がいいのではないか。ある意味では評
   価の手違い等も、そこでかなり是正されるだろうということでございます。
    それから、この科学技術立法をやるときに、はじめから強硬な意見が代
   議士の先生の中にありまして、評価というものをきちんとやらない法律と
   いうものは底抜けであるから、評価制度をきちんとつくれというものであ
   りました。いま、聞くところによると議員立法で評価機関をつくろうとい
   う動きがかなり激しく動いていると思います。
    これは有名な先生にやってもらえばいいという話もあるわけですが、有
   名とは何かということになると、余り根拠はございませんので、すこし定
   量化することが必要だと思います。若いうちから少しずつ、一人一人の方
   がどういう評価能力を持っているかと。コアキャスティングですから、先
   のことが読めなければだめでございます。
    そういった方々の能力を平素から調査しておく。そこからご推薦申し上
   げた方の中から選ぶという。何パーセントマージンをつけるかというとこ
   ろまで議論を始めておりますので、やがてそういう形になってくるのでは
   ないかと考えております。
    一番難しいのは評価でございますので、いろいろご意見があったところ
   はぜひ組み入れていきたいと思います。

  ○甕技術総括審議官 倉内委員の方からご指摘のあった最初からオープンに
   ということですが、確かに郵政省関係では、いままで研究開発をやってき
   ているわけですけれども、そんなに大きな予算がついているわけではござ
   いません。最近予算が大きくなって、今年から実際、公募制度を開始する
   ということです。この制度の基本的な考え方は、77プロジェクトはある
   が、しかしこれだけではなくて、いろんな大学の先生をはじめ、新たな発
   想に基づいたアイデアがいろいろ出てくるだろう。それを公募制度により、
   採用していこうということでございます。
    それで公募制度がそれなりに新たなアイデアをどんどん出して、77プ
   ロジェクトの見直しにどんどんつながっていくだろうと。そういった意味
   でこの公募制度を有効活用していく必要があるだろうとういことでござい
   まして、まさしく倉内委員ご指摘のとおりといえるかと思います。
    それから関澤委員ご指摘のネットワークの話については、私ども非常に
   重要だと思っております。全国的なネットワークまたは国際的なネットワ
   ーク。やはり研究者間のネットワークを組み合わせることによって、新た
   な研究の促進、また、研究のブレイクするところが出てくるだろうと思っ
   ておりまして、その辺のネットワークづくりというのは有形無形、いろん
   な形であろうと思っております。
    9年度予算要求でもマルチメディア・バーチャル・ラボという予算を要
   求して、いずれ具体的に構築ということになっていくと思いますけれども、
   具体的なネットワークづくりも必要かと思っております。そういったもの
   も織りまぜてご審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。

  ○西澤会長 よろしゅうございましょうか。それでは大問題がいろいろござ
   いますが、私から、もう一つだけ付け加えておきたいと思います。
    私が提案しているのは、せめて20パーセントだけは外国でやっていな
   い仕事をやってほしいというものです。本当をいえば、100パーセント
   といいたいところですが、とても無理だと思うので、20パーセントぐら
   いは外国でやっていない仕事をやってほしいということを要望していると
   ころでございます。
    それでは、もしほかにご意見がございませんでしたら、郵政省からの説
   明を了承いたしまして、本件諮問をお受けするということにさせていただ
   きたいと思います。この諮問に対する審議体制等につきましては資料93
   −4に示しましたとおり、総合政策部会に付議することにさせていただき
   たいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
    (異議なしの声)
    また本件審議に当たっては、技術展望、研究評価に関して専門的な事項
   に対して調査をすることが必要と考えられますので、そのための専門委員
   会を置くことができることにいたしたいと思います。よろしゅうございま
   しょうか。
    (異議なしの声)
    それではどうもありがとうございました。ご異議ないようでございます
   ので、総合政策部会に付議いたすことにさせていただきます。
    ただいま付議いたしました部会の所属委員の追加並びに専門委員の指名
   につきましては、資料93−5及び資料93−6のとおりといたしたいと
   思いますので、ご承知おきいただきたいと思います。
    それでは次の議題に入らせていただきます。

 (3)報告「補聴援助システム用小電力無線設備の技術的条件の審議開始につ
   いて」

  ○西澤会長 次は、報告、補聴援助システム用小電力無線設備の技術的条件
   の審議開始についてでございます。
    本件につきましては、本審議会で既に設置されております小電力無線設
   備委員会におきまして、新たに補聴援助システム用の小電力無線設備の技
   術的条件の審議を開始するものでございます。
    特に新規諮問ではございませんが、新たなシステムについての審議であ
   るために、報告していただきまして、委員からのご意見をお願いしたいと
   思います。では、まず郵政省の方からご説明をお願いしたいと思います。

  ○寺崎移動通信課長 移動通信課長の寺崎と申します。資料93−7に基づ
   きまして、説明させていただきます。
    これは個別案件になりますけれども、耳の悪い方が音声を聞く場合、い
   ま、補聴器を使っております。補聴器というのは近くでしゃべった言葉を
   マイクで受けて、それを増幅して耳で聞くということです。しゃべってい
   る方が例えば5メートルなり10メートルと遠くなってしまうと、補聴器
   をお持ちの方は、周りの雑音を全部拾ってしまうので、距離が離れれば離
   れるほど、聞き取りにくく、特に小さい子どもさんはすぐ耳から補聴器を
   外してしまうということになるということで、特にしゃべる方と耳の悪い
   方の間の距離の長い部分を電波で飛ばしてしまいまして、雑音を入らなく
   しようということで、電波を使ってこういうシステムをつくっていこうと
   いう趣旨でございます。
    いま、日本国内における補聴器の出荷台数は、年間で約30万台から4
   0万台あると伺っております。こういうようなワイヤレスシステム、いわ
   ゆる電波を使った補聴器というのはそのうち約2割程度である6万台前後
   が大体の市場になるのではなかろうかと想定されております。
    資料93−7ですけれども、特に耳の悪い方々、聾学校等の教育の場で
   先生がしゃべり、それを生徒さんが聞いていろいろと勉強していく場では、
   特に先生と生徒さんの距離があります。その場合、特に共同利用型で補聴
   器をうまく使いたいという御要望が特にありますから、このような個人や
   集団で使用する電波を利用した補聴システムの導入が叫ばれている点でご
   ざいます。
    3ページに図が入っております。個人用の受信システム、それから同報
   タイプのもの。図3がこれからかなりの用途で導入したいということです
   けれども、先生がいて生徒が複数いる中で、集団的にこの補聴システムを
   使っていくということでございます。
    先ほど会長の方からお話しいただきましたように、小電力という言葉を
   使わせていただいておりますけれども、電波法の法律の中で小電力無線設
   備につきましては、10ミリワット以下の空中線電力が小さいようなシス
   テムにつきましては、技術基準に合っていれば、無免許で導入できるとい
   う制度がございますので、そういう意味で小電力無線設備として当該補聴
   援助システムを位置づけさせていただきまして、そのための技術基準を検
   討していただきたいという趣旨でございます。
    審議体制は、諮問第26号 小電力無線設備の技術的条件ということで
   既に昭和60年1月に諮問していただいております。この小電力無線設備
   委員会におきまして継続審議ということでこの案件を審議していただけれ
   ばと思っているわけでございます。
    答申を希望する事項としましては、補聴援助システム用小電力無線設備
   に関する一般的条件、補聴援助システム用小電力無線設備の送信設備及び
   受信設備の技術的条件。答申を希望する時期としましては、来年1月ごろ
   ということです。
    答申が得られたときの行政措置といたしましては、郵政省令の改正等技
   術基準改正に資したいと考えております。
    この補聴システムですけれども、いまでも微弱タイプ、いわゆる電波法
   の規制の対象外になっている非常に弱い電波で導入されているケースはあ
   るのですが、最近微弱タイプのものが多くなってきておりまして、お互い
   に混信するという点がございます。この小電力無線設備の中で、補聴援助
   システム専用の電波を想定いたしまして、混信等が起こらないようにして
   いきたいと思っております。
    なお要望といたしましては、全国聾学校校長会あるいは難聴児を持つ親
   の会等からも要望をいただいておりますので積極的な形で進めていき、早
   期実現に資したいと考えているところでございます。
    以上であります。

  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
   て、ご意見、ご質問お願いいたします。


  ○安田委員 先ほどご説明ありました図3ですが、これですと先生の声と生
   徒の声も電波で受けて、ミックスしたものが各生徒に伝わるという形だと
   思います。ところが大体、学校で経験しますと、うるさいのはだれかとい
   うと、私語をしている生徒です。これでは、その私語まで全部増幅されて
   入ってくる。むしろ生徒からの声は、通らない方がいいという感じで、先
   生のものだけを入れるように、自由にコントロールできるようになってい
   るのでしょうか。

  ○寺崎移動通信課長 このシステムはミキサーアンプという、間に仲介する
   ようなものを入れまして、適宜いろんな使い方ができるようにということ
   を想定しております。

  ○安田委員 余り複雑にすると、今度は使えませんから。

  ○寺崎移動通信課長 ええ、そうですね。

  ○西澤会長 現実の体験に応じたご意見、ありがとうございました。ほかに。

  ○高橋委員 障害者を対象とするシステムについて、こういう審議が始まっ
   たということで、とても喜んでいるわけですが、できるだけ現場の意見を
   聞いて、要望に沿うような方向で検討していただけるとありがたいと思い
   ます。

  ○寺崎移動通信課長 先生のおっしゃるとおりでありまして、委員会の下に
   分科会等々を設けさせていただきますけれども、専門の方々にもいろいろ
   とご意見を伺えるような形態をとらせていただければと思っております。

  ○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。
    それでは本件については、小電力無線設備委員会の方でご審議をよろし
   くお願いいたします。

 (4)報告 「平成9年度情報通信政策の重点」

  ○西澤会長 次に入ります。平成9年度情報通信政策の重点でございます。
   議事4の報告、平成9年度情報通信政策の重点につきまして、郵政省の方
   からご説明をお願い致します。

  ○元女政策課長 政策課長でございます。
    資料93−8に基づいてご説明いたします。前回、7月22日には、ま
   だ予算に関しましてはシーリングも決まっておらず、渦中だったわけでご
   ざいます。その際にいろんな動向、また私どもの考え方をご説明させてい
   ただきました。その後、7月30日には閣議によりシーリングが決まり、
   9月にはそういったものを踏まえまして予算要求させていただいていると
   いうところでございます。
    私の方からはそういうものを踏まえまして、全般的な9年度政策の重点
   をご説明させていただきます。後ほど科学技術関係のところを別に、技術
   政策課長より詳細にご説明させていただきますが、私の方からは重点とい
   うことで、全般的なご説明をさせていただきたいと思います。
    「重点」の冊子の表紙をめくっていただきますと、「はじめに」という
   項目がございます。この「はじめに」の上から4行目でございますけれど
   も、7月30日に決定いたしましたシーリングの基準の中の表現として
   「基礎科学研究、情報基盤等21世紀に向けての経済構造改革に真に資す
   る新たな重要政策に対する特別の措置」云々ということで、経済構造改革
   特別措置というものが創設されたわけです。
    その例といたしまして、科学研究とともに、情報通信を例示として挙げ
   ていただいたところでありまして、電気通信技術開発につきましては、こ
   の両面にダブルでかかってくるような非常に重要な施策であるという位置
   づけをいただいており、私どもとしては喜んでおる次第でございます。
    また3枚紙の方に戻らせていただきますけれども、1ページ目、予算要
   求の大体の額を並べたものがございます。まず一般会計でございますけれ
   ども、9年度要求・要望額としましては、841.9億円の要求をさせて
   いただくことになりました。伸び率からいいますと33%強の伸び率でご
   ざいまして、先ほど述べましたような情報通信の位置づけも反映されてい
   ると思っている次第でございます。
    それから無利子融資・低利融資。地方の情報化や光ファイバー網の整備
   の関係でございますけれども、無利子融資につきましては300億円強、
   低利子融資につきましては1,000億円強ということになっております。
    企業化に関する融資事業、財政投融資でございますが、3,000億円
   強。新たな基盤技術に関する出融資に関しては、277億円ということに
   なっております。この中でも特に一般会計予算が重要なわけでございます
   が、2ページ目にはそれを円グラフにいたしまして、内訳を書いてござい
   ます。
    特に電気通信技術関係、開発関係につきましては通信総合研究所の研究
   開発経費、通信・放送機構関係経費、これらが研究開発に該当し、これぐ
   らいの額を確保させていただいているというところでございます。
    具体的な中身につきまして説明させていただきます。先ほどの冊子に戻
   りまして、目次にもあろうかと思いますが、私ども4本の柱を立てて、政
   策を整理させていただいております。
    1つが経済構造改革。これは我が国政府の指針になっているわけでござ
   いますが、それに向けた情報通信の高度化という施策でございます。2点
   目としては国民生活の質的向上。また地方行政、地方のサービスというの
   が最も国民に近いものとしてございますが、そういう意味での地方振興。
   それから、これらを支える情報通信技術の研究開発、世界的な視点の中で
   の情報通信社会の構築という形の4本柱で整理させていただいております。
    まず1番目の経済構造の改革に資する情報通信の高度化でございますけ
   れども、1ページ目でございますが、各省連携によるプロジェクトの推進
   ということで、連携の対象としましては文部省、農水省、建設省の連携に
   よります研究開発を実際のフィールドで展開して、事業を営もうという施
   策がございます。
    それから通産省との間では複合的な機能を持った地方におけるシステム
   づくり。またそれが都市形成にも役立つだろうという事業。それから未来、
   21世紀初頭の実現を目指したITSというモデル地区の実験構想という
   ものを考えておるところでございます。
    3ページ目、4ページ目は、こうした高度化の担い手であるニュービジ
   ネスの振興ということで、特にベンチャー企業を主体とした支援策でござ
   います。[1]テレコム投資事業組合という仮称を付けて、そういった支
   援の資金の流れをつくろうということです。それからストックオプション
   制度の創設によるインセンティブの付与というものが[2]。それから個
   々の研究に対する支援になるわけでございますけれども、ニュービジネス
   に役立つような研究開発の助成制度の拡充。4番目、郵政省にとりまして
   基盤技術開発支援の核となっているセンターでございますが、基盤技術研
   究促進センターなどの活性化。それから昨今言われているサイバービジネ
   スが本格化する場合に必要となる電子マネーのセキュリティー技術の向上
   という施策も考えているところでございます。
    それから5、6ページはいわゆるネットワークインフラの整備関連でご
   ざいまして、[1]が2000年、人口カバー率20パーセントを目標と
   した光ファイバーネットワークの整備。2点目はそれとシームレスにつな
   ぐことを目標とした移動体通信の高速化。3番目は地上放送のデジタル化。
   4点目は地域格差をなくす等の事業として、電気通信格差是正事業という
   ものを推進しておりますが、その拡充であります。
    次に7ページ目から国民生活の質的向上等として(1)で公共分野にお
   けるアプリケーションの先行整備。これは2000年までに300の自治
   体を目標として、自治体におけるいろんな公共サービスに役立つような情
   報通信システムの整備を行っていこうということや公共分野の情報化等に
   関する調査研究をやっていこうということでございます。
    9ページ目、10ページ目。これは、情報通信ついての人的格差、環境
   的格差などがいろいろと出てまいるわけですけれども、そうした点にもス
   ポットライトをあてていこうというものでございます。
    11ページ目。私ども国の方も、みずから申告・申請手続の電子化、ペ
   ーパーレス化を進めていこうという施策でございます。これは推進本部で
   政府全体としましても平成8年度からやれるものはどんどんやっていこう
   という政府の方針が決まったところでございます。郵政省もそれを踏まえ
   て積極的に進めていこうということでございます。
    12ページ目から15ページ目、研究開発の点はあとでご報告があろう
   かと思いますので、省略させていただきます。
    16ページ目からは4番目の柱でございます。世界的な視点に立った情
   報通信社会の構築でございますが、1つが国際協力ということで、GII
   または地域版のAPIIなど、様々な地域を念頭に置いた中での国際通信
   の高度化について途上国などの共同利用実験等々をやっていこうと思って
   いるところでございます。
    それから18ページ目、国際交流として先進的な研究開発を共同でやる
   という制度の創設、または国際放送の推進を図り、これまでと同様、国際
   交流の促進を進めていこうという施策を考えているところであります。
    以上でございます。

  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
   て、ご意見、ご質問お願いいたします。

  ○坂田委員 2ページの円グラフのところで、要求と要望とあって、特に通
   信総合研究所の要求がかなりふえたというのは何か特に。

  ○元女政策課長 1ページ目の平成9年度予算概算要求額等の概要。一般会
   計のところに要求・要望額とございまして、歳出全体としては郵政省84
   19億円要求・要望させていただいているわけですが、この中に要求額、
   要望額の内訳がございます。要望額については、公共投資関連の重点化枠
   としては特別な枠が設けられましたが、この枠に関します要求。公共投資
   でございますので、建物やそれに付属した施設というしばりがあるわけで
   ございますが、それに関するものでございます。
    この重点化枠については、昨年が全体で3,000億円で、このうちい
   わゆる道路とか橋とか河川を除いた額が500億円でございました。今般、
   9年度へ向けて重点化枠として5,000億という枠ができましたが、そ
   の中で情報通信等、いわゆる従来型の社会インフラでない部分に光を当て
   ていただきまして、全体で1,000億円になったところであり、私ども
   が情報通信の重要性を訴えるなか重点化枠の要望額が随分確保できたとい
   う結果になっているところでございます。

  ○西澤会長 ほかにはございませんでしょうか。政府も即効性があるという
   ことで、通信関係や、それ以外のこともあるわけですが、大変大事にして
   いるようでございますので、今後ともぜひ期待にこたえてやっていくよう
   お願いしたいと思います。
    それでは以上の件につきましては終わらせていただきまして、次に入ら
   せていただきます。

 (5)報告 「平成9年度の郵政省科学技術関係予算概算要求の概要について」

  ○西澤会長 報告としまして平成9年度の郵政省科学技術関係予算概算要求
   の概要についてでございますが、これも省の方から、ご説明いただきたい
   と思います。

  ○鬼頭技術政策課長 技術政策課長でございます。ただいま政策課長の方か
   ら全体をご説明申し上げましたので、重複する部分は割愛しながら、ご紹
   介いたしたいと思います。
    1ページ目を開けていただきますと、先ほどの科学技術全般に対します
   流れ。それから政府の9年度の予算の取組。これらにつきましては、先ほ
   どのご説明のとおりでございます。ご参考にしていただければと思います。
    次に2ページ目でございますが、政府全体の科学技術関係予算の概算要
   求額が載せてございます。9年度全体で3兆900億円でございます。8
   年度の予算額に比して99%の増加となっております。それから下の方に
   は郵政省の科学技術関係の予算を載せておりますが、一般会計9年度要求
   額で317億7,900万円でございます。伸び率で71%増ということ
   になっております。
    次に3ページ目でございますが、この一般会計の科学技術関係予算の内
   訳を載せてございます。漢数字の「一」の情報通信技術の基礎的、先端的
   研究開発の推進につきましては、9年度要求額で225.8億円でござい
   ますが、これは私どもの通信総合研究所の経費であり人件費も含むもので
   ございます。ここで従来からやっておりますフロンティア研究開発あるい
   は地球環境、周波数資源、宇宙環境の研究開発等を行いますとともに、先
   ほど少しご説明申し上げましたマルチメディア・バーチャル・ラボ。これ
   は研究開発基本計画でご指摘をいただいたものでございますが、その関係
   の予算で17.7億円を計上いたしております。
    次に、産学官の連携による研究開発の推進というものでございます。こ
   れは郵政省の認可法人であります通信・放送機構に対する出資金と補助金
   を使った研究開発事業でございまして、9年度の要求額76.6億円でご
   ざいます。この中で、次世代のネットワークあるいは移動関係、放送関係
   等のプロジェクトなどを推進するものでございます。
    4ページでございますが、同じく通信・放送機構を使いまして、研究開
   発体制の整備も行っております。こちらにもマルチメディア・バーチャル
   ・ラボの構築がございます。平成8年度からスタートいたしました公募研
   究制度につきましても、予算の拡充を図っていきたいと思っております。
    さらに(4)にございますが、国際共同研究の重要性が高まっておりま
   すので、これに対する助成制度を創設いたしたいということで、新たな要
   求もいたしております。
    3のその他というのは、私ども本省の方から直接、委託等をする経費と
   いうことで154億円。合計でおよそ318億という科学技術関係の予算
   になっております。
    なお一番下にございますが、産業投資特別会計260億円。これは基盤
   技術研究促進センターへの出融資金でございます。
    5ページ以降に内容をかいつまんでご説明しておりますが、説明は省略
   させていただきます。以上でございます。

  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
   て、ご質問などございませんでしょうか。
    (質問なし)
    それではどうもありがとうございました。

 (6)その他 

  ○西澤会長 その他の項に入らせていただきます。
    事務局の方から何かございますでしょうか。

  ○渡辺審議会室長 特にございません。

  ○西澤会長 委員の先生方の方から、ご発言ございませんでしょうか。
    余計なことを申しますが、研究費の使い方に関しまして、大学の職員な
   ども大変関係するわけでございますが、この間あるところで大論争があっ
   たわけです。
    つまり特許を出すのを私は義務だと言ったのですが、そんな下劣なこと
   はやりたくないというのが大分おりまして。国の予算を使う以上、やはり
   日本の国の経済まで保護することになるわけですので、私としては今後も
   特許をとる義務があるということを主張するつもりでございますけれども、
   ここにいらっしゃる先生方は大丈夫だと思いますが、大学職員に何か少し
   義務観念が抜けている、責任観念が少し足らないのではないかということ
   で、大変心配しているということをつけ足しておきます。郵政省の方はそ
   んなことはないと思いますが。
    自由な研究というのが少しいきすぎているんですね。そういうことも今
   後、自戒をしていきたいと考えております。

3 閉 会

  ○西澤会長 余計なことを申しましたが、本日は熱心なご審議をいただきま
   してどうもありがとうございました。
    これをもちまして、きょうの会合を終わらせていただきます。どうもあ
   りがとうございました。

第6 議決事項
 1 新規諮問
   「科学技術基本計画を踏まえた情報通信研究開発基本計画の充実について」

      第93回電気通信技術審議会(平成8年9月30日)議事録