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情報通信審議会

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IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会
競争政策・ユニバーサルサービス委員会第7回会合 
議事概要


1 日時

  平成13年11月27日(火)午前10時から12時

2 場所

  総務省8階第一特別会議室

3 出席者
(五十音順、敬称略)

 (1) 委員及び専門委員
(委員) 醍醐 聰(主査)
(専門委員) 黒川 和美、酒井 善則、直江 重彦、菅谷 実、藤原 淳一郎、山本 哲三、吉原 和志
 (2) ヒアリング対象者
イー・アクセス株式会社
 エリック・ガン 代表取締役COO、庄司 勇木 企画部部長
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
 新井 忠之 代表取締役副社長、網谷 駿介 取締役経営企画部長
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
 津田 志郎 代表取締役副社長、藤原 塩和 経営企画部企画調整室長
ケーディーディーアイ株式会社
 小野寺 正 代表取締役社長、木下 龍一 執行役員常務
ケーブル・アンド・ワイヤレス・アイディーシー株式会社
 リサ・スーツ バイスプレジデント、飯田 修久 制度業務部次長
社団法人テレコムサービス協会
 平野 雄一 政策委員会副委員長、神山 孝英 政策委員会副委員長
東京通信ネットワーク株式会社
 白石 智 代表取締役社長、野津 卓哉 経営企画部課長
西日本電信電話株式会社
 武内 道雄 代表取締役副社長、江部 努 取締役企画部長
社団法人日本インターネットプロバイダー協会
 境 輝正 専務理事、野口 尚志 理事
日本テレコム株式会社
 村上 春雄 代表取締役社長、櫻井 浩 経営企画部長
日本電信電話株式会社
 小出 寛治 取締役第一部門長、有馬 彰 第一部門経営企画担当部長
東日本電信電話株式会社
 三浦 惺 代表取締役副社長、八木橋 五郎 取締役企画部長
(3) 総務省
鈴木電気通信事業部長 ほか


4 ヒアリング概要
 
 (1)  NTTの市場における地位についての認識について
   主査より「NTTの市場における地位についてNTTグループ側とNCC側の認識に相違が見られるようだが、それぞれどのように考えているのか。」との質問があり、これに対して、
   NTT東より「LRICを全区間に導入、市内にもマイラインを導入する等、米国でも行われていない施策を導入しており、また、移動体や無線LAN等の普及により、設備ベースにおいてもかなり競争が進展しているものと認識している。」
 NTT西より「設備をオープン化していく基本姿勢はもっている。」
 イーアクセスから「コスト構成を見ると、NCCはNTTの接続料等の負担が大きく、地域独占が全く解決していない。NTTはネットワーク部門と、レイヤー部門に別会社化に分離すべき。」
 日本テレコムから「NTTは自前で設備を持っている分、アクセスにおいて他の事業者に比べ圧倒的に有利。また、顧客情報量の違いが営業面で大きな格差となっている。」
 KDDIから「NTTの地域独占が解消したとは考えていない。今回の東西NTTの業務範囲拡大に係るガイドライン案を見るとNTTの営業面でのファイアーウォール措置を規定するに止まっているので、NTTを益々増長させることとなる。競争市場に進出する場合は分離子会社の形態をとるべき。」
 NTT東から「あるゆる者が新規参入できる条件が整備されていることが重要であるが、これはオープン化により既に対応している。また、地域市場を一体として捉えるべきではなく、例えば通話サービスやインターネットについては十分競争的であり、世界的な流れの中で議論を行うべき。」
 NTT西から「アクセス系は、独占的状態にあるが、だからこそオープン化を推進している。」
 との意見があった。

 (2)  東・西NTTの経営状況について
   主査より「東・西NTTの経営状況について、同じくNTTグループ側とNCC側の認識に相違が見られるようだが、それぞれどのように考えているのか。」との質問があり、これに対して、
   NTT持株より「同じ地域系通信事業者である米国ベライゾンの経営状況がいいのは日米の市場特性及び規制の違いによるもの。」
 日本テレコムより「NTTの経営が厳しいというが、これは合理化を行う話で、合理化を行えばNTTはむしろ体力を高められることになる。事実、経営が厳しい中、県内市外で他事業者では考えられない値下げをしている。また、経営が厳しいから新分野に進出したいというが、これと公正競争は違う議論。」
 NTT東より「合理化することで現在やっと「水平線上」にきたというところ。また、競争上、顧客をとられないように値下げするのは経営判断として当然のことである。」
 KDDIより「東・西NTTの経営が厳しいのは、再編時に競争市場に身を置くNTTコミュニケーションの負担を軽くするため、東・西NTTに負担をしわ寄せしたためではないのか。また、再編時の注視事項について、情報をディスクローズした上でそのフォローアップを速やかに行うべきではないのか。」
 NTT西日本より「ネットワークのオープン化等をすることにより、財務状況は非常に厳しくなっており、弾力的に新しいサービス分野に進出させて欲しい。」
 日本テレコムより「そのようなことは、再編を行った時点で予想されていたことであり、そういう議論は資本分離してから行うべきもの。」
 NTT東より「NTT再編時に前提となっていた状況が大きく変化しており、新しい事業を行う必要が生じている。」
 との意見があった。

 (3)  公衆網の再販について
   主査より「これまでの議論では、NTTはオープン化を積極的に進めるとのことであった。しかし、公衆網の再販とOSSの開放については、NTTは消極的のようだがどのような考えか。また、NCC側には、どのようなニーズがあり、どのような負担なら担う準備があるのか。」との質問があり、これに対して、
   NTT東より「我が国では、既に世界に例のない全区分でのマイラインやLRICを導入し、地域通信市場の競争促進はかなり進展していると認識している。市場規模が縮小しつつある現在、電話について、公衆網再販の導入、OSSの開放を行う意義があるのか疑問であるし、もちろんコストの問題もあり、とり得ることのできないこと。」
 TTNetより「市内通話に関してTTNetに加入しても、基本料はNTTから別途請求されることに多くのユーザが素朴な疑問を感じている。ワンストップで料金を回収できるようにすべき。」
 イーアクセスより「東・西NTTは、コスト削減に関して不十分。しかし、オープン化については評価している。」
 KDDIより「市場が衰退傾向にあることはこの議論とは無関係で、電話だけでなく、ADSLやFTTHで同様に必要となる。TTNetの発言同様、ユーザはワン・ビルを望んでいる。
 NTT西より「再編以来、インターネットへのアクセスを充実させるため、設備料を下げ、ネットワークをオープン化する等非常に経営努力は行っているつもり。収入の減少にコスト削減が追いつかないのが現状である。また、マイラインの導入等、米国より競争が進んでいる一面もあり、RBOCと比較する際は総合的に判断すべき。また、公衆網再販については、もちろん財務的リスクを懸念する一面もあるが、矢継ぎ早にいろいろネットワークのオープン化を行う中で、公衆網再販をしたところであまり効果が上がらないものと認識している。」
   委員等より「NCCの中には、料金設定権をNCC側にもたせて競争すべきとの意見があるがNTT側はどのように考えているのか。」との質問があり、NTT東より「サービスを行っている者が請求するのが原則である。」との回答があった。

 (4)  活用業務を東・西NTT本体が行うことについて
   委員等より「NCC等より、NTTが何故地域会社本体による新サービス―活用業務への参入にこだわるのか疑問が寄せられているがNTT側はどのように考えているのか。」との質問があり、これに対して、
   NTT東より「再編時とは異なり、今はインターネットという県内・県間にとらわれないサービスが普及しつつあり、ユーザから見たとき、電話もインターネットも一体でやってほしいとのニーズがある。当方としても、子会社で行うと非効率となり、地域会社本体でサービスをトータルに行うことが効率的な場合も想定される。本体でやるか、子会社でやるか、投資効率、顧客サービスの観点から判断していきたい。」
 インターネットプロバイダ協会より「地域会社本体が進出するとそのブランド力が大きいことが問題となる。また、子会社で行う方が規制も少なくて自由に事業展開できるのではないか。」
 イーアクセスより「新しい業務を行ったところで地域会社の業績が向上するとは考えられない。また、子会社で行うとしても、NCCとの公平性を担保するために資本関係の在り方について検討が必要。」
 KDDIより「資本関係は事業者が選ぶ問題であるが、分離会社要件を満たし、NCCと同等な形で活用業務を営むべき。」
 日本テレコムより「100%子会社で行うのと地域会社本体で行うのは取引条件が明確化する等随分違う。地域会社内でファイアーウォールを作っても効果はない。また、インターネットではなく、データ伝送役務において、NTTが県間横つなぎでネットワーク構築するとこれは大変な脅威となる。」
   委員等より「東・西NTTは、新しいサービスに進出していかないと財務がもたないのか。経営合理化の効果はいつ出てくるのか。」との質問があり、NTT東から「現行の条件下で経営健全化を図っていこうとの意思はもっているが、接続料の引下げ等前提条件が多く先は読めないところ。」との回答があった。
 委員等より「今回のNTT法改正は地域会社本体が新しいサービスを行うことを可能とする仕組みであるから、これを踏まえて議論すべき。」との意見があった。

 (5)  活用業務の認可について
   委員等より「NTTの活用業務の認可プロセスとして、NCCからはパブリックコメントを招請すべきとの意見があるが、これについてそれぞれどのように考えるのか。」との質問があり、これに対して、
   NTT東日本より「省令等のルール策定に際してパブリックコメントを招請するのはいいが、個別の認可については行政が行うべき。認可は迅速さが必要。」
 KDDIより「パブリックコメントを行うことは、事業者サイドだけでなく、ユーザサイドからの意見を聞ける点で意義がある。」
 TTNetより「サービス提供の開始が遅れないようにするために、パブリックコメントの募集期間を短縮することも考えられる。」
 日本テレコムより「NTTが情報を前広に開示することによりパブリックコメントの期間を短縮できるのではにないか。」
 NTT持株より「パブリックコメントはルール策定のためのものであり、認可業務は行政が責任をもって行うべき。」
 KDDIより「分離子会社要件を課す場合、NTTブランドははずすべき。」
 NTT持株より「ブランドの問題は経営マターであると認識している。」 との意見があった。

 (6)  その他
   委員等より「NTT側は公衆網再販について否定的であるが、現在の急速な技術進歩についていくため設備の固定費用を回収できない場合は、これを開放して賃貸料をとる方法もあると思うがどうか。また、英国ではBTが自主的に分割するとしているが、NTTは持株会社を解放し、インフラを管理する会社と東西のオペレーション会社に分割するということを考えないのか。」との意見があり、NTT持株より「トラヒック全体が減少している中、再販をしたところで費用回収はできないこともある。また、再々編の議論であるが、卸・小売分離すると、設備管理部門においては、競争がないため技術革新のインセンティブが上がらず、ユーザサービスの低下も懸念される。またBTも踏み切れないように会社を分離するコストも無視できない。現在持株会社をなくすことは考えていない。時代の変化に対応できるグループ経営を行っていきたい。」との意見があった。
 C&W IDCより「ベライゾンは子会社分離や14項目のチェックリストなど、日本より厳しい規制の下で経営をしていることに留意すべき。」との意見があった。
 テレコムサービス協会より「NTTの独占状態が解決しない限り、議論は枝葉末節なものになってしまう。公衆網再販制度は導入すべき。また、NTT子会社のNTTブランド使用はマーケティング、ひいては経営が同一ということにつながり反対。」との意見があった。
 NTTドコモより「これまでドコモは分離された後、競争条件の整備を進めてきた。しかし、今回の改正によりドミナントとして指定されることとなるが、結果的にどこまでシェアが下げらなければいけないのか。公正な競争を促進するためには、不当な反競争的行為の排除に重点を置くべきである。シェアは競争の結果である。」との意見があった。
 委員等より「持株会社は子会社の経営自主性を尊重するとのことだが、持株役員の子会社役員の兼任解消について検討するのか。また、卸・小売分離の議論についてだが、現行の地域会社では、ライバル会社に対してもグループ会社に対してと同等の条件で接続しなければならず、これが自社の利益に相反するために紛争が起こる根本的原因の一つとなっている。卸・小売を分離すれば紛争が減少するのではないか。」との意見があり、NTT持株から「現時点でドコモ・コム以上の投資対象は見当たらないので、株主利益最大化の観点から続けていく。出資している以上、子会社を管理するのは当然。持株との兼任は維持する。接続についてはそういうインセンティブはあるかもしれないが、ルールに沿ってきちんとやっている。」との意見があった。
 委員等より「市場における競争の捉え方が異なるのは大きな問題。市場の確定について出席者のコンセンサスを得るべき。」との意見があった。
以上


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