情報通信のトップへ

情報通信審議会
情報通信審議会
IT革命を推進するための電気通信事業における
競争政策の在り方についての特別部会
競争政策・ユニバーサルサービス委員会(第11回)



日時  平成14年1月29日(火)
  午後2時00分〜午後4時40分
場所  総務省9階901会議室




(速記録)




開会

醍醐主査  それではただいまから競争政策・ユニバーサルサービス委員会の第10回の会合を始めさせていただきたいと思います。
 本日の会合は前回と同様、第二次答申の競争政策部分に関連する草案の最終の議論でございますので、審議につきましては非公開とさせていただきたいと思います。

議事

 (1)第二次答申草案の主な変更点等(競争政策・ユニバーサルサービス委員会関連部分)について

醍醐主査  それではお手元の議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。
 本日は、昨年12月11日から本年1月15日にかけて行われました、本委員会が担当する部分の第二次答申の中間草案に関するパブリックコメントをいただきましたので、その結果を踏まえまして、本委員会にかかわる部分について、第二次答申案という形に向けてご議論いただくという場でございます。
 なお、本日取りまとめいただきました本答申案につきましては、本日ご了承いただいた内容を、明後日31日に開催されます特別部会に報告させていただいて、また議論をお願いするということになっております。
 それでは、本日は限られた時間の中で必要な議論を十分に行っていただきたいという観点から、第二次答申案というものをまとめるに当たりまして、これまでの中間草案の修正をお諮りをしたい部分を中心に、事務局からご説明をいただきます。
 その際には、その修正に関連して、寄せられましたパブリックコメントの結果に対する審議会の考え方案というものを資料の2として用意しておりますので、それも合わせて説明いただきたいと思っております。
 なお、本日に至ります経過といたしましては、パブリックコメントの結果を踏まえまして、修正部分、必要な部分の検討を進めるために、本日お諮りしているのは、まずユニバーサルサービス関連の部分につきまして、作業部会が本委員会のもとにございまして、その作業部会で、パブリックコメントを受けた審議をお願いをして、その内容を本日、この委員会にお諮りをするということでございますので、その部分につきましては事務局から説明いただきます。
 また、もう一方の競争政策に関する部分につきましては、競争進展判断基準に関する部分以外は特段、作業部会というものを設けることなく、この委員会で直接、これまで議論してきた経緯がございます。
 それで、本日、この場で初めてお諮りするわけでありますが、これにつきましては、本日に先立ちまして、事務局と私のほうとで、パブリックコメントに関する考え方と、この部分を修正する必要があるんじゃないかといったような議論をさせていただきまして、その打ち合わせをもとに、本日、事務局からご説明をいただいて、皆様方に議論をしていただいたらどうかという内容にさせていただいております。
 それでは前置きが長くなりましたが、ただいまから、事務局から、修正部分を中心にご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
南事業政策調査官  それでは競争政策の部分とユニバーサルサービスの部分に分かれてございますので、まず競争政策関連部分のほうからご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、全体のコメントなんですけれども、32の企業を含めます全部で46社からパブリックコメントが寄せられたところでございます。一次答申と違いまして個人の方、特に一次答申の場合、株主の方の個人の意見が大変多く出されていましたが、今回はほとんどございませんので、46社から集められたところでございます。その中には、二種事業者の方々から、ユニバーサルサービスに特化したようなコメントも寄せられたところでございます。コメントを踏まえまして修正をした部分を中心に簡単にご説明をさせていただきたいと思います。まず第1章、本体の資料の1のほうをご覧になっていただきたいと思います。
 まずファクトベースの修正を幾つか加えさせていただいております。
 3ページ目でございますが、マイラインの競争の結果が12月に取りまとめられたところでございますので、12月の最新のシェアの数字に置きかえたものにさせていただいております。若干数字が変動があるということでございます。
 4ページ目でございますけれども、これもDSLのサービスの提供状況につきましては現在、加入者数が150万を突破をしておりますので、最新のファクト、それからCATVインターネット加入者を含めますと、トータルとして280万を超えているという状況のファクトを修正させていただいております。
 6ページ目に移っていただきまして、競争政策の基本的な考え方のところでございますけれども、この類型の1として非構造的競争政策を説明する部分で、NTTグループすべてが支配的事業者であるかのような、若干誤解があったということでございますので、その点、誤解のないように、東西NTTを中心とした記述に改めているということでございます。
 8ページ目をおめくりいただきたいと思うんですけれども、8ページ目の下の段のところでございますけれども、「ITインフラ整備の促進に寄与する競争環境確立」というタイトルのところで、NTTさんのほうから、ブロードバンド化への投資インセンティブをそぐことのないようにしてほしいというご意見があったものですから、競争政策全般を考えるに当たって、そういう趣旨に留意する必要があるのは当然のことでございますので、「インセンティブをそぐことのないよう」という部分を追記をさせていただいたということでございます。
 10ページ目にお移りいただきまして、10ページ目の下のほうの4)のところ、株主利益と競争政策の関係を記述した部分でございますが、この部分につきましても、特殊会社たる東西NTTが、特殊会社として一定のユニバーサルサービス義務等の責務がかかると同時に、事業法に基づいて、ボトルネック規制等の法的規制を、特別の規制を受けている、こういうルール制度の制約のもとで株主利益を追求する立場にあるんだという趣旨を明確化させていただいたということでございます。
 15ページ目でございます。これはまた後ほど全体をご説明申し上げますが、消費者支援の研究会というものが昨日、設置をされたところでございますので、総務省において研究会を設置した、この中で、ご提言の趣旨を具体的に検討を進めていく必要があるというふうに記述を改めさせていただいております。
 さらにずっと参りまして、20ページ目から21ページ目にかけてでございますけれども、公衆網再販につきましても、すでに昨年末に総務省において事業者間で協議、情報交換を行える場というものが設けられておりますので、その中で早急に検討を進めるべきだということで、時間軸を若干修正をさせていただいております。
 21ページ目の2)のところも同様でございまして、そういったもろもろのテーマにつきましても合わせて、この中で検討すべきであるというふうに改めさせていただいております。
 22ページ目でございますが、これもOSSの開放のところでございますけれども、 実はこれはまだ場が設けられておらないんでございますけれども、近く確実に設けられる方向であるということで、総務省において答申が出る段階に設けられているというふうに思いますので、「場が設けられたところである」と書き改めさせていただいております。
 4)のところは、OSSの開放に当たっての個人情報につきましても、いまあるガイドラインにおいて示している考え方を参照しつつも、OSS独自の固有の個人情報という問題もあろうかと思いますので、こういうものを参照しつつ検討していく必要があるというふうに、若干表現を書き加えさせていただいております。
 24ページ目、これもスタックテストといいますか、利用者料金とネットワーク料金の適正な検証、関係の検証でございますけれども、これも「総務省においてすでに検証が開始されたところであり」と、近く検証が開始される見込みでございますので、これも修正をさせていただいております。
 27ページ目をご覧になっていただきたいと思いますが、これはいわゆるネットワーク部門の中立性向上ということで、ファイアウォール措置をアからカまで掲げさせていただいておりますが、もちろんこれに尽きるというわけではございませんので、念のためにということで、6)のところで、「上記以外にも東西NTTの自主的な取組やその実施状況、日常における公正競争上、問題となる行為の実態などを踏まえた上で、必要があると認める場合には、総務省において個別に適切なファイアウォール措置を求めていくことが必要である」ということを追記をさせていただいたということでございます。
 35ページ目をご覧になっていただきたいと思います。これは一種、二種の議論の最後の結論部分でございますけれども、以上申し上げましたとおり、事業区分の見直しにつきましては現在、総務省において検討が進められているところでありますが、今後は本審議会において議論をさらに深めていただくということが必要があるということを明確化させていただいたということでございます。
 さらにお進みいただきまして40ページ目でございますけれども、これは第1ステージ、第2ステージの今後の競争政策の展望をお書きいただいたところの3)の中で、ちょっと見にくいかもしれませんが、「しかし」の後に「例えば」と書いてある部分のかかり方が不明確であるということで、この点につきましても削除させていただいたということでございます。
 最後に45ページ目でございますけれども、競争環境整備に向けた行動プログラムといわれるものがございます。これで、公衆網再販の(a)のところの書きぶりが明確でありませんでしたので、「キャリアズ・レートの作成方法の検討を行う」というふうに明確化させていただくとともに、もうすでにスタートしているもの、あるいはこれから確実にスタートするものがございますものですから、始まりのところは削らせていただきまして、終わりの、6月を目途に結論を出すんだというところだけを明記をさせていただいたということでございます。
 お手元に参考資料と言われている2枚紙をつけさせていただいております。
 これは、いま申し上げました行動プログラムの実施状況を簡単に取りまとめたものでございます。2枚紙をご覧になっていただきたいと思いますが、まず公衆網再販の導入に向けまして、すでに協議会を立ち上げをさせていただいております。これは12月25日、昨年末に第1回の会合を開催させていただきまして、2回目も年明けの1月18日に開催をさせていただきまして、今後月1、2回、精力的にご検討いただきまして、6月を目途に結論を得るということで、公衆網再販の契約関係の整理とか、業務フローの整理、NTT東西の業務支援システムというものがセットで必要になってくるであろう。そうした場合の必要となるシステム開発の費用の見積もり、あるいは負担方法の検討をしていただく。それから、キャリアズ・レートの割引率の検討も、専門的作業チームを設置をしてご検討いただくということでございます。関係事業者を集めまして、審議会の専門委員でいらっしゃいます相田先生、佐藤先生、関口先生にもお入りをいただいているところでございます。
 2つ目としまして、IT時代の接続ルールに関する研究会、これを近く、2月の中旬までには開催をすることを考えておりまして、これも同じように月1、2回の頻度で開催をして、6月までに結論を得る。
 テーマが2点ございまして、OSSの開放といわれるテーマにつきまして、個人情報保護の観点からの検討等をしていただく。それからスタックテストのような、利用者料金と接続料の関係のあり方の検証、この大きな2つのテーマにつきまして掘り下げてご検討いただくということでございます。
 次のページにお移りいただきまして、これは消費者支援に関する研究会の概要でございます。これは昨日、第1回目の会合を開催をさせていただきまして、これも月1、2回の頻度で開催をして、早ければ5月にも取りまとめができるように検討していくということでございます。
 検討事項は4つ書いてございますが、消費者の自立と合理的選択を支援する環境整備の必要性、消費者問題の現状、ほかの分野、諸外国の取り組み状況、今後とり得る施策といわれるものをご検討いただくということで、ここにメンバーを書かせていただいているとおりでございまして、明治大学の新美先生に座長をお引き受けいただいて、加藤委員にもご参加をいただいているということでございます。競争政策部分に関連しまして1点だけ敷衍をさせていただきまして、二次答申に対する意見とその考え方の、パブリックコメントに対する考え方の、資料2の横長の資料でつけ加えさせていただいております。大変大部な資料でございますので、一々の説明は省略させていただきたいと思いますが、1点だけ、1ページ目でございますけれども、東西のNTTあるいは持株会社、それから幾つかのメーカーさんあるいは協会さん、個人さんのほうから寄せられました意見の中で、今回の答申の内容が、電話市場をベースとした規制強化の議論に終始しているんじゃないのか、IT推進に向けた建設的な政策とは言えないんじゃないのか、将来の投資インセンティブをそぐようなことのないように、規制のバランスを考慮すべきだというようなご意見が多々寄せられているところでございまして、それに対しまして審議会の考え方と、右側のほうに書かせていただいておりますが、これは、本答申はさまざまな競争政策をご提言いただいているんですが、真ん中の段にありますとおり、地域アクセス網に関する公正競争条件というものは、単に電話のサービスの競争に資するだけではもちろんないわけでありまして、これから発展が期待されるインターネット関連サービスの提供のための共通基盤としてもご活用いただくという意味で、ブロードバンドの普及促進にも資するものだという趣旨を明確化をさせていただいております。
 それから一次答申でもすでに提言していることですけれども、地域通信市場における競争が進展をすれば、将来的にプライスキャップ規制の見直しといったような競争の進展状況を踏まえた適時適切な規制改革が必要であるということは当然のことであろうということも明記をさせていただきました。
 2ページ目にお移りいただきまして、考え方のほうでございますけれども、草案の中にも書かせていただいておりますが、将来のIT化、ブロードバンド化に対応して、不断に競争環境を見直していかなきゃいけないというのは当然のことだろうと思っておりますので、市場環境の変化に対応して、それなりに競争ルールを見直していくことが必要であるという審議会のお考えを書かせていただいております。
 なお書きで、これも先ほど追記させていただきましたとおり、ブロードバンド化へのインセンティブを阻害することのないように、競争政策上配意するという点は、今回の修正の中で配意をさせていただいた点でございます。あと、一つひとつの考え方につきましての説明は省略させていただきますが、以上が、競争政策部分の主な修正点でございます。
 続きまして、ユニバーサルサービス部分でございます。
谷脇事業政策課調査官  続きまして第2章でございますけれども、ユニバーサルサービスの関連部分につきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 先ほどご紹介しましたように、パブリックコメント46出てまいりましたけれども、うち36がユニバーサルサービスについて言及をしている部分でございました。パブリックコメントを踏まえまして、先ほど主査のほうからご紹介ございましたように、去る22日に作業部会を開催しまして、本日お諮りしております答申案につきましてご審議をいただいたというような次第でございます。早速中身に沿いまして、もう1度構成をザッと追いながら、修正点についてご説明をさせていただければと思います。
 まず46ページ目以降で、基金制度の基本的枠組みということで、今回ユニバーサルサービス基金制度を導入する基本的視点ということについて書かせていただいております。
 それから、47ページ目以降で、制度整備の趣旨ということで、当然のことながらユニバーサルサービスを確保するということ、それから、ユニバーサルサービスの料金水準の確保という観点からの記述でございます。特段の変更はございません。
 48ページで、基金の制度的位置づけということで、3)にございますように、東西NTTの提供する加入者回線等の維持等にかかる費用について、受益相当分の負担金を負担する制度、受益者負担金制度として、この基金制度を導入するものであるということでございます。
 49ページ目でございますが、(4)、基金制度とユニバーサルサービス提供責務との関係の後、(5)といたしまして、法の仕組み、基本的な枠組みについて、今回、明確化を図るために記述を追加してございます。この部分を読み上げさせていだたきますと、法に規定するユニバーサルサービス基金制度の基本的枠組みとして、一定の要件のもとに、基礎的電気通信役務、すなわちユニバーサルサービスでございますが、を提供する第一種電気通信事業者は、当該事業者の申請により、総務大臣から、適格電気通信事業者の指定を受け、当該役務の提供にかかるコストの一部について、交付金の交付を受けることができる。
 他方、上記の交付金の交付に充てるため、適格電気通信事業者が基礎的電気通信役務を提供するために設置している電気通信設備と直接もしくは間接に接続する事業者や、当該設備を用いる卸電気通信役務の提供を受ける事業者から負担金を徴収する。ただし、事業規模の小さい事業者は、コスト負担事業者の対象から除外することが可能であり、また、各コスト負担事業者の負担額の、電気通信役務提供による消費者収益額に対する比率は一定基準を超えてはならないこととされている。
 上記の適格事業者に対する交付金の交付、それから、コスト負担事業者からの負担金の徴収等の事務を行う機関として、総務大臣は、その申請に基づき、基礎的電気通信役務支援機関を指定することができる。なお、支援機関には、当該事務にかかる運営の適切性を確保する観点から、関係事業者等で構成する支援業務諮問委員会を置かなければならないこととしている。
 交付金の交付に至る具体的プロセスとしては、まず適格事業者が、交付金の算定に必要とされる資料を支援機関に提出し、同機関は、提出された資料をもとに、交付金の算定を行い、総務大臣の認可を経て、コスト負担事業者から負担金を徴収することとされている。
 本答申においては、以上の基本的枠組みのもと、基礎的電気通信役務の対象範囲、適格電気通信事業者の指定要件、コスト算定ルール、コスト負担ルール等について、その具体的な制度設計のあり方について考え方を整理しているというふうに記述を加えさせていただいております。
 続きます51ページ以降は、ユニバーサルサービスの対象範囲についての記述でございます。
 すでに草案でも示しておりますように、加入電話、公衆電話、緊急通報がこれに該当するということでございまして、その内容につきまして、この章におきましては特段の変更は加えてございません。
 詳細の説明は割愛しまして、58ページ目以降の第3章でございますが、適格電気通信事業者の指定要件でございます。具体的には、(1)の1)にございますアからウまでが法律上の要件とされてございます。その内容について、その後の記述については特段の変更はございませんので、割愛をさせていただきます。
 次に63ページ目以降、第4のコスト算定ルールのあり方でございます。これにつきましては草案の中でも、63ページの(a)、各方式の比較の検討の中の2)でございますが、アからウまでの方式、すなわち相殺型の収入費用方式、積み上げ型の収入費用方式、そしてベンチマーク方式という3つの方式を検討の対象としたということでございます。
 その結果として、次の64ページ目の8)のところに結論がございます。現実的なアプローチとして、基金制度の導入以降、相殺型の収入費用方式、すなわち東西NTTのそれぞれの業務エリア内で、黒字と赤字を相殺をして、なお発生するネットコストについて、これをユニバーサルサービスのコストとするという考え方でございます。相殺型の収入費用方式を当面採用することとするということでございますが、最も望ましいベストソリューションがベンチマーク方式であろうということから、そちらの方式に移行することを検討する時期の明確化を図る必要があるというような意見も寄せられました。
 それを踏まえて、後段でございますが、当面、相殺型の方式を採用いたしますけれども、遅滞なくベンチマーク方式に移行することが適当と考えられる。このため、制度発足後の制度レビュー、おおむね2年後を予定、を行う際、当該時点において複数年の関連データが存在していることを踏まえ、デュープロセスを確保しつつ、ベンチマーク方式への移行について検討する必要があるということで、制度発足後2年後に、ベンチマーク方式への移行について検討するという旨を時期的に明記をさせていただいたということでございます。
 次に67ページ目をお開きいただきますと、NTT東西を適格事業者として想定します場合、いわゆる接続環境の中で指定設備、管理部門につきましてはいわゆるLRIC、長期増分費用モデルでコスト算定を行うわけでございますけれども、指定設備利用部門につきましては、基本的にはヒストリカルデータに基づく費用算定ということになります。
 従いまして、もう少し詳細な検討、すなわちユニバーサルサービスのコストとして計上することが適当か否かという観点、あるいは費用を除外したときに、収入面も合わせて控除する必要があるのかという観点からの詳細な検討を行っております。
 その中で逐一についてはご説明を割愛いたしますが、69ページの脚注の13をご覧いただければと思います。
 本委員会の下にございますユニバーサル作業部会の、さらのその下に、関係事業者で構成いたしますアドホックグループを設置をいたしまして、昨年の9月から12月、草案が公表されてからも、12月に3回開催されました。その中で、いま申し上げました指定設備利用部門の取り扱いについて検討を行いました。その結果を踏まえて、何点かについて修正を加えさせていただいております。
 71ページ目でございますが、いま申し上げましたように、指定設備利用部門につきましてはヒストリカルデータでということでございますので、いわゆるフォワードルッキング性をいかに確保していくのか、すなわち効率化をどの程度見込むのかということが大変重要なテーマになってまいります。
 その意味で若干の修正を加えてございますけれども、中ほどでございます。効率化係数については固定的に適用するのではなく、関連費用の毎年度の計画値の対前年度決算値伸び率に基づくこととし、その妥当性等については行政当局において、交付金の額にかかる認可の際に十分検証することが適当であるという記述になってございます。
 73ページ目以降で、コスト負担ルールのあり方について記述をしております。この部分が、実は今回のユニバーサルサービスに関します二次答申の中で最も議論が多かった部分、また、意見招請の結果としても最も多く意見が寄せられた部分でございます。
 二次答申の草案の段階では、2つのコスト負担ルールのあり方について併記をして、パブリックコメントの結果を踏まえて、二次答申の中で方向性を確定していくということにしておりました。その2つの方法と申しますのが、73ページ目の2)のところでございますけれども、アとイという2つの方法でございます。すなわちアの方法は、適格事業者が提供する役務面に着目するアプローチ、端的に言えば、音声伝送役務を提供している事業者のみがコスト負担事業者になるという考え方でございます。(イ)のほうは設備面に着目いたしまして、東西NTTが音声伝送に使っております加入者回線設備を利用している事業者でありますれば、音声伝送役務を提供している事業者以外の事業者であっても、コスト負担の対象に加えるという考え方でございます。一例を申し上げますと、3)にございますように、DSLの提供事業者の取り扱いが、この2つのアプローチによって異なってまいります。すなわちDSLにつきましてはデータ伝送役務ということで整理をされております。従いまして、役務名に着目したアプローチの場合は、DSL事業者はコスト負担の対象外ということになります。しかしながら、設備面に着目したアプローチの場合には、例えばラインシェアリングの場合ですと、まさに加入電話を提供している設備を使っているという意味においてコスト負担の対象者となるというようなことでございます。この点、74ページの4)にございますように、いま申し上げました2つのアプローチのいずれを採用するかについては、基金制度の趣旨、運営の安定性、競争中立性等、さまざまな観点から、そのメリット及びデメリットを勘案し、確定させることが重要であることから、本答申の草案においては両論を併記し、意見招請の結果を踏まえ、具体的に結論を出すこととしたというふうに書かせていただいております。
 これを受けまして、次の75ページ目の(b)基本的考え方の中で、最終的な結論を書かせていただいております。今回の意見招請の結果、おおむね第一種電気通信事業者からは、設備面に着目したアプローチ、また、第二種通信事業者からは,役務面に着目したアプローチが適当である旨の意見が提出をされました。
 役務面に着目したアプローチの場合には、基礎的電気通信役務の対象範囲が、加入電話等の音声伝送役務に限定されているということから、音声伝送役務を提供する事業者に限定をしてコスト負担を行うという考え方は簡素かつ明確であるといえる。
 しかしながら、今後、VOIPが急速に普及をし、従来の音声電話から、VOIP等へのシフトが生じることが見込まれる中、コスト負担事業者の対象範囲を、音声伝送役務を提供する事業者に限定をしますと、当該事業者のコスト負担が過度に高まることとなり、基金制度の安定的な運営が損なわれることが懸念をされます。
 他方、設備面に着目をし、適格事業者が加入電話等を提供するための電気通信設備と接続等をしている事業者をコスト負担対象事業者とすることとした場合には、今後のVoIPの進展を視野に入れ、中継伝送の部分をIP網とした音声伝送役務の提供事業者はもとより、DSLを介したVoIPの提供事業者を、合わせてコスト負担事業者の対象範囲に含めることにより、上記の問題を回避し、基金制度の安定的な運営を維持することが可能となるとともに、当該制度の予見可能性が高まるものと考えられる。
 また、次のページでございますが、受益者負担金制度という基金制度の趣旨に鑑み、コスト負担事業者の範囲を、制度趣旨に沿って可能な限り広くとるほうが、競争中立性を確保するという観点からも望ましいと考えられる。従って、コスト負担事業者の範囲は、設備面に着目したアプローチを採用することが適当であるというふうに結論づけております。
 次に(2)のコスト負担比率の算定方法でございますけれども、この部分につきましては、コスト負担をする事業者がコスト負担比率を考える場合に、通常考えられます売上高ベースで考えるか、あるいは、例えば接続料の負担額で考えるという考え方もございます。特に77ページ目の4)でございますけれども、今回の意見招請の結果ということでございますが、接続料等の負担額をコスト負担比率の算定ベースとする方式につきまして、今回の意見招請に対しても、多数の事業者から、これを指示する意見が提出されました。この方式は諸外国に類例がないものの、適格事業者、すなわち東西NTTの加入者回線設備等の受益度が直接把握可能であるという点において、簡素かつ明確な方式であるというふうに考えられようかと思います。
 しかしながら、5)に指摘するように、問題点もございます。これは、例えば東西NTT相互間におきまして、相互の通信トラヒックはNTTコミュニーションズ等を中継して疎通をしております。かつ、NTTコミュニケーションズのほうがエンドエンドで料金設定をしているという点で、他の事業者とは状況が異なる部分があります。この場合、NTTコミュニケーションズが東西NTTに対して接続料を負担しているという状況でございますので、東西NTT相互間では接続料負担という概念がございません。従いまして、東西NTTが相互に間接接続事業者であるにもかかわらず、このコスト負担ベースをとる場合には、コスト負担が相互に発生をしないということになります。従って、間接接続事業者につきましてもコスト負担の対象事業者になるという制度の趣旨との整合性が失われるという意味におきまして、接続料等の負担額を、コスト負担比率の算定ベースとする方式は適当ではないというふうに結論づけております。
 他方、売上高につきましては外形的に把握が容易であるということ、それから、受益者負担金制度という趣旨に照らして、売上高と受益度には連関性があるであろうというふうに認められます。また、上記の接続料ベースの場合の問題点は解決が困難であるということも踏まえますと、コスト負担比率の算定ベースとして、売上高を採用することが適当であるというふうに結論づけております。
 1点、78ページ目におきまして、7)のところでございますが、売上高をコスト負担ベースとして採用する場合に、どのように売上高というデータを把握するかという問題がございます。 特に5)の頭書き、3行目のところで、会計を整理する義務を有しない第二種の電気通信事業者の売上高については、一種事業者と異なりまして、総務大臣に対する報告義務はございません。従いまして、総務大臣が二種事業者から報告を改めて求めた上で、その情報を支援機関に提供するというアプローチ、あるいは支援機関が直接、二種事業者に対して資料の提出を求めるか、いずれかのアプローチが考えられるわけでございます。この点、基金の運営主体はあくまで支援機関、指定法人でございます。当該支援機関が主体的に行う上記イ、すなわち直接の資料提出を求めるという方法を原則とするのが適当であると考えられます。
 ただし、これによって十分な資料が入手できないと判断される場合には補充的にアの方式、すなわち総務大臣に、事業者からの報告を求めた上で、支援機関に当該情報を提供するという方法を補充的にとるとするのが適当であるというふうに書いてございます。(b)といたしまして、留意すべき事項ということで、売上高をコスト負担の算定ベースとするときに、直接、加入者回線と接続をしないで役務を提供されているもの、具体的にはということで、2)にございますけれども、例えばモバイル・トゥー・モバイルのトラヒックについては、東西NTTの加入者回線を使っておりませんので、そういった意味では受益がないという形になります。従いまして、79ページ目にかけてでございますけれども、こういったような直接受益をしていない売上高については、コスト負担比率の算定に当たりまして、当該売上高について、算定ベースから除外をすることが適当であるというふうに結論づけております。
 また、コスト負担の算定ベースについて3点、留意点を挙げてございます。
 その中で80ページ目でございますけれども、若干技術的でございますが、8)のところで、東西NTT間のコスト負担について、例えばNTTの西にネットコストが発生している場合に、東の音声伝送役務にかかわる売上高はすべてコスト算定の対象とするということが適当であるというふうにしております。この点、受益者負担制度であるという基金制度の趣旨に鑑みれば、例えばNTT東の域内収支トラヒックにかかる売上高をコスト算定ベースから除外するという考え方も確かに存在をいたします。NTT東西さんからこういう意見が出されているわけでございます。これにつきましては、9)にございますように、例えばNTT東は、NTT西に、NTTコム等の経由で間接接続をしている。これによりまして、域内、域外の双方の音声伝送役務の提供が可能になっております。現実の通信トラヒックの疎通結果いかんにかかわらず、すでにそういった意味では受益をしている。また当該措置について、仮に他事業者についても同等性を確保するとした場合に、例えば間接接続事業者となります中継系の事業者について、それぞれの中継網を疎通するトラヒックが最終的に、例えば西で着信しているのか、東まで行って着信しているのかということをすべて把握をしないといけないということになります。しかしながら、こういう把握については著しく困難であると考えられます。従いまして、10)にございますように、東西NTTの間のコスト負担のうち、音声伝送役務にかかわるコスト算定ベースについては特段の適用除外を設けることなく、すべての売上高とすることが適当であるというふうに結論づけております。
 もう1点、技術的な問題でございますけれども、11)のところに、接続料を負担する事業者、NCCでございますけれども、から接続料を取得する事業者、東西NTTでございますけれども、こちらに払われます接続料の負担額の取り扱いについて、今回の意見招請の中で問題提起がなされております。と申しますのが、「すなわち」以降でございますが、接続料を負担するNCCの売上高には、当該接続料負担額が売上高として計上されております。また、同じ額が、接続料を取得する東西NTTの接続料収入として、これまた東西NTTの売上高にも含まれております。
 従いまして、その双方の売上高をコスト負担の算定ベースといたしますと、一種ダブルカウントが生じるということになります。これにつきましては12)にございますように、当該額を取得する事業者、すなわち東西NTT側の売上高として計上し、接続料を負担する事業者等の売上高からは除外をすることが適当であるというふうに結論づけております。その後、コスト負担比率の上限値の取り扱い等々についての記述はございますが、特段の変更はございません。
 84ページ目以降で、基金が具体的に稼働する時期についての考え方、86ページ目以降で、第7といたしまして、その他制度運営に際して検討すべき事項について記載しております。この部分については特段の変更はございません。最後に89ページ目以降、今後の検討課題ということで記述をしてございます。ここについても特段の変更はございませんが、先ほどの議論との兼ね合いで、91ページの下のほうでございますが、2)のところをご覧いただければと思います。現時点で想定される具体的な検討課題としては、今後急速に普及すると考えられるVoIPがございます。VoIPは交換機を前提としたネットワークではなく、ルータを介して、IPネット上で音声パケットを疎通をいたします。従いまして、従来の音声伝送とデータ伝送の区分にかかる概念を変質させる可能性が高く、かつ、距離に応じた通信料金を設定することの重要性が著しく低下することとなり、その時点では、例えば市内通話サービスについては、もはやユニバーサルサービスを位置づけることは困難となると考えられます。
 この結果、ユニバーサルサービスの範囲としては、まさに加入者回線部分がこれに相当することとなり、将来的には、多様なサービスに対するアクセスを確保するという、いわばユニバーサルアクセス概念に収束していくとも考えられるというふうに記述をいたしまして、今後の定期的なレビュー、あるいは見直しの際の検討課題についても記述を、草案のまま維持をさせていただいております。
 以上がユニバーサルサービス関係のご説明でございます。
醍醐主査  どうもありがとうございました。その後にあります119ページからのは付論は特によろしいでしょうか。
南事業政策課調査官  特に大きな変更はございません。
醍醐主査  それでは、この後は委員の皆様方の間で議論をお願いする時間にすべてなっておりますので、自由な、活発なご意見をいただきたいと思いますが、あまり細かに仕切ると議論しづらいということがございますが、大きく競争政策とユニバーサル部分というふうに、2つに大きくパートを分けて議論させていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは主に今回、いまご説明いただいた、ここをこのように修正してはどうかというお諮りをしている部分を中心にご意見をいただきたいと思います。
 まず競争政策に関する部分からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どこがどうか変わったのかということをザッと、横に棒が入ってところが修正箇所だということなんですね。後半のユニバーサルのほうは斜体になっている部分がということで、それぞれの担当部署の違いで特徴が出ているということでございますが、本来であれば考え方、寄せられたパブリックコメントの主なものをかいつまんでご説明し、それについてこういう考え方をしてはどうかという、右側をご説明してご議論をいただいて、それで本体に振るというのが筋なんですけれども、限られた時間でそこまで説明に手が回らないということをご了解いただきたいと思うんですが、必要に応じて、このパブコメにクロスリファレンスをしていただけたらと思います。
 まずコメントに対して、本来、そう考えていたんだけど、より文意を明確にするために文章を補うという箇所とか、あるいは数字をアップトゥーデートなものにする。これは当然のことでございますので、特段よろしいかと思うんですけれども、パブリックコメントを受けて、私たち委員会自身の多少の事実認識とか考え方を、程度の多少は問わず修正が必要になっているんじゃないかというところあたりをご意見をいただけたらと思いますが。
加藤専門委員  資料1の3ページのところに、マイラインのシェアの獲得状況が出ているんですが、これもまたときどき移動しているわけですよね。お客さんのほうは。
 しかしながら、一応締め切った時点で、私が知りたいのは、積極的に利用者が意思表示をした結果、東西NTTが73.8とか67.0なのか。ほっておいた人はNTTに入っちゃうわけですから、積極的に意思表示した人というのは何パーセントぐらいあったのかということがおわかりなんでしょうか。
醍醐主査  この数字は非自発的な方があって、その方は事前のルールに従ってNTTに帰属したという方もこの中に含んだ数字なんですか。
菱沼料金サービス課課長補佐  含まない数字でございます。積極的に意思表示した方のみの数字でございまして、いわゆるデフォルトと呼ばれる非自発的な方は、母数から全く除いております。
醍醐主査  そうすると全体、デフォルト部分は何パーセントぐらいあるんでしょうか。
加藤専門委員  そんなに大勢の人が、NTTにしますって自分で意思表示したんですか。
菱沼料金サービス課課長補佐  実際に全国ベースでマイラインセンターに寄せられたものでございまして、都市部と地方部との差とか、まだ分析は終わっておりませんが。
加藤専門委員  そうすると、東京周辺、東日本の場合は、26.2パーセントが、ほかの各社なわけですよね。それは積極的に意思表示したわけですよね。要するに市場にどれだけ利用者の意思が反映されたのかということを知りたかったんです。
醍醐主査  ということは、デフォルトの割合がどれぐらいかという、この数字に入っていないのが、全体を100としたときに幾らになるか、それをちょっとお調べいただけますかね。
南事業政策課調査官  わかると思います。
加藤専門委員  急がなくていいです。参考までですから。
醍醐主査  今日、この委員会の最中に多分お知らせいただけると思います。それから、これは数字なんですけれども、明後日が特別部会にご報告し、議論いただくということを伺っておりまして、その後、最終の総会で、この答申案を答申に確定していただくのが2月13日でございますね。それまでにこの数字が更新されるという可能性はあるんでしょうか。もうないんでしょうか。
直江専門委員  10月末でやってるから、もうないんじゃないですか。
菱沼料金サービス課課長補佐  通常ですと、月の半ばぐらいにならないと前月分が出ませんので、正確ではございませんが、おそらくこれ以上は更新されないかと思われます。
醍醐主査  その他アップトゥーデートなものに、その時点その時点でするとなりましたら、最終的には総会が開かれる2月13日までに、すでに経過済の事実があれば、それに合わせて、研究会の開催模様とか何とか書きかえられるということは、これは事実の問題ですのでご了承いただきたいと思っております。では、いまの件は少しデータをお待ちするということでよろしいでしょうか。
加藤専門委員  これは確かに競争政策なものだから、非常にシェアの高い電話会社の話が出てくるわけですが、「料金の低廉化」というタイトルがついているので、料金が安くなったという話は参考資料か何かにつくんですか。タイトルと、書いてある内容が合わないといけない。
 これは資料でつくんですね。次のページの話もあるから。
醍醐主査  これは内外価格差のデータは入ってませんでしたっけ。
南事業政策課調査官  通常資料としてはお出しはしておりましたけれども。
醍醐主査  草案には添付してなかったですか。
南事業政策課調査官  そうですね。資料編というのをまた別に。そこまでは。お付けした方がよろしいかもしれないですね。
醍醐主査  このあたりははっきりデータでものを示すということでしょうね。おそらく。低廉化なり何なり、そういうファクトベースの、ここは最新のものを添付していただくということを事務局にお願いするということでよろしいでしょうか。それをどういう形にするか、注のところで、その部分は個々におさめていただくか、後ろで別表ぐらいにさせていただく、それは考えさせていただけますか。
加藤専門委員  はい。というのは、タイトルが「通信料金の低廉化」になってるので、それを保証するものが出てこないとおかしいんじゃないかなと思ったんです。
醍醐主査  4ページの2)とか3)、文章的に書いているんですよね。一方でアメリカ以下にまで下がってる。他方で、なお内外価格差が解消してないという部分があるというふうに書いているんですが、こういう内容をデータで示すということですね。じゃ、その点はそのように扱わせていただきます。
 いまマイライン、よろしいでしょうか。デフォルトのデータ。じゃ、回していただくということですね。写しを配っていただけるんですか。
事務局  ええ。
(資料配付)

醍醐主査  わかりました。このところ、加藤委員、よろしいでしょうか。
加藤専門委員  結構です。
醍醐主査  その他いかがでしょうか。
山本専門委員  接続料のところですが、競争政策の23ページですか、利用者料金と接続料の関係のあり方。私、別段異論があるわけじゃないんですが、最近びっくりしてることがありまして、OECDの競争当局の事務局が、接続料金も、ある意味で言ったらば差別化、二部料金、多様な形態の接続料金を設定すべきだという勧告をしているんですね。これはいま私、訳していますが、ブロードバンドが進んだらますますそういうような接続料金をめぐる大きな動きが重要になってくるんじゃないかと思うんです。
 従って、ここで書いてある23ページの3番が関係してくるのですが、ここのところで、やはり二部料金、差別料金を含めて、非常に経済学的に、限界需要アプローチからずっと厳密にアプローチしています。ラフォン=テローといった経済学者たちの影響が政策当局に影響を与えていまして、アクセス料金の価格差別化、それから多様化が世界の流れになっているということです。したがって、そこらあたりを3番のところに付加して日本も検討するということを書いていただきたい。一律の接続料金でいいんだというんならいいんですが、多分そういうわけにいかなくなるのではないかと私は思います。
醍醐主査  いまの点は、これは接続問題をいろいろ検討する、議論している場があるんですが、接続ルールの一次答申、二次答申というのがございまして、その中で1つ議論されているのは、接続料について、地域別のコスト差を反映するような料金格差がつくことについてどう考えるかということが1つ大きな論点になっているわけなんですね。これにつきましての、いまのところの考え方は、ユーザ料金について、ユニバーサルサービスでございますが、基本的には基金制を維持する。しかし、その中で、左右の方向で時間軸の差がつくことについては、特にそれをとめることは適当でもないし、是認すべきであろう。また、あるところで下がっていくことによって、効率化を促し、それがほかにも波及していくという効果を期待する前向きの対応のほうがいいんじゃないかという議論をしていて、そのユーザ料金との関係で、接続料の価格差をどう考えるかを合わせて議論していく必要があるんじゃないかということで、これは検討課題としては依然そのまま残しておりまして、検討課題にしないという意思決定はしていないというのが現状なんですね。そういうところまではいまの議論なんですけれども、山本先生のおっしゃるのは地域的な差ということだけではなくて、もっと弾力的な差ということなんでしょうか。戦略的な差別化ということでしょうか。
佐藤専門委員  23ページのところは、接続料金一般の多様化よりは、ある種の卸・小売で見られた反競争的な料金に対してチェックするものを入れましょうと。これはこれで多分よろしいと思います。山本先生言われたところは、接続の中で、私のコメントなんですけど、例えば秒課金だけでいいんですかという話は前から出ています。例えばコールセットアップのコール当たり幾らで、それと秒課金が幾らとか、あるいは、例えば海外では夜と日中とで接続料を変えています。そうすると、夜と日中で違うような接続料になって、要するにトラヒックが違いますから、それに合わせた小売料金をつけやすい。そういうことの議論は確かにあります。かつてBTが要求してきて議論したことがあるんですが、十分支持が、まだ日本の中では得られないで、例えば時間帯別接続料とか、要するに今後の検討課題で、そのときは残りました。だから、そういう意味で、接続の、向こうの研究会の方で、また何かの形で議論することは可能だと思います。
 ただ、ここは卸・小売の問題としては、こういう書きぶりで多分いいんだと思います。山本先生言われたのは、私は接続の委員としては、ちゃんと覚えておきます。どこかまた事務局を通して、そういう要望がどこかから入ってくれば、いまの先生のご意見と、OECDの動きを教えていただいて議論したいとは思っております。
山本専門委員  最終サービスの、サービス別に分けるという考え方も出ているみたいですね。 要するにアクセス財に対して、最終財がどうなるか、最終財によって接続料金も変わってもいいんだというような考え方もあって、時間別、地域別、それからサービス別と、いろんな形で接続料金を多様化していこうというような動きがあるように思います。これはどこかに一言入れてほしいので、これは卸の場合ですから、原則はこれでいいんですけれども、ちょっとどこかに入らないかなと。
醍醐主査  ここの箇所は2つの関係の問題ですので、いま山本先生のおっしゃっているのは、究極的にはユーザー料金との組み合わせもあるかとは思うんですが、基本的に接続料そのものの考え方ということでして、多少、この場に大幅にその議論を入れ込むのは少し難しいかなと思うのですけれども、どこかいまのようなお考えを、そういう検討課題として、問題の所在を入れるという箇所が、適当な箇所が競争政策絡みでどこかありますか。それとも、これは別の接続の議論をする場で、そのようなご意見が、この委員会で出たということで扱わせていただくということにするかなんですが。
藤原専門委員  例えば注の8のところに。20ページです。
山本専門委員  ここは二次答申の引用でしかないからなあ。ただ、接続問題というのは、最終料金の問題に関係してきますから、競争政策上はかなり大きな問題で、本当は項目が1つあってもいいんですよね。
醍醐主査  そうすると、これは20ページの頭の「接続ルールの見直し」というところなんですよ。ここはルーティン的にやっているので淡々と書きましょう、それを着実にやりましょうということで、今回は実施状況をむしろフォローしましょうということなんですが、もし書くとしたら、この中あたりでしょうね。やはり。書くとしたら。本文か注ですね。
山本専門委員  それを含めて多様な接続料のあり方が、検討課題としては残っていますということを注で書くか、どこかで書く。だから、そういう準備ができてるというのは書いておいたほうがいいですよ。これから絶対大きな課題になってくる。
醍醐主査  そうすると、ちょっと注がずれますが、1の接続ルールの見直しがありますね。その文末、これこれしていくことが必要であるというのは、規定のルールの運用をやっていくということですが、規定でないところ、これからの検討課題として、そういうことがあるということで、「必要である」のところに注9を打ちまして、新たに下に注の9を起こす。その中で、いまおっしゃった接続料金の多様化ということについて、海外のそういう動向を引用しながら、このような検討課題があるということに言及するというのはいかがでしょうか。
山本専門委員  私はそれで結構だと思います。
醍醐主査  接続関係、いま吉田課長がお見えになったんですが、そのことでいらっしゃる担当の部署の方は、いまここにはいらっしゃってませんよね。それでは、これはちょっと文章化が必要ですので、文案をちょっと用意していただいた上で、これでどうかということで議論させていただいたほうがいいと思いますし、能率的だと思うのですが、事務局、文案を、注の9という形で、1つずつずれますが、場所としては、入れるとしたらここぐらいかなと思うんですが、ちょっと文案を用意いただくということをお願いできますか。
南事業政策課調査官  今やっています。
醍醐主査  それを用意していただいたところで議論いただくということにしたいと思います。その他いかがでしょうか。
山本専門委員  具体的には市内競争の促進というのが、インフラ整備と並んで大きな課題となっていると思いますが、競争政策の中で、市内競争の促進と言ったときに、やはり3つ、アメリカの場合は出ているわけですね。96年度で。設備ベースの競争というのと、今回、我々がやるリセールとアンバンドリング、バイパスを含めてですね。
 そういうふうな形でいうと、設備ベースの競争の問題はCATVに関わってくる、いわば他のネットワークに関わってくる話なんですが、こういうところに入れちゃいけないんですかね。
醍醐主査  そういう整理の仕方でもう少し書けないかと。
山本専門委員  どこに入れたらいいのか。これはネットワーク開放型の競争政策ということになってくるとリセールになりますが、ネットワーク自体を競争させるという視点をどこかに入れられないのか。競争政策の基本的な考え方の中でもいいのかもしれない。やはり設備ベースの競争というのは一番望ましいわけですから、日本の場合、CATVがほとんどシェアをもっていない。これからインターネット時代に入り、IT時代に入っていくと、設備ベースの競争が有力なものになるような感じがします。そういう視点をちゃんとこちらの方にも入れておいたほうがいいのではないかとちょっと思えますが。
佐藤専門委員  どこかに入れてあったよう気がする。他の事業者の参入が望ましいというところがあって、その辺りだったような気もするんですけど。
直江専門委員  28ページ、異業種からの参入にどう対応するか。
山本専門委員  もうちょっとインパクトを与えるような形で、競争政策特別部会としては設備ベースの競争も非常に望ましいものとして期待しているというような感じで表明したいですよね。
南事業政策課調査官  1点だけ補足をさせていただきますと、4ページ目に若干、設備ベースの競争が望ましいという話、(b)のアの2)のところでございますけれども、FWAとかいろいろ無線システムが登場しております、競争政策の究極の姿としては設備ベースの競争が進展することが望ましく、こういったものが進展すると、ボトルネック設備に注目しました競争政策のあり方の見直しに影響があるだろうということを書かせていただいております。
 もう1つは、先ほど山本先生ご指摘のように、7ページ目の、新規参入促進型競争政策の部分の4)のところで、こういう設備ベースの競争が進展することが期待されます、ただ、資源の公平な利用等の一定のセーフガードが必要ですというところでも、設備ベースの競争と言われることを活発化するための新規参入促進策というコンテクストで書かせてはいただいておりますけれども。
山本専門委員  CATVは入ってないんだよね。世界的な動向としては、アメリカでもイギリスでもCATVでしょう。競争したとき、イメージとして彼らが持っているのは。一定程度市場シェアを握っているCATVでしょう。無線も新しい設備とは言えるかもしれないし、あと、電力会社ですか。
醍醐主査  今回は近場の動向ということありまして、異業種からの参入、その場合には当然、設備をベースとした参入ということにもかなりスポットを当ててるということで、CATVについては、動向そのものの効力と、これからの競争をどういうふうに促進するかというのは分量的に、あるいは問題意識としてやや希薄ではないかというご指摘は当たらずとも遠からずかなと思うんですけれども、それを今回、二次答申でどこまで、いまの時点で書き込むかということですが、今事務局からあったような問題意識はもちろん持っているわけですけれども、主には、いまどういう動向が期待されるかということで、近場の動向に、主には、ここではスポットを当てたということで、いま事務局から説明があったところなんですが、いかがでしょうか。皆さんのご議論次第でありますので、やはり書き加えるべしというご意見であれば検討させていただきますが、いかがでしょうか。
酒井専門委員  ここにブロードバンドという形で書いてありますが、実際、固定電話で設備ベースの競争なんかあまり起きないだろうと。ただし、ブロードバンド、ITについても間違いなく、例えばうちの近くでしたら、文句なくCATVが一番安いですし、そういう形で起きると思うんです。だから、そっちの方に集中が多いと書いてあれば、固定電話の話はまあということじゃないかと思うんですけれども。
加藤専門委員  私は自分の集合住宅に最近起きたことで。CATVが目の前まで来て、業者の売り込みがあって、それを入れたいという住民も少しいたんだけれど、すごく美観が悪いというんで反対が多いのと、欲しいという人以外の人の家のテレビのチャンネルも全部変えなきゃならないということを言われて、入れなかった。そうしたら、すぐ、その後、つい隣に国立の病院があるから、そこまで光ファイバーが来てるので、ついでにに引いたらどうですかということを電話会社がおっしゃったら、住民の中で、それを聞きつけた人が、是非それをやってほしいと言ったんだけれども、古い住宅だから、目立たないように配線ができないから、光ファイバーの太いのが、CATVと同じようにぶら下がった状態に空中に見えるようになるんだということになって、これもまた美観上嫌だという人が多くて、光ファイバーの話も立ち消えちゃったんですね。そうしましたらところ、つい直近の新聞記事によると、電力会社が電話のサービスをやるときにセット料金をしてはいけないということが、総務省の意向として出されたという記事を見たんですが、正しいかどうか知りませんけど、それを見た住民の中から、また話題が出てくるわけですが、みんなが、光ファイバーが外にぶら下がるのは嫌だということで、この間はあの話は全く立ち消えたけれども、電力会社が、配線がもう古いから、それを取りかえるときに光ファイバーを入れてくれるということになれば、そんなに美観も損なわないんだから、価格の問題がほどほどであればということは当然ですが、いいんじゃないかという話が出てくるわけですね。
 そうすると、本当に住民としては、何をもって、自分の、集合住宅の場合、インテリジェント化が可能かということをすごく模索しているし、欲しい人は早くみんなに理解してほしいと言って、管理組合に対する要望書が何度も出てくるんですね。管理組合はすごく、これに対して対応を苦慮しているという状況、これは私の集合住宅だけじゃなくて、日本中にあると思うんです。
 そういうとき、一番最後の質問ですが、電力会社が、例えばいま東京電力さんが直接やるか、あるいはTTNetサービスの代行をやるか知りませんけど、そういう形で配線をセットするということはできるのですか。かなり高速の通信ができるようなものですね。
南事業政策課調査官  今、加藤委員のご指摘ございましたが、東京電力が本体で第一種電気通信事業に参入しようとしているということで、許可の申請がもうすでに出されておりまして、それの許可条件につきまして現在、パブリックコメントを招請している段階でございまして、今週末の1月31日の審議会で、パブリックコメントに対する考え方を審議会にご説明をしまして、ご了解をいただければ許可をするという、手続の最終段階に来ておりまして、その中で、新聞等にチラッと出ましたのは、電力会社が本体で参入する際に、彼らしか持っていないボトルネック設備、電柱も多数持っておりますので、関東地区だけで7割くらいの電柱を東京電力は持っておりますので、そういったものを自社内で使うのと、自社外で使ってもらうのとの間で差別があっちゃいけないというボトルネック資源の公平利用とか、あるいは電力会社ご本体がやられるわけですので、他の電気通信事業者はまねができないようなサービスを提供するというのは、公正競争上やはり問題があるんではないかということで、今言ったような独占的な分野の電力料金と電気通信料金をセットにして、特に電気料金部分を割り引くというものを排他的に、東京電力しかできないような形でのやり方をするのは問題があるのではないかということで、そのへんの許可条件はいま明確化する方向で検討を進めているのは事実でございます。
加藤専門委員  その場合、電気のための配線がありますね。あれの設備程度で、光ファイバーは入らないんですか。
南事業政策課調査官  いま東京電力さん、我々も詳しい敷設の方法等承知しているわけじゃないんですけれども、東京電力さんは一応トータルで、何年かかけてですけれども、光ファイバーをFTTH的に、各家庭のほうに光ファイバーを張っていく、新たに新設をするんだ、それによって新しいサービスを提供するんだというご計画だというふうに承知しております。ですから、光を新たに張り込んでいく。
加藤専門委員  設備ベースの。
南事業政策課調査官  設備ベースの競争ですね。トータルで5万キロぐらい。今、東西のNTTさんが全部で光ファイバー、東で11万とか、西で12万キロぐらいの光ファイバーを持っておりますけれども、その半分ぐらい、5万キロ超ぐらいのものを新設をするというご計画だと聞いております。
酒井専門委員  美観の悪さは同じですよね。
南事業政策課調査官  そこは同じだと思います。
酒井専門委員  電力の線が垂れ下がっていますし、あまり変わらないと思いますけどね。
直江専門委員  集合住宅は電力線は地下なんですよ。だから、地下で入ってくるから。入るかどうかわかりませんけど。ダクトの中に光ファイバーが。
 ただ、やり方として、多分いまやろうとしているのは、家のところまで行ったあとは電力線搬送を使う。高周波で電力線搬送というやり方をするはずなんですよね。だから、ほとんど既存の家の中は動かさない。各家の、棟の下の立ち上がりのところまで持っていけば済む。
加藤専門委員  ブロードバンド。
直江専門委員  そうです。
谷脇事業政策課調査官  東京電力のFTTHの場合は、いま直江先生おっしゃったように、下から入っていけば全然問題ないと思います。
 ただ、電力線搬送については、やはり電波干渉の問題がございますので、規制改革推進3か年計画の中でも、14年度中に、実用化するかどうか決めるというような状況になっております。結構技術的な課題があるようでございます。そういった意味では、例えばさや管から通していくとかという形が必要になります。そういうときには、区分所有法に基づく住民の合意をどうするかという問題がございます。現在は4分の3の区分所有者の合意が必要です。それについて昨年12月に、法務省がホームページで新しい見解を示しました。これは4分の3を、IT化工事について2分の1でいいというふうに、若干でございますけれども、緩めたというような動きがございます。それからIT化のための集合住宅の改修についてモデル的なものをつくろうということで、いま国土交通省でも検討が進められております。そういう動きが年度内に向けて徐々に出てくるんじゃないかという期待もしているところでございます。
村上専門委員  SMPの推定とか、シェアの計算に関してなんですけれども、この答申、前半部分でブロードバンド化とかインターネットワークというような、次の世代の技術をキチッと位置づけてきているわけですけれども、例えばブロードバンドで、先ほどのCATVとか、今の光みたいなものがどんどん入ってくる中で、ブロードバンドアクセスマーケットが形成されるというところでの市場、シェア計算するときの母集団というのはどういう考え方でやるのかとか、市場をどこまでというふうに確定するのかという、ブロードバンド化を前提とした場合というところについて、資料2の方で説明されているのかもしれませんけれども、どういう考え方でその辺りを整理するのかというのをお聞かせいただきたいのと、17ページのウの3)で、関係子会社との取引情報、個別のサービスの収支状況などについては、「見直しに向けた検討に着手することが適当である」という表現があるんですけど、これは後ろの、今後の対応、本答申を受けて行われるべき事項の中でいきますと、どれになるんでしょうか。
南事業政策課調査官  まず、村上委員のご指摘の1点目の、例のSMPといいますか、支配的事業者の判断の基礎になりますシェアなりの考え方なんですけれども、今の現行法を前提といたします限りにおきましては現在どうしているかということなんですけれども、現在、地域の固定通信、特に東西NTTのボトルネック設備を指定する際にとられている考え方は、地域の加入者回線部分のアクセスラインの設備のシェアがどのくらいあるのかということで、各県単位ごとに、CATVとか、直収の専用線とか、そういうものも全部ひっくるめまして、無線のラインもひっくるめまして、地域のアクセス網で、東西NTTの加入者回線に対抗し得る設備ベースの存在というのはすべてグルーピングをした上でシェアを計算して、それが全部で99パーセントだという実態を踏まえて、設備の指定を行っているということでございます。移動体通信につきまして今回、新たに支配的事業者規制を入れたわけですけれども、これにつきましても同じように、設備の指定を行う際には、設備の加入者数ベース、端末を持っている加入者数ベースのシェアで25パーセントを超えているかどうかということで、設備の指定を行った上で、行為規制の適用対象とする事業者を指定する際には、それにプラスいたしまして市場シェアといわれるものを勘案をして、それで規律の対象者を特定をするという手法で、いわば地域の固定通信分野、1社が、いわば99パーセント独占しているマーケットと、3、4社が一応、過渡的かもしれませんけれども、競争している分野の市場の特性の違いに応じて、規律の中身も違ってまいりますので、アプローチを変えているというのが実態でございます。
 ただ、将来、本当に固定通信の世界と、携帯電話の世界というのは本格的に競争なんだ、マーケットとして見ても別個とはとても言えないんだという状況に、仮になってまいりますと、その辺りのマーケットのとらえ方、考え方というのも多分変えていかないといけなくなるのかもしれませんし、そういったインターネットの発展ということで、IPの独自のネットワークというものが、もしこれからどんどんできてまいりますと、そういったものもある程度念頭に置いた市場の捉え方というのも必要になってくるかもしれませんが、現段階はまだそこまで至っていないんじゃないかということで、市場を分けて、それぞれ独特の固有の手法で考えているということでございますけれども、将来的にはそういう見直しというものを、マーケットの変化に応じて考えていかなければならないと考えております。
 2点目のご指摘の、今回の法改正によりまして、ドミナントの事業者の会計の公表義務というのは、省令で、他の事業者、電気通信会計規則上、いろいろ細かい会計の整理をしておりますけれども、株主には公表しているもの、あるいは、国には報告がありますけれども、一般には公表していないものをできるだけなくそうということで、透明性を高める観点から、会計の公表範囲を、ドミナントに限ってはより幅広く、子細の営業明細表とか、そういったもろもろの、8つか9つぐらい項目を増やしまして、会計の公表義務を課しているわけでございますけれども、少なくとも現行の会計規則、会計原則を前提とする限りにおいては、現在求められるのはそこまででございまして、取引条件を、一応大ざっぱなものは公表していただくように、今回新たにしているんですけれども、個別のサービスごととか、もう少し子会社との取引情報の詳細を知りたいというようなお話もありますし、取引の公正の観点から、アメリカあたりはもう少し突っ込んだ詳細情報を公表させているようだという話もありまして、実は我々も、そこは十分まだ勉強しきれておりません。その辺りは、もしかすると会計規則そのものにはね返ってまいりまして、もう少しいじらないといけなくなるような話にも直結しているものですから、もう少し海外の事例等も研究させていただいて、鋭意検討を進めさせていただきたいということでございますので、いつまでに結論と言われるほど、まだ、申しわけございませんけれども、データもよく集まっていないんですけれども、BTとかRBOCとか、一体どこまでどういう原則に基づいてデータを出していて、それをNTTが公表しているデータとどう食い違うのか、もう少し検証させていただいた上で、少し考え方を深めていきたいと思います。
村上専門委員  後ろのリストの中では。
南事業政策課調査官  明記はさせていただいておりません。
加藤専門委員  前は、値上げとか、値下げもたまにあったけど、そういうときは、そういう機会を通じて株主ではなくてお客様がそういう情報を知ることができてきたわけですけど、今はただ、競争で下がっていくとありがたいと思うだけで、その合理性については検証することがなかなか、一般のお客様は無理なわけですね。お客さんといった場合、全部の人にというわけにいかないから、店頭に情報を置くこと、あるいは消費者団体にそれを説明するといったようなことで実現していくんだろうと思うんですが、その辺りの顧客に対する情報開示のレベルが、諸外国に比べてどうなのかということも一緒に考えていただきたいと思います。
醍醐主査  最後の行動プログラムというのが、議論から実行へ移すべき機が熟しているものから順次早期にやるということで、それなりに絞らせていただいていると思うんですね。本文で、検討する必要があると言ったことがすべて網羅されていないということはその通りなんですけれども、少しこの点は、ある程度までは立ち上げるとなれば、成案を得るところまでやらなければいけないということですので、その目鼻のつくところまで、事務局でもいろいろ研究していただくという、多少そのようなアロワンスをとらせていただくということでいかがでしょうか。
 それがまた、検討の結果、やはりこれは着手していくべきだとなれば、この後、最終答申に向けた議論が、二次答申の後、予定されていると伺っておりますので、その中でどこまでテーブルに乗せるかということを検討していただくということになるのではないかと考えております。
直江専門委員  事務局の方に尋ねるんですが、FWAは固定と考えていますか、移動と考えていますか。
南事業政策課調査官  例えばボトルネックの算出上は固定の中に入れて、NTT東西の地域網への競争相手たるラインとして考えさせていただいております。
直江専門委員  そうすると、例えば移動体通信の会社がFWAを持つ、ホットスポット型のものを持つという形でコンバインすることは不可能ということになりますか。固定事業者が独自にやれば、固定事業者は持てるけれども、携帯電話のライセンスを持ったところが、それと組み合わせて提供するのは可能かどうか。例えば提供することはできるかどうか。
谷脇事業政策課調査官  FWAというとき、例えば25ギガとか26ギガの辺りを考えた場合に、いわゆるポイント・ツー・ポイント、PtoPでやる場合と、それ以外の場合があろうかと思います。PtoPの場合ですと、いますでに実用化されておりますように、まさに固定の回線として、有線ではなくて無線としてやっているという意味において、通常の固定系の地上回線と同じというように認識できるかと思います。
 他方、同じ周波数帯を使いながら、マルチポイントにやるような場合、当然これから出てこようかと思います。これは今おっしゃったように、無線LANのような形態になると思います。この場合には通常の固定回線とは違いますので、そこをうまく分けられるかどうかという議論がございますけれども、概念的には分けて考えていく。無線LANの部分については、固定の加入者回線の部分から除いていくというやり方が1つの考え方かと思います。
醍醐主査  それでは、先ほど事務局に宿題をお願いいたしました接続料金の多様化をめぐる検討ということで、20ページの(1)の末尾辺りに入れたらどうかということがございまして、そこで新しく注の9という形で入れることを想定して文案を用意していただきましたが、配られているでしょうか。
 それでは、いまお読みいただいたようなことなのですが、「ブロードバンド化に伴い、ユーザサービスが多様な展開を見せる中、接続料のあり方についても、海外の事例等を参考にしつつ、その多様な設定の方法について検討を行うことが期待される」という内容を注として入れるという案文を用意していただいておりますが、いかがでしょうか。山本委員、いかがでしょうか。
山本専門委員  「期待される」という表現がちょっとおかしい。「検討することにする」とか何とかならないんですか。
直江専門委員  答申だからね。
醍醐主査  「検討を行うことが必要である」という場合に、だれが検討するのか、ここで検討するんだったら言い切ったらいいんですが、どこか他の場所でやっていただくかしれないときに、そういうときに、多少人さまにお願いするという含みを含めて、「期待される」としておいた方がいいかなと思うんですね。どこで議論するか、この段階では決まっておりませんので、「検討を行うことが期待される」でどうでしょうか。
 「期待される」と書いたからいい加減にするんだということ最近はなくなりつつあるというか、かなりなくなってきていると私は善意に解釈しておりまして、それなりに、行動プランにもありますように、中間段階でパブコメを出した段階から、すでに予定どおり年内にスタートしていただきまして、それなりにやはりプログラムどおりに、今のところは進んできていると思っておりまして、そういう懸念もそんなになくやっていただけるんじゃないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。これは事務局として、どこでどういう形で、いつごろからやっていくかにつきましては、まずは全体的には行政庁のご判断で、どこでどういう形で立ち上げていただくとか、いつの時点でやっていただくかということは判断していただくのが筋だと思いますので、それに、この委員会としては委ねるということでよろしいでしょうか。
 その他、競争政策部分で特にございませんでしょうか。
 私の方から、もう事務局から説明があったところで確認的にもう1度お伺いしたいのは、6ページのところで線が引いてありますが、NTTコミュニケーションズさんから、わが社をグループの中に入れて一律的に扱ってもらうのはおかしいんじゃないか、わが社はシェアからいっても、独占的な会社じゃない、いまやNTTグループ全体を一くくりにして議論するのは実情に合っていないんじゃないかということで、例えばご意見の中で、考え方等、横長の71ページでも、NTTコミュニケーションさんの方から、左に43と振ったところでありますが、その中でも、シェアからいって、わが社はそんなに独占じゃない、もっと大きい人がいるということとか、NTTグループ各社は常に各社間で競争状況にあって、こういうグループ内競争を正しく認識した上で議論してほしいというご趣旨等ありますし、ファクトベースでも、シェアからいったら、一くくりにすることは適切ではないということは判断されましたので、このように、本来ここでは、NTTという場合に、それなりに規制の対象と想定してるのは、ボトルネックのある東西、ドコモさんは別の意味で支配的事業者ということですので、そこのところをあまり一律的に扱うのは不正確だということで、ここはそのように修正をするのはやはり必要じゃないか。
 22ページの、今後の方策の4でありますが、OSS開放に当たりましての個人情報保護ですが、このもう1つ上の、ITの特別部会で、中間段階の草案を議論いたしますときに、その中で、委員の方からもご指摘があって、OSS開放に当たって、個人情報保護のガイドラインをそのまま適用したら、OSSの開放というのは事実上、非常にむずかしくなってしまうんじゃないか、ここのところはあまり機械的なことを言うとかえっておかしくなるんじゃないかというご指摘がありまして、今のような文章に修文させていただいたらどうかという指摘であります。
 それから、このコメントの中で、非常にコメントが長くあります中の1つは、公衆網再販について、横長の資料を見ていただくとずっと長くあるんですけれども、これはNTT持株会社さん、東西さんの方から、公衆網再販について、それは固定網について言っている場合について、原則的に、やり方の問題じゃなくて、必要性そのものについて否定的な考え方がコメントとして返ってきています。
 それについてはいろいろ、今後の議論の仮定でも出てくる問題だと思われるのですけれども、考え方として、そこはしっかりと書いておく必要があるんじゃなかろうかということで、公衆網の再販のところにつきましては、横長の資料2の23ページのところで、そもそも論から、考え方のところで書いておりまして、冒頭、南さんの方からありましたように、ボトルネックという場合に、単純な電話サービスを想定しているだけではなくて、インターネットとの共通基盤、ブロードバンド時代の共通的基盤という位置付けでこれはとらえているんですということをまず謳いまして、それに当たっては、ここに書いてあるように、その意義というのは極めて大きいということを書いておりまして、ここはワンストップビリングという、請求書一本で発注するという、もちろん、それがいろいろチラシが入るという懸念はあるんですけれども、ビリングの一本化だけじゃない、レートメーキングの一本化ということが、様々な競争上、利用者の多様化要望については十分応えきれてないんじゃないかということで、ワンストップレートメーキングを多様化する。さまざまな事業者がさまざまにワンストップサービスの料金を設けて、基本料も含めて選択肢を広げていくということで、そこでサービスベースの競争を、加入者線部分についても導入していけることが期待されるという趣旨で書いているということでありまして、その場合にも、実際にニーズがあるかどうかということは基本的な前提でありますので、そのニーズの確認ということも含めて研究会を立ち上げていただいているということであります。
 最終的には公衆網再販について何が問題かとみれば、ニーズがあると、ある部分について限定すれば、それはニーズがあるところはNTTさんがやる必要はないという、必要性の判断をNTTがやるんじゃなくて、それを使ってサービスができるかどうか、したいと思うかどうかという側が判断することでありまして、その上で、しかし、投資に伴うリスクというのはあるわけですから、予想と実績で需要が大きく乖離したときに、当初のリスクをだれが負担するのか、そのことについては、NTTさんに過大なリスク負担を負わせるということはフェアではない。それがまた逆にインセンティブにもかかわるということで、その点をしっかり議論していただきたいということを相当、この答申草案では書いているわけですね。
 そのような趣旨で、公衆網再販というのは既に動き出していただいておりますが、着実に、これから6月に向けて検討をお願いしていきたいという趣旨で、ここは書かれているということでございますので、よろしいでしょうか。
加藤専門委員  公衆網再販のところ、23ページの2)のところですが、NTT東西の、基本料の利益幅がほとんどないので独占的価格設定であるということには当たらないということを言っているので、世間の感覚とずいぶん違うから、データ的に納得のいくようなものを出していただきたい。
醍醐主査  利益幅がどれだけあるかということと、独占的状態がどうかということは直接関わらないことでありまして、例えばバンドルサービスをやるとか、様々なワンセットのサービスをやるというときには、ある部分については、ほかの部分で、トータルでリターンがどれだけかを考えればいいわけでありまして、そのときに部分的に、あるところでは利幅が多い少ないということは直接の議論にはならない。
佐藤専門委員  一応コメントしますと、加藤さんが言われた気持ちはよくわかります。基本料も、例えば1,750円に、資本回線の390円をくっつけて、7万2,000円を640円で置きかえると、2,700円ぐらいお客さんが払うことになるわけですよ。やっぱり世界的に見て高いんじゃないかという気持ちを消費者が持つのはよくわかります。
醍醐主査  だからこそ冒頭で、内外価格差というときに、一方ではマイラインとか、市内とか、インターネット系については、むしろ海外に遜色のない、下回るところまで下がってきているという面と、今いろいろ施設負担金については議論がありますよね。基本料についても、そういうデータを、ここの議論に入る前に、おっしゃるとおり、そういうご意見もあれば、なおさらデータで示しておく方がよろしいかと思いますね。
加藤専門委員  同じうちの中に入ってくるライフラインの中で、電気の基本料はとても高いです。例えば、セカンドハウスに行ってるとか、外国に長く行くから冷蔵庫まで切っちゃって、万一のことがあると嫌だから電気を切る。そうしたら、基本料なんて、自動振替だと177円ぐらいです。ガスは200何円です。NTTはそれが全然できない。一時休みたいというと、全部契約を解除する形になるんですね。
 その時の工事費が2,000円、そして、利用再開するとなると、番号も変更させられる上に、最低工事費が、2,000円、場合によっては屋内配線工事費もかかります。だから、面倒、あとが不便ですから、休止をしないで、高い基本料を毎月払い続けるしかない。
直江専門委員  8,000円くらいかな。
加藤専門委員  とにかく高くて不便。そういう点で、同じライフラインでも、供給していないときの差が大きいという声がすごくあります。外国人からも主婦連に訴えも来ています。ガス、水道、電気、電話の中で、電話の休止のときの不合理性というのは、みんなから文句が多いです。ちょっと違う話かもしれませんが。
醍醐主査  いいんですけど、一応競争政策の部分はよろしいでしょうか。ここでは個別的なことはちょっと書き切れませんので、ただ、ご指摘のあった、もう少しデータで客観的な状況を示す必要があるんじゃないかというのはそのとおりでございますので、前の方のところで、その点は書き込んでいただく。データを添付していただくというふうにしたいと思います。
山本専門委員  よくわかりませんが、10ページの「株主利益と競争政策の関係」というところで、結局、株主利益も消費者利益も両方考えてバランスをとるみたいな言い方になっていると思うんですけれども、それは民営化した会社にはどうしようもなく株主利益の問題もあるでしょうし、プライスカットとから、サービスの向上といった、消費者利益を向上させなければならない側面もあると思います。けれども、二兎を追わざるを得ないNTTに対して、2番で言っているところの、持株会社の利益を区別しながらとありますね。要するに、グループ内各社の株主の利益とは区別されたグループ全体の株主利益とありますね。これってどういうことを意味しているのでしょう。これって、例えば持株会社というのは、具体的にいうと会社支配会社ですよね。だから、例えば私のイメージでしたら、東とか西、特に西などが経営が悪化したときは、その分は持ち分を減らして、NTT―DATAの持ち分をふやすとか、そういうようなやり方をとるということなんですか。要するに、ここでは何を意味しているのですか。
醍醐主査  4ですか、2ですか。
山本専門委員  2です。
醍醐主査  何を含有しているという意味は、NTTグループ全体として言う場合に、持株会社からみると、持株会社それ自体の株主の利益という場合と、グループ全体の会社の利益というのとは常に一致するとは限りませんので、相反することがありますので、その場合はどちらのことを考えているんですかということについて、そこの区別を踏まえた上で株主利益を議論するならして下さいと。これは株主利益を議論するときの前提として、そこの着目点を言っているわけですね。そのことは要件として。4は、どういう株主であれ、株主の利益と、公益事業としてのNTTの負わされた責務との関係を言っているわけですね。
 山本先生は両方バランスよくと、そういう受けとめ方をされても仕方ない表現かもしれませんが、真意は、ここはこういうことでして、前の文章ですと、東西NTTがユニバーサルサービス提供責務を負わされているということと、ボトルネック設備を保有しているということから、幾つかの規制、認可事項とされている部分があるということとを一括りにしてきたんですが、その2つの規制をしている法律根拠法は違うということですね。
 ユニバーサルサービスについてはNTT法だ、ボトルネックを持っていることに伴う許認可規制というのは電気通信事業法である。ここは事実の問題なので、明確になるような修文は当然必要ですということが大きな修文の趣旨ですね。
 もう1つは、これは多少、言葉のニュアンスといえばそうなんですけれども、何々法に基づいて、株主利益の追求に制約が課されているというふうにこれまでなっていたんですが、NTT法であれ、電気通信事業法であれ、株主利益の追求に制約を課しているということを明文的に特に言っているというところはないわけでして、実質的な解釈、判断として、そのような責務を担うとすれば、株主利益の追求に一定の制約が生じるという事実の問題等、法律が直接的に言及しているということとは、ここで一応、そういう指摘があるならはっきりとわかるようにいたしましょうという趣旨で変えたということでして、バランスをとるために、もう少し全体のトーンを変えたという性格のものでは特段ないということです。
山本専門委員  私もそういうところで問題にしているのではなくて、逆に、グループ内の個々の会社の株主利益の最大化というのはすごくわかるんですが、持株会社の利益の最大化ということになってくると、持株会社の利益って何なのかなって考えるわけです。これはある意味でいったらば、さっき言ったように、持株会社というのは、支配株を持って戦略的にグループを運営する会社ですから、場合によってはグループ内で成長産業、衰退産業というかたちで企業が分かれる場合は、成長する企業のほうに、グループ全体としては、資金・資源を配分しなければいけないですよね。そういうところまでを促していることなのかどうかということはちょっとわからない。グループの各社と切り離した持株会社の利益というのは何ですかね。実態的には何になるのでしょうか、それは。
醍醐主査  それは会社としての持株会社ですか。
山本専門委員  NTT持株というやつ、いまあるやつですよ。
醍醐主査  でも、持株会社にも、国をはじめ、株主はいるわけです。やっぱりそれは、株主が存在する以上、利益の追求を負う以上、持株会社には持株会社の利益があるということは当然認めてかかるべきでしょう。その持株会社に担う機能が、グループ全体の資源の最適配分である。人、金、物の戦略的な配分であるということは事実ですけれども、そのことと、持株会社にも固有の株主がいて、その株主の利益の増進ということが、固有の会社としての利益であるということはサラッと言っているだけのことで、それ以上、我々がそこに立ち入る問題ではないんじゃないか。
山本専門委員  だから、資源配分を効率的にやりなさいということは言っているわけですね。要するに持株会社も利益区別して、持株会社の株主の利益も最大化しなきゃいけないということでしょう。違うんですか。最大化するって言ってないんですか。
村上専門委員  NTTの判断であるということなんじゃないでしょうか。ここでは。
醍醐主査  経営判断の問題を我々とやかく言うんじゃなくて、株主会社として存在している以上、ここには固有の利益追求というものは、当然これは与件ですよねと。
山本専門委員  そうなってくると、例えばなるべく政府の持株は減らしていきなさい、もっと売却を進めて、要するに持株も、子会社に対しては持株比率を下げたらどうかとか言っているわけで、政府自体もこれから完全民営化をするということを言っていたわけですから、やはり徐々に、特殊会社であるとはいえ、持株比率を下げていくわけでしょう。いま株式市場がよくないから売らないだけで。だとすると、そういうような全体としてある政策と、この文章は整合しますか。僕は、その政策ないし方針自体が問題だというなら、それはそれで議論すべきだと思うのです。政府は今までどおり、現行どおり株を持っていればいい、いまのNTT持株会社も子会社に対しては、今までどおり株を持っていればいいんだということなんですかね。
醍醐主査  政府の保有株については、この委員会ではなくて、国際競争力委員会の方で、議論するとすれば、そちらの守備範囲かなと思うんですが、競争政策として、この委員会で、持株会社に対する政府の出資比率自体を下げていくことが必要だとか、そういうことについて、ここでそういう見解を述べているということはございません。
山本専門委員  例えば政府とNTTの関係じゃなくて、NTT持株とNTT子会社の関係でいうと、今度、NTT持株と東西とか、データとか、ドコモの話でいうと、この文章が持つインプリケーションは、持株会社さんは、グループ内資源最適配分をやればいいんだよということを言っているんですか。
醍醐主査  いえ、いま現在、人、金、物は、持株を通じて全部調達するということになっているわですよね。そのこと自体も解消する必要があるんじゃないかと。
山本専門委員  そういうことは出てこないのではないんですか。ここからは。
醍醐主査  ですから、それは役員の兼任をやめましょうということですよ。ですから、自立を高めましょうということを言ってるわけですね。
佐藤専門委員  よくわからないですけど、山本先生が言われることの幾つかの観点はわかるんですが、私がここだけ読むと、4)のところが大事で、何かと共同政策というと、株主利益がどうこうと言ってくるから、やっぱりNTTの地域というのは、こういう意味で、特別な事業法なら事業法のもとでボトルネックを持ってる、いろんな規制を受けながらの企業だから、そういう制約のもとにあることをちゃんと理解、認識して、その中で株主追求してくだされば結構と、念を押して確認しているのが多分大事で、4)のところを一応キチッと書き込んだということが意味あることなのかなと私は理解して。
浜野専門委員  いまの件ですけれども、利益という言葉が少し違うんだと思うんですね。ここで言われている株主利益のことが書いてあるはずなんですけれども、それを持株会社の利益とか何とかと言うものですから、株主利益という狭い意味の利益だけではなくて、もっといろんなものが入ってきちゃうということになっているんだと思うんです。だから、読んで、これできっちりしているわけですから、2はもうちょっと別の表現にした方がすっきりするんじゃないか。主査が言われたように、持株会社の利益というのは、株主利益とはちょっと違う、もっと広い意味を込めているんだと思うんですね。それだったら、ここに利益なんて言葉を使うから混乱を起こすんじゃないかと。違いますか。
醍醐主査  2というのは、グループ内のある会社、コムが市内に参入したりとか、グループ内でお互い同士相互乗り入れをして、サービスを多様化したいというときに、様々な持株会社が調整をする、住み分けをするということが現にやられているというふうに伝えられてきておりますよね。
 本来の個々の会社単位の行動原理からすれば、もっと様々なところに進出していくことがあり得たんじゃないか。それがグループ内の住み分け的な政策で、最近はそれも崩れつつあると言えますけれども、そういう現実がありますよね。
 そういうときに、その全体を調整するということと、個々の会社が自分の戦略で自由に動こうとすることとの関係をキチッと整理して、議論するならしてくださいということを言ってるところだと思うんです。
 ここは価値判断的な要素は含んでいないんですけれども、グループ内でそういう住み分け調整をやっているという現実があるんだったら、それは本当に株主利益にかなっているのか。
 例えばドコモとかコムさんがグループ内にとどまって、そういうふうな住み分けに応じているということが、コムさんならコムの株主利益、それが最大化に、いわれるところの追求に本当につながっているのかどうか。株主利益ということを議論するにしても、そこで本当に何の議論の余地もないんでしょうかと。
山本専門委員  そういうふうに書いた方がわかりやすいのではないのですか。これじゃ何にもわからない。これだけ読んでも。
醍醐主査  株主利益の追求といわれるけれども、本当の株主利益になっているんですかと。
山本専門委員  と言いたいわけでしょう。
醍醐主査  でも、この審議会が株主利益について、おたく本当に一生懸命やっているんですか、汗かいているんですかということを、審議会がそこまで言うというのは行き過ぎだなと思うんです。あくまで審議会は、利用者利益の増進、競争政策として十分な体制になってるかどうかという判断で議論していくというのが自然体だと思いますね。
山本専門委員  そこのところは、いまの説明は、各社の株主の利益という点ではよくわかります。それでいいと思うんですよ。各社ではなくて、それと区別された全体株主とか、持株会社ということになってくると、こちらにもまた株主がいるわけですよね。また違う株主がね。それでは、その人たちの利益って何なのかというのがよくわからない。
醍醐主査  何なのかって、私たちが説明しないといけないのか。
山本専門委員  要するにNTTグループ全体が沈滞していったときに、ある意味で全体株主の利益も沈滞する、小さくなっていくというようなことであるならば、結局、戦略的な行動をとりなさいということになるじゃないですか。持株の方は。さっき言ったように悪い事業から悪い会社から資本を引き上げる、小さくする。資本参加分を。成長産業の方にどんどん投資していくという、そういうようなことが、持株会社の利益じゃないですか。
醍醐主査  それは経営判断でやられることなので、その結果として、それが競争政策に重大な問題を惹起していることあるのであれば、我々の側としては、それについてはきちっとしたルールで、変更なり改善を、再考を促す必要がありますねということを言おうとしているわけですよね。
山本専門委員  だから、そこは経営判断だと。さっき言ったように、持株会社の資本参加率を低下させたい。ドコモとか、それに対する。それはどうなるのですか。
醍醐主査  ドコモに対する持株率の低下ということは、本来であれば、民間会社の経営判断です。持株会社に対してですから。ただ、それが競争政策上問題を惹起しているという限りにおいては、審議会なり行政は、それについてコミットすることがあり得ますよということを、日本でメッセージとして出そうとしているわけですよね。
 そのときに、横長の寄せられたご意見の中で、例えば8ページの左の11、「株主利益と競争政策」のところで、○の2つ目で、NTT東日本さんから出ているんですが、ザッと書いてありまして、最後に、「これこれの指摘は特殊会社法と商法の関係との誤った認識に基づいており、約160万人存在するNTTの一般株主の利益を損ない、株主財産権を否定することにつながる」というコメントが返ってくればきちんと、これについては考え方を示す必要がある。それはすでに本文で書いているわけですけどね。
 それについては誤解のないように、正確な表現を記すと同時に、原則的に指摘することは、ちゃんと維持する形で指摘するということだと思うんですね。ここまで言うと、株主利益を侵害したというと、競争政策として何もできないんですかというようなことは、そうじゃありませんよということを言っている。だから、逆に規制産業の場合に、アニュアルレポートをご覧になれば、レギュラトリーリスク、規制上のリスク、レギュラリトーエンバイロメントという形で、わが社が置かれている規制上の環境とか、必ずこれは投資家向けに書いているんです。ということは、そういう状況のもとに経営をやっているということを前提に議論、実際にはやってるわけですね。そのことをちゃんと確認してくださいと。競争政策で何か議論しようとしたときに、こういった議論が返ってくるものについては、必要な範囲においてきちんとした見解を示す必要があると。
山本専門委員  その点でちょっと確認したいんですが、私はNTTの株主じゃないので、NTTの株主への、投資家へのIRに書いてあるんですか。要するに我々は、こういう規制の下で営業をやっているのでということが、投資家向け公告には書いてあるんですか。
醍醐主査  有価証券報告書では、例えば上限価格規制を設けられている。これについては認可事項ですということを書いています。時間がかなり経っているんですけれども、競争政策その他、いかがでしょうか。途中でお帰りになる方が、ユニバーサルサービスのことについて発言をしていきたいとおっしゃっている方がいらっしゃるんですが、競争政策につきまして一旦、ここで、次に移らせていただいて、いろいろまた思い出されたことがあれば、最後にまた戻ることもあるでしょうということで、進めさせていただいてよろしいでしょうか。
 それではユニバーサルサービスの方ですが、長くこの作業部会等でご尽力いただいた清原先生からご発言いただくことがございますので。
清原委員  4時過ぎに失礼しなければいけないので、最初に失礼します。今回の素案では、パブリックコメント前に慎重にご意見を聞いてからということで書いた部分が明確化されて、私たちの検討の結果、方針がはっきりしてきたと思うんですが、そのうちの2つについてちょっと確認をしたいと思います。
 64ページの8)のところで、現実的なアプローチとして、基金制度の導入以降、相殺型の収入費用方式を当面採用することとし、遅滞なくベンチマーク方式に移行することが適当と考えられるということで、非常にはっきり、私たちがベンチマーク方式の方に移行することを前提としているということがさらに明確になったと思うんですけれども、これから非常に細かいことで、ご質問するのも恥ずかしいんですけれども、ただ、ここでは、「速やかに遅滞なく」というところを、「遅滞なく」という用語を選択されて明記されたものですから、たまたま79ページのところで、今度はコスト負担ルールのところなんですけれども、79ページの、修正後5)のところで、「8で述べたように、コスト算定方式は速やかにベンチマーク方式に移行することを視野に入れている」云々とありまして、別に同じ意味なんですけど、鮮やかにするためには、同じ用語の方がはっきりするかなと思うので、「遅滞なく」なのか「速やか」なのか選んだ方がいいなと。済みません。先ほどの深刻なお話に比べると全然トーンが変わって恐縮なんですけど、「速やかに」がよければその方にというような、鮮明に示した方がいいかなというところが1点です。
 2点目は、74ページ以降は、これも両論を併記してパブリックコメントでご意見を伺おうということにした4)以降のところです。これは役務なのか設備なのかということで、反応を伺いまして、結論としては75ページで、今回は役務面に着目したアプローチが適当との意見もあったけれども、しかしながら、VoIPなどのことがあるので、設備の方でというようなことになったと思うんですね。
 それがずっと76ページまで流れるんですけれども、VoIPというところを引用しながら、結局、基金制度の安定的な運営を維持することが、役務面ですると懸念される。「従って」となるところだけでは弱いような気がいたしまして。といいますのは、結局、基金制度維持のために、設備面に着目したアプローチを採用するということが強烈に出てくると思うんですね。でも、前回のところに書いて消えたところで、74ページのところで、4)の(イ)のところには、ちょっと婉曲な表現ですが、音声伝送役務とデータ伝送役務との垣根が急速に低下していく可能性もあり、これらに伴ってコスト負担事業者の対象範囲が変動することが、制度運営の安定性の観点から問題があると。私は、これは消されたのですが、やはりそういうようなところが記述されていた方が何となく、なぜ基金制度の安定的な運営が損なわれるのかというところがわかりませんので、はっきりと設備面に着目したアプローチを採用するということを示すときの根拠として、復活提案なんですけど、3)の(ア)の辺りのこととも関係するんですが、復活していただいてもよろしいのではないかなと思いました。
 以上2点、ユニバーサルサービスの領域では、パブリックコメント以降、姿勢がはっきりしたところなものですから、それははっきりともう1度示したほうが有効かなということで意見を申し上げます。以上です。
醍醐主査  64ページですが、次回レビュー後というときと、これは前回、パブコメ直前のこの委員会で、清原委員とか加藤委員から、「速やかに」というのは、もう少しはっきりと、いつまでというふうに書けないかというご意見がありましたね。それで少し、パブコメを見て考えましょうかということになったんですが、今回こういう形で、むしろご発言に沿ってこのように入れさせていただいている。「遅滞なく」と「速やかに」とどっちの方がいいでしょうか。清原先生は「速やかに」の方が何となく切迫感があるとおっしゃいましたが、「遅滞なく」というのも結構切迫感があるんですが。
清原委員  「速やかに遅滞なく」でもいいんですけど、丁寧に。
醍醐主査  どちらかに揃えた方がいいというのはその通りでよろしいですね。
直江専門委員  前の方が「遅滞なく」だったら、後ろの方も「遅滞なく」にしておいたら。
山本専門委員  「速やかに」のほうが表現的にはストレートでいいのではないか。「遅滞なく」というのは二重否定でしょう。二重否定は肯定だというけど、弱い肯定だ。
加藤専門委員  漢字が入るほうがいいんじゃないですか。
醍醐主査  ここは「速やかに」で統一させていただくということでよろしいでしょうか。
清原委員  結局概ね2年後というようなことで、年数も予見もできるような記述が64ページにございますので、「速やかに」というのは別に1カ月後ではないということは分かるのでよろしいんじゃないかなと思います。
醍醐主査  次に、役務面と設備面という両論併記を設備面という形にしたということの論理の展開がご意見があって、ここはユニバーサルサービスの作業部会でも、役務面を消して設備面ということに導くという論理として、何となくまだ弱いんじゃないかと。役務面のいいところも書いたなら、それを否定するだけのもう少ししっかりしたことを書いた方がいいんじゃないかという議論がだいぶありまして、ここは相当修文を重ねてきているんですが、それでもなかなか痕跡が残っているというご指摘だと思うんですが、内容的にはもちろん清原委員おっしゃっているとおりですね。
 安定的にということの意味は、維持していくために内容を少しラフにやるというよりは、そういうふうなVoIPの変化が来て、そうなると、音声かデータかという区別がなくなることがわかっている状況のもとで、そういうことを見越せば自ずからどうなるかという判断にしましょうという趣旨なので、安定的に維持するという意味は、そういう意味で、ごく近い将来、変更が迫られるような制度はとらないことがベストチョイスじゃないかという趣旨だと思うんです。それが安定的という趣旨で、ということは、受益者の負担の変動もすぐに起こることが予見されるわけですね。そういう考え方はとらない方がいいんじゃないかと。今採用しておけば、それがVoIP化のもとでも十分に耐え得るという制度にしようという趣旨だと思うんですね。この表現で弱いでしょうか。どうでしょうか。
直江専門委員  基金の安定のためだけと取られちゃう。
清原委員  そうなんです。いま先生おっしゃったようなことが、認識の中には、この部会では共有されていると思いまして。
醍醐主査  75ページのbの2)ですが、いま非常に圧縮的にそういうことを書いているんですが、こういう表現よりも、消した、前の方がよろしいですかね。
山本専門委員  ただ、注があって、VoIPについてちょっと説明しているからね。だから、読めば分からないこともないけれども。ただ、これで分かりやすくなるんなら入れてもいいような感じもします。
醍醐主査  そうしたら、これも、75ページのbの2)の文章を、大体大枠は維持しながら、74ページの4)の(イ)、消したところですが、この中でもう少し生かせる部分を少し取り込むというふうな修文でしょうか。
清原委員  ですから、「VoIPが急速に普及し、従来の音声電話からVoIP等へのシフトが生じることが見込まれる中」。
山本専門委員  「見込まれる」でいいんですよ。
清原委員  「見込まれる」と言い切ってしまってもいいかもしれませんね。そして、「音声伝送役務とデータ伝送役務との垣根というか、区分が急速に低下していくので、当該音声伝送役務を提供する事業者に限定すると」云々というぐらいですね。あんまり大幅に変える気持ちは全然ありません。
醍醐主査  当該事業者のコスト負担が過度に高まるというより、コスト負担事業者の対象範囲が短期的に変動するということを指摘することの方が。過度に高まるというよりか、もうちょっとニュートラルな方がいいでしょうかね。
清原委員  短期的に狭まる。
醍醐主査  変動するという書き方でしょうね。
清原委員  「短期的に変動することになり、基金制度の安定的な運営が損なわれる」という方がつながりますね。
醍醐主査  もう1度確認いたしますと、75ページのbの2)、「しかしながら、今後、VoIPが急速に普及し、従来の音声電話からVoIPへのシフトが生じ」。
直江専門委員  注21の一番最後のところというか、後半の部分を足して。
醍醐主査  「過度に高まり」は、ここに入っているのはいいと思うんですが、「シフトが生じ、音声伝送役務とデータ伝送役務との垣根が急速に低下していくと見込まれる中で、コスト負担事業者の対象範囲を、音声伝送役務を提供する事業者に限定すると、負担事業者の範囲が短期的に変動することが懸念され、基金制度の安定的な運用が損なわれると考えられる」というぐらいで。
清原委員  ありがとうございました。
醍醐主査  何か思いつきで。もう1回言えと言われたらしゃべれませんけど。大体そういう内容で、ちょっと確認的に、文章で確認した方がいいと思いますので、修文案を用意していただけますかね。文章で確認したいと思いますので。
佐藤専門委員  私、今のを理解していないので、確認事項です。設備面で、例えば設備の方の概念でユニバの議論を進める場合、ここに書いてあるのは、例えばラインシェアリングでサービスを提供する人は支払ってくださいと。そのときにも多分同じ収入の割合、パーセンテージかどうか知りませんけど、ほかの会社と同じようにパーセンテージで払ってくださいと。例えば。
 それから、ドライカッパでインターネットの接続をやるときは払わなくて結構ですよと書いてありますね。ドライカッパでデータ通信をやってる、それでもVoIPをやっても払わないでいいですよと。払うか払わないかは、設備に対応するということは、加入者回線で受益しているかどうかで見ていると言っていますね。ラインシェアリングは受益しているけど、ドライカッパは受益してないと見るわけですか。そういうふうになってるわけですか。
谷脇事業政策課調査官  そうです。
佐藤専門委員  それから、負担するときに各社同じ収入の割合なんですか。2パーセントとか1パーセントとか決まったときに、ADSLの得られた収入の内の、例えば何パーといって、事業収入から全部決まっているんですか。各社同じ率が。要するに携帯も払え、CATVも払えと。
醍醐主査  まずユニバコストが出ますよね。それを各社に配分するときに売上高を。
佐藤専門委員  売上高で同じパーセンテージなんですか。CATVは払うんでしたっけ。売上で、例えば携帯でいくと、iモード的なデータ通信もあるし、音声もあるんですけど、全体の収入の同じパーセントを負担させるという形なんですかという質問です。
谷脇事業政策課調査官  整理して申し上げます。全体の売上高、例えば3つの事業者であれば、その売上高を足し合わせます。そうしますと、A事業者は30パーセントです。Bは40パーセントという形になります。従って、それがコスト負担の比率になります。従って、各事業者は全部同じ比率ではありません。売上高に応じたシェアということですので、3割あれば4割もあるという形になります。
佐藤専門委員  そのときの収入というのは、例えば音声とかデータとかいろいろありますよね。それをひっくるめて企業の収入ですか。
谷脇事業政策課調査官  電気通信事業収益がベースになりますが、例えば先ほどのモバイル事業者のように、モバイル・ツー・モバイルの売上高は除くというふうにいたしました。従って、対象となる売上高をさらに確定をさせる必要があります。従って、全ての売上高というわけではありません。その中の対象になるものだけを集めて、全体の中のシェアを出して負担比率が決まってくるという形になります。
佐藤専門委員  加入者回線に、便益を得られているというサービス概念で収益を括るわけですか。
谷脇事業政策課調査官  その通りです。
酒井専門委員  ドライカッパは除くんですよね。結構ややこしいんですよ。
佐藤専門委員  わかりにくいところが少しわかってきました。
直江専門委員  将来、ユニバーサルアクセスになれば全部入ってくるけれども、今のところは音声通信を維持するためということで。
酒井専門委員  本来なら役務の方が、どうせユニバーサルサービスは音声役務だけなので、これの役務の方が素直な気がするんですけど、そうするとおかしくなるのと、どうせ将来、アクセスにいって、インターネットも入るんだから、多少先取りして、売上の方は、音声とかインターネットに入れちまおうという話になってくる。
佐藤専門委員  少しわかりましたけど、また考えてみます。どういう形で、どういう理屈かなというのがまだちょっと自分の中で整理できていないので。
醍醐主査  ユニバは最初はコスト算定ルールがあったんですが、後半になってくると、うちの方はどれだけ負担しなきゃいけないのって話に。細かい話、大詰めになるとそういう話に、予想通りなっていくので。
直江専門委員  なりますよ。それはね。
醍醐主査  その他いかがでしょうか。
加藤専門委員  それだけに余計きちんと出しておかないと。
佐藤専門委員  誰がどういう基準で払うべきかということが1つあるとわかりやすいんですけれど。
山本専門委員  例えば接続料等の負担額を、コスト負担比率の算定ベースで課すというやり方、これは廃案になったみたいですが、この考え方というのは、音声なら音声だけ抽出してやればいいから比較的分かりやすいし、やりやすいと思いますが。ただ、5番に書いてあるように、現行がそうなっていない。東西と、データが入ってしまうのですか。接続料が算定されてないと。
醍醐主査  間接接続があった場合にどうするかという問題で行き詰まっちゃうということなんです。考え方としては合理性はあるということは確かな面があるんですが、どうしてもそこを突破できないというか、解決できないということで、これは見合わせるということに。
佐藤専門委員  経済学の基本の、間接税か直接税かみたいな話になるので。
山本専門委員  その前に、グループだから当然だというふうに思わないで、別会社なのだから、やっぱり接続料金をキチッと計算して、東と西がNTTデータから取るというのがノーマルなあり方なのではないのですか。
直江専門委員  取ってますよ。取ってますけど、東西直接がいけないので、つなぐことを許していませんから、どうしても中継系を経由してつなぐでしょう。東西はふたをしないんですねと。
山本専門委員  中継系は料金設定をして。
直江専門委員  そうすると、東西はユニバーサルサービス基金にお金を出さなくていいんですねとなっちゃうわけですよ。それはないでしょうというのがこの理屈でしょう。だから、もし逃げるとすれば、そういうやり方で逃げられちゃいますよという話です。
山本専門委員  だから、そういう含みを持って、将来的には別会社になっていくのだから、キチッと接続料金ぐらい取るし、使っている側は払いなさいという形で、西と東とデータの関係、ドコモとコムの関係をそういう関係にしなさいというサゼッションを与えたほうがいいんじゃないですか。
谷脇事業政策課調査官  コムが東西に対して接続料を支払っているのであって、東西にとってみると、接続料支払額という概念が発生しないんです。受け取りはしますけれども、払うことはないんです。そういう意味では逆の矢印に書かれているということがありますので、支払額相当額でコスト負担ベースにするとなると、相互間の支払額がないというところが問題としては残ります。
山本専門委員  本当にちゃんとした独立した会社だったらあるべきだよね。そこはやるべきだよね。接続料金をキチッとさせるべきだよね。わけ分からないじゃないですか。
直江専門委員  ローカル−ローカルでは発生しないんですよ、接続料金が。
山本専門委員  コムが入ったとき。
直江専門委員  コムが入らなくても、コムのかわりに、日本テレコムでもKDDIでもどこでもいいんですよ。そういうところを経由してつながなくちゃいけないので。
山本専門委員  コムが長距離をやるときは、西から東へコールをやるときね。だから、発信の接続料金をキチッと東に払って、着信の接続料金を西に払わなきゃいけいじゃないですか。それが本来のあり方じゃないですか。だから、現行がおかしいんじゃないですか。
醍醐主査  谷脇さん、何か説明ありますか。いまの件。よろしいですか。
山本専門委員  現行がこうなってるというのはわかります。ここにも書いてあるし。現行のあり方もちょっとおかしいんじゃないのか。独自の会社になったら。
谷脇事業政策課調査官  ちょっと理解してないんですけれども、中継系事業者が、足回り回線を持っている事業者に対して接続料を払うという形を今とっております。従って、コミュニケーションが東西に払っております。これは他のNCCの中継系事業者と同じです。従って、その仕組みにおいては何らおかしいところは私はないと思います。
山本専門委員  そうすると、接続料金ベースではコスト負担比率の設定ができない。
谷脇事業政策課調査官  私が申し上げたいのは、東西が直接接続するとか、あるいは東西が地域に限定されているのではなくて、県間通信もできるという形になりますと、東西が直接に接続するという形になります。そうしますと、東が西に接続料を支払うという観点も出てまいります。その場合には、今、山本先生がおっしゃっているような形も当然あり得るでしょう。従いまして、それはNTT法の今の限定条件の中で考えた場合にこういう問題が出てくるというふうにご理解いただければと思います。
醍醐主査  だから、制度が変わらないと、接続料では取れない。
 先ほどの修文案、用意できたでしょうか。その他いかがでしょうか。
浜野専門委員  元へ戻るんですけど、12、3ページに書いてある消費者保護のことなんですけれども、私はこれは修文とか何とか、文章を書きかえることを申し上げませんが、すでに消費者問題の研究会が発足しているということなので、いまの危機的な状況を感じますのでお話し申し上げて、ぜひご研究いただきたいと思うんですが。若い学生とつき合って初めてわかったんですけど、携帯電話の迷惑メールというのはものすごいんですね。私、学生と数時間いますと、ひっきりなしにかかってくる。全部それが迷惑メールなんですよ。それがあるから、学生は次々に買いかえるわけです。番号を次々に変えていくわけですね。こういう状況を許しておくというか、どうしようもないと言われればそうかもしれないけど、健全な発達を阻害するんじゃないかと思うんですね。しかも、それに全部、料金が一部こっちに負担がかかってくるでしょう。受信者にね。
 もう1つは、年末年始にあれだけ騒がれたウィルスの問題でもそうですけれども、あれはやっぱり一種の恐怖感を与えていますよね。これは大変なことだなと。だから、12ページの2)のところに、こういうことがありますということが書いてありますけれども、迷惑メールとか、これは喫緊の課題というか、何とかしなきゃ、こういうものの発達自体が阻害されてしまうと私はちょっと心配をしますので、そういう危機感を持って、ぜひご検討いただきたい。ここに書いてあることには、そのことはあまりなくて、ここで議論された内容がかなり反映されていますけど、私もあまり危機感がそこまでなかったんですが、めちゃくちゃだという感じを持っていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
南事業政策課調査官  迷惑メールが大変社会問題化しているというのはその通りだろうと思っておりまして、実はデータ通信課の方でも、迷惑メールの研究会というのを、昨年末よりずっと続けておりまして、先般、中間報告も取りまとめて世の中に出しましたものですから、迷惑メール問題の取扱いはそちらの方にお任せしているんですけれども、携帯電話の空間というのはかなりプライベートな空間ですから、迷惑メールが来ること自体が、要するに受信すること自体が迷惑だという全く新しい社会現象だろうと思っておりまして、iモードをはじめインターネット接続が携帯でできるというのは、多分日本が群を抜いて1番でしょうから、そういう意味で世界各国とも、日本の対策というものに多分注目が集まっているんだろうと思っておりまして、現在、経済産業省の方は経済産業省で、取引の側面から規制できないかというアプローチをいろいろ検討しているようですけれども、総務省としては、そういう迷惑メールというものは、そういうものを送ってくること自体、送信行為自体がやはり問題なので、もう少し幅広い観点から規制をしていった方がいいんではないのかという中間的な取りまとめをさせていただいておりまして、今の政府といいますか、与党の方でいろいろなプロジェクトチームもお作りいただいて、事業者は事業者でいろいろ技術的な対策はこれからも続けていっていただかないといけないと思いますし、ドコモの方も、着信料のところは400パケットまで無料化するとか、負担を軽減するようにいろんな措置をとってきておりますけど、それで100パーセント十分とは言えないと思いますので、法的な形で、そういう表示を義務づけたり、あるいはオプトアウトという形で、お客さんが同意してない、利用者が1回受信して、同意してないものは2度と送っちゃいけないというようなオプトアウト規制というものが法的にできないのかどうかということを、いま与党の方でいろいろ法制化の検討を進めていただいておりますので、私ども側面からそれをサポートしている状況でございますので、近々、経済産業省のアプローチ、私どものアプローチいろいろあろうかと思いますので、政府与党挙げて、これから議論がさらに深められていくんだろうと思っております。
醍醐主査  おそらく今立ち上がった研究会でも、かなりそういうことも含めて幅広く議論がされていくだろうと思っております。
 先ほど事務局に修文案をお願いした、75ページの設備面、役務面のところですが、今、手元に配られているような内容が、bの基本的考え方の2)ですが、清原先生にもご意見をいただきまして、この修文案にもう少し修文させていただくと、次のような文章でどうでしょうかということで、「しかしながら、今後、VoIPが急速に普及し、従来の音声電話からVoIPへのシフトが生ずることが予測される中、音声伝送役務とデータ伝送役務との垣根が急速に低下していくと見込まれる」。「見込まれる」が2回あるものですから、上を「予測される中」として、「見込まれる」で1回切りまして、次に、「そのような中で、コスト負担事業者の対象範囲をこれこれ」というふうに続けていくということでどうでしょうか。そういう修文案でよろしいでしょうか。            
(「はい」という声あり)
醍醐主査  では、そのようにさせていただきます。それ以外でいかがでしょうか。
直江専門委員  直接関係ある話ではないんですが、ユニバーサルサービスの、特に費用の算定に当たって、多分負担者がかなり文句をつける。文句が出てくるんじゃないか。いつも問題になるのは、それがちゃんと負担が正確なのかどうかということになるわけですね。そうすると、会計データその他を全部明らかにしろとか、いろんなことになってくるわけですけれども、そういうことについて、NTT時代がそれだけのものを明らかにできるかどうかというのがあったりして、接続料金の研究会でもやっているように、こういう委員会の中に、その中だけでは見せるけれども、一切外に出さないというような、クリアランスボックスみたいな形の方法というのはとれないんでしょうか。こういうコストになりました、その算定はこういう基準ですというようなことを、アメリカではよくやられていて、見ることはできるんですけど、それを一切公表してはならないというか、また、それを利用してはならない、それをもとにいろんなことに利用してはならないと。自分が直接、アメリカの方法は、企業から頼まれたロイヤーが、それを見て、基準どおり正当かどうかというのを判断に行く。その結果、正当であるとなれば、それで動きだすわけですね。問題があるとすれば、そこで問題が指摘される。しかし、その内容は一切公表されないという形にしているんですね。そういうような方法をしてあげないと、なかなか本当のところのデータが出せない。相手方にコストが伝わっちゃうとか、そういうことにいくんじゃないか。特に負担者は、常に負担を減らすために、いろんなことを考えてくるので、疑心暗鬼になるというようなことがあり得る話だと思うんですね。
 ですから、そういう第三者機関に任せるということになりますけれども、第三者機関のやってることが、負担する側にも正当性を持てるような、そういう仕組みというのはできないんでしょうか。
醍醐主査  これは、今最後におっしゃったけど、NTTからであれ、負担する側からであれ、データは支援機関に全部集まっていくということです。受け取った支援機関のデータの取り扱い方の問題ということだと思うんですが、そこについて少しご説明いただけますか。
谷脇事業政策課調査官  制度の作りとして、今お話がございましたように、指定法人、これは支援機関と呼んでおりますけれども、ここが公務員並みの守秘義務をかけられる中で、経営情報を実際に把握して、ルールどおりに算定されているかどうかということについてチェックをします。チェックをした後で、支援機関が総務大臣に対して認可申請をして、総務大臣が別途ダブルチェックをかけた上で、各事業者に負担を求めるという形になってまいります。従って、支援機関の段階で1度きちんと、経営情報を含めてデータをチェックするという仕組みはできているというふうに言えようかと思います。
直江専門委員  ただ、そのときに、払う側が、本当にそうかどうかチェックしたい、個別にチェックしたいということが可能かどうかという話になりますね。
谷脇事業政策課調査官  それはもう少し具体化を図る必要があると思います。と申しますのは、支援機関の中に、支援業務諮問委員会というのをつくるようにしております。ここは学識経験者の方、それから各事業者が入って、申請をする前に、そこで諮問をして、審議会でご審議をいただくような形になります。そのときには、いまのLRICモデルの見直しと同じように、守秘義務をかけながら、一定の経営データを、その中だけで開示をして行うということも、方法として確かにあり得ると思います。それはこれからの制度設計のあり方だというふうに理解しております。
直江専門委員  クリアランスルームみたいな形はとらずに、諮問委員会の中で守秘義務を課してオープンにしていくというやり方ですか。
谷脇事業政策課調査官  そういう形が1つのやり方としてあり得ると思っています。
醍醐主査  データをチェックする場を、支援機関の外に設けるということは、制度作りとしてはないんじゃないかと思うんですが。
谷脇事業政策課調査官  制度の外という意味ではございません。予定しておりません。
直江専門委員  制度の外じゃなくて、データを公表する先が、諮問委員会に、例えばNCCから出ているとしますね。その人は知ることができますよね。当然のこととして。
 そうすると、それを自分たちの経営判断に使うという可能性があることが問題にされるんではないかという心配をしているんです。
谷脇事業政策課調査官  そういう意味で、いまのLRICモデルのグループというのも、そこに参加をしている人間たちだけのクローズドグループの中でしかデータを用いてはいけない。つまり、それは経営陣にも報告してはいけないという形で、今のLRICの研究会も行われていると理解しております。同じような形をとり得る可能性があるのかなと思います。
直江専門委員  それを何らかの形で担保できればいいわけですけどね。アメリカではそういうやり方をして、見られる人は、第三者に頼んで、正当かどうか判断してもらっている。例えばNCCが任命した人で、NCCにはそのデータは報告させないという形で、そのデータを知っていれば、何らかの形で、別の経営戦略のときに、データを公表しなくても戦略は立てられる。知っているというだけで戦略は立てられるわけですね。そういうことを防ぐためにということをやっていましたので、いまの接続料金のときも、アメリカでは、第三者じゃなくて、直接、NCCみたいなところが、CLECがILECのところに行ってデータを見ることができるというふうになっているんですね。
 ただし、それは、そこの人が見ることができるんじゃなくて、そこから制度にのっとった方法をとっているかどうかを確認してもらうことが可能だという形になっているんですね。だから、そこまでやる必要性はないと思いますけど、そこに出た情報を、諮問委員会に来ている人たちが知るということが、実験データ、基礎データみたいなものを知ること自体に問題があるのかなというような感じがしたんです。そのへんの仕組みをうまく考えていただければ。
藤原専門委員  ちょっと関連しまして、支援機関にどこが指定されるか、まだわからないので、全く想定の質問ですけど、特殊法人の情報公開法が、この支援機関に対してかぶってくる可能性はありますか。現在想定されている候補者は該当しませんか。
谷脇事業政策課調査官  特殊法人といいますよりも公益法人、民法34条法人を想定しているわけでございますけれども、私が理解している限りでは、公益法人の情報公開についても、特殊法人に準ずる形でこれから進められていくと思います。そういった意味では、同じような観点でディスクロージャが求められていると理解しております。それから、支援業務については、法律の中でも、業務に関する、例えば会計とか、そういったものを個別に独立させて、これを公開するという形になっております。そういったところで情報公開をできる限り担保していくという形をとっていく必要があるんじゃないかなと思います。
醍醐主査  いまの点、これから制度をつくっていくという状況でありますので、ここではそれ以上のことは言及しないということで、おっしゃっている趣旨は全くそのとおりで、一方では経営秘密事項があるということと、他方では、負担する側は、それを何らかの形でチェックする場が設けられる、その調和点だと思うんですね。私の進行のまずさもございまして、時間がだいぶ延びてしまいましたけれども、その他よろしいでしょうか。
 それでは一通り議論いただいたということと、特に修文で、後で預からせていただくという箇所はなく、この場で、直すべきところは直していただいたというふうに判断させていただきましたので、冒頭申し上げましたとおり、この修正分を含めて、本日、資料1の第二次答申案を、この委員会といたしまして取りまとめという形にさせていただいて、明後日の特別部会に報告をさせていただくということにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
閉会

醍醐主査  それでは長時間にわたりましたけれども、熱心なご意見をいただきまして、進行の不手際がございましてだいぶ延びてしまいましたが、以上で本日の会合を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


トップへ